……面倒なことしてくれたな、アイツ
「お前はさっきから願いを聖杯に叶えてもらう物だけに限定している。だが、願いは何も聖杯に叶えて貰う事だけじゃない」
ミノリさんの言葉に私も掌を叩きたくなっちゃいます。
確かに言われてみるといつの間にか、彼の否定の仕方が徐々に
「と言いますと?何せ我々が参加しているのは聖杯戦争。それにあって基本的に願いとは、聖杯に叶えてもらいたいが故に、でしょう?」
実際、黒服さんの言われる事はもっともです。
聖杯戦争なんて殺し合いに参加するのにはそれだけの動機が。
つまり聖杯にお願いしたい願い事がある、というのが基本でしょう。
「
でも私なんかが良い例ですけど、別に聖杯に何かお願いする事がないマスターだっています。
というより、巻き込まれた身としてはそんな物持っている筈がないんです。
なにせ、成り行きの中でなんとか目の前の状況に対応するだけでも精一杯なんですから。
初めから聖杯戦争を知っていて、望んで参加したわけじゃない以上、どうしたってそこら辺は仕方ありません。
「それを考えるとこれまで私達が質問しては否定なされてきた黒服さんの願いも怪しくなってきますね♡だって、貴方はずっと聖杯で叶えるかどうかを基準にされてきましたから。まるで」
それは私からすればある種当たり前。
でも黒服さんは敢えて、さっきから聖杯で叶えるか否かに焦点を当てだしている。
「───そういう願いの在り方に目を向けてほしくないみたいに」
思考と会話の誘導。
自分の思う結論に話を持っていく為に、前提条件をすり替える、ブラックマーケットなんかでよく見かける手法です*1。
「普通に考えれば貴方の願いの在り方がソレなんでしょうが、それについてはまた後ほど♡ではご開帳ぉ♡……先ほどまでの回答に虚偽はありますか?」
優しい言い方から一点。
穏やかですけど有無を言わせぬ力を秘めたハナコちゃんからの問いに黒服さんは笑っておられました。
「クックックッ……ありませんね。お伝えした通り、監督役としてその言葉に虚偽を挟む余地はありません。尤も、多少の誘導があったのは認めますが」
当然ながら謝罪はなし、です。
これぐらいの腹芸は仕掛けられるし、対応しなくては話にもならない。
そういう事なんでしょう。
「なら改めて教えろ。お前の願いはゲマトリアやお前自身の研究に関わるものか?」
「いいえ。聖杯戦争そのものへの関心もそれを通した観察によって私の研究にフィードバックするのも、或いは無名の司祭。彼らが遺した先史的な成果を解き明かすのも、あくまで私の手で行い、私自らにとって益となるか否かで言えば是と言えます。ですが」
一度区切ってから黒服さんは指折り数え始めます。
「神秘、恐怖、そして魔術。これらはあくまでも観察対象でありアプローチの一つ。崇高という結果への道筋を紐解く為の手段でしかありません。そして聖杯戦争もそうです。偶然発見した新しいアプローチですが、私個人が主軸にするかと言われたら否でしょう」
なるほど、さっぱり分かりません。
けどとりあえず彼にとって聖杯戦争は目的じゃない。
それだけはハッキリしましたね。
とはいえ、本当に分かりにくいですけど。
「えと、つまり……あの……」
専門用語を並べて煙に撒くというのもまた弁証のテクニックですけど、煙どころかコハルちゃんの頭からは湯気が出ちゃってます。
「難しくお話過ぎましたね。私はあくまでも聖杯戦争と聖杯自体を主軸として私のライフワークである研究を進めようとは考えていない、そういう話ですよ、下江コハルさん」
「じゃあ、そう……どうしてですか?そんなに一生懸命研究に「そこまでにしましょうか」……はぅ……」
そう、コハルちゃんの言葉は核心を直接尋ねるストレートな物。
それを聞いてしまうと、黒服さんは答えなくちゃいけません。
そうしたら多分どんな形にせよ答えが出てしまう。だから止めた。
「貴女の疑問は尤もです。私個人の関心の中に聖杯戦争に介在すべき動機が見当たらない。実に良く整理出来ていますよ。貴女はどうやら与えられた情報を元に自分の中にある判断基準と照らし合わせ考える、そういう力がお有りのようだ」
答えは
「少々疑問を口にするのが早いというのはありますが、反面それもまた真理を追求する人間としては実に好ましい性質です。交渉には不向きなのは間違いありませんがね」
