ねえ、サッちゃん
今回のさ、作戦終わったらみんなでご飯食べようよ
アズサも誘ってさ
もうっ、本当素直じゃないね
この前だってアズサが入院した時に私達にだまーって、ずっと付き添ってた癖に
……ふふっ、よろしい
じゃあ、約束
今晩で片がついたら、久しぶりに顔出しに行こっか
大丈夫、きっとなんだかんだ上手くいくよ
「まず前提を話そうか。私の要求はただ一つ───『恩赦』だ」
カスミさんはそう言って胸元から一つのSSD端末を取り出されました。
無機質な表面加工は食堂の明かりに照らされても表情を変えないまま。
小さい、本当に掌に収まる程度の大きさしかないストレージ。
だというのに、静かな存在感を放っていました。
それを彼女はくるりと指先で玩びながら私を、私の目をじっと見つめてくる。
「君達はご存知だろうがね、残念なことに我々温泉開発部は聖杯戦争なる今回の催し、そこでライダー陣営に協力
空崎委員長から伺ったお話の中でも聞いていましたから、それ自体は知っていました。
だから今日まで、温泉開発部の方はもしかするとアルさん達と協力関係を継続している、そんな可能性もあるとさえ考えてきたんです。
それをたった今、目の前の彼女は
一つ懸念がなくなった、その事実に、今の私達はまだ素直に喜べません。
あまりにも、知らなきゃいけない事、聞かなきゃいけない事が多過ぎるんです。
「経緯は単純、便利屋68経由の依頼でね。ある商品を闇市で売り捌く。それを売るなら牢屋から出してやると持ちかけられたんだよ」
『商品……そう、ユウカの報告書にあったオーベッドグラフィックの名前はそういう事ね』
「オーベッド、グラフィック……ですか?」
調月会長の口から飛び出したのはあまり聞き覚えのない企業の名前。
私達がこの聖杯戦争について調べていく中で出てきた会社といえば『オクトパスエンジニアリング』。
ライダー陣営の方達と物資のやり取りをしていると思われるその企業ぐらいだった筈じゃ、そう思っている私に彼女は説明を始めてくれました。
『カイザー系列の印刷会社よ。ユウカが貴女達の依頼でオクトパスエンジニアリングを調査した時に確認した業務提携してる企業のうちの一つ。物資供給にしたってどうして印刷会社が協力してるのかと思って細かく調べてくれてるわ』
『オーベッド……ああ、海運業の。そういえば数年前にカイザーに吸収されたという話を聞いたかな』
『ええ。吸収前のオーベッド社はオデュッセイア*1のライバル企業として以前まではよく聞く名前だったようだけれどここ十年は経営不振、そして今から二年前にカイザーコーポレーションに吸収合併されたグループよ。百合園会長の仰る通り、海運業や金属精錬とその加工、あとは印紙技術という分野に強い企業で実際にうちと取引した経歴もあるわ』
以前、ユウカちゃんから『資金や物質の流れには幾つかカイザーの息のかかった企業との繋がりがあった』と仰っていました。
そのうちの一つがオーベッドグラフィックという会社のようです。
「よく調べてるじゃあないか。そう、そのオーベッドグラフィックさ。ゲヘナはなんと言っても校則が緩い。その分、他の自治区よりずっとのびのびと商売が出来る。だから、企業の売り込みも激しいし色々と流行
そして印刷会社であるのなら、自然とおそらく売っていた、カスミさん達に降ろしていた商品というのも推測できます。
「当然、生徒にターゲットを絞った『タトゥーシール』も数ヶ月前からゲヘナ市場を賑わせ始めた」
タトゥーシール。
私達が最初にゲヘナについて調べた時に出てきた話。
『ゲヘナでは今タトゥーシールを貼るのが流行っていた』『それが禁止されたが、ここ数日でまた売られ始めて流行りが盛り返した』、そんなお話です。
「それに待ったをかけたのは風紀委員会。まあ彼女達からすれば過度な装飾……はゲヘナじゃ見慣れた物*2だが、それでも風紀を乱す、と判断されたんだろうね。実際私達の年齢層以外にも初等部や中等部にまで流行り始めていた」
なるほど、と納得は出来ます。
私達ぐらいの年齢ならまだしも、分別がつかない初等部の生徒までとなれば、流石に行き過ぎているかもしれません。
「おまけの決め手になったのは、どこぞの阿呆*3が下腹部に貼ってシャーレ当番に行ったとか行ってないとかって噂*4が実しやかに囁かれた。そんなこんなだよ、半月程前からゲヘナじゃシール着用禁止のお達が出ていたさ」
「よしよし、コハルちゃん。よく我慢したね*5」
