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アイテム名:古びたテルモピュライの熱砂
分類:情報マトリクス
説明:元の形が分からないほど風化した、過日に残されたテルモピュライの熱砂、或いは砂岩の欠片。
彼を呼んだマスターとの道のりがごく僅かだが刻まれていた。
『ヒフミ、やはり私はティーパーティーに探りを入れるべきだと思う。この状況で大人を探しているというのなら聖杯戦争に関連し……どうしたんだ三人、というか四人とも。何故、顔を背けているんだ?』
『あはは……ちょっとそのぉ……アズサちゃんが病院にいる間……そのぉ……いろいろ*1とぉ……』
と、これまでのあれやこれを説明したやり取りがあったのが少し前。
ウイさんと話をした後に古書館を出てから、ティーパーティー、というよりも個人的にナギサ様への面会を申し出たところ、お会いになって頂けるとの返事がありました。
どうやら午後のアフタヌーンティーをご一緒させてもらえるようです。
その連絡を受け取って私たちは一度荷物を置きに戻り、ウイさんが教えてくれたアドバイス通り『スイーツ』を求め、クルセイダーちゃんを走らせ。
ちょうど今、目当てのケーキ屋さんが建ち並ぶ通りへ無事に到着したところでした。
「平日の午後だけど*2空いてるわね」
「お昼時や下校ラッシュがある時は有名店は混んじゃいますからね……これなら良いスイーツが買えそうです!」
時刻はアフタヌーンティーを楽しむにはまだ少しだけ早い。
その準備をしていた各委員会の姿はもう今はなく、かといって夕食後に楽しむデザートを買い求める社会人のお客さんの姿もそこまでいない、学生だけの時間です
「さっ!皆さん!お買い物の時間ですよー!」
天候はいいのに臨時休講、という学生にとってのベストコンディションな為、想定していたよりも少し人の流れは多いです。
ですが、それでも時々放課後に遊びに来る時間と比べて大通りは比較的空いていました。
そんな好条件とあってか、つい、浮かれた調子の一歩と鼻唄がでてしまいした。
「ふふ、ヒフミちゃん嬉しそうですね」
当然、と言うべきか。
私のお友達がそれを見逃すはずもなく、ハナコちゃんに痛いところを突かれてしまって。
「ぁえ!?……いや、その、ナギサ様とは最近中々お会いできてなくて、いつもモモトークで少しだけお喋りするだけで、そのぉ、お茶をっていうのもなんだか久しぶりで!!」
平常心を取り繕う事もできないまま、みっともない言い訳が出てしまいました。
穴が、穴があったら切実に入りたい。
耳に熱を感じます。
バレてしまったら恥ずかしい事では決してないのに。
別になんて事のない、ただ友達とお喋りしに行くだけなのに、それに浮かれているのを指摘されるのは、なんだか、少しだけ、照れくさい。
……だって本当に、久しぶりなのです。
エデン条約に関する一連の騒動からこれまで。
中々ゆっくりした時間を定期的に設けてお食事やお茶会を共にする。
あの方と……他の子と違って立場的にも中々会えない友達と。
どんな形であれ、一緒に過ごせるというのは。
私が、そんな気持ちが喉まで上がったり、そんな恥ずかしい事は言えませんと理性が押し下げたりして葛藤する中でアズサちゃんがフォローを入れてくれました。
ただ、残念ながら。
「ヒフミ。隠さなくても良い。ヒフミが嬉しい事なら私も嬉しい」
言い方がすごくこう、湿っぽい感じの言葉選びになってます。
具体的に言うとコハルちゃんがおすすめしてくれた本*3とかに登場する、浮気されてもそれを責めずに受け入れる系の彼女的な台詞と言いますか……。
「ぁいや!?あ、アズサちゃん!?他意がないのは分かりますけどその言い方はなんだかぁ……!」
「どうした、ヒフミ?私の言い方になんの間違えがあるのか教えてくれ」
「ぇええっと……ですねぇ……!!」
