アイもゴローさんもアクアも美味しそうにオムライスをパクパク食べているが、ルビーだけは何か悔しそうに食べていた。
ルビーの中では推しのアイの料理が一番って考えと今食べているオムライスが美味しいのがせめぎ合っているのだろうか?
俺に言わせれば美味いものは美味いで良いと思うし、そんなに固執する事は無いだろうから受け入れれば良いと思うけど……何となく納得がいかないのだろう。
元来父親なんてものは娘からは嫌われるものだし、転生者でアイオタクであるルビーからしてみれば、アイを孕ませた俺なんか認めたくないのだろう。
しかし、前世のさりなの時から好きなゴローさんが目の前に居ればそんな態度を表だって出せない以上ストレスは溜まってしまうのだろう。
「「「「御馳走さまでした」」」」
そんな事を考えて居たら丁度同じタイミングで食べ終わり、まるで示し合わせたかのように手を合わせてご馳走様していた。
「いえいえ、お粗末様でした」
とりあえず五人分の食器を重ねて流しに運ぼうとした時だった。
「アイとゴローさんとパパに相談があるんだけど良い?」
アクアからの相談とは珍しいな。
浮かせた腰を再度下ろして、聞く体制に入る。
「勿論何でも相談してね♪ 私がビシッと解決してあげるから!」
アイはそう言うと可愛らしくウィンクをアクアにしてバッチリと決めて見せたが、そんな事をすればアイオタクの2人が……ゴローさんは何だろう? 口元がニヨニヨしているから……なんか我慢しているみたいで、ルビーはアクアに嫉妬しているようで……
「ママ私も相談があるの!」
「あっそうなの? じゃあアクアの後に聞くね」
「ええ~!」
うん、アクアが先に相談を持ち掛けたんだから、ルビーが割り込むのはマナー違反だ。
「とりあえず、飲み物取ってきますので少しお待ちくださいね」
流しの近くに冷蔵庫が有るのでついでに食器も持って行くか……
冷蔵庫を開けるとレモンティーがあったし、これでいいや
コップも6個用意して、お盆に乗せて運ぶと意外と重かったが……俺にドジっ子属性ないので問題無く、リビングに戻りみんなの前に配膳した。
「お待たせしました。それでアクアの相談とは?」
「ちょっと待ってて」
アクアに話を促すと、アクアはカバンから一冊のパンフレットを取り出し始めて、テーブルに広げて見せた。
「……中学校だけど、僕はここに行きたいんだ!」
アクアが持って来たパンフレットに記載された学校名は確か……後輩の黒川が通っている学校だったはずだ……
かなり頭の良い学校で、中学からだと受験が必要だった筈だが……ま、アクアなら受かるだろうな
「う~ん出来ればアクアにはルビーと一緒の学校に行って面倒を見て欲しいと私は思っちゃうんだけどゴローさんとヒカル君はどう思う? やっぱり駄目かな? 」
アイはアクアにそうお願いしつつも、どことなく不安そうにしていた。
アイの気持ちは確かに良く分かるし、親としては兄妹なんだから一緒の学校に行って欲しいと思ってしまうのだが……しかし、それは親のエゴなんじゃ無いだろうか?
何故ルビーにアクアが合わせないといけないのか、逆を言えばアクアにルビーを合わせる必要も無いけれど……しかし兄妹だからと言って、アクアがルビーの面倒を見る必要は一切ないと思ってしまうのは俺がアクアを贔屓しているからだろうか? それとも俺に懐かないルビーに対しての当てつけなのだろうか?
別れたとは言え俺は一応二人の親なのに……二人の子供に対しての思いがこうも違うと為れば、自分自身イイ性格をしていると思ってしまう。
「……そうだね。ルビーはアイに似て可愛いから心配になるし、アクアが一緒に通ってくれると安心できるんだけどね」
基本ゴローさんは自分の欲をあまり表に出す事は……事は……アイ以外はあんまりしてないかな?
だからなのか、自分を殺してしまう生き方も出来るが、それは当人が納得しているのであれば良いし、外野がとやかく言う必要性は無い事だが……アクアに押し付けるのは断じて違うと俺は思う。
「……パパは?」
アクアは悲しそうに俺の事を見ているが……心配するな。
「私は……アクアの意志を尊重します」
「パパ……良いの?」
「私が言えた事では無いですけれど……高学歴が全てじゃないですし、大企業に勤めるのだけが人生ではありませんが……だからと言って出された宿題をしなかったり、勉強もせずに流された挙句に人に迷惑をかけるなんてのは、なんの言い訳にもなりません」
ほんと東大卒の俺が言える事じゃ無いし……今なお社会で働いてる人たちを否定してるようで何とも言えない気分になるが……
「アクアなんかいなくても中学校位一人で大丈夫だもん。それに私は将来アイドルになる訳だし? 芸能人なら学歴は関係無いからね~」
アイと言う成功例があるからかルビーは大層自信があるようだけど……
「……ところでアイさん。少し気になっていたんですけどルビーは苺プロに所属してるんですか?」
「うん……まだしてないね」
「アイドルの募集はされてたりするんですか?」
「……今の所はそう言った話は聞いて無いね」
それだけ聞くと今の所はルビーの夢は一人相撲しているようだった。
「そうですか……ところでルビーはアイドルになる為に何か行動してるんですか?」
「勿論『B小町』のダンスを練習してるし、歌ってもいるよ」
それは……歌ってみたと踊ってみただけでアイドルとは何ら関係が無いのでは? っと思ってしまうのは俺の頭が固いのだろうか?
いや、確かに運動が出来たり、歌も上手なのは良いことだけど……俺が言いたいのはデビューするにあたってのオーディションは受けているのかが問題なんだけど……
「アイさん……とりあえず、斎藤社長に話を持って行ってあげてください」
「……そうだね。今度聞いて見るよ」
「今度じゃなくて今この場で電話してください」
「わ……わかったよ~」
アイはそう言って斎藤社長に電話かけたが……今までルビーからそう言った話が出て来たと思うけど、アイから働きかけた事が無かったのかもしれないし、アイ自身もしかしたらルビーにはアイドルになって欲しくなかったのかもしれないな……
しかし、ルビーはなりたいと言ってる以上はやらせてあげるべきだし、それで挫折してもそれはそれで良いと思うのだ。
何せルビーはまだ子供なのだから……