「ユズ?どうしてコハルは顔を真っ赤にしてるんですか?トイレを我慢してるのですか?*6」
「ぁぅ……そ、その話はまたこ、こここ今度!今度ね、ね?アリスちゃん」
顔を真っ赤にして爆発寸前のコハルちゃんとそれを見て明らかにご機嫌なハナコちゃんは置いておくとして。
「あはは……お気になさらず、その、話を、どうぞ?」
困惑しているカスミさんに話の続きをお願いします。
「……あ、ああ。で、そんな販売禁止になった代物をどういうわけか便利屋の娘が持ち込んで言ったんだよ、獄中*7。『そこから出してやるからタトゥーシールをゲヘナに売り捌け』ってね」
『ゲヘナ……一つ質問いいかしら?』
「どうぞどうぞ、構わないとも」
コハルちゃんの反応に首を傾げつつ*8も真面目な顔で話してくださるカスミさん。
それに調月会長は『ゲヘナに売り捌け』、その言葉に引っ掛かりを覚えたようで一人のお名前を挙げました。
『……鬼方カヨコ。貴女達に話を持ちかけたのは彼女かしら?』
「……なるほど、素晴らしい。もう
『そう。ユウカの報告にもオーベッドグラフィックに出入りする彼女の姿を確認できたとあったけれど。なら、教会の件も含めてそういう方面はやはり鬼方カヨコの仕込みか……厄介なのと朗報で半々ね』
「それは重畳。ついでに流れとしては私達にとっても朗報だったよ、実際ね。丁度、事業に失敗してお縄についていた私達にとって、たかだかシールを売る程度で脱獄出来る、しかも売上も折半とはいえ貰えるときた。正に渡りに船だ。元より部活柄、ゲヘナ中を駆け回るしそれなりに鼻も効くと自負している。一から闇市を、そういうネットワークを作るのだって無理じゃあない。何より元から需要があるんだ、ノルマを捌くのだってそう難しくない」
その言葉の意味を私達が問う前にカスミさんが口を開いてしまったので私は咄嗟にハナコちゃんの顔を覗きました。
もしかすると調月会長が質問された意図がもう分かっているかも、という予想は。
「なら……鍵になるのは鬼方カヨコさん、ではない。じゃあ、やはり
当たっていて少しばかり目を見開いていました。
あとで教えてもらわなきゃですね、リオ会長が正解したっていうその答えを。
「何よりゲヘナにだけ流通させればいい、というのが気に入った。他自治区で下手な商売をすると連邦生徒会がやいのやいのと五月蝿くて敵わないが、ゲヘナなら幾らでもやりようがある。無論シール自体も私達の方で精査したが、真っ白も良いところさ───だから私達は彼女との取引に応じたのさ」
それが私達が便利屋68と協力した経緯だよ、そう言ってから話し疲れられたのか、カスミさんはカップを唇に当てる。
一口、また一口と渋るように。
そうしてゆっくり嚥下し終えた彼女は、長い息を吐かれた。
「あとは牢から出されて晴れて自由の身、心晴れやかに温泉開発の片手間にタトゥーシールを流したわけだが……問題が起きた」
「便利屋68のみなさんがカイゼリン・ブリッツ記念教会を占拠して聖杯戦争に臨んだ、ですね」
ミドリちゃんの言葉に、カスミさんが跳ねました。
比喩ではなく文字通り、決して怒鳴るような声量ではないけれど、あまりにも荒々しく苛立たしげに。
自分を責めるように彼女は声を吐き出しました。
「そう!あの娘達はあろう事か事実上の万魔殿と風紀委員会、更にはトリニティにまで喧嘩を売り始めた!……嗚呼、白状しよう。あの時ほど己の判断を恨んだ日はない。安易な、裏取りも必要ない、いつもの取引だと……私はそう、判断してしまったんだ」
「それは……!」
違う。
それは違うと、私は言いたかったんだと思います。
言い方はきっと悪いですけど、彼女は騙されたのだから。
「そうだよ、ヒフミさん。
違う、と。
私が考えた事は違うんだと、彼女は疲れたように首を振る。
「私は部長だ、私はゲヘナ学園温泉開発部の部長『鬼怒川カスミ』だ。それが私で、今の私の全部だ。だから、私がした判断の責任は私に
各学園のトップを前に言うとなると少々座りが悪いがね、と言った彼女の語気はもう落ち着いていました。
でも居心地を気にしたというのに、彼女が言い切った思いには毅然とした物が感じ取れました。
演技だとかそういうのじゃない。
義務感でもない。
カスミさんは心から、自分が責任を取るのだと言っていました。
そして、約束を大切にされている事も。
「……話を戻そうか。とにかく、私がその事情を掴んだ時にはもうとっくに手遅れだった。どんな意図があったかなんて関係なく、我々はゲヘナ学園そのものと全面戦争をするのも辞さない組織と協力してしまった前科が出来た」
