カミキヒカルアナザールート   作:だめねこ

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第97話

 ルビーのこれからのアイドル人生はアイに任せるとして、アクアの一人暮らしの件だけど……アイは絶対に認めないだろうなぁ~

 俺の家に居る分には個人的には全然問題無いけれど……中学生になるアクアには色んな意味で目に毒だし、そろそろそう言った事に興味を持ってもおかしくない時期だからな。

 そう言った意味では一人暮らしをした方が良いのだけど……

 

「あと……中学生になったら一人暮らししたいんだけど良いかな?」

 

 いずれは経験することではあるものの、そもそも中学生ってまだ義務教育だし、本来ならアウトだよなぁ~って思っていたら、案の定アイが驚愕の表情を浮かべながらも話始めた。

 

「え!? アクア……何言ってるの? そんなのだめに決まってるじゃん。アクアはまだ子供で私はアクアの親だから私がちゃーんと面倒見るから心配しなくても大丈夫だよ?」

「じゃあ聞くけど……今まで親らしい事何かしてくれた?」

「勿論私は私なりにアクアだけじゃなくてルビーにも分け隔てなく愛を伝えてるつもりだし、今だって……うん……そう思ってるよ」

「じゃあアイにとっての愛って何?」

 

 アクアの質問だが……ここが恐らくターニングポイントになるだろう。

 そして、ここで言葉を間違えたらアウトだ。

 

「勿論私にとって『嘘はとびっきりの愛』なんだよ」

 

 そしてアイはものの見事に間違えたと俺は思ってしまった。

 

「……じゃあ愛してないじゃん。全部……全部……嘘だったって事で……どうでもよかったんだ」

 

 アクアはそう言うと大粒の涙を流して、声を押し殺して泣き出してしまった。

 出会った時から今に至るまでアイの”それ”は変わろうとはしていたかもしれないが……変われてはいなかった。

 『嘘』はどこまでいっても『嘘』であって決して『本物』にはならないのだから『愛してる』ならば『愛してる』で良い。

 流石にこれは見過ごす事は出来ないので口を挟むか……

 

「アイさん……」

「ひ……ヒカル君……だって……私……」

「アイさんが嘘吐きで臆病なのは知っております。……でもわざわざ自分の子供に『嘘はとびっきりの愛なんだよ』って言う必要無いですよね? 『愛』を言葉で表せないのであれば行動で示してあげれば良いのです」

 

 俺がそう言った瞬間だった。

 アイもまた目からボロボロと涙を零して先ほどまでと違い素顔をさらけ出した。

 

「だって……だって……私だって……『愛』が何なのか分からないんだよ!? そんな分からない状態で『愛してる』なんて言ってもし違ったら……私……」

 

 アイはアイなりに苦労して来たんだろけれど……

 

「言葉は心を喰らいます。だから嘘だって言い訳せずに言い張るんです『愛してる』と……アイさんが思い描く『愛』と実際の『愛』が違って居たって『愛』になんら変わりはありません」

 

 ……とは言ったものの、アクアが爆発してしまった以上は元の鞘には収まらないよなぁ~

 泣きじゃくってるアクアを優しく抱き締めつつゴローさんを見るといつの間にか部屋の隅っこで体育座りして物凄く落ち込んでいた。

 ハッキリ言えばゴローさんを責める気にはなれないのだが……もうちょっと……なんとかして欲しかったと思わずにはいられなかったが……アイの奴隷(ファン)である彼にアイを説く事が出来るのかと言えばそりゃ無理だし、ルビーまで一緒になって爆発しなかった分だけマシなのかもしれないな。

 

「「……やっぱりアイに人の心はないね」」

 

 ニノとカナンは息を揃えて言い切ったが……そもそもアイは何故か最悪の選択肢を選ぶ傾向があるのだ。

 色々考えているだろうけど、実際問題下手な考えなのである。

 俺と別れた時だって、わざわざ大輝君を引き合いに出す必要なんて無くて、一言『女たらしだからヤダ』って言えば良いのに……何て言うか相手の急所に致命の一撃を喰らわせねば気が済まないのだ。

 うん……そんなんやられたから『本物(カミキヒカル)』も壊れたのだろうし、『偽物(カミキヒカル)』の俺でも正直言えばあの時はイラって来たからな~

 

「……ゴローさん落ち込んでいる所悪いのですが、今日はお開きにしませんか? アクアはこっちで預かりますのでアイさんの事……くれぐれもお願いします」

 

 早い話ベットに連れ込んで慰めてあげて欲しいが、ルビーが居る以上それは難しいし……ルビーはルビーでダメージが大きかったようで寝込んでしまっているし……

 

「わかった。ルビーは……」

「私が運ぶわ」

 

 カナンは言うが速いがルビーの片足を左脇に抱えて……

 

「ローリング♪」

「痛ーい! 何々なんなの!」

 

 大の大人が転がったと思えばいつの間にか立ち上がっており、消防士搬送でアイの部屋に届けに言った。

 

「普通に抱っこじゃ駄目だったのかな?」

 

 ニノの疑問も確かにそうだけど……

 

「そもそも何故消防士搬送なんて知ってるですかね?」

「うーん……朝風さんと雷門さんに教わったんでしょうか?」

「あの二人なら普通に担ぐと思いますけど……」

 

 まぁー意識が無い状態で担ぐとなれば選択肢としてはありかもだけど……転がった時に思いっきり体重が乗るからダメージがデカいよな……

 

「今日は流石に疲れましたので私とアクアは先に寝ますね」

「じゃあ私は……かなちゃん待ってるんで」

「お願いします」

 

 泣きつかれたのかアクアはがっちり抱き着いた状態で寝て居るけれど、身長が同じぐらいのアクアを抱きかかるのはちょっと厳しいが……父親の威厳の為にここは頑張りどころだ。

 カナンと同じく消防士搬送をアクアにする気は無いので腕がきつかったが……それもアクアが成長してる証拠と思えばなんてことはない。

 しかし、アイとの溝がエライ事になってしまったのは由々しき事態ではあるもののこれはどうにもならないな……

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