他意は
でもそんな言葉に何故か余計に慌ててしまって、何故か必死に私は弁明というか釈明というか。
別に悪い事なんて私は一つもしてないの*4に、何故かアズサちゃんに謝っているという不思議な時間が生まれました。
「……ねぇ、ハナコ。」
「はい、コハルちゃん♡」
「私、ああいう会話、この前昼ドラで見たわ」
「奇遇ですね♡私はコントです」
『すまない、もしかして。いや、これは僕の邪推かもしれないんだが、ヒフミとアズサは……っておや?』
と後ろの方で二人とスピーカー越しで通話している体で霊体化したまま声だけ出している器用なセイバーさんが何かを喋っているようでしたが、なんとか誤魔化すというか、説明に必死になっていた私はそれに全く気が付かず。
だから、当然。
背後から近寄ってきた、意識していない誰かからの声に、どきりと心臓が嫌な音を鳴らすのは仕方のない事だったのかもしれません。
「ちょっと私とお茶でもしないかい?」
皆が一斉に振り返る。
そこにいたのはアイリちゃんのお友達。
淡い珊瑚色の髪を空気ごとまとめたような柔らかく横に流し。蕩けたような眠たげな瞳の奥に理知を宿して。
「良いお店、知ってるんだ……どう?」
彼女の事は知っています。
アイリちゃんから度々話で聞いていた放課後スイーツ部に所属している。
「───補習授業部のぶちょーさん?」
柚鳥ナツさんでした。
「貴女は確か……柚鳥ナツちゃんでしたね?」
「やあやあ、そう言う貴女は……シャーレの当番シフトでも重なった事がないトリニティ生で補習授業部なら───浦和ハナコ先輩かな?」
「……えぇ、はじめまして。柚鳥さん」
ナツでいいよー、と間延びした声と共に数メートルばかりあった私たちとの距離を詰めていく。
『(……セイバーさん)』
『(ヒフミのような魔力は感じない。少なくとも今見る限り、白、かな)』
その言葉に安堵を覚え、逆立って張り詰めた空気を落ち着かせる。
まったく意識していなかったタイミングで掛かった声。
セイバーさんに言われたアサシンさんの特徴を聞いてから、無意識のうちに脳が警鐘を鳴らす、そんな風な心の持ちようになっていたのだと気がつきました。
「
「……っ。それは、どこで?」
「ん?さっきそこでもみくちゃしながら喋ってるのが聞こえたからだけど……聞いたらまずい話だったかな?」
お〜っとまずったまずった、と若干大仰な形で頭を掻く彼女。
困ったなと言う口や表情の変化は動きに反して大きくはなく。
だけどその眠たげな瞳だけはじっと私を見つめている。
何故か、嫌な緊張が走ります。
友人の知り合い、私個人との関わりはこれまでありませんでした。
なのに単独での接触。
見かけたから声をかけた、といった様子でもない。
明確に私達に、私に用事があるのだとその視線は言っている。
一体
「ふむふむ……まあいきなり声をかけた私も悪かったしね」
「あ、いえその……こっちこそちょっと今、ティーパーティーとのお茶会があるので緊張してて。ごめんなさい、ナツちゃん」
気持ちを、立て直す。
ちらりと斜め前にいるハナコちゃんとコハルちゃんは心配した顔で、そして恐らく後ろにいるアズサちゃんも同じ顔を。
それが分かるからこそ、心を強く持つ。
だからこそ、
「へぇ……
初対面の少女に自身のことを知られているという、情報アドバンテージを奪われている事実に。
僅かに焦りが生まれた。
「ま、なんでも良いけどね。ところでさっきの話、引き受けようかな?」
「あはは……なんの話でしたっけ」
「おー?いや別にさ、強請ろうってわけじゃないんだけど。ま、いいか」
にひ。
笑い声、一つ。
その独特なペースと雰囲気に、崩される。
「(……困りますね、これ)」
ブラックマーケットで相手するような大人が作る雰囲気は高圧的な傲慢さか、或いは子ども相手だからという軽侮が基本です。