告白であり、経緯の説明でした。
何故彼女がここに来たのか、朧げだった物が少しずつ見え出してきました。
「大きい、あまりにも大きい失点だった。私の首が飛ぶだけで収めようのない事態なのは……すぐに分かったさ」
恩赦が欲しい、と彼女は最初に言いました。
どれ*9についてなのか、分かりませんでしたけど、今なら分かります。
彼女は、ライダー陣営の方達に協力したその事実への恩赦を欲しているんです。
「私も、他の部員も、頭を抱えたよ。うちのメグなんかは特に酷い物だったよ。本当に顔を真っ青にしてね……君達は知らないだろうが、うちのメグの普段の姿を知る人間ならまずあり得ない、そう思う程さ。そして
その時にはきっと繋がらなかったのでしょう。
そのメグさんという方*10が一体何を思ってそういう行動を取られたのか、その理由を断言する事はできません。
でも、カスミさんが私達も知らないその彼女を引き合いに出したほどです。
その時の様子はきっとよっぽどの事で、そしてそれだけ便利屋の方達が聖杯戦争で本格的に動き出した事は、彼女たちにとって大きな事だったのでしょう。
『ゲヘナの事情に詳しくはありません。ですが、温泉開発部の皆さんは校則違反の品物を裏取引するリスク以上の想定外を背負ってしまった。そしてそれを気づいた時にはもう遅かった、そういう理解で良いでしょうか?』
「その通りだよ、眼鏡のお嬢さん」
『めっ!?……げ、ゲヘナの方はみなさん本当にもうっ……』
「ハッハッハ!どうやら意図せぬウィークポイントだったかな?これは失敬、さて。彼女の言う通りだよ」
アヤネさんに笑いかけたかと思えば、すぐにぴりりとした空気を彼女は纏う。
それはスパイシーで危険な香り。
「話をまとめよう。我々としては何もここまで事が大きくなるとは思っていなかった。さっき君達が言っていただろう?自治区政治を担う生徒会が殺し合いゲームなんて物に加担していたのがバレると不利益だと。それは我々だって同じ、むしろ立場としてはもっと最悪さ」
事実です。
殺し合いへの関与は、どんな形であれ参加者に協力したとなれば、自治区住民だけでなくキヴォトスに暮らす人々が抱いた不信感を拭うのは困難です。
抱くな、なんて事も私にはとても言えません。
内情を知っていて、当事者であっても。
だから私達は大手を振って、なりふり構わずに協力を仰げないんです。
だから各学園の生徒会だって協力関係は極秘裏にしているんです。
だから、それよりも小さな、ごく普通の一学園の一部活であれば、私達以上に苦しい立場にあるというのも頷けます。
「形はどうあれ、ライダー陣営の片棒を担いだとなれば間違いなく私達の立場は今以上に不利になる、最悪の場合、この部活は潰され我々部員の学籍の剥奪だってある。幾ら自由と混沌を愛するゲヘナであっても……いや、そんなゲヘナだからこそ
机へと膝をついて両手を組んでいた彼女は、頭を下げられた。
「だから『取引』だ、取引をどうか私にさせて欲しい。壊滅し、行方不明となった美食研究含めた合同部隊からの伝言はこの通りお渡しする。必要なら聖杯戦争終了後の被害地の復興にも協力する。私1人であれば幾らでも働く。私は、言われた通りにする。だから……っ」
「その代わりに、温泉開発部を。ミレニアム生徒会、トリニティ生徒会、アビドス生徒会。三つの自治区に協力して事態収束を計った……そのような形で万魔殿と連邦生徒会へ弁護して貰い、最悪の場合は部員一同の安全と立場を確約して頂きたい。無論、私は……必要ならその条件から除いてもらっても構わない」
カスミさんからの取引内容はできる事なら叶えたい、そう思います。
でもその判断は、私個人でどうこう出来る話ではありませんでした。
彼女の要求へ応えるとなれば政治的な動きが必要になります。
必然、私一個人ではなく、この場にいるお三方、各学園の代表者が判断する事になります。
そっとセイア様達を見ると、お三方とも難しい顔をされていて、悩んでおられます。
「……出せる物は少ない。あとは精々、僅かな私財ぐらいだ。それがいるなら、それも出そう。必要なら、私は籍を退こう。それぐらいだ、もう……それしか貴方達に私が提示できる物はない」
駄目押しとばかりに告げられたのは、本当に残る全てなのだと分かりました。
出し惜しみ、していたわけじゃきっとありません。
