ひ、ひぇぇぇ……
どうしてこんな事に……ああ、まずいまずいまずい……っ
こんな、こんな話だなんて……っ!
ああ、クソッ!
恨むぞ昨日の私ッ!
偉大な男がいた。
死せる運命にあって戦場を駆け抜けていった英雄が古き土地にいた。
光の御子、輝かしき太陽の寵児。
彼には死地に行く際に必ず伴った魔槍があったという。
銘を、
それは今次聖杯戦争に招かれたアサシンの持つ『蹴り穿つ死翔の槍』と同形亜種というべき宝具。
遥かなエリンの大英雄を担い手とするその魔槍の恐るべき真価にして真奥。
それこそが『因果の逆転』。
真名解放と共に放たれる呪いの朱槍は、心臓に槍が命中したという『結果』を生み出してから槍を放つという『原因』を発生させる事で。
「悪りぃな、ガキ」
───必ず敵に『当たる』。
「貰っちまったぜ───お前の心臓」
防御は不可能。
回避も不可能。
何故なら初めから当たったという結果ありきで放たれるのだ。
何をどうしようと『当たった』結果が先に生まれているせいで、何か防御しても、防御をされたが当たった。
そういう風にしかならない。
故に必中。
故に必殺。
それこそがケルトが誇る最強を担い手とする宝具であり、今倒れ伏したネルへと一歩ずつ暗がりから近づくランサーが所有する宝具なのだ。
「……っぅぅッ!」
『アスナ先輩……ッ!』
喉奥から振り絞るような悲鳴をあげながら、アスナは近づく悪漢の手にネルが渡らぬようにと抱えて走り出す。
抱きしめた少女はあまりにも小さく、そして冷たい。
その感触に叫び散らす警鐘を無視してアスナは施設を飛び出した。
その彼女の動きにカリン達もまた、数瞬遅れて支援を送る。
「……ネル、待ってて!すぐ治療するから……っ!」
敵前逃亡。
だが、最早それどころの騒ぎではない。
ネルは胸部を貫かれた。
それも銃弾などではない。
槍でだ。
一体どれだけの深手となるか、刃物による怪我が比較的少なく丈夫なキヴォトスで生まれ育ったアスナには想像も出来ない。
だからこそ、
『ヘリ!要請した!』
『回避ルート送りました!先輩!部長を……!』
頼れる後輩達の声に安堵が微かにだが、広がろうとしたタイミングで、とびきりの悪寒を感じてアスナは横に跳び退き。
「……ぃッ……痛ぅっ!」
その右足に深く鋭利な赤が走った。
何かが刺さった訳ではない。
何かに直接斬られたわけでもない。
ただ投げられた槍が掠めた、ただそれだけ。
ただそれだけだというのに、しっかりと痛々しい裂傷がアスナの脹脛に刻まれた。
「嗚呼、そうか、そうだな。なるほど……
「……」
アスナは、無言のまま銃を片手に構える。
発電所から全力疾走で離脱した彼女に悠々と追いつき、あまつさえ投槍によってその真っ白な肌に深々と痛手を負わせたランサー。
「……先ほどは随分と遊んでくれたな小娘。ちょうど良い。早瀬ユウカの代わりだ。お前の爪も皮を剥いで阿慈谷ヒフミ達に送ってやろう。そうすれば貴様のような醜女でも少しは役に立つ」
そして、苛立たしげに殺意と嗜虐心をアスナへと向けながらアサシンの二騎が現れる。
その影は先ほどまでのように蠢くことこそないが、その代わりというようにその手には、何に使うのか想像するだに恐ろしい玉箸が握られている。
「……あまり時間と手間をかけさせるなよ、ガキ共……もう面倒だから殺しちまいたくなっただろうが」
「……どうでもいい、どうでもいい事だ、怠惰の。ここで殺せばいい、女子供なぞ。そうだ、その筈だ、そうでなくてはいけない……ッ!そうだッ!女なぞォッ!」
「───皆殺しでちょうどイイ」
一歩。
「……そうかい、嫉妬の。お前さんは良いな、楽な生き方でよ」
また一歩と迫る殺意。
「それがどうした、怠惰。殺すのだ、殺さなくてはいけない、殺し尽くさなくてはッ!そうしなければ⬛︎⬛︎に私は褒めテモラエナイィィイッ!」
後輩からの通信は最早泣き声になりつつあって、ランサー達の動きを必死に止めようと狙撃しているのも察して。
「ああ、そうかい。まぁ、なんでも良いさ。もう面倒臭ぇ……全部殺してさっさと帰って眠らせてくれや」
「嗚呼、いいとも、そうしようともッ!女、女ッ!女ァッ!お前を、その肉を───ッ!」
それでもアスナは動けずに、次の瞬間に迎えるだろう痛みと戦闘に備えて。
それより早く、蒸気を巻き上げて希望は夜空から落ちてきた。
「……ユウカのこと、聞いたよ。ありがとう」
蒸気が噴き上がる。
マスターの気持ちを察して、憤然と報復と悲哀の激情を滾らせる。
金属が重々しく擦れ合い、唸りを上げる野獣が如き騒めきで周囲を震わせる。
「第三のマスター……それにキャスターッ!」
「……そうか……おい、嫉妬の。足止めはどうなってやがる?それなりに数は置いてきたんだろうが?」
「少なくない数を用意した。幾ら此処とD.U.に分散させようと大隊規模……それにあちらにはキャスターが、最後の私が召喚されている。奴らの拠点には十分な戦力を……!」
二騎の戯れた会話に耳を傾ける事を、少女と従者は選ばなかった。
───はつ、はつでんしょ!発電所にゆうか先輩がッ!のあ先輩がぁっ!
