阿慈谷ヒフミは聖杯戦争に参加するようです   作:1じゃんね☆

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いっつつ……。
アコちゃん!もうちょっと優しく包帯巻いてよ!
あいたっ!うぅ……くそぉ……便利屋めぇ……!
次は必ず……!

……は?なにそれ。
そんな命令!委員長が黙ってるわけ───ッ!?


【4日目】
Tsukikage(1)


 

「ご注文がお決まりになられましたら、ベルでお呼びくださいっ」

 

 巨大樹「神木」*1の麓、堀の役割を持つ運河が縦横に走り、その風光明媚な景観から観光地としても名高い「百鬼夜行自治区」。

その外郭にある商店街の一画。

 

「まだ相手は来ていないか」

 

そこにあるキヴォトス内でも有数の人気喫茶店「百夜堂」*2

それが今回アリスちゃん───「天童アリス」ちゃんと彼女が所属する「ゲーム開発部」が、私達と会って話すのに指定した場所でした。

 

「少し遅れるかもって連絡があったじゃない」

 

 来店後に通された、他から離れた場所にある座敷からぐるりと店内を見渡す。

老舗、と伺っていた店舗は思いの外、和モダンな内装で。

ただ、分厚く年季の入った一枚板のカウンターテーブル*3や洒落た椅子に貼られた革の上質さ、そして店員の方の華*4がありながらその瀟酒な雰囲気を決して崩さぬよう計算し尽くされた接客。

まだ味こそ確かめていませんが、百夜堂が人気店としてトリニティでも話を聞こえてくる理由を察してしまう。

 

「あはは……どうしてもミレニアムからだと時間もかかりますし、特に百鬼夜行は観光名所なだけあって電車で来るにしても混み合いますから」

 

 彼女から数分前にあった連絡、その切り際に聞こえてきた、「うわーん!*5乗客の人が多すぎます!このままではアリス、約束の時間に遅刻してしまいます!」「負けちゃダメだよ!アリス!ほら!手を繋いでっ!」「はいっ!アリス、モモイと手を繋ぎます!」……と友達と必死に改札を抜けようとする*6声やモモトークに残っている「アリスは道案内を間違えました」等からまだあと10分弱は来れないことは予測できた。

 

『そういう事だし、少しゆっくりするのはどうかな?僕らが今できる事は待つ事だけなのだから、力は温存しよう。……勿論、心もね』

 

僅かな緊張を見抜いてか、昨日と同じくスピーカー越しに話す体で霊体化したまま会話へ参加するセイバーさんの言葉に頷きを返しながら、少しだけ思案する。

 

「(不思議な気分です)」

 

 もしかするとこれから来るのは聖杯戦争に参加しているマスターかもしれなくて、それはもしかすると「敵」なのかもしれません。

けれど、私の中にあるのはアリスちゃんと過ごして、一緒に「イタズラ☆ストレート」*7で活動した、友達として過ごした時間。

 

 だから、聖杯戦争のマスターとしてはあまり良くないかもしれないけど、心は前向きに、彼女達と会うのが純粋に楽しみなところがありました。

 

「それならお相手が来られるまで少し、今回お話する内容についてを改めて「おんやおやぁ?」……あら?」

 

ハナコちゃんの話が、どこからともなく遮られた。

 

 風鈴が鳴る。

蝉時雨が遠く聞こえる。

祭囃子が煩く迫る。

昼間だというのに、嫌に冷たい空気が肌に障る。

 

蝋燭の火がぽつりと、灯ったような気がした。

 

「これはこれはぁ、観光客の方々ですねぇ?」

 

 小柄な少女がいつの間に座敷に座っていた。

瞬間、セイバーさんの気配が強くなる。

いつでも出れる、4人の前へと躍り出ると無言のそれが示しているのを肌で感じる。

ナツちゃんの時とは、明確にセイバーさんの対応が違う事実に喉奥に迫り上がるような不安を覚えた。

 

目の前の少女は気が付かないのか、気にしていないのか。

 

「わざわざ、こぉんな遠くまでねぇ?遠路はるばる()()()()()()()御足労頂いて、百鬼夜行の住民として嬉しく思いますよぉ」

 

 にたり、にたり。

笑みを浮かべて、目は割いたように弧を描いて。

笑う、嗤う。

 

「見れば手前様方、お時間がある様子」

 

言葉だけは丁寧なそれだろう。

だけど、空気が違う。

決して、この長閑な喫茶店で感じる物じゃありません。

隣に座るアズサちゃんは得体の知れないナニカを感じとってか、既にその姿勢は臨戦へと向かっています。

 

「どうやら手前様方、御連れ様がまだ来られないで暇してると見ましたよぉ」

 

かんらからから。

鈴は嗤う。

ほらどうです?