だからこそ、付け入る隙もありますし、それを前提にした立ち回り方を私も学んできました。
だから少なくともこのタイプは、まず私が交渉をしてこなかった手合いです。
計算がある
だけど、そもそもペースがブレない、変わらない。
相手を揺さぶる引き鉄を探しださないと、そもそも交渉の席につけないタイプの人間。
唾を、飲み込んだ。
「これでも私は放課後スイーツ部。日々、飽くなきロマンを私は探し求めて、歩き続けている。まだ見ぬ至宝、愛しき芳香、さんざめく芸術……つまりだよ、阿慈谷ぶちょー」
音を立てて手に持つ牛乳を一口、その間も視線は逸れず。
緊張は名前を呼ばれたタイミングでまた一つ階段を上がります。
普段、部長と呼ばれ慣れていないからこそ、その名と、それが呼ばれる今がまるで特別な意味を持っているかのように錯覚させられる。
「君たちの求めるロマン。そこに辿り着く為の宝の地図。私がそれを提供してしんぜよー……ただし、契約には必ず代価が必要。至宝の逸品への対価なら……たまらぬロマンこそが相応しい」
契約、地図、至宝、対価。
抽象的なそれらの比喩を頭の中で並べて意味する物を探してみますが、一向にピンときません。
じわりと、嫌な汗が流れる。
「あー……つまりね。ティーパーティーの席に相応しい物を必ず出せる隠れた名店を教える。代わりに一つ、お願いを聞いて欲しいと思ってね」
さぁ、どうかな?と片目をぱちりと閉じた彼女への私の返事は───。
「よーし!しゅっぱーつ!」
絶妙に力が抜ける雰囲気。
対応を
「あまり、こっちには来ない?でも大丈夫。帰り道も用意してるよ」
その変わらない声の調子とは裏腹に、徐々に道は細く、暗く。
するりと通り抜けていく空気を追って歩いていった私たちは、気づけば裏路地へと入っていました。
「随分……歩くんですね?」
「んー?おー……隠れた名店は知られざる場所にあるからこそ、なのさ。にひっ、また一つ世界のロマンを知ったね、阿慈谷ぶちょー」
クッションのよく効いているであろうそのスニーカーの向かう先へ、私たちも連れ添って歩く。
『(……セイバーさん、みなさんの後ろを)』
『(ああ。昼間とはいえ、此処は随分と薄暗い。背中は任せてほしい)』
そう言って軽く、ほんの一瞬だけ彼は霊体化を解いて、アズサちゃんの肩を叩き。
「……了解」
いつの間に取り決めたのか彼の仕草にアズサちゃんは小さく言葉を返して、私のすぐ傍を今度はアズサちゃんが歩く。
即応できる、状況は整う。
必要最低限の準備、自分の愛銃とモモフレンズのロゴが入った円盤型のデコイの用意は済んでいる。
そして。
「うーん、この辺でいいかな?」
しばらく歩いてから、彼女はその歩みを止めました。
「さて、血よりも重い代価を払う時は今」
くるりとゴム音を鳴らしながら振り返る。
薄暗い道の中央、僅かな陽射しを受けてより黒い影が延びていく。
「阿慈谷ぶちょー。私はね、
赤い瞳がじとと私を見つめる。
光源の少ないこの場所なのに、はっきり見えてしまう。
眠たげに、揺蕩って。
「あの場所に、私も
けれどその視線は澄んだまま。
決して逃さないと言外に知らせてくる。
「ロマンを追い求める権利は諸人に与えられ、また同時に秘する権利も平等に主は与えられた───筈」
熱も寒さも何もなく。
ただただ、停滞した温度が漂っている。
私たちも彼女もどちらにも動きはないまま。
腹の探り合いが終わる。
その後に残る物が何か、考えなくても分かります。
「だが、この探求は止められないし、止めたくないから」
肩にかけたストラップの先に繋がる愛銃を意識する。
いつでもこの場所で戦えるように、或いは離脱できるように。
全身に緊張を痛いぐらい走らせて。
その時へ備える。
「だから、貴女に求める物はただ一つ───」
「このモモスタにあがってる男性と写真を撮らせて欲しい、あツーショットでよろしく〜」
へ?