───モモイ!モモイ!おねがいです……!お願いだから……!
黒崎コユキが泣いていた。
通信が回復してからヴェリタスから経緯を伝えられた。
早瀬ユウカが傷つけられた。
そして、今。
美甘ネルが、あの気のいい先輩が槍に穿たれ血を流している。
───みんなを助けて!
嗚呼、そんな状況を前にして出来るだろうか?
いいや、出来るわけがない。
だから。
「まぁ、いい。どうせいずれは潰さなきゃならん相手だ。ここで杯に捧げておけば聖杯戦争も動く」
───最早、才羽モモイとキャスターは我慢しない。
「手負いのガキを庇って、ましてや相手は最弱のクラス。勝機は───」
そしてアサシンが発した音は、その場に置き去りにされた。
「な、に……ッ!?」
アサシンが立っていた場所にいるのは煙を燻らせる鉄鬼。
真紅の瞳は爛々と鉄の如き理知的な殺意を瞬かせ、その鉄拳を振り切りアサシンを頭陀袋のように殴り飛ばしていた。
「てめぇ……ッ!」
瞬時、ランサーは槍を振るう。
空気を切り裂きながら振るわれる血色の魔槍。
だが、忘れるなかれ。
今この場に到着した英雄が如何なる存在かを。
「……随分と軽い槍だな、槍兵……ッ!」
「ぐっ、ガァッ!?」
火花、散る。
魔槍の横薙ぎは確かな衝突を生む。
しかしそれはキャスターの肉も骨も断つ事はなく、その全身を包む強固な鎧に阻まれる。
「……キャスターッ、
「委細承知」
鍔迫り合い、その最中。
モモイは静かに己が相棒へと告げる。一切の慈悲はなしだと。
全てを使いきれと。
「全員まとめて───やっつけて……ッ!」
「任された───ッ!」
その言葉にキャスターは闘志を漲らせ、少女の願いを叶えんが為にその手に大槌を掲げた。
キャスター、チャールズ・バベッジ。
今次聖杯戦争に呼ばれた彼の生前は数学者だった。そう、戦士ではない。
騎士ではない。
生前に誰かの命を奪ったという逸話すらない。
人類史に大きな功績を残しながらも、彼はイングランドで生まれたごく普通の人間だった。
故に、その戦い方は至ってシンプル。
直線的な軌道で大槌を振るい、鋼の鎧で敵からの攻撃を防ぎ、その膂力で相手を押し潰す。
ただ、それだけ。
「……こん、のッ!」
「どうした、ランサー。最速のクラスの名が泣くぞ」
そしてそれこそが真骨頂。
敏捷性、つまりは単純な脚力や精密な動きこそ苦手としてしまうが、それも蒸気を蒸してブーストさせる事で人間離れしたまるで戦闘機か何かのような特異な機動でカバーが可能。
確かにキャスターの戦いに華はない。
その単純な戦い方には、洗練された動きも技巧を凝らした武芸も存在しない。
だが、それでいい。
「やっ……たらッ!力が強くてもなァッ!」
「吠えるか、ランサー。驚いたな」
ランサーの槍が奔る。
その矛先は火花を散らして稲妻の如く空気を穿ちキャスターの鋼を打ち砕かんとする。
野獣のようにしなやかな動きは、キャスターの直線的な機動よりも遥かに高次元にある。
だがそれすらも、キャスターは正面から叩き潰す。
「老骨相手だ、余程の余裕があるとみた。もっとも」
その機動力で背後を取ったランサーは、鎧の隙間に刃を潜り込ませんと槍を振るう。
だかそれを振り向きざまにほんの少し肩を動かして、その丸みを活かして凶刃を滑らせてみせる。そのまま繋げるは豪打。
大槌でガラ空きとなった胴体へと叩き込むは致命の一撃。寸
で槍を引き戻し大槌を防ぐが勢いまでは殺せず、ランサーは鞠つきのように吹き飛ばされる。
「我の計算ではそんな余裕はないと出たが、如何か?」
キャスター、チャールズ・バベッジ。
彼の戦い方に
未来すら読み通してみせんとする演算能力とそれを実行するに足る身体スペックで相手の動きを読み切り、圧倒する。
まるでチェスプロブレムでもしているかのように。
一手ずつ、確実に、相手を削り潰す。
荒ぶる暴威を相手に侮る事は許されない。
