俺は今試されているのだろうか?
恋愛リアリティショーの現場に着くと早速用意された衣装に着替えるように言われて、楽屋のとして使用されてる教室に入った。
そう……教室なのだ。
そして渡された衣装は何処かの学校の制服であり、Yシャツ・ネクタイ・黒いカーディガンにスラックスと俺のサイズにピッタリなものだった。
俺……今年で25歳になるのに果たして大丈夫なのだろうか?
小首を傾げながらも指示された教室に向かうとそこには既に女子高生の衣装を纏ったアイと高校生にして絶賛大人気の不知火ころもと片寄ゆらが居た。
うん……どうしよう……三人とも知り合いだし、何ならゆらなんてそこそこ長い付き合いなのだ。
「……こんにちはモデルをやってるカミキヒカルです。よろしくお願いします」
「おっすー。カミキさんお久しぶりですね~。映画の撮影以来ですけど……元気ですか?」
ころもは軽い感じで返事をしてくれたけど……ゆらとアイの視線が痛い。
ゆらが芸能界と言うか演劇関係に興味があるのはアヤセから聞いていたけど……まさかこんなところで出会うとは夢にも思わなかったなぁ~
「初めましてSA芸能所属で女優をやらせてもらってる片寄ゆらですよろしくお願いしますね……カミキさん」
「ええ……よろしくお願いします片寄さん」
圧を……ゆらから圧を感じるよぉ……
そんな事を考えて居たら最後にアイがめっちゃ意味深にこっちを見始めていたが、俺は敢えて気付かない振りをしてスルーしていたが……その時俺の後ろから高校生になったばかりであろう少年が入って来た。
「うわぁ~すっげぇメンツだ。今をときめくアイドルの不知火ころもに『B小町』のアイも居るじゃん。あっ俺は鴨志田朔夜で役者やってまーっす。良かったら連絡先交換しません?」
なんだろう……高校デビューのノリみたいだけど、これでナンパ成功していたのだろうか? いや、流石にそんな訳無いよな?
「ごめんねー私今糸電話しか持って無いんだぁ~」
アイはそう言うと俺の方を見てニヤニヤし始めた。
「あっ私も今日は糸電話しかないんだよね~」
ゆらもそう言うと俺の方を見ている。
「糸電話とかウケるしw」
鴨志田はそう言うと何がツボに入ったのか分からないがお腹を抱えて笑い出したが……糸電話って昔俺が断る方便で使った奴だし……
「……カミキさん糸電話って何スか?」
「ああ、ころもさん幼稚園か保育園の時に作りませんでしたか? 糸の両端に紙コップを付けて喋ると糸を介して声が聞こえるってものなんですけど?」
「別にスマホで良くないっすか?」
そりゃ今の時代はスマホが普及してるから、わざわざ糸電話を使う必要は無いけれど……昔はケータイなんて誰もが持ってる訳じゃ無かったし、持っていたとしてもPHSとかだった。
寧ろポケベルの方が流行っていたけど、アレは解読困難だったな……
「まぁー糸電話なんてちょっとしたお遊びですからね。利便性何て無いですけれど……ああやって、断る時には便利なんですよね」
鴨志田がスマホを取り出してもアイとゆらは全く動じる事せずにカバンから糸電話を出して遠回しに拒否してる。
実際に糸電話を出されてしまえばそれ以上どうしようも無いから連絡先の交換を諦めるしかないのだが、鴨志田とやらはメンタルが強い様で……
「じゃあ糸電話であそぼーぜ」
ゆらとアイの糸電話に手を伸ばしたところで……
「ありゃ?」「えい」
アイは可愛らしく……ゆらは作為的に糸電話を壊した。
「ごめーん糸電話壊れちゃったね♪」
「……す、すみません緊張して思わず力が入っちゃっいました」
「は……ハハ……ウケるー」
流石の鴨志田もこれにはちょっとダメージが入ったようだ。
そんな事を考えて居た時だった。
ガラガラっと教室のドアを開ける音が聞こえたのでそちらに目を向けると髪型オールバックと言う随分気合の入ったガタイの良い少年が居た。
「……初めまして役者やってる船戸竜馬です」
何故だろう上原パイセンと同じ側……もっと言えばこいつからはOUTの臭いがする。
「どうもモデルをやってるカミキヒカルです」
「うっす」
あんまり喋らない口数は少ないタイプなのかな?
「はは、取り合ずこれで男3人女3人と出揃った感じ?」
「みたいだねー」
鴨志田ところもがそう言うと今度はスーツ姿がビシッと決まった上原パイセンと白衣を纏った愛梨パイセンがやって来た。
「おー皆席につけー出席取るぞー」
うん……上原パイセンが教師役? GTOの鬼塚枠はいらんやろ……
「「「「「「はーい」」」」」」
とは言いつつも指示があれば従わなければいけないので俺は適当な席に座る。
「自己紹介がまだだったな。俺は担任の上原清十郎で、こっちの白衣を着てるのが保険医の姫川愛梨だ」
「姫川愛梨ですよろしくね」
愛梨パイセンは特に何かする訳も無く普通に挨拶をした。
あの愛梨パイセンが普通に挨拶をしている所を見ると……何て言うか違和感を感じでしまう。
何でだろうか? やっぱり頭のネジが吹っ飛んでるからこそ普通が普通に見えなくなるのだろうか?
「すっげーあの月9の女王が出演するなんて……愛梨先生も勿論枠に入ってるんですよねテンション上がるぅ~」
鴨志田がそう言った瞬間だった。
「ふざけた事言ってると殺すぞクソガキ!」
……教師とは一体?
しかし、上原パイセンの一声で鴨志田は委縮してしまった。
いや、賑やかしも必要だし……そもそもどうするんだコレ?
「……すみませんでした」
「分かれば良い。えー一応番組だからある程度は容認するが……あんまりハメを外し過ぎた場合はペナルティが発生するから節度ある行動をするようにな!」
さっきのパイセンの発言は節度とは無縁の言葉なんですけど?
「上原さん……ペナルティの内容って何ですか?」
俺がおずおずと手を上げて聞くとパイセンは残念そうな顔をして答えた。
「本当なら俺がスパーリングしてやるのが一番良かったんだが……許可が下りなかったから罰ゲームになるな」
逆に何故スパーリングがイケると思ったのか……そこが分からない
「ああ、あと女子達は何かあれば俺でも良いけど……言いにくい事があれば姫川にも相談するように……では先生たちは見回り行って来るからなぁ~」
「皆さん節度ある行動をするのよぉ~」
そう言うとパイセン達は教室から出て行ったけれど……
一番節度と真反対の……いや、だからこそなのかも知れないなぁ~
「……びっくりしたぁ」
「上原先生はあんまり怒らせない方が良いかも知れないね」
アイところもがそう言うとゆらは首をコクコク振って肯定し始めたが……いや、上原パイセンは基本……そんなにキレるタイプじゃないから、一発目って事でかましただけだと思うぞ?
……とは言えそれは俺が二人を知っているからこそ言える事なので、初対面の人が判断するのは無理だよな。