つくづく、この交渉を楽しんでくださっているようです。
全然ありがたくないです。
それにコハルちゃんも涙目で困っちゃってます*2
「あぅぅ……は、はなこぉ……」
「はいはい♡黒服さんはコハルちゃんはよく考えてるよーって褒めてくれてるんですよ♡」
「そ、そうなんだ……ならその……ありがとうござい「うちのコハルを口説くな、黒服」あ、アズサぁ!」
「そうだぞ、黒服。コハルが優秀なのは見るまでもない。今更一々うちの子に擦り寄るんじゃない」
流石アズサちゃんとミノリさんです。
私が出るより先にハナコちゃんに頭を撫でられているコハルちゃんの前に二人して立ちはだかってくれます。
「これはこれは、保護者の虎の尾を踏んでしまいましたか。ゲマトリアも解散しましたし、次のアプローチがてら将来有望なトリニティ生とのコネクションを、と考えていましたが」
「……ゲマトリアが、解散……?」
その意外な言葉に思わず、私もつい口を挟んでしまいました。
想定なんて全然していなかった言葉。私達が監督役というのが何となくですけど、ゲマトリアという組織自体で構成されていると思っていた予想が外れてしまったものですから。
「おや、熱心に考え事をされていた貴女が口を開かれるとは……どうやらそれほど気になる言葉だったご様子ですね?阿慈谷ヒフミさん」
「あはは……つい」
「構いませんよ、別に隠し立てする話でもありませんので。ええ、先日の虚妄のサンクトゥム。皆さんの記憶にも新しいあの一件で我々は壊滅的な被害を受けまして」
空が真っ赤に染まってハナコちゃんが先生の助けになる為に頑張って*3、コハルちゃんが正義実現委員会の一員として大活躍して*4、私とアズサちゃんが大きなペロロ様を目撃したあの日*5。
なんでもゲマトリアという組織も壊滅なさったのだという。
「幸い人命という意味での損失は軽微でしたが、それでも我々が組織を存続させる事が今まで通りにとはいかなくなりました。ですので一度解散という形を取っているのです。既に終わった話ですが……」
「ゲマトリアは既にない、貴方はその組織の人間ではない……そう考えて良いでしょうか♡」
「社会人にとって所属とは個人の存在を証明する、と覚えておくのがよろしいかと。ああ、それを考えればあの日の被害を補填する為、若しくはあのような事態に備える為に聖杯を使うというのもなくはありませんね。実にナンセンス、ですが」
「ナンセンス、ですか?」
「失った物をそっくりそのまま手に入れたい、実に人間らしいプリミティブな願い。ですが、一度失われたのなら、それを取り戻す過程も楽しんでこそ有意義とは思いませんか?」
なるほど、ちょっとだけ言わんとしている事は分かります。
たくさん勉強して、努力してテストに臨もうとしてたのに、それを受ける前にテストは受けなくて良いし単位もあげる。
「少なくとも私はその過程を楽しんでいて、だというのに聖杯でそれを一息に取り戻してしまっては……あまりにもスマートさに欠けます。時間単位で見れば合理的ではありますが、何よりここまでの時間が無駄になるという観点で見れば実に不愉快です」
そんな風に言われたら、ありがたくはありますけど肩透かしを感じちゃいます。
一生懸命してた時間があればあるほど、その気持ちもより一層でしょう。
「研究とは遅々として進まず、結果はいつも遠い先にある。本当に儘ならないものですが、だからこそ探求するに足るのです」
黒服さん、という方の為人が少しだけ見えてきた気がします。
この人は多分、骨の髄まで研究者気質なんでしょう。
「何せ、分かりきった解であればそもそも探す理由も意味すらないのですから。少なくとも、私は知りたいという人間らしい欲望に焼かれた身として、その過程にも楽しみを見出していますから」
気になる事、知りたい事は多分倫理的に間違っていても必ず答えを知ろうとする。
そういう悪い大人なのは間違いありません。
直感さんも気をつけろってそう言ってくれてます。
「私の研究に聖杯を使うという過程は不要なんですよ、阿慈谷ヒフミさん。小鳥遊ホシノさんやアビドスといった極大の神秘とそれを用いたアプローチ、嘗ての私の試みがそうであったように」
でも、そんな研究に対しては物凄く真摯な方なんです。
なんというかズルして答えを知るのは好きじゃない、そういう人なんだと思います。
