カミキヒカルアナザールート   作:だめねこ

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第75話

 アイ達に競馬で儲けた事を伝えてから数日が経過した時だった。

 今日は偶々仕事が休みって事もあり、普段出来ない水回りやコンロ周りの清掃をして、それが片付いたら洗濯物など行ってようやく、終わった時には既にお昼を回っていた。

 

『それでは今日の天気予報ですが晴れ時々曇り所により雨。一部の地域では雷も降り局地的なところでは雪も降る事でしょう』

 

 こいつ全部言ってら!

 

 そりゃ……確かに地球規模で言えば間違いないけれど、それって予報の意味があるのかと小一時間程問い詰めてやりたいレベルの物だし、こんな奴に天気予報を任せて良いのかとおもってしまった。

 

 今日はせっかく掃除をして綺麗になった訳だし、偶には店屋物で贅沢する位良いだろうと思いスマホを弄り何を食べようかなっと選んでいた。

 

 検索すると色々な物が出て来るがラーメンなんかもあるみたいだし……最近は家系ラーメンを良く耳にするし、試しに家系ラーメンを頼んでみた。

 

 さて、すぐに来るって訳では無いだろうし、それまで何か面白い番組が無いかチャンネルをポチポチ回していると、アイドルの不知火ころもと妹のフリルが映画の番線も兼ねてお昼のバラエティー番組に出ていた。

 俺自身はコレジャナイ感が半端ないB級感漂う映画だったが……監督の腕は勿論撮影スタッフなどの頑張りもあり、興行収入は1億を突破したようだった。

 映画の予算はそこそこだったはずだし、これは大成功と言っても過言ではないだろうけど……

 

『この映画の見どころは何処になりますか?』

『勿論可愛らしいキョンシーに金髪のお姉さんキョンシーも大変魅力的ですが、私達姉妹の金お姉さんとテンテンのてぇてぇところですねぇ~』

 

 いや、金髪のお姉さんキョンシーって誰だ? もしや俺の事か? うーん最後まで居た訳じゃないから知らんし……俺は今回そういう風に演じた訳では無いし……一体誰の事だ?

 

 首を傾げながらも番組を見ていたが……丁度インターホンが鳴ったので、先ほど頼んだ出前が届いたのかと思い財布を持って玄関を出ると……

 

「はーい代金は幾らに……ってアイさんどうしたんですか?」

 

 其処にはFXで有り金全部溶かしたような顔をしているアイが居た。

 

「……競馬やって来たけど全然勝てなかったよぅ~。ヒカル君……競馬の必勝方法教えて!」

 

 いや、競馬どころからギャンブルに必勝方法なんてありません! そんなのは八百長だけです。

 しかし、最近はそう言った広告が良く出て来ているのが現実だ。

 とある競馬予想サイトは的中率96%を誇ると自信満々にしているが……4%は外れてしまうという訳だし、仮に96%をサイト利用者が全員当てれるのであれば胴元は明らかに損をすることになる訳で、そんなサイトを胴元が許す訳が無いと思うんだよね。

 

 しかし、必勝方法かぁ……転生前の俺も”そんなありもしない”魔法の言葉を追い求めていたんだよなぁ~

 負けるのは嫌だし色々と自分なりに調べた結果……そんなもんは存在しない事に気が付いたのは大分年を食ってからだけど……我ながら強欲で浅ましいものだった。

 

「……良いですかアイさん。古今東西ギャンブルに必勝法なるものは存在しません。どんなに計算に計算を重ねても最後には必ず運の要素が絡むのがギャンブルですからね」

 

 まー言っても競馬・競輪・競艇は限りなく運要素が少なく実力の部分が大きいからデータさえ揃って居ればある程度は当てる事は出来る。

 しかし、それでもある程度なのだ。

 人間で……いや、生物が介在する以上目に見えないコンディションを推し量る事は外見上でしか判断する事が出来ないからそこが厄介だし、競輪・競艇で言えば機械トラブルも避けては通れないものだ。

