ゴローさんが居る……そう、私にはゴローさんが居るんだ!
だから動揺するな星野アイ
今日は……ヒカル君から大金を稼いだ手法を聞き出す簡単な作業だ!
例え昨日みたいにお風呂上がりのヒカル君を見たからと言って……私の心は決してグラグラなんてしないんだ!
決意を胸に秘め、私はゴローさんの手を握り……いざ、ヒカル君の部屋に!
「行くぞアイ」
「うん♡」
ゴローさんの大きく暖かい手の平を感じながらインターホンを鳴らすとガチャっと言う音も聞こえてそこからは出て来た人物は……
「お待たせしましした」
まるで黄金に輝く長い金髪を後ろでまとめてポニーテイルにして、Tシャツにハーフパンツとラフな格好の上に無地のエプロンを着用している所為か……なんか新妻感が凄いんだけど!?
しかも片手にお玉持ってるし!
これはあんまりにもあんまりすぎるよ~!
「すみません今夕食の準備中でして……アイさんもゴローさんも食べて行きますか?」
私とゴローさんは思わず喉を鳴らしてしまったが……落ち着け星野アイ! 今ヒカル君が言ったのは夕食であって、決してエッチな事ではないんだから!
「あ……ああ、じゃあお願いしても良いかなカミキ君」
「いえいえ、大丈夫ですよ。アイさんはどうします?」
「勿論私もゴローさんと一緒にお邪魔するよー」
部屋の中から良い匂いが充満しているけど……私は果たして正気を保てるのだろうか?
不安半分好奇心半分と自分の事ながら良く分からない精神状態ではあるものの……ええーい女は度胸! いざ行かん!
私とゴローさんは今に通されるとそこには結構な数の料理が並べられており、アクアとルビーも美味しそうに食べていた。
いや、これはもしかしたらマズイ事になるかも……
何となくではあるものの、言い知れぬ不安を私は感じ初めておりそれはすぐさま的中してしまった。
数分後には配膳も完了し、ヒカル君もテーブルに座るとアクアが当然の様にヒカル君の膝の上に座り始めた。
「あ……アクア? こっちにおいで、ヒカル君に迷惑かけちゃ駄目だよ」
両手を広げてアクアを迎い入れる。
現役アイドルである私の膝の上に座れるなんてかなり贅沢だし、ファンなら泣いて喜ぶレベルだけど……しかし、アクアから返って来たのは無情な言葉だった。
「マ……アイお姉ちゃんはくっ付き虫みたいにくっ付いて来るからヤダ」
アクアはヒカル君にしがみついて離れない文字通りくっ付き虫になってしまい、顔もプイって逸らしてそう言った。
「ガーン」
「アイさん……アクアの事は任せてくださいね」
ヒカル君はそう言ってくれたけど……その笑みは普段の3割増しに私は見えてしまった。
うぅ……私なりの愛情を表現しているつもりだけど、アクアには中々理解してもらえないしこのままだと本当にヒカル君にアクアを取られちゃうかも!?
無理やり抱き締めちゃえば最終的には大人しくなるけれど……ヒカル君にするように私にも自主的に甘えて欲しいなぁ~
再度アクアとヒカル君を見ると、同じ顔が二つ揃っており親子と言うよりも双子の兄弟に近い気がするけど……ヒカル君って確か私の1個下だから24歳なんだよね。
身長も低いし……もしかしたらアクアに身長を越されたりして……
そんな事を考えつつ私は目の前の料理に手を付けるが……そこで衝撃が走った。
「……モグモグ。うぅ負けたぁ……」
いや、私だって料理位するけど……こんなに美味しいのは作った事無いし、このお味噌汁なんか特に味がしっかりしてて本当に美味しいのだ。
うーん自分で言ってても語彙力が無さ過ぎるから食レポはちょっと無理かも……
「いや、俺は……アイの料理の方が好きだ!」
「……私もママの料理の方が美味しいよ」
「僕はパパの料理の方が美味しいと思うけど……」
「はぅわ!」
「アクア! 何で今そういう事言うのさ! ママがショック受けっちゃったじゃん!」
「僕は嘘偽りなく言っただけだもん!」
ゴローさんとルビーが私のフォローをしてくれたけど……アクアはヒカル君の方が私よりも料理が美味いと評価を下してしまった。
その所為でアクアとルビーが口喧嘩をし始めたが、幸い二人とも席は離れており、アクアはヒカル君の膝の上で、ルビーはゴローさんの膝の上に居るので取っ組み合いは無いけれど……今の私にはそれよりも筆舌し難い事実を突きつけられた。
ヒカル君が何故アクアにママと呼ばれるのか……その理由の一旦を私はこの料理から垣間見てしまった。
ハンバーグにエビフライと言った子供が好きそうなものを用意しており、それも子供達に食べやすいようにわざわざ小さく切っていたりと配慮されていたんだ。
私はそんな事まで気を配った事は無かった。
ママ呼びはまだまだ先だなぁ~と思いつつ私はこの美味しい味噌汁を啜るのであった。
「「「「御馳走様でした」」」」
「はいお粗末様でした」
ヒカル君の手料理を食べ終えて私はある事に気が付いた。
あれ? 私白米フツーに食べてた?
アクアがヒカル君に甘えてる姿が余りにもショックだったのでそんなに気にならなかったのかな?
家で料理をする際は嘘の仮面を付けていたから、私の挙動はバレていないはずだし、勿論この事はアクアやルビーにゴローさんにも教えて居ない私だけの秘密って訳じゃ無いけれど……昔の『B小町』のブログに書いたから初期メンバーなら全員見れるはずだ。
なんだか今日一日は色々な感情が湧き出すけど……あっ臨時収入の事聞かないと……
「ヒカル君昨日聞きそびれちゃったんだけど……臨時収入ってどうやって稼いだの?」
4000万って大金をコンスタントに稼げるなら私も是非噛ませて欲しいしお金は幾らあっても構わないしね!
「……ああ、それは競馬ですね」
「へぇー競馬かぁ~競馬って儲かるんだね! 私もやって見ようかな? もしかしたらそう言った才能があって億万長者になれるかも」
「どうでしょうね? 見た感じアイさんはそんなに運が良さそうに見えないですから辞めた方が良いと思いますよ」
ちょっとヒカル君! 運が良さそうに見えないってどういうこと!
「ちょっと今のは聞き捨てならないかなぁ~私が本気を出せば競馬位バシバシ当てる位わけないよ!」
「ちょっとアイ!? 競馬ってそんなに簡単なものじゃないから! 勝つためには膨大なデータが必要だしそもそもギャンブルなんてやらない方が良いぞ」
「いやいや、だってヒカル君だって4000万勝ってるんだよ? 私なら億はイケるよ」
「そんな根拠もない事を……」
「まぁ~まぁ~ゴローさん私を信じて! なんたって最強で無敵のアイドルなんだからね!」
ゴローさんにウィンクすると胸を抑え込んでしまった。
「わ……分かった。俺はアイを信じるよ」
「うん」
「……そうですね。確かに私も1レース外しましたから億には届きませんでしたし、もしかしたらアイさんに博打の才能はあるのかもしれないですから遊びとしてやる分には問題ないかもですね」
ニコニコ笑いながらヒカル君は言ってたしこれは億は余裕だね!
そして私は競馬で負けた。