「ほら、昼前に『Hello's』*5居たよね?私もその時、うちの猫ちゃん*6達といてね……今ワイルドハント*7から来てるショコラティエの出張特別展やっててね」
「それでふらふらしてたら阿慈谷ぶちょーが今トリニティ中で話題沸騰ちゅー*8の謎のヒーローXと階段の踊り場で密会してるのを私は発見してしまったんだ……」
「私は思ったよ、『おー、これはロマン』……ってね」
「不本意ながら暴いてしまった、ロマン。なら、彼と君が知り合いというのはここだけの秘密……と目撃者からの自己申告すればぶちょーの不安も解消、ついでに私もロマンツーショット撮ってヨシミ達に自慢できるからうぃんうぃん……うーん我ながら名案」
今日じゃなくても構わないから、あ、ちなみにお店はこの路地を抜けた先だよ裏道通るというのもまた乙な事だよ……と、変わらない調子で彼女は呑気に続ける。
そんな調子にもう引っ張られようと諦めて、気になった点を確かめました。
「ふ、不安ですか?」
「あり?違った?あー……これはまた失敗かな?てっきり私が声を掛けて顔を見たら途端に焦るから、『秘密がバレて強請ろうと思われてるなぁ』……って思ったけど」
思わず肩と表情から疲れと力が抜けた、そう感じたのはなんの気のせいでもないはずです。
「あはは……えと、ならモモトークの連絡先交換しときましょうか?」
「おー、これがアイリから散々聞いていた阿慈谷ぶちょーの連絡先。これもまたロマン」
「あはは……また連絡しますね、ナツちゃん」
「にひ、待つのもまた楽しみ、だね」
気づいたら簡単なこと。
私を知っていたのはきっとアイリちゃんから。
目線が常に合うのも心配してたから。
独特な雰囲気なのは、彼女の持ち味で、そもそも最初からそういう意図はなかったから。
ハナコちゃんが着いてきたのは……多分あの時点で気づいてたから*9。
「ではでは、連絡先もげっとしたし───いざ!未知なるロマンへ!しゅっぱーつ!」
私の中にあった誤解も戦意も緊張も溶けて、振り出しに戻りつつ、お茶会のお土産を───。
「それに近くても最近
「こんなところで
にひひと笑いつつ私を先導してくれようとした彼女の言葉に、今度こそ、私は知らなきゃいけないと直感して。
体に僅かな緊張が走るのを覚えました。
「どんな噂かぁ気になるぅ?」
私の質問へ返ってきたのんびりした疑問へ、苦笑いのようにして先を促す。
先立って歩く彼女はどこか明日の天気でも話すようにのんびりとした口調で話し始めた。
「大した話じゃない、
その口から語れた噂は、今日の午前中にチンピラの方達から聞いた話によく似ていました。
「
「見てしまったら最後。どれだけ急いぞ逃げなきゃいけないのと思っても、絶対に逃げられない」
「そうして捕まったら」
路地の闇を抜ける。昼下がりでまだ燦々とした光が溢れる道。
そこに一足早く踏み込んだ彼女はちらりとこちらを見やりながら、
「───最後は
その温かい場所とは裏腹の、酷く仄暗い言葉が綴った。
「どう?私好みではないけれど、これもまた人によっては心を震わすロマン……かもしれない」
冗談めかしながらまた前を向くその顔は相も変わらず。
多分含みも何もないのでしょう。
けれど私は、なんとなく近づいてきた誰とも分からぬ怪人が、この薄暗がりの路地にも潜んでいるような気がしてならないのでした。
「なんてね。さあさあ、補習授業部ごいっこー様。もうすぐ目的地は右側ですお疲れ様でしたって……おお、反応がそーくーる」
目的地の看板が見えた。
古くからあるお店ではないようで、真新しい看板に「Hatcha」とだけ記されたが目につく。
どことなく書店か文房具店かといった雰囲気のそこがナツちゃんが言う目的のお店のようでした。
「ここは最近出来たお店でね。飲食スペースまで用意した割に借りた物件が元々書店だったのもあって人が中々来ない……所謂、隠れた名店さ。ちなみに私が見つけたんだ」
ちょっとだけ自慢げにそう言ってから、彼女は踵を返そうとする。
思わず、言いそびれていた物が口から転げ出た。