 だからこそギャンブルは面白いんだけど……アイはただ勝つことに執着し始めてるな……

 それがイケない事って訳では無いし、勝ちたいと思うのは当然ではあるけれど……実はその考えが落とし穴なんだよな。

 ギャンブルは自身の破滅を楽しむのが醍醐味だ。

 ”この勝負で勝たなきゃ俺は死ぬ”って位追い詰められてようやく勝ちの目を得られる。

 そして、そんな状態で勝った時に得られる幸福感は他では決して味わえない快楽だから……一度でも味わった人間は再度自身を地獄に突き落としてでも、あの快感を得られるならばと同じ事を繰り返す様になる。

 

 だからこそギャンブラーはすべからく破滅をするのだ。

 

「そんなの嘘だよ! だって現にヒカル君は競馬で4000万勝ったんでしょ?」

 

 正確に言えば5000万なんだけど……まぁ良いや。

 

「まぁー玄関でするような話じゃ無いので部屋に入ってくださいね?」

「……分かった」

 

 アイは渋々納得したようでとりあえず部屋に入って貰ったが……アイをギャンブルで勝たせるとマズイ気がするんだよなぁ~

 

 結局の所……額に汗水たらして働くのが一番なのに……

 

 とりあえずリビングにアイを案内して麦茶を出して相対するけど……どういえばアイは納得するかなぁ~

 そんな事を考えて居た時だった。

 

「そうだ! ヒカル君が勝った時の条件を教えてよ」

「勝った時の条件ですか? それは構いませんけど……私が勝った時のレースは大雨で、しかも最も影響を受けやすい土のレース場だった事もありますが、一番の理由はアメリカからの人気馬が多かったのが勝因になりましたね」

「雨が降るのと土だとなんの関係が有るの?」

 

 アイは首をコテンと傾けて聞いて来た。

 

「そもそもが競馬は天気が良い日にやるもので、そう言った時はデータが物を言うギャンブルですけど……雨で地面が土ですとレースは荒れるです。そうなれば人気も不人気も関係なく平等に全馬に平等にチャンスが訪れます。そしてその時こそが万馬券のチャンスなんです」

「へぇーそうなんだ~。ちなみにアメリカの馬が多いとどうなるの?」

「アメリカの気候的に雨は少ないですから、比較的に雨の日のレースは慣れて居ないんです。そうなれば実力を出せる馬は居ませんし、無理をすれば事故る可能性が出てきますのでアメリカの馬はこの時点で視野に入れません」

「なるほどね~」

「続いては日本の馬になりますが……だからと言って雨や荒れたレースに強いかと言われれば別段そういう訳ではありません。アメリカの馬に比べて為れては居るぐらいです。……なのでここで見るのは馬では無く騎手を見て判断をするのです」

「走るのは馬なのに?」

「走るのが馬だからこそです。こういった荒れるレースでは落馬の危険がありますから無理に勝ちに行くと死ぬ可能性が高いです。しかし、それでも勝たねばいけない事情がある騎手は前に出るしかありませんから、そう言った命知らずを見つけて賭けるんです。……だからこんなの必勝法でも何でもありませんよ。消去法で消して消してそして最後に残った可能性に全てを賭けるだけです」

「……じゃあもしそれが外れた場合は?」

「それはもう破滅を受け居れてこそのギャンブルですからね。破滅したく無ければギャンブルなんてしない方が良いです」

 

 ここまで言えばアイも分かってくれるだろうか?

 

「実は……この前の競馬で500万負けたんだよね。だから私……取り返したいんだ!」

 

 いや、決意をしている所悪いけど……

 

「だからヒカル君……競馬場に行こ?」

 

 アイはそう言うと俺の右手を掴んで離さなかった。

 

「あの……私これからお昼何ですけど?」

「大丈夫……ご飯は冷めても温めれば良いから」

 

 ラーメンだから時間が経て伸びちゃうんだよなぁ~

 

 

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