だって彼女は大富豪で土地や財産を企業のように持っているわけじゃきっとない。
一生徒の私財を出す、のはもう本当にそれしか出せる物がないって話なんだと思います。
「……そこまで、するのか?」
「……誠実なポーズぐらい取らせてくれたまえよ、レッドウィンターのお嬢さん。私にとって、私がとれる責任の取り方はもう、これぐらいしかない。社会的な制裁を受けるとしても、せめて最後に私は部長として、己の過ちの尻拭いはしておきたいんだ」
嗚呼、これは駄目だなと思いました。
彼女の気持ちを、尊重したい。
尊重しなきゃ私はこの日の判断をきっと後悔するって思ったんです。
だから、ミノリさんへの返事を聞いた私も覚悟を決めました。
私からもお願いしようと口を開こうとしたその時に。
いつも凛としている筈の声が、濡れるように揺れて聞こえてきました。
「……その前に、一ついいだろうか?」
声は、右隣から聞こえてきました。
「……勿論だとも。どうぞ、トリニティのお嬢さん。ええっと、君は……」
「アズサ。白洲アズサ。トリニティの二年生、そして」
息を吸って、吐いて。
彼女が何を口にするのか、その様子を見て気づきました。
その言葉が出るのだと今更ながら私達は思い当たって。
コハルちゃんもハナコちゃんも、私も腰を浮かして。
そしてセイア様も目を見開きながら彼女の方を見て。
「……元、アリウスの生徒。私は……あのエデン条約の一件に関与した……アリウススクワッド、のメンバーだ」
「アズサちゃん……!」
暫く沈黙が流れる。
ミレニアム出身のゲーム開発部のみなさんは不思議そうな顔をしてますが、事情をある程度知っているホシノさん達や、恐らく事前に調査していたのか調月会長は顔に手を当てています。
こうなる事はよくよく考えれば分かりきっていました。
ただ情報がたくさん出てきたり、昨日からの戦いもあってそこに思考が辿り着かないでいてしまった。
アリウス。
その名前をこの場で出した意味は、カスミさんにも正確に伝わりました。
「……なるほどね、そういう事情かい?で、君は聞きたいわけだ。百合園会長が話した特殊部隊、その中にはアリウスの名前があった。そして私の口からその特殊部隊は行方不明と聞いた。ならもしかして自分の知るアリウス生徒が今回の騒動で被害に遭ったんじゃないか、とね?」
その問いかけに何も言わず、アズサちゃんは静かに頷く。
「なるほど、なるほどね」
けれど机の下で握りしめられたその小さな手は震えていて、私は思わず、彼女の固く握られたその手に掌を重ねました。
重ねる事しか出来ませんでした。
そんな私達の姿を見てからカスミさんは深々とため息を吐かれた。
「……嗚呼、糞ッ。情けない話で悪いんだがね。これから私は詰まらない意地を張る。全て出すと言った身の上だ、恥も承知だが……白洲アズサさん。私からも、一つ良いかな?」
「構わない。言って欲しい」
「……即答か、参ったね」
早口で、それからアズサちゃんに静かに尋ねたカスミさんに返ってきた言葉。
揺らがない物を受けてもう一度、カスミさんは小さなため息を吐いてから、真っ直ぐにアズサちゃんの目を見ました。
今度も、アズサちゃんの返事は即答でした。
しっかり前を向いてカスミさんに伝えた想いには、色んな気持ちが乗っているのはこの場にいるみなさんにもきっと伝わったでしょう。
静かだけど、複雑だけど、でも目一杯の親愛と心配がそこにはあったんです。
「……そうか、
カスミさんにも、伝わったんでしょうか。
息を深く、細く吐いて倒れ込むように椅子の背もたれに体を預けられる。
それから少しだけ目を瞑ってから。
「……あくまでも、メグ経由で黒舘ハルナから聞かされた話だ。話半分に聞けとも言わんが、足りているかは……私も判断できない」
仕方ないなと諦めるように力の抜けた、少しだけ苦い笑顔を浮かべました。
「シャーレが率いた合同部隊のメンバーのうち、アリウス生徒は4名参加していたそうだ。名前は錠前サオリ、戒野ミサキ、槌永ヒヨリ、秤アツコ。彼女達が先生と共に昨晩、ライダー陣営と接触しているのは確かだよ」
「カスミ……っ!」
「……感激するのは勝手だが、楽しい話じゃあない。言った通り、合同部隊は全員行方不明になった。生死だって不明だし、なんだったら
「……ッ!……そう、か。……ううん、違う。教えてくれて、ありがとう。カスミ、貴女の配慮に感謝する」
「アズサちゃん……」
サオリさんのことは、あの一件があった後にアズサちゃんから話を聞いていました。