「ナツちゃん!……ごめんなさい、おかしな態度をとってしまって……それから案内してくれてありがとう!」
「んー?君と私は取引をした、それだけの事。それ以上、私から君へ想うことは……そうだね」
にひ、とまた彼女らしい笑い声を一つ漏らしてからその瞳を少しだけ細めて、この年下の女の子は。
「新たな友への友情以外、なにもないさ」
そう言って酷い態度を取っていた私を許してくれました。
「ちなみにナツさん、まだ他に知ってたりする噂話とかってありますか?私も花の女子高生らしく好きなんです、噂話」
「おー!麗しのハナコ先輩*10!おーけーおーけー、思い出そー」
そういうわけでと帰ろうとする彼女を引き留めて、もう少しだけ何か知っていないかと聞き取りをする。
このまま別れた方が綺麗ではあるのかもしれませんが、それはそれとして放課後スイーツ部として自治区外にも足を運ぶという彼女から少しでも情報を集めたい気持ちがありました。
「……あ、あとはレイサも何か言ってたかな?」
彼女の口から出たのはお見舞いにも来てくれたトリニティ自警団の宇沢レイサちゃんの名前でした。
「『昔私達と行ったトリニティ郊外のスケバン達の溜まり場から少しずつ人が消えている』『みんな揃って、まるで大きな動物に狙われた草食動物みたいに……何か知りませんか!?杏……』っとと、最後のやつに関しては
昨日の事を思い出してか、こくりこくりと頷きつつナツちゃんは続けて話していきます。
「あと聞いた話なら……」
人差し指をぴんと立てながら、彼女は声を潜めて教えてくれました。
「D.U.周りが慌ただしい雰囲気みたい、だね。昨日行った時に思ったけど、連邦生徒会の子達の出入りがいつもより激しかったよ。なんでも各自治区で意識を失って倒れる怪事件が多発していたり……」
「先生もそのせいか、バタバタしてたかな?あー、後、あまり当番で見かけない子がいた。長い黒髪の子」
長い黒髪、そう聞いてちらりとアズサちゃんの方へと目を向けるとなんだか考え込むような仕草をしています。
もしかすると、
でも、そうだとするなら……先生がこのタイミングで彼女を呼んでいる理由は一体なんでしょうか。
「『“私が頼んだんだ”“連絡がつかない子がいるから、少しその事で頼んでいてね”』……だったかな?」
ナツちゃんから聞く先生の言葉。それは、確証に至るにはやや足りませんでした。
「あとはまあ普通だよ。いつものように先生が眠そう、というか徹夜したのかな?あんまり聞かない名前の学校の事で事後処理してたとか……」
なんだったかな?……むむむ、歳かな?と彼女は思い出せないと両手をあげる。
その姿にお気になさらずと告げて、私は先を促した。
「あとは爆破事件があったって電話が来たり。いやぁ電話口からちょこっと聞こえて来た声は随分先生と親しい感じだったよ、随分高飛車なおませさんみたいだった、私はあのれでぃーの声をそう回想した……あ、あと遠くからデモ行進の声が聞こえたぐらい?かな?」
デモ。爆破事件。高飛車。
聞いた言葉を頭の中のメモに書き込みながら、少し気になっていた自治区の事を私は、やや唐突になってしまいましたが、聞きました。
「んん……?ミレニアム?」
トリニティやゲヘナについて少しずつ情報が集まっていますが、同じ三大校の一つであるミレニアムの話はここまであまり聞きませんでした。
放課後スイーツ部の活動で色々な場所に、それもカフェという人の集まる場所に赴くナツちゃんなら何か知っているのではと思い尋ねてみます。
果たして彼女は。
「あーなんかあったかなぁ?……お」
思い出したと言わんばかりにぽんと手叩き一つ。
ナツちゃんの語りはするすると、私の耳へ届けられていきます。
「そうだそうだ、アイリ*11がワイルドハントの子*12と一緒に遊びに出掛けた時に見たらしいけど」
どうやらまた一つ交友関係が広がったらしい友人の顔を思い出しながら、友人の楽しかった思い出から垣間見える情報のピースを知るために、身が乗りだす気持ちを抑えたまま聞き役に徹します。
「いつもは見かけるロボットとは違う、なんだっけな?
