阿慈谷ヒフミは聖杯戦争に参加するようです   作:1じゃんね☆

137 / 154

きつねびより。
秋の空と乙女心、そして山の天気は変わりやすい。
時に戦場でもそうなのだという。
特に、血と硝煙で曇る死地には寂しい雨が降るのだ。





狐日和

 

 セイバーさんの語り出しは思いの外、慎重でした。

 

「さっきも話したように、本来監督役は組織から任命される物だ。マスターのように聖杯に選ばれてとか自主的になるものじゃないのはここキヴォトスでも同じだと仮定したい」

 

丁寧に提示されるのは、セイバーさんの経験とこれまで培われてきた常識からくる疑問点。

つまり、監督役は誰が何のために、どうして用意したのか。

そして黒服さんは何故、監督役になったのか。

 

「そうなると、やはり彼の所属組織が聖杯戦争やその成り立ちには大きく関わって来ている、と考えるのが筋だ」

 

 ゲマトリア、というあまり聞き馴染みのないその単語が黒服さんが所属する組織の名前だそうです。

実際、私達がその名前を耳にしたのもあの晩が初めてで、そして聞いてから今まできちんと話し合えていませんでした。

ですからこの本腰を入れて検討する、というのは良い機会なのかもしれません。

ただ問題は。

 

「であれば!ゲマトリアなる者達について圧制に包まれた隠匿のベールを引き剥がす事はこの逆境を進む光明となるだろう!おお、これぞ愛!我らが行末は輝いている!……で、ゲマトリアについて君達はどの程度知っているんだね?」*1

 

「すみません……こういう時こそ説明してお役に立ちたいのですが、ほとんど分かりません……」

 

 いつも通りのスパルタクスさんの柔らかな笑顔。

彼からの問いかけにコトリさんがしょぼんとしてしまうように、私達はゲマトリアについて全く何も知りません。

精々が名前と、それから。

 

───この聖杯戦争で用意されたルールと聖杯について、我々の組織、ゲマトリアの人間はそのシステム構築に一切関与していない。謂わば自然発生した『事故』の副産物。

 

七日目の夜に黒服さんから一度だけ聞いたお話の内容についてだけです。

となると、こういう時に頼りになるのは。

 

『……そんな目で見られても私が知るゲマトリアは、あくまで提出された報告書を受けての情報がほぼ全てよ。あとは貴方達から聞いた話程度』

 

 そう思って私達の目が古関先輩やリオ会長を代わる代わる見ますけど、結果は芳しくありません。

古関先輩はちょっとだけ悩んでから首を振ってしまいましたし、リオ会長も殆ど知らないとの事です。

 

『ゲマトリアが確かな記録として私が知る所になったのは、先生。彼が接触した事を連邦生徒会に報告し、その報告書*2を私が閲覧したからよ』

 

『……あくまで、連中についてはその報告書に書かれてた内容以上の事は知らないってこと?』

 

『小鳥遊委員ちょ『長いからホシノで良いよぉ』……ホシノのように以前から知っていたわけではないし、その以前という足取りも追えていないわ』*3

 

 リオ会長の珍しい溜め息混じりの言葉から、彼女がきっとこれまでにゲマトリアについて調べてくれていた事が窺えます。

そしてその頑張りでも、ゲマトリアという組織の手掛かりが見つけられなかったという事も。

 

『私が知っているのは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、という話だけよ。キヴォトスに根付いた神秘について独自のアプローチで研究している組織。それぐらいね。本当に何も分からないの』

 

「じゃあその、黒服さんとかゲマトリアって組織が今どんな風にしてるかを見かけたら報告してもらうとかっていうのは」

 

『残念だけど、これまで不可能だった事を今すぐには出来ないわ』

 

 リオ会長が困ったように眉間に力を入れられました。

その様子からも本当に()()()()()()なのと、悔しさが伝わってきます。

 

「被害への補填、という役割を果たすつもりがあるなら潤沢な資産や企業の後ろ盾はあるかもしれない。話に出たカイザーとの協力関係だって、聖杯戦争に関しては不確定とはいえ以前には確かに繋がっていた。けれど、()()()()()()()()()()()調()()()()()()()。恐らく彼らは私達が思っているずっと入念にキヴォトスという社会に溶け込んでいるのよ』