通常の聖杯戦争であれば対魔力の存在から魔術による優位性こそがクラスの特徴であるキャスターは間違いなく最弱候補だろう。
だが、今次聖杯戦争に限って、その道理は通用しない。
「さて、我が主人からの命だ。起きよ、ランサー、アサシン。お前達は諸共に」
この聖杯戦争においてキャスターは、この漢は。
間違いなく『最強』の一角なのだから。
「ごめん、ネル先輩。
「ばっ……か、お前、チビ……見てわかんねぇ、かよ……んなもん、よゆーだ、よゆー」
キャスターに敵の相手を任せ、モモイは遮蔽物に身を隠したアスナ達の元に行く。
そこにはアスナによって応急処置を施されながら自身の銃にマガジンを装填し直す美甘ネルの姿があった。
「……流石にお腹ぶち抜かれて、それ言えるのネル先輩だけだよ……」
「ぁスナの……おかげだな……助かった……」
「お礼言うのは後!バカ言ってないで少しでも休んで!」
ネルの言う通り、今彼女が宝具を受けながら生還しているのは一ノ瀬アスナのおかげだった。
『刺し穿つ死棘の槍』、その宝具の能力は『因果の逆転』。
初めから当たったという結果ありきで槍を放つ権能一歩手前の必殺必中の槍。
足が速いから体が硬いから、そんな理由で防げる宝具ではない。
何故なら真名を解放した時点で『当たっている』から。
ならば防ぐ手段はないのか、否である。
それが今回のケース。
槍によって決定された運命を曲げるほどの強運によって槍が持つ呪詛を跳ね除ける。
あの時、咄嗟に叫んだアスナの直感。
そしてその直感に長年の信頼から無意識で従い身体を逸らしたネル。
一ノ瀬アスナの異能と言えるのではと思わせる桁外れの幸運と彼女への信頼、そしてそれに応えられるだけの身体能力が奇跡というべき結果に至ったのだ。
あの瞬間、魔槍の呪詛によって心臓を穿つ筈だった一撃は、逸れてネルの脇腹を貫いた。
それでも十分に大きな負傷ではある。
だが、死の運命を退けたのもまた、間違いなかったのだ。
「とりあえず、キャスターが時間は稼ぐというかアイツらぶっ倒してくるから……その間にちゃちゃっと直しちゃお」
モモイは、止血の処置が施されたネルの身体を見つめながらそう言い、その手をポケットから出した。
「んだ……そ、りゃ?」
「んー……まぁ、よく効く薬?多分
「おいおい……雑だ「はい、よく噛んでね!」もがっ……!?」
あれ口からで良かったっけ、と恐ろしい事を言いつつそのまま手に持った緑を煮詰めた色をした薬をネルの負傷した箇所へと塗り込み始める。
そんなモモイに、アスナは少し躊躇いがちに尋ねた。
「……ねぇ、モモイちゃん。
その言葉に、薬を塗り終えて包帯を巻こうとしていたモモイの動きが止まる。
正確には包帯の巻き方がわからずに四苦八苦して、ついに手が止まって。
モモイは苦笑いにも似た自嘲を浮かべた。
「もっちろん!……って、すごいね、アスナ先輩。わかるんだ」
「んー、よく分かんないけど、なんとなく。それ、
「あー、もしかしてそっち?それなら大丈夫!これ、こんな見た目だけど結構いい薬でね!ちゃんと教えて「そうじゃなくて」……」
モモイが明らかにホッとした様子を見せたがらアスナはそれを遮った。
後輩を案じる色を乗せ、静かに彼女は確認する。
「
「……んだよ、おチビ。このくっそマズい薬、貴重品かなんかか?」
ネルもまた、飲まされた
アスナがそう言うのだ、よっぽどの事だろうと感じ取りつつ、それをやんわりと隠して。
そんな二人の言葉にモモイは。
「それでもさ、良いんだ。だって、ネル先輩が痛そうにしてるとこなんて見たくないから!」
やはり晴れやかな笑みを浮かべるだけだった。
「よっし!それじゃあ、私、キャスターの手助けしてくるから!バフ要員は大事なんだー!」
ネルの治療を済ませたモモイは立ち上がり、彼女達に背を向ける。その小さな背にはこれから戦いの場に赴く者らしい力強さが宿っていた。そんな後輩の姿に溜息を一つ、ネルはアスナの手を借りながら立ち上がってモモイの隣に立った。
