カミキヒカルアナザールート   作:だめねこ

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第82話

「ただいま帰りました」

「あっヒカルさんお帰りなさい」

「カミキお疲れさま……恋愛リアリティショーはどうだった?」

 

 家に帰るとニノとかながエプロンを装着して出迎えてくれた。

 その様子を見るに今日は二人で仲良く夕飯を作ってくれていたようだった。

 

「ええ……まぁ……何と言いますか……撮影初日なのに、中々濃い一日でしたね」

 

 思い返してみると……初日の撮影で既に上原パイセンと鴨志田のキャラが確立してしまった事でしばらくは鴨志田を中心に話が進む事になりそうだけど、まぁそれはしょうがないか……

 

「へぇーところで……カミキは誰狙いなの?」

 

 かなはジト目俺の事を見て来たけれど……誰狙いで行くかと言えば正直な話かなり判断に困るのだ。

 

「アイさんやころもさんはアイドルですから、世間体や肩書など考慮しなければいけないですし……そこを無視すると手痛いしっぺ返しが来てしまいますので中々厳しいですね」

 

 本当に鏑木の奴は視聴率を取る事しか頭に無いから困ってしまう。

 アイドルと恋愛なんて……世の男からしてみれば羨ましいに決まってるし、仮に……もし成就しようものなら嫉妬に駆られたファンに刺される覚悟をしないといけなくなる。

 しかし、番組が終わったら……いや、もっと言えば番組中でも非難はされる可能性は十分にあるし……番組は出演者を守る事なんて決してしないのだ。

 

「恋愛リアリティショーって言うけれど……色々と考えないといけない訳なのね」

「……恋愛なんて当人同士の問題なので、本来は赤の他人にどうこう言われる筋合いは全く無いんですけど、”釣り合っていない”とか”あんな奴のどこが良い”とか善意の悪者が出て来る訳です。……しかし今回は現実味のある恋愛ショーを提供することで見ている人を楽しませる必要がありますから、視聴者に分かりやすく段階を踏んで恋愛の過程を教える必要性があります」

 

 なので、視聴者の予想を超える期待(裏切り)が重要なのだ。

 俺が緩いナンパキャラで、アイ・ゆら・ころもも知り合いじゃなければ適当に口説いて、最後には3人から振られて終わるなんて事も全然良かったけれど……肝心かなめなナンパキャラは鴨志田に盗られてしまったから二番煎じじゃ意味が無いし、船戸は寡黙で喋らねーし、しまいには女性側は全員知り合いで3人中2人はトップアイドルだし……ゆらはアヤセの妹だし……何だこのがんじがらめは!? 一体全体どうすりゃ良いんだ!

 

「……ちなみにヒカルさんは誰狙い何ですか?」

 

 ニノがそう言うとかなも俺の事をジッと見ているが……あのメンツは正直言えば誰も狙いたくないのがリアルな心情だ。

 ……もうめんどくさいから愛梨パイセンで良いかなって考えて居るが、上原パイセンが鴨志田に一喝しちゃったからその手は使えないし……鴨志田の野郎は悉く俺の禁じ手を封じて来るから困ってしまう。

 最終的には鴨志田は3人から振られるか、3人と結ばれる位の事しないと今後浮き出る事は無い

 船戸は……頼れるお兄ちゃんキャラで行けば良いだろうけど、上原パイセンが居る以上中々難しいし……

 

「……今は誰も考えたくないですね」

 

 恋愛コンテンツはマジで難しい

 

「そう言えば……初回放送の事で早速上原さんと鴨志田って人の事書かれてたよ」

 

 ニノがそう言うとスマホを見せて来た。

 内容はと言えば……

 

 『上原って人……私達の鴨志田きゅんになんて事言うのよ!』

 『ああいう人マジサイテー』

 『本当事故かトラブルに巻き込まれれば良いのに!』

 『何が節度ある行動よ! 殺〇ぞ発言は全く節度無いじゃない!』

 

 ああ、これは鴨志田のファンからの書き込みだけど、唯の一般人だから何も出来る訳が無いから問題は無いけれど、それに対して上原パイセンのファンは大体OUT側が多いから……

 

 『いや……鴨志田のファンは何言ってるんだ? 上原はガチ側の人間だぞ?』

 『……警告してる段階で温情なんだよなぁ~』

 『鉄火場大好き人間だからなぁ~』

 『スタントマン無しで喧嘩アクションを熟せる数少ない役者です!』

 『……何で役者をやっているのか分からない人だし、いや……マジで……』

 『……捕まって無いのが不思議な人だからなぁ~』 

 『……逮捕歴ゼロなんだよね』

 『被害者が被害を訴えないって聞いたけど……?』

 『上原と喧嘩する奴等はそもそも悪い奴等だしなぁ~』

 

「上原パイセンはOUT側の人間ですが線引きが上手いので大丈夫ですよ」

 

 俺はニノに優しくそう答えたが……

 

「カミキ? OUT側って何?」

 

 かなは疑問に思ったようで、聞いて来たけれど……ま、劇団ララライに所属してる訳だしそろそろ説明しておかないとな!

 

「……ま、言ってみれば半グレみたいなもんですよ」

「それ関わったらいけない人じゃない!」

 

 かなは驚きのあまり叫んでしまったが……

 

「お薬と一緒です。ちゃんと用法用量を正しく守っているのであれば上原パイセンは危なくありませんよ」

「具体的には?」

「……ちゃんと挨拶とか礼儀とかしていれば問題ありませんよ?」

 

 俺がそう言った瞬間かなは青白い顔をしながら俺の事を見始めた。

 

「えっ……だって……カミキ……上原さんにはかなり砕けて挨拶してるよね? この間も『上原パイセンちわーっす』って言ってたし、そもそもパイセン呼びしてるのカミキだけじゃない?」

「……そうですね。他の人はちゃんと『上原さんおはようございます』って頭下げて言ってますからね」

 

 まーそもそもパイセン達には敬語使って無いし……今更だよ。

 

 そんな事を考えて居る時だった。

 俺のスマホに着信が入った。

 誰からだろうと思って取り出して見れば……画面には片寄アヤセの名前が表示されていた。

 

「すみません。ちょっと電話取りますね」

 

 俺がそう言うとかなとニノは複雑な表情をし始めた。

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