 

 これまで先生の報告書に名前が載るまで、キヴォトスで全く知られていなかった謎の組織。

彼らの動きを追うどころか、その足跡さえ見つけられないのが現実でした。

 

「相手の足取りが追えない以上、本人と話をして少しでも情報を引き出さないと調べるべき物も検討がつかないね」

 

 ウタハ先輩が疲れたように背もたれに寄りかかってため息を吐かれましたけど、私も同じ思いです。

せめて先生がいてくれたら直接お話が聞けたのにと思いつつも、今できる事、今考えるべき事をなんとか捻り出していきます。

 

「あとは……黒服さんの言うフランシス、という方が聖杯戦争について研究していたらしいですし……その方が怪しいでしょうか?」

 

「飛鳥馬トキに召喚についてレクチャーしたのもそいつという話だったな?それにアーチャー陣営は独自にマスターの令呪やマスター権を移動する技術を持っているという話だった……もしそれもフランシスとかいう奴を経由してなら」

 

 聖杯についてフランシスという人の技術を元にしている場合、最悪の事態というのもあり得るでしょう。

たとえば、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、とか*4

 

 とはいえ、それについては今すぐの警戒はいらないでしょう。

なにせ、マスターになったら拒絶反応とタイムリミットという大き過ぎる問題を抱える事になります。なにより、まだどの陣営も健在どころか聖杯陣営まで出てきた状況。

漁夫の利なんかとてもじゃないですけど狙えません。

 

 ですが、聖杯について研究していて、監督役である黒服さんが何度も招集を呼び掛けている相手。

良い機会ですし。

 

「いっそフランシスさんや黒服さ『少し良いだろうか?』セイア様……?」

 

しっかり話し合っておこうと思ったタイミングでのことでした。

 

 

 

『───君達に話しておくべき事がある』

 

 

 

静かに、その場の空気をセイア様が引き継がれたんです*5

 

 

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『結論を伝えよう。私は、一度だけゲマトリアと呼ばれる彼らと接触した事があるんだ』

 

 語り出されたその内容に思わず驚きを隠せなかったのは私だけじゃありません。

セイア様と以前からお付き合いがあってお友達なのだと、恥ずかしそうに照れながら教えてくれたハナコちゃん*6*7も目を丸くしています。

 

『どうやって会ったかについては説明を省こう。余計な混乱を招く必要を私は感じない……強いて言うなら、エデン条約。あの一件の時、と言えば君らも私が言えない理由が分かるかな?』

 

「……それを補習授業部(私達)に言うということは詳しく説明する気はない、ということですか?」

 

『おや?ハナコ()にしては珍しく察しが悪いね。()()()()()()……とにかく、その際に君たちのように丁重な関わりというのされなくてね、どうにも手荒く扱われて袖にされてしまったよ。それが彼らのやり方なのか、それとも……いや、あの女だけなのか。とにかく私にそれを確認する術はもうない』

 

 セイア様がどうしてゲマトリアの方々と関わる事になったのか。

気になりはしますが、エデン条約と仰られるのであれば、かなり慎重に、そして混みいっていて説明しにくい話なのは理解できました。

 

 だから私達補習授業部は静かに話を待ちますし、そんなトリニティ生の姿を見て察してくださったのか他の皆さんも黙って待ってくださります。

ちなみに古関先輩は目を白黒させていました*8

 

「なるほど!潜入ミッションでランダムエンカウントしたんですね!リオ会長達でも見つけられなかった相手を……まるでシーフです!』

 

 緊迫した空気の中で跳ねたのはアリスちゃんが手を叩く音でした。

納得したと言わんばかりに目を輝かせる彼女は、セイア様へ期待の視線を向けています。

彼女らしい、自分の大好きなゲームに喩えての表現*9

けれどそれに慌てたの残るゲーム開発部のみなさんでした*10

 

『し、シーフかい……?これはまた随分と……』

 