合っているでしょう、当たっているでしょう。

知っているぞ。

知っている知っている知っている。

 

私は。

 

お前を。

 

知っているぞ。

 

そんな言葉で脳が支配される。

 

「こう見えて手前も噺屋、物書きの端くれ」

 

「どぉです?ここは一つ、無聊を慰めるべく」

 

───手前と話でもしていくというのは如何か?

 

 

 

***

 

 

 

「さてさぁて、手前様方と何を話しましょうか?」

 

 にたり嗤う少女はするりと座敷に入り込んで胡座をかいていた。

細い肢体。

幼なげな顔立ち。

朧げな月を思わせる薄墨の髪、素鼠の羽織に消炭色の制服。

退廃的な雰囲気を纏った童女が、セイバーさんに察知される事もなく、其処にいた。

 

「白洲アズサちゃんは百鬼夜行は初めてでしょう?どうですか?阿慈谷ヒフミちゃん。この地の観光すぽっとについてなんてお話は?」

 

 名前を知られている。

ナツちゃんの時とは明確に違う。

笑顔ではある。

言葉とてこちらを気遣う姿勢を見せている。

話のテーブルに着くという意図がはっきりした会話もしている。

 

けれど今目の前にいる彼女には紛れもない敵意があった。

 

「あはは……私達の事、()()()なんですね?」

 

 まずは牽制を。

アズサちゃんは最初から会話を放棄して完全に警戒した体勢を取ってくれている。

コハルちゃんは机の下でハナコちゃんの手を取って、そしてハナコちゃんは探るように彼女を見つめている。

 

「勿論ですよぉ!お噂はかねがね、あのトリニティ総合学園の中枢『ティーパーティー』とも縁深く、そしてシャーレの先生からの信任も厚い『補習授業部』の皆さん?」

 

「あはは……そんな大した事はしてないですから」

 

「ご謙遜をなさると!それはそれは素晴らしい。いじらしいっ。愛らしいっ!とはいえそんな手前様方にお会いできたのも奇縁に他なりませんねぇ。今日はどうして『こちらへ』?」

 

並び立て、捲し立て、思考の隙を伺わせない言葉の裏には潜むのは、加虐的な獣性。

獲物を前に、一息で詰めればいい物を遊ぶように痛ぶる姿を連想させる。

 

「トリニティは『臨時休校中』ですから、今日はみんなで観光がてら遠出をしに。この自治区の学生さんでしたら、もしよければおすすめの観光スポットを教えて頂けませんか?」

 

「おやおやぁ、学校は休みだから、他の人は働いているけど私は遊んでいいから、だぁいすきな『ナギサ様』は働いているだろうけど私には関係ないと?貴女が?そう仰ると?」

 

「っ……」

 

嫌になる程、的確な挑発。

話題をすり替えられた事に、そして想像以上に、それこそ私の人間関係についても把握されている事実に頭が痛くなる思いです。

その事実を突きつけてきた相手は、歪むほどに吊り上げた口角を隠そうともしない。だけど、話をすり替えて突くのなら、その先を潰すなり……こちらも話題をすり替えてしまえばいい。

 

「ナギサ様にもお土産を買わないといけませんね。百鬼夜行で買っていくならどんな物がいいでしょうか?そうそう、お名前を聞くのまだでした?教えて頂けませんか?」

 

話題に乗りつつ交わす形ですり替えていく。

私がしたいのはあくまでこの状況と相手の思惑を理解して、相手が欲しがってる物や言葉を見つける事。

突然現れたこの少女が、何をしたいのか、どんな用があるのか。

 

 聖杯戦争に関わりがあるのか。

 

それを確かめて場を収めたいだけで議論や反論をここでするのも安い挑発で揺さぶられてもいけない。

 

「手前の名前ですかぁ?それは失礼をば」

 