「契約は常に緻密でなくてはならず、双方の合意に基づくものであるべきというのが私の考えです。大聖杯……アレはそういう物ではありません。ええ、嘗てのアレであれば手放しで賞賛しよう物であったのに。万能の釜になぞなった今、ハッキリ言って実に面白みに欠ける」
さて、そろそろ気になる点は出尽くしましたかね。
随分たくさん聞けましたから、彼のパーソナリティにしろスタンスにしろ、把握できる範囲はしっかり抑えられた気がします。
「アサシンさんの願いは?……あ、あの……えと」
コハルちゃんの質問はついさっきの会話にもあった、アサシンさんの願いを叶えたい、という部分。
こちらについては、確かに彼のサーヴァントの方をしっかりと道具とかではなく一人の人物として関わっている姿から可能性があります。
それにアサシンさんの願いも確認できたらありがたいところですしね。
「聞かれていますが、如何です?」
「阿呆、お前が叶えたいか否かであろう。つまらん事を私に聞くな」
「クックックッ……そういう事でしたら、僭越ながら私の口からお答えさせて頂きましょうか」
今度はフラペチーノを虚空から取り出して飲んでいたアサシンさんがつっけんどんに答えられます。
新作ですね、私はまだそれ飲めてないやつです。
「確かに私はマスターとしてアサシンの願いを叶えたい、そういう思考自体は存在します。ですが、彼女自身の願いは聖杯でおいそれと叶えられる物ではない」
「許せよ、私とて人並みには感傷を懐くのだ。とはいえ万一叶えられるとしても誰かを害する、というような物ではない。そしてそれを叶える機会というのは存外、これから先の百年のうちに転がっていそうでな……異邦の地で好き放題出来るほど私も幼くはないのだ」
「ええっと……その、じゃあ?」
「つまり彼女の願いを叶えるというのは私にしろ彼女自身にしろそこまで積極的というわけでもなければ、態々聖杯を使ってまでという思索もありません。これもまた一個の確立された自我を持つサーヴァントとの円滑なコミュニケーションを私なりに図った結果、なのかもしれませんね」
こちらも結局、外れてしまいました。
それにアサシンさんの願いが実際にどんな物なのかというのも分かりません。
ただ一番肝心な所は、アサシンさんの願いは黒服さんの願いそのものとは関係ない。
そして聖杯戦争中に重要視されない。
この二点をしっかり確認できました。
「さて、随分と長く話してしまって後回しになりましたね。お待たせしてしまいましたか?阿慈谷ヒフミさん」
「いいえ、ナイスタイミングです。ありがとうございました、黒服さん」
「いえいえ、貴女の熟考が実る一助となれたのならこの時間も無駄ではなかったでしょうから。それもまた監督役の、そして未熟な貴女達に先立つ我々の務めでしょう」
態とらしい嫌味にも聞こえるそれに苦笑いがでちゃちますけどここは大人の度量というやつで許してもらいましょう。
「なら最後に一つ、甘えても良いですか?」
「最後と言わず、と言いたいところですが折角大見得を切られましたからね。良いでしょう、ダブルタップで見事仕留めて魅せて下さい」
二発。
この質問を含めて二回の会話で終わらせてみせろと彼は言います。
良いでしょう、望む所です。
「では、お言葉に甘えて。黒服さんの監督役を全うする、役割を遂行するというのは……あくまでもそれも含めて監督役としてのお仕事で間違いありませんね?」
「クックックッ……ええ、その後に続く言葉も含めて正解とお伝えしておきましょうか」
「なら良かったです!いえ、全然良くはないんですけどね」
そう、正直に言えばこの後のことを考えれば最悪です。
でも仕方ありません。そうとしか考えられないんです。
「それはそれは、申し訳ありません。ですがそれもまた性分ですので。では改めて回答を、私の願いとは何か?貴女が見つけておられた答えをお聞かせ下さい」
ここまで沢山質問してきました。
でも正解は見当たらなくて、だけどそれまでの言動から彼はとても真面目って言えるぐらい監督役というお仕事に向き合っている。
動機がさっぱり分からない。
「黒服さん、貴方の願いは」
「───ないんです」
だったら答えは、そもそも存在しない。
黒服さんに個人的な願いというものは存在しない。
そうハッキリお伝えしたタイミングで微かに彼は嗤いました。
