自主製作映画はまさかの苺プロの公式から流れており、アイの失言の所為もあり再生回数も多いのも確かだけど……アイの違う一面を見れた事に今までのファンは度肝を抜かされたようだった。
当然僕もその映画に出ていた訳だし、妹のルビーも出ていたからクラスでは注目されているけれど……
「ルビーちゃん凄いね! 普段アイドルになるって言っていたけれどまさか映画から出演するとは思ってなかったよ!」
「ふっふーん♪ 私だってやれば出来るからね。この調子で芸能界のトップに躍り出るよ」
ルビーは鼻高々にしているけれど……セリフも無くアイが扮するひき子に一瞬で捕まり、最後はチラッと死体役で出ていただけだからアイドルへの道は相当厳しいと思うぞ。
「アクア君も十分すごかったよ!」
「うんうん……アクア君を見てると私達も頑張らなきゃって思っちゃうしね」
あんまりクラスメイトと話す機会は無いけれど、ドラマに出たや映画に出たと為れば話題に上がるし、こうして認められると嬉しい
「……ほんとお前凄いよなぁ~役者の仕事に勉強も運動だって出来るんだから、俺達と一体何が違うんだ?」
そんななか一人のクラスメイトからそんな事を聞かれた。
「そんなの当たり前じゃない! あんたなんかじゃ月とすっぽん位違うんだから」
彼に対して他のクラスメイトはそう言うけれど……違いなんて実際の所そんなに有る訳じゃ無い……と僕は思っている。
だからこそ、口に出して言ってしまった。
「そんなに大して違いは無いと思うよ」
「いやいや、そんな事あるよ! アクア君は勉強も運動も出来るし芸能人なんだからさぁ~」
「勉強は普段からしているし、役者は体力勝負だから日々ランニングして体力作りをしているだけで、これは僕じゃなくてもやれる事だよ?」
「えー? だって俺家で机に向かうとすぐ眠くなるし、勉強なんてしたくねーもん」
「だからアンタは馬鹿なのよ!」
「う、うるせーあっそうだ! なんか勉強のコツとかあるんだろ? アクア俺にこっそり教えてくれよ」
こっそりも何も結構大きな声で言ってるから意味が無いし……
「うーん……コツね……」
腕を組んで考えてみれば、答えは幾らでも出て来るけれど……彼が納得するかは別なんだよね。
「これはあくまで僕の考えだけど……やらない理由はそれこそ無限に出て来るから、やる理由を考えた方が良いと思うよ」
そしてやる理由なんて結局の所はなんだって良いと思う。
単純に好きだからって理由でも全然良いし、それだけでモチベーションが上がるのならばそれこそが一番なのだ。
「じゃあさじゃあさ俺が飛行機のパイロットになりたいって仮に言ったとして、アクアは俺がパイロットになれると思うか?」
彼は時折突拍子の無い事を言うけれど……そんなの彼の努力次第だと思う。
「無理だとかそう言う話じゃなくて、そもそもがなりたいと思ってなれる職業では無いと思うけど……なる為にはどうすれば良いのか、どういう事を知らないといけないのかを調べて勉強をするしかないよね?」
「お……おぉう、まさかマジレスされるとは思わなかったぜ。正直『お前になれる訳無いじゃん』って言われると思ったけど……そうか、そうだよな!」
彼はそう言うとニカっと笑って席に着いた。
「……いやいやアクア君アイツバカだから無理だろ」
「この間もテストで0点だったし……」
「それは勉強してないからでしょ? 僕だって同じだよ。分からない事をそのままにしていれば悪い結果が出る。じゃあ努力すれば報われるかと言えばそんな訳では無いけれど……まずはやる事やってからの意見だよね?」
「そ、そうだね」
とは言え僕も人に何かを言えるほど結果を出して来た訳じゃ無い。
子役としては中途半端ではあるものの、それでも文句を言われないように学校では結果を出してるけど……それでも時折煮え切らない部分が出て来る。
もう少しで中学生になる訳だど僕は何か変わるのだろうか?
授業が間もなく始まるが……どこか上の空気味に僕はそんな事を考えて居た。
授業も滞りなく終わり放課後になった。
今日は特に仕事は予定は無かったと思うけれど、一応事務所に顔を出しに行こう。
「アクア君じゃあね~」
「アクアまた明日なぁ~」
「うん、また明日」
帰り道が違うのは勿論だけど……事務所に行く都合上彼らを連れて行くことはそもそも出来ないし、僕はそんなに大物じゃない。
しかし、一度くらいは寄り道して遊びたいものだけど……しかし僕が役者の『星野アクア』である以上はそう言った事も気を付けないといけない。
アイみたいに名前が売れている訳では無いし、無名かと言われれば違う訳だけど……この中途半端な知名度が一番難しい。
知る人ぞ知る人は、何かと犯罪に巻き込まれる事も多々あるものだ。
ちらりとクラス内を見るとルビーはクラスの女子達とおしゃべりをしていた。
話に華が咲いてるようで、まだまだ帰らなそうだけど、兄妹とは言え一緒に帰らないといけない理由は無いので僕は先に帰る事にした。
「ルビー? 僕は先に帰るよ」
「うん? わかった。じゃあね~。……でさ~」
「へぇ~そうなんだぁ~」
無視して帰る選択肢もあったけれどそれはそれで、気分が悪いので一応声を掛けて僕はルビーを置いて一人で学校を出た。
そんな訳で今後もルビーとの関係が良くなることは無いだろうし、お互いがお互いに対して無関心に近いのだ。
『おはよう』『おやすみ』『ただいま』『お帰り』位は言うけれど……ルビーとの会話自体は少ないし、そもそも共通の話題が無いのだ。
僕は母親のアイが嫌いな訳では無いけれど、質問に困るとはぐらかして誤魔化す癖だけはどうにかして貰いたいと思っているが、ゴローさんもルビーもアイがそう言うと気持ち悪い笑顔で流される。
ゴローさんはまだ他人だから良いとして、ルビーは母親のファンを公言しているのが可笑しいし気持ち悪い。
母親がアイドルなんていう家庭環境は世間的に決して多くないだろうけど……母親のライブを見て興奮してる姿は正に厄介限界オタクなのだ。
そして、それを嬉しく感じてるアイもやっぱりおかしく思えてしまう。
「……父さんの家に住んでるから今は大丈夫だけど、いずれ帰らないといけないと思うとやだなぁ~」
そんな言葉が漏らしてしまった。
「……良い機会ですし中学生になりましたら一人暮らしでもしてみますか?」
「そんな事出来る訳……ってパパ!?」
顔を上げるとスーツ姿のパパが居た。
思わずパパって言っちゃったけど、幸い周りには誰も居らず聞かれる事は無かったけど……
「やぁアクア今から帰るところですか?」
「ううん、これから苺プロに行くけど、ぱ……カミキさんは?」
「ん? パパで良いですよ?」
(。´・ω・)ん?って顔してるパパだけど、バレたら不味い筈なのに……なのに……僕は……
「パパはこれからお仕事?」
「うーん……お仕事と言えばお仕事でゲームと言えばゲームなんですけど……ま、知るだけなら問題無いですね。今から苺プロの社長と麻雀をすることになりましてね」
その後に博打はやりたくないんですけど……って言ってるけど、パパならどんな博打でも勝てそうな気がする。
「……ところでアクアは麻雀って知ってます?」
「YouTubeで雀鬼を見た事あるぐらいかな?」
僕がそう言った瞬間パパは顔を手で覆ったけど……どうしたのかな?