こちらの反応を引き出せないからか少しだけ少女の顔が歪む。

思ったより表情に出るタイプなのだろう

。むしろ、交渉ごとを好むのとはまた別。

純粋に傷を抉るのが、好きとか。そういう大人の方達と似たような空気を感じる。

そしてその名乗り上げは。

 

「───シュロ」

「手前は箭吹シュロ。そう申します」

「以後のお見知りおきを───」

「ヒフミちゃん?」

 

底しれぬ顎門を思わせた。

 

 

 

***

 

 

 

「さぁてさてさて。続きをしましょうかねぇ」

 

切り替えるよう囃し立てる彼女はぱんと柏手を一つ打つ。

視線をほんの僅かにずらして確認する。

その小さな両手の甲に───令呪はない。

 

『(セイバーさん)』

「そうですね、折角ですしシュロちゃんに幾つかお聞きしてもいいですか?」

 

『(……『魔力』は感じられない。だが隠している『可能性』もナツの時と違って考えられるね)』

 

用心するように警告を受けて、なお一層気を引き締める。

 

「ほぉほぉ何を聞きたいのでヒフミちゃん?えぇどうぞどのようなお話でも問題なくぜぇんぶ答えてあげますよ」

 

そしてナツちゃんの時と違う、つまり明確な敵意を持って話をしに来ているという状況。

まだ、『マスターでない』、そう決めつけるには時期尚早だった。

だから、私は覚悟を決めて口を開いた。

 

「今は何の理由で私達に?」

 

「さぁてなんだったでしょうねぇ」

 

ストレートな問いを躱される。

 

「どこで私達の事をお知りに?」

 

「はてさて誰からだったでしょうねぇ」

 

のらり、くらり。

ゆらり、ぬらり。

 

「……シュロさんは、誰かとお会いしたいんですか?」

 

「待ち人来ずは慣れっこですよぉ」

 

何を聞いても暖簾に腕押し。

意味がない。

話す価値が見出せない。

 

「……っ、シュロさんは、誰かに頼まれてここに来たんですか?」

 

「いんやいんや朝からずぅぅっと一人か二人かはて誰かと喋ったことやら」

 

小馬鹿にするようにただただあしらわれてしまうだけ。

 

 勘違い、だったかもしれない。

今更気づく。

先程、目の前の少女について分かった気になっていたではないか。

交渉ごとを楽しめるタイプではなく表情に思考が出やすいと。

なら今こちらの質問を風に柳と受け流して()()()()()()()にしている彼女がどういうつもりかは容易に想像できる筈だった。

 

 ───彼女はそもそも交渉のテーブルに着く気がない。

 

一言喋れば急所を隠す為に躱わすとかではなくそもそも相手にもされていない。応じるつもりがまるで感じない。

それでいて敵意と、そして理解した「悪意」に終わりは見えない。

潰すぞ、削るぞ、しゃぶり尽くすぞ。

こちらの心を爪を立てて剥いでいく。

弱みを見せろ、暴かせろと。

丸まる小とした動物を引っ掻き噛みつき、その柔らかい腹を出すまで待ち続ける。

そもそも彼女と『話をしてはいけなかった』のだ。

少なくとも今、彼女は話し合いをしたいとかそういうのではなく言葉でこちらの感情を逆撫でする、それを楽しんでいるだけなのだから。

 

それに直接話していて、その敵意に呑まれて、気がつくのが遅くなってしまっていた。

端から痛めつけるのを目的としているなら、私はどうするのが正解なのか───。

 

あはっ

 

汗が、ひたりと。

 

「汗、流しちゃいましたねぇ」

 

頬を伝ってしまっていた。

 

「だめですよぉヒフミちゃん。そんなんじゃあ」

 

嬲るように嘲笑う。

彼女はただただ痛めつけたいだけなのだから。

対話はそもそも私では成立しない。

 

「ほぉら笑って笑って」

 

 にんまりと弧を描いて、囃し立てる。

甲高く鈴が私の耳元で騒ぎ出す。

かんらからから。こおろこおろ。

心を掻き混ぜ、乱し、見つけた隙に爪を刺し込もうとする。

 

「気づきましたか?気づいちゃいましたか?」

 