「ちがっ!?あ、あの……ぃ、今のはゲーム!ゲームの職業なんです!」

 

「そうなんです!アリスちゃんはちょっとつい、大好きなゲームに喩える癖があって!」

 

「そのまんまじゃなくてね!良い意味!良い意味で泥棒みたいって!「バカ!全然フォローになってないでしょ!」良い意味って言った!良い意味って!」

 

「あはは……」

 

 ノーカン!と叫ぶモモイちゃんに思わず笑ってしまいますけど、実はちょっと助かっていました。

彼女達の華やかな会話に、緊張気味だった肩の力も良い感じに抜けたのは私だけじゃありません。

 

『……すまぬ、セイアよ。今の言葉は間違いなく、お前への心からの敬称としてアリスは贈ったのだ。我が保証しよう』

 

『……いいや、良いさ。私もそういうのは嫌いじゃない。好きに呼んでくれたま「はい!ではシーフよ!アリス達に隠されたメッセージを明かしたまえ!」……あー、話を戻すが』

 

 アリスちゃんが意気揚々と言うものですからちょっと出鼻を挫かれたセイア様でしたが、咳払いを一つ。

そこから切り替えるように話始められました。

 

『一度の邂逅から、少なくとも私から見てゲマトリアという存在は好ましくない。()()()()()()()()()()()()()()

 

「それは……っ」

 

 セイア様の話を聞く限り、間違いなく彼女にとってゲマトリアという組織との邂逅は決して良い思い出ではありません。

 

『だというのに君達の中には黒服という大人を限定的であっても信用出来るのでは……そういう気持ちがある者がいるね?』

 

恐い、そう口にされるまでに。

だとすると、やはり黒服さんについては信用しない方が良い。

私の勝手な思い込みやこれまで受けたイメージだけで考えて行動するのは危険だ。

 

 

 

 

 

 

『───故に私はそれこそが最も肝要だと思う

 

 

 

 

 

 そんな私の思考に待ったをかけたのは、他ならぬセイア様ご自身でした。

 

『人が人に見せる側面は様々だ。状況や時間、立場や内面。そして相手によっても人が人に思う印象というのは多寡はあれど違いが生まれる。その人物が全ての人間にとって同じように認識されるなんていうのは不可能だ』

 

 セイア様の言われることは難しいです。

でも、なんとなく分かる事、理解できる事がありました。

 

『だからこそ、君達自身が相手と話し合って黒服という人物像を見定める事が求められる。君達が、()()()()()()黒服という人物がどういう存在なのかを双方の関係性の中で導き出す。それこそが大切な筈だ』

 

 人と人とが付き合う中で、人間は簡単にすれ違ってしまったりします。

大丈夫だと思ってもちゃんと話し合わないと、大失敗しちゃったりします。

私達はそういう生き物で、それをこの聖杯戦争を通して何度も実感しました。

口に出して想いを伝え合って確かめる。

簡単なことだけど、でもとても大事なのだという事を。

 

『私達が悩むのも不安に思うのは健全な精神活動だ。そしてそれを話し合うのも必要だろう。事実、今回の会議で色々な可能性の泡沫が私達の前で明滅した。だが同時に、その議題の中心というべき本質をまだ欠いている』

 

 そして今、ちょっとずつ話してた事も煮詰まって、色んな話もどんどん出てきた中でセイア様が声をあげてくださったのはきっとそういう事なんです。

恐いと、そう仰っていた相手だっていうのに、でも私達が最初に言っていた『疑いたくない』と感じていたその気持ち。

黒服さんと直接話をしたり、助けてもらったり、そういう経緯がありました。

少なくとも私にとって黒服さんという人は色んな意味で複雑な相手なんです。

そんな彼と関わったから生まれた、彼を見る私達の目。

 

『ゲマトリアについても黒服についても分からない、となるとだ。私は君たちがこれまでしてきたように、まずは話に行ってみるというのも一つの手だと思う。何せ我々は、語らい合う事でこそ理解し合えるのだから。もっともその時間は些か少ないようだがね』

 

 そういう物がある、というのを忘れずにもう一度会って直接確かめておいで。

そう、セイア様は仰られたんです。

 