「あん?もう行くのかよ?ならあたしも休憩終わりといくかな」
「いやいやいや!?そこは寝てようよ!ネル先輩!普通に脇腹に穴開いてるんだから!」
モモイの反応は当然だ。
人間の身体は穴が開くほどの重症を負って、たかが薬をつけたぐらいの治療ですぐさま回復するようには出来ていない。
だが、ネルは調子を確かめるように軽くその場で跳ねて見せながら呆れた様子でモモイに言う。
「んなもん、唾つけときゃ治る……おチビがくれた薬もあるしな」
「あー!?そんなに動くから包帯から血ぃ、滲んでるじゃん!?もうっ!さっきまで息も絶え絶え……って本当にちょっと元気になってる!?痛み止め効果あるけど、そんなに早く効くの!?」
「あぁん?お前が寄越したんだろうが……ったく」
モモイが腕を組んで頭を抱えているのをアスナと顔を見合わせる。
何も言わずに、互いの考えている事を口にするかどうか逡巡してから、結局二人は溜息を吐いた。
その姿を不思議そうに見ているモモイを見て、肩をすくめたネルは。
「そいじゃ、リベンジマッチといきますか!」
獰猛な笑みを浮かべて。
「すまん、そうはいかなくなった」
深みのある低音に出鼻を挫かれてずっこけた。
「あ、おかえりキャスター。どうだった?」
「アサシンは確実に。だがランサーには……逃げられた」
「……何かあったの?」
転んだネルを慌てて抱きすくめてはその豊満な身体で無意識にネルを窒息させかけているアスナの姿を横目に、モモイはキャスターへと尋ねる。
言い淀む彼の様子に違和感を抱いて。
「いや、ちとな」
それにキャスターも隠し立てするつもりもないのか、ランサー、そしてアサシンとの戦闘で受けた小さな擦過痕をそっとなぞりながら、呟くように話し始めた。
「アサシンとまとめて相手取った時、否。それ以前から違和感があった故、アサシンの消滅を確認した時点であ奴に問いただしたのだ」
それは新たな疑問。
サーヴァントだから、そしてキャスターというクラスだったから対峙して確信を抱く事ができた違和感。
「何故貴様の霊基から『魔力』の反応がないのか、と」
こうして今宵、キヴォトスを揺るがした大事件は人知れず幕を閉じた。
多くの生徒は気づかないまま、けれど少なくない犠牲者と痛みを生んだ戦い。
それは確かに、時計の針を動かした。
多くの生徒の尽力と、決して無視できない流血によって。
聖杯戦争終了まで───残り、五日。
おや?おやおやおや?
これはこれは、お疲れ様。
随分楽しそうだったね。
なんだい?嫌味はやめろ?
……いやいや、これでも僕は本心からそう思っているさ。
いつだって君は苦しそうだけれど。
でも、今は、今回はきっと間違いなく違う筈だ。
それは紛れもなく……おっと、照れ隠しに物を投げるのは止め給え。
それはそれとして、今晩は特に酷かったね。
これまであり得た道の中で、このタイミングで攻勢を仕掛けるというのは珍しい話に違いないと読んでるんだが……うん、当たりみたいだね。
いや、しかし。
驚くべきは彼らの正体だ。
確かに前例は存在するだろう。
だから、たとえサーヴァントの霊基であっても不可能じゃない。
だけれどそれは私達の宇宙では……少し難しい話だね。
君達の世界だからこそ確立された、と言うべきだろう。
もっとも原因は我々に違いない、それについては間違いなく申し訳なく思うさ。
……そうさ、彼らが現れてしまった。
私が想定していたよりずっと早く。
どんなに早くても次回が精々だと思っていた存在が、今次聖杯戦争に現れた。
本気で、キヴォトスという土地を消費するつもりだ。
だから、これから物語はページを進める。
ボクたちが願うのはビターエンドにならない事。
聖杯の予備システムを起動せざるを得ない状況に陥る事がないように、それだけだ。
ん?なんだい?