『喋ってはいけない』『対話を試みてはいけない』。

だって敵なのだから。

敵かもしれないのだから。

『マスター』かもしれないのだから。

 

「でも駄目ですよぉ。だって相手に心の裡がばれちまいますからねぇ」

 

敵の話は聞いてはいけない。

敵の願いに『耳を傾けてはいけない』。

聖杯戦争に『勝たなければいけない』。

『勝つために』私は『敵を───。

 

「疑って、騙して、蔑んでっ!貶して!!そうやって相手のことを裏まで読んでやるなら、汗を流しちゃあいけませんねぇ」

 

違う。それは違う。

分かっている。

だけど、心の動揺がいつも以上に止まらない。

動悸が激しい。息が浅い。視点を合わせられないままじっと下を向くしかない。

 

「さぁさぁ笑って取り繕ってトリニティ生らしき穢い物には蓋をして笑わなきゃ!アリウスにしたみたいに、エデン条約の一件を揉み消したようにっ!無様に聖園ミカを退学させなかったよぉにっ!それが手前様方のお家芸じゃないですかっ!」

 

お前が悪い。お前がいけない。お前は穢い。お前は醜い。

 

「トリニティ生は弱みを見せてはいけない。間違った事をしてはいけない。敵は全て無かったことにしなくてはいけない。冷や汗なんてかかずに路傍の塵は微笑み一つでゴミ箱に送らなくてはいけない」

 

突き立てられ、責められる言葉の刃が無策なまま抵抗を試みんとする理性を剥がして喰らい付いては離れない。

 

「だからほら」

 

そう言って、彼女は───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

嗤えよ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うふふ♡そういう事なら私とお話しませんか?───箭吹シュロさん」

 

 破顔し、そう会話を遮ったのはハナコちゃんでした。

それに、箭吹シュロさんの声が露骨なぐらいワントーン下がった。

 

「手前さんと話す事なんかちぃっとも無いんですがねぇ───浦和ハナコちゃん」

 

目が据わる。

声には隠そうともしない苛つきが載っている。

敵意でも悪意でもなくただ不快だと、お前が心底嫌いだと。

言葉にせずとも如実にそれは態度に出ていた。

 

「まぁそんな事を仰らずに。折角、他校の方とこうしてお話しできる機会ですから」

 

 それを物ともせず変わらぬ調子でハナコちゃんは言葉を続ける。

それは箭吹さんのように話を流してしまうようでいて、とにかく要求のみを押し付けていくというまた違うスタイル。

 

「手前さんにその機会とやらを恵んでやるつもりはびた一文用意しちゃぁないって言ってんの───分かんないですかねぇ?ああ、手前さんが分からないわけないかぁ。賢い賢ぉぉい、ハナコちゃんですもんねぇ」

 

「そんな事は仰らないで下さい。わざわざ私達を弄び(と遊び)に来てくれたんですから」

 

けれどそんな物に引っ掛かりも押されもしない少女は、会話の主導権を握ろうと、私の代わりに『目的』を達成しようとしてくれているハナコちゃんへ一瞥も伴わずに吐き捨てた。

 

「……あぁ()()()()。ほとほと、つまらない女ですねぇ、手前ぇは」

 

つまらない。

そう言い切られた事に思わず腰が浮きそうになってしまった。けれどそれは目線で制される。

任せろと、そうハナコちゃんの目が伝えてくれた。

その想いは、確かな形となって徐々にハナコちゃんの語りへ滲み出す。

 

「はて、何の事やら?それはそうともっとシュロさんに楽しんで頂けるように私も精⬛︎⬛︎精意、お話しませんと」

 

「はんっ手前ぇみたいな底の浅い『嘘吐き』女が何を言ったって探れる腹も隙もありゃし……あのぉ何か今変な事言いませんでした?」

 

「何のことでしょう♡そんな事よりお話、付き合ってくれませんか?色々教えてほしい事があるんですよ」

 

「都合が悪けりゃしらばっくれると、あぁはいはい、流石はあの『浦和ハナコ』ちゃんですねぇ。聞いてますよぉ。みぃんな大好き、その恵まれちまった才能に擦り寄る人間がこぞって持て囃してくれる手前様の話をよぉくよぉぉぉぉく、ね?」

 

 気づいてないのか、気づかない振りなのか。

疑問を口にしても聞き間違いかとでも言いたげに彼女は首を振った。

 