大切な家族なのだと。
だから彼女達が、そして先生まで行方不明だと聞いて彼女の中でどんな気持ちが駆け巡ったのか、今すぐその細い肩を抱きしめどうにかしたい衝動に駆られます。
けれど彼女は潤んだ目で前を向いてお礼を口にした。
それにカスミさんは渋い顔をする。
「……おいおい、こんな話で感謝なんてよしてくれたまえ。君の為を思って?そんなわけがない。これはあくまで私の我儘だと言っただろう?第一、私からお願いする立場にあるんだ。今の話だって結局のところはリップサービスにもならない、中身もない話さ。大層に言ったところで毛程の情報量もない。君達の心象を少しでもよく出来たのなら私にとっては万々歳さ。だから喜ぶのは違う。喜びなんて感情を、私の言葉で消費しないでくれ。だってそうだ、君にとっては喜ばしくもなんとも「それでも」……」
「それでも、一つでも知らないまま不安を覚えるよりずっとありがたい。それに、先生と一緒にいたんだ。なら、きっと大丈夫」
先生がいるから、だから大丈夫だと。
そう言い切った言葉の中には確かな信頼がありました。
私だってそう思います。
でもきっと同じように、だからと言って不安じゃないなんて事はない筈なんです。
だけど、アズサちゃんは、前だけを見ていました。
言わなきゃいけない物を、きちんとカスミさんに伝えるために。
「なにより、ヒフミ達が交渉を受けるかどうか、私達の選択がどうなるか、それはまだ分からない。それなのに貴女は私のワガママを聞いてくれた。だからありがとう、カスミ」
その言葉にカスミさんは深々とため息を吐いてから。
「……ああ、なるほど。つくづく私もまだまだ未熟だ。今更ながら君達への協力者が多いのがなんとなく理解できたよ」
ぽつりとそんなことを呟かれました。
「……話を、戻そうか」
また一度、二度。
もう冷えてしまった紅茶を口に含んでから彼女は溜息を一つ。
それから私達を真剣な眼差しで見つめた。
「彼女達と先生からの『伝言』を知りたいなら私との取引に応じる形をとってもらうのを、私は望む。勿論、君達がゲヘナに直接行って彼らの足跡を辿って自分達で見つけるというのでも、時間も手間もかかるが可能だ。私の持つこの端末の中の情報だって、どれだけの価値があるのか、私自身知らない。見合う物になるのか、分からない」
そう、調べようと思えば調べられるのかもしれません。
調月会長達に無理してもらう必要だってないかもしれません。
美食研究会の方達が私達に届けようとした情報がどんな物かだって分かりません。
でも、かもしれないと確実じゃ、全然違います。
「だが叶うなら、私は君達にこれを渡す結果が欲しい。願えるならば、君達に
その上で。
「───今この場で聞かせてもらえるかい?」
私達の答えは───。
私たちの出した結論、そして各生徒会の方が納得できる結論は二つ。
『聖杯戦争期間中と終了後の彼女達全員の保護』に応じる事。
そして『ライダー陣営への協力は意図した物ではなく、他学園から処罰を求める追求があれば、連邦法ではなく校則の範囲であくまでも校則違反の品物の裏取引に関する罰則を受ける』という条件でした。
「オーケー、オーケー。その条件ならこちらの書面にサインをお願いしたいところだ。いやはや有難い。もう少し情報をせびられたらどうしようかと考えあぐねていたからね。君達から色好い返事を貰えて嬉しいよ。ああ、生徒会長諸君?君たちのところにはたった今発送したから届き次第、私の目が届く形で記入をよろしく頼むよ」
『調子を戻すのもそうだが、手を回すのも早い物だね。とはいえ目が届く、か。なら君は暫くミレニアム近辺にいるとでも考えても構わないかい?』
機嫌良く、そういう空気を出しながらカスミさんは私達へと書類を渡してくださる。
ざっとみなさんと一緒に確認しますが、これといって変なところはありません。
「ん?ああ、言ってなかったね。ゲヘナは自治区内への入出規制が敷かれてるよ。こうして此処に来るのも一苦労というものさ、だから暫くはミレニアム内のホテルでも借りるとするよ」
「他の部員達はどうしている?」
「みんなこっちに来ているよ。出るの入るのも面倒な情勢さ、非力な私一人がフラフラしていたって良い事はないよ」
さて、そう前置きしたカスミさんは真っ白な足を組み直しながら悪戯っぽく笑った。
「君達が知りたい情報についてだが、基本的にはこの端末の中身が
私に手渡された小さな小箱。
