カミキヒカルアナザールート   作:だめねこ

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第71話

 時が経つのはあっという間だなっと思う。

 アクアとルビーが小学校に入学して早いもので、もう3年生になった。

 一応はゴローさんの子って事にして、世間的には私とアクアは同じ苺プロに所属している先輩後輩って設定だけど……アクアとルビーの入学式の時にはその設定が生きて私は見事に子供達の入学式を一緒に見る事が出来た。

 アクアはその時子役として出ていた所為か、堂々としてカッコよかったし、ルビーも私に似て凄くきゃわわーって感じだった。

 私は変装していたから、『B小町』のアイって事はバレて居ないけれど、子供達の入学式を見た事でより一層仕事を頑張ろうと思うようになった。

 私も成人したから、深夜帯の番組やラジオの仕事がジャンジャンはいる様になったし……そうなれば給料もどんどん上がって行ったけれど、私が頑張れば頑張るほど家に居る時間は少なくなり……

 

 そして、今現在は三日に一回家に帰れるかどうかってくらいには忙しいのだ。

 ほとんど事務所に缶詰で家に帰る時間よりも寝る時間に当てて少しでも体を休めて体調を整えてる様にしている。

 

「アイさん……こんな仕事のやり過ぎです。こんなんじゃ体が壊れちゃいますよ!」

「そうだぞ! 多少は仕事を休まないとお前が倒れちまうしそうなればアクアもルビーも悲しむんだぞ」

 

 佐藤さんやミヤコさんからは仕事を休むように言われてるけど……そろそろ、私もアイドルとして年齢の限界を感じて来ている以上稼げる内に稼いでおかないといけないと考えて居るのだ。

 

「大丈夫だよ! どんなに忙しくてもご飯も毎日三食食べてるし、移動中とかでもちゃんと寝てるからパフォーマンスは落ちてないよ」

 

 アクアの夜泣きに比べればこんなの全然へっちゃらだもん

 

「……分かった本当に無理そうだったら、無理やりにでも休ませるからな!」

「ちょっと壱護!?」

 

 佐藤さんはそう言うと楽屋を出て行き、ミヤコさんも佐藤さんを追いかけてしまった。

 2人には心配かけちゃったみたいだけど……ま、事実こればかりはしょうがない。

 ドーム公演を達成した『B小町』は知名度の人気もあるが、結局の所それは『B小町』としてのアイである以上『B小町』が解散したらどうなるか分からない。

 佐藤さんの営業力があればアイドル卒業後もマルチタレントとして活躍は出来るかもしれないけれど……そんな不確かな物に縋れるほど私はもう子供じゃないし、何より子供達を育てる義務が私にはある。

 

 せめてヒカル君が毎月入れてる養育費よりも稼がないとって思っちゃう

 

 私はこんなに頑張って仕事をしてるけれど……ヒカル君が入れてくれる養育費は私の給料を超えた金額なのだ。

 いや、ゴローさんだったら分かるよ?

 ゴローさんはお医者さんって事もあるし、夜勤にメインで入ってるから深夜手当がついてかなりの金額を稼げて居るけれど……

 ヒカル君は役者だけどモデルをメインに仕事して物凄い稼いでるみたいなんだけど……時間には常に余裕があるみたいなのだ。

 

 『B小町』の他のメンバーだって昔に比べれば仕事は多いみたいだから、収入もかなりアップしてて、給料明細を見せあっていたから、私も皆の給料明細を見せて貰ったら……

ニノだけは私に迫るレベルの給料だった!

 

 正直何でニノが!? って思わなくもなかったけれど……女優業ってそんなに儲かるのかぁ~って思い佐藤さんに聞いて見たら……答えは至ってシンプルだった。

 

 衣装代は掛かりはするものの、アイドルと比べて中抜きはそんなに無いし、ニノが演じる『ヤンデレアイドル』がとある層にぶち刺さり、その結果ニノには絶対に離れないコアなファンが付いたそうだ。

 私だって主役のドラマが来ればドカンと当てる自信はあるけれど……どうも制作陣は私を使うのを持て余してしまうようで結果的にドラマの話はあんまり来ないのだ。

 ニノは『B小町』の仕事が無い日は劇団ララライで稽古したりそこから仕事を回して貰っているようだから、私にも仕事を回してくれないか今度ヒカル君に頼んでみたいけど……現状忙しすぎるからアイドルを卒業した後の話になる。

 

 私にとって『嘘は愛』だから……ファンには私なりの愛を伝えてるつもりだし、そのおかげで仕事も増えて来たけど。その結果……寝る間も惜しんで頑張って給料もアップしてる私と女優業を熟してるニノでは給料に差はあるけれど……そこまで大きな差がある訳では無かったのだ。

 

「はぁ~ちょっとしんどいかなぁ~」

 

 思わずため息とともに弱音も出てしまったけれど……今は楽屋に私一人きりだから誰も聞いて無いけど……まだ私はアイドルだから、アイドルである以上はファンに疲れた顔を見せる訳にはいかない!

 

 そう思っていたらドアをノックする音が聞こえた。

 

「ハーイどうぞー」

 

 私が返事をすると番組のADさんがドアを開けて顔だけ出して来た。

 

「あっアイさんそろそろ出番ですのでお願いしますね」

 

 私は瞬時に嘘の仮面を付けて返事をする。

 

「あ! もうそんな時間なんだ~」

 

 今求められているのは『星野アイ』では無く『アイドルのアイ』

 

 だから子供達の為にも私は今日も(仕事)を頑張らないと……

 

 

 

  

 

 

「アイさんお疲れさまでした」

「お疲れ様でーす」

 

 ようやく収録も終わった。

 楽屋に戻ると既にミヤコさんが居た。

 

「あっミヤコさん今収録終わったよ~」

「アイさんお疲れ様です。じゃあ私は車回して来ますので着替え終わったらすぐに来てくださいね」

「はーい」

 

 ミヤコさんが楽屋を出た後手早く着替えを済まして、マスクにサングラスに帽子も被りスタジオを出るとミヤコさんの車があったので、すぐに乗り込んだ。

 

「じゃあ、ミヤコさん家までおねがーい」

「ええ……じゃあ着いたら起こしますからそれまではゆっくりしててくださいね」

「ミヤコさんなんだかママみたい~」

「もう! からかわないでください」

 

 そんなやり取りもしていたけれど……心地よい揺れと疲れが溜まっていた事もあり、私はすぐさま意識を手放した。

 

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