「ありがとうございます、シュロさん♡ぜひ手取り足取り腰取り♡色々教えて下さいね♡」

 

「……仕方なぁいですねぇ。これ以上『客席側』でだらだら喋られちゃあ『迷惑』なんで付き合ってあげますよハナコちゃん。よく考えてみれば、その心の疵を暴いてオトモダチの前で晒しあげてやるのもまた一きょ「でも、」……ちっ」

 

遮られる。

今更だけどこの人はみんなでおしゃべりを楽しみたいのではなく、とにかく自分一人で言いたい事を喋って気持ちよくなる劇場型の話術を好んでいるんだなぁと呑気に分析してしまう。

 

「私なんかの話に突き合ってくださるなんて♡『ヒフミちゃん』じゃなくてもよくて安心しました♡それじゃあたくさんお店の人達の目が醒めるような喘ぎ声をあげていきましょうね♡」

 

彼女はその言葉に気色悪いと呟き、むくれるように頬杖をついてそっぽを向く。

お前と喋る気はないんだと態度で示してくるのを無視して、ハナコちゃんの努めて和やかな声が語り始めた。

 

「どうでしょう?今日こちらに来た理由は?」

「百鬼夜行が手前の地元ですからねぇ」

「どうでしょう?今日こちらに来て私達とお話してくれる理由は?」

「はいぃ?似たような話を繰り返す算段ですかぁ?その中身と同じで幼稚ですねぇ」

「どうでしょう?今日はこちらに態々出向いてまで話す『必要』がありましたか?」

「出が出だけに腹の探り合いがお好きですねぇ。流石はトリニティの才媛様、よっ!気品に溢れたトリニティ生の鑑!えらいえらい、トリニティらしく羽もそうなら上辺を繕うのもお上手ですよぉ」

「どうでしょう?今日は私達を襲いに来たんですか?」

「いひひひっ!!指摘されたら今度は直球勝負ぅ?なぁんて不様でなぁんて不出来ぃ!その必死になって弱い自分を見せまいと自分自身とお友達を誤魔化そうとする!あははっ!そうですよねぇ手前様は勇気もなけ「どうでしょう?」……あん?」

 

そして察してしまった。この後続く言葉を。

何を話しているのかさっぱり分かってないけどハナコちゃんが喋ってるなら大丈夫かとお冷を飲み始めたアズサちゃんの耳を、私はそっと塞いだ。

 

 

 

 

 

 

「今日は私達を性的な意味で手篭めにする為に襲いに来られたんですか?♡」

 

「やっぱりそうなのね!?!?この変態!!!」

 

 

 

 

 

 

 

「───は?」

 

「もしかしてこの後は私達と4⬛︎をされるつもりなんですね?そうなんですね、うふふっこれは愉しみです♡これから一人ひとり服を剥いで、その胸の頂点の⬛︎⬛︎をシュロさんの小さな指でこねくり回しながら弄り倒して喘ぐ私を皆に見せつけて、興奮したコハルちゃんが一人⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎を弄り始めるのをアズサちゃんも興味津々で観察しながら真似をして⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎に指を⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎でぐちょにぐちょに⬛︎⬛︎を立てながら⬛︎⬛︎を滴らせる⬛︎⬛︎プレイを始めちゃうんですね♡」

 

「えっち!!!!駄目!!!!死刑!!!!」

 

アズサちゃんの耳は思ったよりも小さかった*8

今まで何度かお隣で寝た*9時にも思ったが、こうして掌で覆ってみると改めてその小ささに驚く。

 つい、興味が湧いてしまう。

 

「は?」

 

「えっ!?なんですって!?『でけぇ⬛︎ぶら下げやがりましたねぇ』『今日から手前はさくらんぼ農家さんに転職ですよぉ、⬛︎⬛︎盛りならぬ⬛︎⬛︎のフルーツ盛り合わせ⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎バトルで百花⬛︎乱すら降し、百鬼⬛︎交の頂点を目指すんです』『そうです、手始めに……まずはこの桜色に色づいた手前さんの⬛︎⬛︎でねぇ!!げーす下衆げすげすげす!!』……と今仰られましたか?!?」

 