土や泥がついて少し汚れてはいますが、端末に繋げる分には問題なさそうです。
すぐにそれをハナコちゃん達に渡して中身が無事かつ安全かを確認してもらいます。
「ありがとうございます、カスミさん」
「いやいや、それが私の役目で取引の結果さ……その中にはシャーレがまとめた二騎のライダーについての資料、それから黒舘ハルナからのメッセージが入っている。恐らく大雑把な経緯や実際に何が起きたのかについてなんかもそこで話してくれるだろう」
残念ながら私も今此処で初めて見るから確証はないけどね、と前置きをしてからカスミさんは疲れたように背もたれに身体を預ける。
「私自身、昨晩はゲヘナ内とはいえ少し離れた隠れ家にいたからね。市街地でどんな事が起きたかなんて正確な事は分からない。そんな私へ質問があれば資料に目を通してからお願いしたいところだね。だがまぁ……資料を映す前に一つだけ言っておこうか。少々胡乱な言い方になるが、これ以上適切な言葉はないだろう」
ニヒルに笑うその目はどこか力ないようか、頭が痛いと言わんばかり困ったような。
そんな風にも見える彼女は昨晩のゲヘナについて一言だけ私達に教えてくれました。
ただその言葉は。
どう解釈していいものかわからない、不思議な感想で私達は首を捻ってしまいました。
1じゃんね☆
カスミちゃんとのプチ交渉はこれでおしまいじゃんね☆
スレに投下した時のから随分形が変わったじゃんね……自分の未熟さを痛感するじゃんね☆
ちょっとナイーブかもだけど、でも1があの時書くべきだったカスミちゃんの本音の部分だったりを今回はちょっとは出せた気がするじゃんね☆
というわけで!Part6スレの内容まで完走したじゃんね☆
次からはPart7スレの内容いくじゃんね☆
大怪獣バトルの内容は多分明日ぐらいから?じゃんね☆
さて、大事なお話するじゃんね☆
ブルアカの公式生放送とFGOのメインストーリー更新が告知されたじゃんね☆
問題はFGOの方じゃんね……
タイトル見た限り、ワンチャンだけど天使関連ここで少し情報開示くるかもじゃんね☆
まあそれがAD前後どっちの天使なのか、それともそういう区分にしないのか分かんないからまだなんとも言えないけど、ここまで出してなかった話を公式で出して下さるしれないじゃんね☆
なので、公式の情報と擦り合わせをちゃんとしたいので、ちょっと123話記念短編の『ヒフミちゃんinカルデア』に関してはちょっと投稿遅くなります、本当にごめんなさい……万が一があるのでストーリー、プレイしてから書かせてください。
誠に勝手なお願いになりますが、ご理解のほどよろしくお願いします……じゃんね☆
123話記念?短編で読んでもいいよーっていうのを選んで下さいな、じゃんね☆
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①最新話までの内容でプチ一問一答
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②聖杯戦争終結後の日常(if)
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③ヒフミちゃんinカルデア(if)
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④ウイちゃんの聖杯戦線日記(続き)
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⑤おいでませ!エクストラクラス!(if)
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⑥アサシン師匠の気ままな1日
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⑦召喚されたのが○○だったら(if)
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⑧ある日のカヨコちゃんとムツキちゃん
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⑨ヒフミちゃんのお茶会(相手はアンケ)
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⑩アーチャー陣営の昼下がり