アイの競馬ソングをBGMに車を走らせて30分後……ようやく目的地の大井競馬場に着いた。
「アイさん着きましたよ」
「あれ? ここって東京競馬場じゃないよね?」
「ええ……この前大勝したので今日は違う競馬場に来ました」
「ふーん。……ま、良いよ。私もこの前競馬で負けてから少し勉強したから今日は勝てる気がするしね!」
アイはそう言うとやる気をアピールし始めたが、勝てる気ねぇ~。後にも先にもそう言って勝った奴等を俺は唯の一度も見た事が無いけど……ま、やる気に水を差すのは良く無いし……もしかしたらアイは勝つかもわからんしな
「……勝てると良いですね」
「あ~私が負けると思ってるんだねヒカル君は! じゃあさ……ヒカル君ちょっとしたゲームしない?」
「ゲームですか?」
「そそ。最終レースまでに多く稼げた方が勝ちっで縛りは特になし」
これまたギャンブル脳にアイはなったけど……負けたら何かされるのだろうか? 一応確認しておこう
「それは構いせんけど……何か罰ゲームでもするんですか?」
「そうだね! 負けた場合は勝者の言う事を何でも聞かないといけないってのはどう?」
アイはやたらと自信満々だけど……何か俺にやってもらいたいことでもあるのだろうか?
「それは構いませんけど……アイさんは私に何かして欲しい事でもあるんですか?」
「勿論! まぁ~それは私が勝ったら教えるよ」
「……そうですか」
とりあえず、俺はアイに何かして欲しい事は無いけれど……一個だけ思い付いた事があるからそれで良いかな。
「ちなみにヒカル君は……私に何かして欲しい事でもある? あっ! 言っておくけどエッチな事は駄目だからね!」
ギャグのつもりか知らんけどいきなりアイは変な事を言い出したが……今更アイとセックスする気はもう無いし……
「そうですね……とりあえず、ゆっくり考えて決めるとします」
「あ……あれ? ちょっとスルーしないでよぉ~」
とりあえず、とっとと競馬場内に入るとするか……時間が勿体ないしな
アイを伴っていざ大井競馬場に俺は入って行った。
☆☆☆
あちゃ~少しばかり滑っちゃったかな?
チラリとヒカル君を見て見ると表情は全く変わって居ないけど……どうなんだろう?
ゴローさんと違って四六時中会ってる訳じゃ無いけれど、ヒカル君との付き合いは結構長いけど……未だに私はヒカル君の事が良く分からない。
付き合っていた時なんかは結構大事にされていたと思うけど……どこか感情が乗って居ない所為か、常に心ここにあらずって感じだったけど……だからと言ってないがしろにしている訳では無く、見ていないようでちゃんと見ている抜け目がないタイプだと思うけど……
未だって私に対して何を考えて居るのかさっぱり分からない。
競馬場内の売店でコーヒーと新聞紙を勝ったと思ったら、一指し指で自身の額をトントン叩き始めた。
「8-4-……1? いや10か……」
え? もしや3連単を買う気なの? いやいや、そんな訳無いよね。
「ヒカル君? ヒカル君は3連単買う気なの?」
「……? そうですけど何か?」
いやいや、そんな可愛らしく首を傾げないでよね! 今すぐこの場で押し倒したくなるじゃん!
「私は単勝狙いだけど……ヒカル君はそれで良いの?」
「……倍率が丁度良いんですよ」
ちょっとヒカル君が何を言ってるのか分からないけれど……私も今の内に8番の単勝に1万かけよっと!
そうこうしているとヒカル君も馬券を買い終えたようだ。
「ヒカル君幾ら買ったの?」
さっきヒカル君が言った8-4-10は倍率的には24倍だから仮に1万賭けて当たったら24万になる。
私は単勝で倍率5倍だから5万円だけど……結構な差だなぁ~
ま、3連単だからそんなに簡単当たる筈無いだろうし、堅実なヒカル君が大きな金額を賭ける訳無いもんね。
「ええ……私は競馬ごときにお金を使う気は無いので……100円あれば十分です」
「ええ~!? 100円だけ? 流石にそれは無謀なんじゃ……」
そこまで行った時だった。
コースに馬達が入って行き各々ゲートに入りラッパの音が鳴り響く。
『さぁまもなく第一レースが始まります』
とりあえず、ヒカル君の事は一旦置いといて私はレースに注目し、そして度肝を抜かされた。
『さぁー直線で4番トップに躍り出た! 10番が後に続きこのままワンツーが決まってしまうのか~っとおっと今外から8番ぐんぐん追いかける! そのまま一気に10番を追い抜き、4番との差は3馬身、2馬身っとついには並んで一気に抜いてゴール!! 何という事でしょうか!』
『いやー後半の8番の追い抜きは見事でしたねぇ~』
これでヒカル君は100円から2400円に私は1万から5万に金額の差はまだあるけれど……いや、弱気になるな星野アイまだレースは始まったばかりだし、3連単がそんなに当たる訳無いのだ!
「良し……気を取り直して、次のレースだ!」
「そうですね。さて、次は……っと」
ヒカル君は再度額をトントン指で叩き……その番号を再度告げた。
「……2-4-9」
ぽつりと告げた番号だけど……今度の倍率は79倍だった。
流石にそれは当たる訳が無いし……そもそも2番が単勝でも倍率13倍なのだからちょっと厳しいし、それなら4番の4倍で十分だ。
けれど……ちょっと気になるなぁ~
少しばかり葛藤したけど、私は……2番の13倍にさっき買った5万円分を賭けよう!
ヒカル君は今度こそ外れるかもしれないし……
「ちなみにヒカル君は幾らかけるの?」
「さっき勝った2400円分ですけど?」
「それは辞めた方が良いとおもうけどなぁ~」
しかし、私の予想とは裏腹に見事ヒカル君は再度的中させて2400円は18万9600円に私は65万になった。
そしてヒカル君はそれを誇る事も無く……再度額をトントンと叩き始めた。
最終レースが終わるころ私は600万を超えたぐらいで終わったけど……ヒカル君はトータルで億の金額を見事に稼ぎきった。
「ほ……本当に使った金額は100円だけだけど……100円が億に化けるなんて……」
「……びっくりしましたね」
ヒカル君はそう言うけど……私から見ても普段と変わらないのほほんとしていたけれど、こんな偶然が合って良いのだろうか?
「ところで罰ゲームの話ですが……」
「うん、分かってるよ。ホテルでエッチだよね?」
「何でですか!?」
あれ? 違ったっけ?