ならおまけでもう一つ、ここまでの質問があったからこそ特定できた事もお伝えしましょうか。
「正確に言えば聖杯戦争に賭ける願いなんて物はない。だって貴方は」
それは聖杯戦争に対する願いについての考え方。初めから聖杯戦争を知っていて、自ら望んで参加した人間とそうでない人間で出来てしまう違い。
もちろん、全員が全員そうじゃないでしょう。
望外なチャンスと捉えて、前々から持っていた願いを胸に戦いに臨むマスターもいるかもしれない。だけど多分、黒服さんは違うと思うんです。
「
こっちは根拠に乏しい、ハッタリですけどね。
「はあぁっ!?ひ、ヒフミ!?ちょっと何言ってんのよ!だってこの人は監督役で!しかも聖杯を研究してたって人とも知り合いで!」
コハルちゃんの言う通り。
黒服さんは監督役で以前の話でも聞いた通り。
彼は元々、聖杯について研究されていた方とお知り合いなのは間違いありません。
「ええ、ですから」
でもその前提条件と、巻き込まれたか否かは関係ありませんからね。
あくまでも情報として知っていた、それか知ったのは聖杯戦争が始まってからだってその話は通っちゃいますし。
何より、巻き込まれたのなら説明出来ちゃうんです。
「この人はフランシスさん、でしたっけ?その知り合いの方がした不始末を片付ける為に監督役のお仕事をなさっているんだと思います」
願いがなくてもそれなら、一生懸命監督役をされているのも頷けます。
だってこの人は研究者ですから。
同僚の方がした実験の失敗を、誰かが後始末しなきゃいけないなら見過ごせる筈がない。
そういう研究者としての
まあ、あまり人道的なそれではない気がしますけど*6。
それに後始末云々は何方かと言えばプライドとかに関わってくる話ですしね。
「はぁぁぁ!?い、命懸けて?知り合いの尻拭い!?な、なんで、なんでそんな!?」
「良い推理ですよ、参考までにいつからお気づきになられたか聞いても?」
「ぃええ!?な、なんで!?ここまで考えて「はーい♡コハルちゃん、お口チャック♡ですよぉ」むぅぅぅ!」
「最初からです。貴方の言動は驚くぐらい誠実でした。例外はアサシンさんの行動ですけど、私の時は聖杯戦争に関する目撃者の排除。次は……物凄く言いづらいですけど単純に手綱が握りきれていなかった、でしょうか?どちらも聖杯戦争序盤の話ですし」
コハルちゃんが口を塞がれて叫んでるのは一先ず置いておいて、肝心なのは黒服さんのこれまでの言動。とにかく誠実な監督役のお仕事をしてくださってきた現実が重要なんです。
「……どうぞ、続けて下さい」
「それら例外を除けば黒服さんは私達と敵対した事もなければ、危ない所を助けても貰っています。私達が聞いた事に関しては嘘なく答えて下さっています」
マスターであるのに監督役。
正直言って、今でもすごく怪しいです。
だっていうのに。
「貴方はそれこそ、セイバーさんが驚くぐらい真っ当な監督役をしておられていました。それこそマスターである理由、聖杯戦争を戦う為の動機が読めないぐらい」
彼は私がマスターになってからは一度も裏切るような行為を働いていない。
もっと言えば徹底して中立を維持してきた。
そして、さっきまでの話が嘘じゃないならマスターとして戦うつもりも殆どない。
「だから考え方を逆転させたんです。監督役としてのお仕事をする徹しておられて、貴方のこれまでの言動からマスターとして戦う動機である願いが分からないっていうのなら」
だから本当に義務感とかそういう感じなんだと思います。
とにかく聖杯戦争という殺し合いの監督役を最後までやり遂げる。
「そもそも動機なんて物ないんじゃないかなって。もっと言えば聖杯戦争にあたって貴方はマスターとして懐く物はない、強いて言えば監督役として役目を果たす事自体が目的なんじゃないかって」
でもそれが願いっていうのは、少し無理があります。
小さい子が色んな仕事に夢中になって大きくなったら何々になる、なんていうのとは訳が違う。
「おや、貴方の話だと私には目的、動機がなかった筈では?」
「戦って最後の一組になる、そういうマスターとしての動機です。貴方は徹頭徹尾、監督役としての動機しかありません。ですが監督役になる事、つまり中立の立場を貫く事に大きなメリットもありません」
メリットどころかマスターとして戦う事もしない、ただ拒絶反応のデメリットだけを受けて仲間も作れない。