……あぁ、言って良かったのか、か。
確かに私達の会話は観測されているだろう。
なんならボクがそうしたしね。
だけどほら、彼らは阿慈谷ヒフミの力となってくれてるんだろう?ならいいじゃないか。
少しぐらい、ボクがズルをしたって構わない。
私がヒントをあげても仕方がない。
君だってそうだろう?最初の頃は随分と……ははは、ほら怒らないでくれ。
君のそれは痛いんだから、うん、本当に。
……少しだけ話をしよう。
物語を構成するのはいつだって三つの要素。
書き手、語り手、そして読み手。
このお話にはハッピーエンドは用意されていない。
このお話にはバッドエンドに辿りつかない。
当たり前だよね、だってこの世界には『彼』がいる。
その果てがどれだけ捻れて歪んだとしても必ず希望を紡がんと祈りを繋げ、それ受け取った『彼』とそして『彼女』がいる。
シャーレの先生と、砂狼シロコがいる。
少なくとも彼らがいれば最悪の事態にだけはならない。
まさに機械仕掛けのなんとやらさ。
だから、そうだからだよ?
この物語において明確にビターエンドが、そしてバッドエンドがあるならば。
それはきっと、
物事はいつだって複数の顔を持つ。
誰にとって幸福な結末なのか、誰にとって悲しい結末なのか。
阿慈谷ヒフミの選択によって『敗北』という結末となるのは
阿慈谷ヒフミを主役に据えた物語においてバッドエンドとは
ただ、それだけの話なんだよ。
さて、そろそろお開きにしようか。どうだい?君もいつまでも立っていないで座るといい。今夜は特段疲れただろう。
しかし……いやぁ酷い有様だったね。
正直な話、私はライダー陣営は
あの子は駄目だ……へぇ、君はそう思うんだ?
良いね、ボクは好きだよ、それ。
もちろん、そのサイリョウの結末に至るには、さ。
彼女達の真実、そして固くなったその心を解きほぐす為の『鍵』に手を伸ばさなきゃいけないけどね。
おや、言い過ぎたかな?
でもいいじゃないか。
確かに私達が介入した結果は残念な形になった。
だからといって、何も渡さないのはそれはそれで行き詰まるというやつだよ。
───四つの陣営。四つの祈り。
命題、覚悟、絶望、希望。
期限内にそれぞれが抱く本当の願いに触れなくては聖杯大戦が開催されるか、次の聖杯戦争が始まってしまう。
四つの陣営を。異なる世界で必ず阿慈谷ヒフミの前に、その旅路の最後に立ちはだかった四人のマスターを攻略しなくては、ハッピーエンドは見えてこない。
いつだって応援しているよ。
何せ私は。
君たちと同じで、阿慈谷ヒフミのファンなんだからね。
だからどうかよろしく頼むよ。
最後の秘密、秘された三番目に辿り着いた阿慈谷ヒフミがキヴォトスの敵となる未来にだけはならないように。
遅すぎても早すぎてもいけない。
大切なのは順番さ。
あまり秘密を探るのに一生懸命になり過ぎてすべての陣営を攻略する前に知ってしまえば、彼女の旅路はそこで終わるからね。
それは私にも君にも変えられない規定事項。
───
さて、いいお茶があると言いたかったんだけど。
ああ、君はやっぱりソレかい?