「……つまり、御託は良いからさっさと直接会いに行って為人含めて判断材料を掻っ払って来い……ってことでいいでしょうか?一言多いセイアちゃん♡」

 

『おや。それ以外にどんな風に聞こえたか教えてもらえるかい?泣き虫のハナコ』

 

「……相変わらず元気にお喋りできるようで何よりです♡」

 

『お陰様でね。恬淡と閑居な暮らしをするには私はどうやらまだまだ未熟に過ぎるらしい。なにせ、こんな私も彼の生徒だというのだからね。らしくするのもまた、涵養に与うだろうさ』*11

 

 珍しくハナコちゃんが笑顔ですけど全開で恥ずかしがってるのを見るに、どうやらセイア様の方が一枚上手だったようです。

でも一体どこでハナコちゃんは泣いてたのを見られたんでしょうか*12

 

『まぁ、おじさんも同じ意見かな?』

 

 セイア様の話が一区切りというタイミングで次に口を開かれたのはホシノさんでした。

彼女もまた、セイア様と同じように自分達の目で確かめておいでと仰ってくれます。

 

『昨日言った通り、おじさんは黒服と確かに付き合いがあった。だから為人っていうのかな、言える事もあるけど基本的にはマイナスの感情で、そしてそれは私の主観。何より聖杯戦争の監督役って立場のあいつについてじゃない』

 

 だから自分がどう思うかは言わないのだと、ホシノさんは片目瞑られました*13

そう、ちょうど昨日も確かにホシノさんは言ってたんです。

取引をするなら自分の先入観で邪魔したくない、だから最後の最後まで自分の出番はない、と。

 

『生徒会長ちゃんの言ってるのは大事な事だよ。自分の目で確かめる、見定める。何も黒服に限った話じゃない……どんな願いと想いを持って戦いに臨んでいるのか。ぶつからないと、言葉を交わさないと、行動を示さないと理解し合うスタートラインに立てないからね。あんな奴、相手であっても……ううん、言葉を巧みに使うアイツだからこそ、かな?』

 

「……自分達の目で、言葉で……」

 

『そっ。それにね?みんな。話すっていうはちゃんと大事な仲間ともだよー?分かってると思い込んで一人で突っ走るんじゃなくてしっかり言葉にして今みたいに話し合うのはすごく大切……だよね?アヤネちゃん』

 

『分かっていらっしゃるのなら……っ!どぉぉぉぉっして!さっきは!ああいう!ことを!』

 

『ちょ、ちょっと待ってよー、アヤネちゃん!うへー、うちのママ、ちょっとばかし厳し過ぎるかもぉ』

 

『誰がママですかっ!?』

 

 と、また通信が切れてしまう最後にウィンクがホシノさんから贈られたところでハナコちゃんは軽く手を叩きました。

話はしっかり聞いて、私達も考える事が出来ました。

何となくですけど、黒服さんとの関わりで抱えていた不安も消えた気がします。

だからそろそろ、次に進む時間です。

 

「さて♡意地悪なセイアちゃんはゲマトリアについて考えるなんて時間の無駄なんてことを一生懸命考えていた私達に言っていますけど♡」

 

『そこまでは言ってないさ。ただあまりにハナコが必死に喋るものだから紅茶が冷めてしまった、という話だよ』

 

「……ですが、一つ。そうであっても確認しなくてはいけない事があります♡」

 

 今日はみなさんの珍しい表情が見えるなぁと、青筋を立ててるハナコちゃん*14の姿をコハルちゃんやアズサちゃん達と並んで見ているとさっきまでの柔らかな空気がさっと引きました。

 

 

 

 

 

 

「セイアちゃん───貴女が会った、そして確認したゲマトリアの構成メンバーは何人でしたか?」

 

 

 

 

 

 

 鋭く、はっきりと。

ハナコちゃんは狙いを定めるようにその言葉を口にしました。

 

『っ!……ああ、これは一本取られたな。確かに思い込みはいけなかった。認めよう、こればかりは私と君達とで間違いなく差異があったね』

 