ロボット……ですか。
ミレニアムはこの学園都市にあっても、こと最先端の科学技術に関しては類を見ない自治区です。
見かけるのは別段変な話でもありませんし、このキヴォトスでミレニアムでロボットを見たからと気にする人はあまりいません。
「流石叡智の都市、ミレニアム……ゲーム開発というロボット工業とは全く別の分野を専門とする者でも優れた技術力を有するとは……恐るべし」
だからこそ、アイリちゃんが見てナツちゃんに話すほど気になったというそのロボットに違和感を覚えます。
「そうそう、そのロボットと一緒にいた小柄な女の子……ゲーム開発部の子もタトゥーシールを貼っていたらしい。今ゲヘナで流行っているらしいけど、ミレニアムでも一緒かな?……トリニティはティーパーティーが入荷規制してる、なんて話もあるぐらい手に入らないアレ」
「やれやれ、昨日のティーパーティーの件といい。トリニティはもう少し学生に甘くてもいいんじゃないかな?具体的に言うと部費」
そんな風に愚痴を吐きつつ、ナツちゃんは徐にそれを告げました。
「ああ、そうそう。そのシールを貼っていたゲーム開発部の彼女の名前は───」
それは一人の女の子の名前。
私のお友達が以前口にしていたのを記憶しているそれ。
そしてタトゥーシールを。
「
もしかすると私の右手に刻まれた
「それじゃあ私はここで」
「ん?なにも買わないのかって?だいじょーぶだいじょーぶ味はカズサの名前を賭けて保証するよ」
「あー……というかだね」
「今日は午前から特別展でチョコも買ったし食べたしで……そう、懐寒くカロリー暑くってやつ」
「聞かないで欲しい事もある。『秘するが花』さ。なんたって私も勿論、花のじぇいけー、なんだから」
そう言って、ナツちゃんは帰っていきました。
大きな、とても大きな収穫があります。
新しいお友達、そして聖杯戦争に繋がるかもしれない情報。
この後もナギサ様とお話しすればまた何か分かるかもしれません。
次へと繋がる一歩と新しい友情を得て、私は心が弾む音が聞こえた気がしました。
───そう、来られましたか。
ではお通ししてあげて下さい、最高のお持てなしで。
ええ、勿論。
栄えあるティーパーティの皆さんでしたら……お茶会の席にフォークとナイフ以外は無粋な事は、分かりますね?
嗚呼、それと。
ミカさんへ急ぎ、連絡を。
1じゃんね☆
お久しぶりじゃんね☆
書かなきゃと思いつつ、ずっと本スレ更新してたじゃんね☆
そうしたら今度は本スレ書く手が止まったじゃんね☆困ったじゃんね☆
1はだめだめじゃんね……
というわけでまた今日から隔日ぐらいののんびりペースで更新するじゃんね☆
生存報告と内容整理も兼ねてこっちの更新したりしながらちょっとずつ本スレの続きも書き進めるじゃんね☆
あっちの新スレも早く建てられるように頑張るじゃんね☆
次回はナギちゃんとお話するところからじゃんね☆
ヒフナギは存在するじゃんね☆
本作の内容は
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①Part6スレまで読んでる
-
②あにまんの過去ログまで読んでる
-
③ハーメルン版のみ読んでる