「最初に特権はないって教えてもらいましたし、何よりここまでのハナコちゃん達との会話でそれは証明されたような物ですから。だったら残っているのなんて」
そんな監督役を最後までやり遂げようとするのなら、残っているのは。
「義務感とか使命感とか。あとは誰かに代わって監督役をしなきゃいけない、そういう後ろ向きな事情があるから……ぐらいかなぁって」
それこそ後始末をする為に、ぐらいでしょう。
「でも後ろ向きだったとしても、貴方はきっとそれを受け入れて楽しんでるんですよね?だって、貴方は過程にも楽しみを見出せる人だから」
「クックックッ……ええ、当たりです。私はフランシス、彼がしていたサーヴァントの研究とそれによって偶発的に起こってしまった聖杯戦争の後始末をする為に監督役を引き受けただけですよ」
果たして正解は、だなんて考えるよりも前に彼が答え合わせをして下さいました。
「ご存知でしょうが、起動してしまった大聖杯を完全に停止させる術というのはほぼ不可能。それこそ先ほどあなた方が言われた予備システムの起動に伴う大聖杯とのアクセス時に干渉する極めて困難な手段か、顕現した大聖杯自体を破壊する以外にはありません。それはアサシンの手腕あってもの話です」
令呪三画かそれ以上のバックアップあって漸く可能になる干渉。
ちょっとつまらなそうにしているアサシンさんであってもそれだけのサポートがないと難しいのだと言います。
「勿論、大聖杯がある場所をまとめて吹き飛ばすというのもなくはありませんが……あまりおすすめ出来ませんね。私も先生と敵対したいというわけではありませんから」
また一つ良い情報をもらいましたね。
どうやら大聖杯がある場所は吹き飛ばすと先生と敵対する事になるらしいです。
そして私達は大聖杯が何処にあるかなんて全然分かりません。
「聖杯を止められない以上、私に出来る事は今次聖杯戦争を含めてこれから将来にわたって起こり続ける全ての聖杯戦争において、監督役という中立の立場を貫き、管理、運営する。そうする事で聖杯戦争によるキヴォトスへの影響を可能な限り抑えた形で戦争を行い、いずれ解決する手段を見つける……それが私なりの」
「今は無きゲマトリアに所属する研究者としての責任の取り方です」
「……改めて確認させて下さい。もし仮に最後の一組になってしまって聖杯を獲得したらどうなさるおつもりでしたか?」
「お伝えした通りどうにもしませんかね。何せ願いらしい願いはない物ですから。精々使わなければいけないとしたらアサシンの完全な受肉でしょうかね。私の肉体を介した聖杯からの魔力供給さえ無視できれば、彼女ほど頼もしい存在はいませんから」
「これより先もこの阿呆に付き合うと考えると、如何な儂も気が滅入るがなぁ」
「クックックッ……私の台詞ですよ、いえ、本当に」
本当にこの人はとことんまで聖杯戦争と付き合っていくつもりだったようです。
「さて、私からお伝えできるのは以上となります。私に願いはなく、聖杯が停止できない以上続いてしまう聖杯戦争にあって監督役であり続けなくてはいけない以上」
マスターか否かなんて関係なく、フランシスという方が残していった聖杯戦争と大聖杯という負の遺産の後始末をする為に。
「これから先もどれか一つの陣営に肩入れをして中立でなくなる事は出来ません。私は監督役として中立を貫かなくては責任を果たせない。ですがあなた方は私とアサシンの協力が必要」
だからこそ中立を維持し続ける。なにせ彼がどこかの陣営に肩入れしてしまえば、次から信じてもらえなくなるから。実に分かりやすいです。
つまり彼は、どれか聖杯戦争で各陣営の中から一つの陣営には協力できない。そう言っているわけです。なんて本当に分かりにくいんでしょう。
「この後もお話をされるのでしたら、是非素敵な誘い文句をお願いしたい所ですね」
さて、そしたらこの後は───。
1じゃんね☆
もうちょっとだけ黒服とのお話は続くけど、ひとまず!黒服の願いが判明したじゃんね☆
黒服の願いは「なし」じゃんね☆
黒服がラスボス候補にいないのはそもそも彼自身が聖杯にも願いにも執着してないからじゃんね☆
黒服がやりたい事はもっとずっと彼個人のものじゃんね☆
だからアサシンは青臭いなぁって思いつつ付き合ってくれてるじゃんね☆