 目を見開いたセイア様は、すぐに薄く笑ってから完敗だと口にされます。

その意味は私達にはさっぱり分かりませんが、あまり気になりません。

 

「ゲマトリアについて考えるのは確かに現状不明瞭な事が多く、そして黒服さんと話が出来た機会は少ない、で・す・が♡」

 

 なぜってそれはもうハナコちゃんがご機嫌ですから。

 

「彼との会話を思い返してみて下さい。私達は既に監督役が一人でない事を知っています」

 

「……ん?……あっ!そういえば()()()()()()()……!」

 

「そう、彼は監督役について説明する際に我々と称していました。フランシス、という方は行方不明のようですがそれ以外のメンバーは監督役を請け負っているのかもしれません。そして彼らは確かに資金力はあるのもカイザーとの繋がりがあるのも確か、ですが♡」

 

 思い出すのはいつかの会話。

カフェで説明する時も、夜の廃墟であった時も。監督役について話す時、彼は決まって()()と言っていました。

そして彼自身が教えてくれた事。

 

「彼らは聖杯戦争という異常事態を明確なキヴォトスの脅威として認識している。それは間違いない筈です。つまり、彼らが本当に監督役として……聖杯を使ってキヴォトスに害を為す存在を認識しているのならば」

 

───我々は、聖杯戦争の参加目的が『キヴォトスの破壊』とするマスターについて聖杯戦争を監督する上での明確な『敵』と定義しています。

 

「そこから黒服さんが要求したい物もある程度逆算できます♡」

 

 そうであるとすれば。

監督役の仕事として私達と取引をしてでも引き出したい物があるとすれば。

 

「教えて下さい、セイアちゃん……貴方から見たゲマトリアはたとえばカイザーコーポレーションのような巨大な組織だったのか。それとも片手で数えられるほど少ないのか」

 

『……四人だね。ゲマトリアだと思わしき人物達は四人だったよ。そして、ああいった人物が他にも夥しい数がいるとは思えない』

 

「つまり、ゲマトリアとはかなり小規模な組織かもしれないわけです。となると、彼が取引の条件として私達に要求したい物が見えてきませんか?そう、他の陣営にではなく、私達同盟陣営としたい取引が、たとえば」

 

 

 

 

 

 

「───戦力。もっと言えば、数」

 

 

 

 

 

 

「はい♡恐らくはきっと、アズサちゃんが今言ってくれた通り。彼は私達の数を頼りにしたい可能性が大きい……私はそう思います♡」

 

 彼はもしかすると、監督役として敵と定めた相手と戦う為に、わざわざマスターである私達と取引がしたい、そう申し出た可能性が大きくなります。

 

「だけど、ハナコ先輩。私達の戦力を当てにするって言っても……じゃあ、それで何を?」

 

「そこまではまだ。ですが、取引相手の欲しい物。つまりゴールが見えたとなれば」

 

「話を聞きに行った時もそれを前提に探りを入れたり、交渉で良い結果を引き出すことも可能かもしれません!」

 

 ついつい、私がはしゃいでしまったのをハナコちゃんはしっかり頷いてくれます。

ゲマトリアという組織についても、他の陣営との繋がりが見えてきた事も、まだまだ分からない事は多いです。

ですが、ずっと引っ掛かっていた取引について。

この一点に関してパッと光が射したような、そんな直感がしたんです。

 

『あくまで仮定。そして他陣営ではなく私達にのみ取引を持ちかけてきている場合のみに限定されるわ。けれど一蹴するには現状の情報から考えてもあまりに非合理的ね。黒服は私達同盟陣営の戦力や手数を求めてくる可能性が大きい、それを考慮しておきましょう』

 

 リオ会長も心なしかウキウキした声で薄く微笑みながらそう太鼓判を押してくれます。

そうなってくれば、ますます気持ちも跳ねてくるものです。

 

「そう言えば……黒服さんに今日とか会うならあれも聞いておきたいですね」

 

「アレ……?」

 

「ほら!ホシノさん達が強欲のアーチャーさんから聞いた話ですよ!()()()っていうのとか先生のこととか色々ありましたけど、私は特に……」

 