いいや、構わないとも。
それじゃあ、少し不格好だが始めよう。
───二人ぼっち、はみ出し者同士のお茶会を、さ
嗚呼、それから。
これを読んでいるとびきり知りたがりの君達に伝えておこうか。
もう今更かもしれないけれど、もしもそうなってしまったのなら。
どうしようもなく行き詰まってしまったのなら。
全ての陣営の本当の願いに触れる前に第三の秘密を知ってしまったのなら。
もしくは聖杯大戦が始まってしまったのなら。
今宵の仲間外れを探すといい。
そうすれば、私の言葉と合わせてヒフミちゃんが向かうべき道を教えてあげられる筈だからね。
その為に、わざわざこの項を残しておいたんだから。
鳴り響く警報。
金属板の叩く私達の足音。
さっきまでゆっくり、とは言わなくても悩みつつもその味を楽しんでいた珈琲や紅茶は白い破片ごと床に散らばっている。
「あーもうっ!昨日の今日じゃん!?普通攻めてくる!?」
「仕方あるまい、これも戦という物なのだろう。だが我も計算を違えた……まさかそこまで余力があるとは……ッ!」
「ウタハ達は地下通路から避難をッ!ハナコ、コハル!」
「任せといて!負けるんじゃないわよ!アズサ!」
「誘導を終えたらすぐに合流します!行きましょう、みなさん!……こちらです!」
急いで銃を、剣を手に取って私達は会議をしていた食堂から駆け出していく。
早朝に響いた爆発音。
昨夜、
だからといって備えをしなかったわけではない。
「じゅ、準備できましたっ!」
「エンジニア部謹製通信機材用意!今度はしっかり連絡取り合えます!それから『切り札』、両車共に万全です!」
「アリスも装備スロット確認済みです!討伐クエスト、今度こそ!」
昨晩から徹夜で突貫作業をしてくださったエンジニア部の皆さんのおかげで、昨日みたいな事にはならない。
次はもう、私は負けない。
「ヒフミ!」
「……やっぱり、昨日の方達でしょうか?」
「……だとすると私達が相手取った連中ならまだいいが、モモイ達がやり合った例のサーヴァント『擬き』だとマズイな」
サーヴァントと酷似した存在、そういう風に
キヴォトスで5騎確認された彼らのうち。
昨晩の彼らがまた現れたというのなら。
「……また君の力を借りるよ、バーサーカー」
「無論だとも。鉄火場が幼き少女達に似合うだろうか?いいや違うとも。我らだ、我らこそが先陣を切るのだ!」
戦わなくてはいけません。
倒さなくてはいけません。
彼らの正体を突き止めなくてはいけません。
「朝っぱらから喧嘩売りに来るなんて上等だよ!」
「あぁ。どこのどいつか知らないが、私達を相手取るというんだ……!昨日のような後手には回らん!」
「はい……もうこれ以上ッ!誰にも怪我なんてさせません!」
もうこれ以上、辛いお話なんて聞きたくないんですから。
だから私達は拠点の外に飛び出した、それが今から大体5分ほど前の話で。
なんて、感じに私達は覚悟を決めて飛び出したんですよ。
「んんんん?やぁやぁ諸君!麗しい朝じゃないか!」
朝から拠点を爆破されて、私達は走ってきたんです。
「景気付けに目覚めの爆破、如何かな?」
しかも会議も途中ですっぽかして。
「いやぁ!私も久々のシャバだ!清々しいよ!あの空崎ヒナも入院という話じゃぁないか!いやぁ、幸いとはこの事だ!」
なのに一体。
「今の私はたいっへん!機嫌が良い!」
これはどういうことなんでしょうか!?
1じゃんね☆
長かった9日目はこれにてしゅーりょー!やっっとこさ10日目に突入じゃんね☆
来週にはPart7スレの内容にも入れる、かも?じゃんね☆
ひ、ヒフミちゃんは一体何ヶ月振りの登場じゃんね?
さて、ついに123話!目じゃんね☆
なんやかんや色々、本当に色々あったけど今日まで更新できて1の中では大きな節目までこれたのは本当に感無量じゃんね☆
みなさん、本当にいつも読んでくださってありがとうございます!……じゃんね☆
というわけ、ではないかもだけど短編用のアンケートさせてくださいな!じゃんね☆
以下の中からこれだったら読んでやっても良いよーっていうのを一つ選んでやってくださいじゃんね☆
〆切は明日4/14の12:03までじゃんね☆
ではでは、よろしお願いします……じゃんね☆
123話記念?短編で読んでもいいよーっていうのを選んで下さいな、じゃんね☆
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①最新話までの内容でプチ一問一答
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②聖杯戦争終結後の日常(if)
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③ヒフミちゃんinカルデア(if)
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④ウイちゃんの聖杯戦線日記(続き)
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⑤おいでませ!エクストラクラス!(if)
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⑥アサシン師匠の気ままな1日
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⑦召喚されたのが○○だったら(if)
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⑧ある日のカヨコちゃんとムツキちゃん
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⑨ヒフミちゃんのお茶会(相手はアンケ)
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⑩アーチャー陣営の昼下がり