 そうなると、さっきまで悩んでいたのが嘘みたいに彼と話してみたいことが浮かんでいます。

特にそう、私がずっと気になっているもの。

 

 

 

「シュロちゃんも言っていた予備システムについてがすごく気になっているんです!アーチャーさんの話を聞いた限りでは、二つある勝利条件のうちで犠牲がなく出来るみたいでしたし!」

 

 

 

『そうなんだよねぇ。あからさまにそれについて触れようとしたらアイツ、口止めされちゃったわけだし』

 

 いつの間にか通信が復活していたホシノさんも賛同してくれていますし、実際に黒服さんと会ったらしっかり聞いてみたい。

 

「予備システムって言い方ですし多分聖杯戦争自体か聖杯自体に関係する物でしょうからきっと黒服さんならって!」

 

そう、私は思ってはしゃいだ声を上げたところで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、君達は予備システムを使()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

低くて、力強くて、でもいつも穏やかで優しい人。

 

 

 

「───果たして聞く必要があるのかね?」

 

 

そんなスパルタクスさんが険しい顔をして私達に尋ねてこられたんです。

 

 

 

 

*1
バーサーカーは冷静であった

*2
連邦生徒会に公的文書として提出された以上、各学園の代表者がそれを読めるというのは別に不思議な話ではない。ないのだが、調月リオが果たして、大変煩わしい正規の手順を踏んで読んだかは……ここで言及するのは避けるとしよう。少なくともあの手順に合理性は感じ難い

*3
実はちょっと緊張気味に名前を呼んだリオであった

*4
……実に不愉快な話にはなるが、そういう可能性は常にある。聖杯戦争のマスターになるという事はそういう事なのだ

*5
実はどのタイミングで話し出すか、ちょっとソワソワしながら待っていた百合園セイアであった

*6
それはもう見てわかるほど内心の嬉しさを隠すために饒舌に話したという。浦和ハナコは実に不器用なのだ

*7
……

*8
哀れ、古関ウイは状況に着いていけてなかった。それはそうだ。自分のところの政治家が堂々と秘密結社の人間と会ったと言い、しかもかなり緊迫した関わりを持ったというのだから。もう勘弁してくれ、それがウイの心の叫びだった。勿論誰にも届かないのだが

*9
ここで言うシーフとはRPGでいう斥候。アイテム獲得や探索能力、隠密行動に優れた職業のことを指す、と思われる

*10
もっとも一般的にthiefは泥棒である。当然そんな単語をアリスが、事もあろうか他校の生徒会長に言ったので慌てた3人であった。如何に無断でカジノを開いたりクラブを作ったりする彼女達であってもそういった良識は兼ね備えていたのだ

*11
セイアは絶好調だった。なにせ可愛い後輩であり良き友人をおちょくれる良い機会だったからだ。口も回るのだ

*12
ヒント:ヒフミが入院したのを聞いて自分から志願して病院内の警護を預かった某()()生徒

*13
ちょっと可愛いな、あの仕草……そう思ったリオとアズサであった。この2人の精神年齢は強度の方向性に違いはあれど似通っている面があった

*14
アリスとコハルは抱きしめあって恐怖に耐え凌いだ。弱きものであった





1じゃんね☆
今回はトリニティワンパクフォックスじゃなくてトリニティセンパイフォックスなセイアちゃんじゃんね☆
本当、EXPOで実装したの嬉しかったけどまさか当時はあんなに元気に走り回る一面を見せてくれる子だとは思いもしなかったじゃんね☆

ミノリちゃんとスパさん、仲間になるのがだいぶ後の方になったし他のメンバーと比べて横の繋がりが薄い子だからどんな風にお喋りしてもらおうかなぁって悩んでたじゃんね……だからこれ書いてる時にもらった安価な内容には助けてもらいました、じゃんね☆

⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎の同行者を選択して下さい(〜4/30.1:23)

  • ハーリングのセイバー
  • フィレンツェのアーチャー
  • 楽劇のランサー
  • 維新のライダー
  • 白備えのキャスター
  • キラキラのアサシン
  • 民話のバーサーカー
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。