「変態!変態!!変態!!!最初からそうやって私達に手を出すつもりで近づいたんだ!何も知らないヒフミが最初の狙いってわけね!!ヒフミは誰にでも優しくてお話してくれる子だから!あっ!だから同意もなしに言葉巧みにいきなり言葉責めしたのね!!誰から堕とせばいいかも調査済みってわけ!?このクズっ!!!」

 

 くすぐったそうにするアズサちゃんの顔がもっと見たくて正面を向かせる*10

目と、目が交わされた。

紅潮した頬は残暑のせいだけじゃないだろう。

もごもごと何かを言おうとしてそれをやめるを繰り返す彼女へ微笑んでから、掌を離して指先でその感触を確かめる。

 耳たぶは、僅かにひんやりとした。

 

「は?いやいやいや!?手前さんなに言ってくれてやがるんです!?というかそこのちび助は一体何を!?そもそも手前はそんな事ぉ一言もっ!?」

 

「『ハメ⬛︎⬛︎?びんびんびん!!手前さんナニおっ⬛︎ててくれてやがるんです!?ところ⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎してるそこのち⬛︎び助もナニをしご⬛︎てるんですぅ?そんな手前様には一コキ一コキ丁寧にお仕置きですねぇ……げーす下衆下衆げすげす』ですって!?!?」

 

「ふたな(シャーレより検閲済み)コキですって!?このドスケベ!!そうやってその薄いから(パテル分派より検閲済み)で誘惑しようたって……はっ!まさか今も見られて喜んでるのね!?この露出狂!!なんでこの暑い中上着着てるかと思ったら、その羽織は夜な夜な百鬼夜行の子達に『ほぉら手前さん方ぁ?手前の(正義実現委員会より検閲済み)をご覧あれぇ』とかする為なんでしょっ!!」

 

肌を通して私の熱は彼女へ、彼女の少し低い体温に温もりが染み込んでいく。

その事実とこの場の雰囲気でなぜかいけない事をしているような気分になる。

色硝子越しに射し込むノスタルジックな光が彼女の無垢な羞恥を照らしている*11

 

「お、鸚鵡返しですかぁ?そ、そうやって手前と同じようにおちょくれば良いなんて浅い考えで……

「『お、チ⬛︎⬛︎⬛︎返しですか!?そういうの手前も大好きです!!手前様は黙って同じように手前の⬛︎浅⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎をほじくれば良いんです!!!げーす下衆下衆下衆げす』」ぬぁぁああああ!!!!」

 

「屈服!?アスタリスク!?ぶっかけ!?エッチ!駄目!!執行猶予なし!!!判決!!死刑ぇぇっ!!」

 

 形の良さはきっと言うまでもありません。

白玉のように柔らか『(ヒフミ、ヒフミ……一体どうなってるんだいこれは……?一体何なんだい?僕はどうしたらいいんだい!?)』すみませんセイバーさん今いいところなので*12

 

「なんなんですか!?手前ぇらはよぉ!?!?人が気持ちよくヒフミちゃんで弄んでりゃ邪魔した挙句っ訳のわからない世迷言並べてぇよぉっっ!!」

 

お返しだと、おずおずと腕を伸ばしたアズサちゃんは私の耳を求めて髪を掻き分ける。

それぞれの手が向かい合っているから、互いの顔の横にある。

まるでそれは映画のワンシーンのようで。

そうそれはあの『ペロロジラvsニコラ』*13のラストシーンのようで。

 

「まぁ!ヒフミちゃんを『使って』一人寂しく慰めて!?まさか噺屋というのは……下の口で!?」

「言ってなあぁぁああいっっ!!!」

「死刑ぇぇぇぇええええっっ!!!」

 

あ、話を終わりましたかね?

*1
百鬼夜行自治区のどこからでも見る事の出来る巨大な桜の木。樹齢は不明。百鬼夜行の全景を一望できる「神木展望台」は観光スポットとして名高い

*2
他自治区にも名が知られる有名な喫茶店。味良し価格良し愛嬌良し。また百鬼夜行連合学院のお祭り運営委員会の本部でもあり、オーナーも同委員会委員長の河和シズコが勤めている

*3
百鬼夜行自治区近くの山から切り出した山桜の一枚板。杢目の美しさと華やかな香りで、複数人で来た団体客も敢えてカウンター席に座りたいと申し出る逸品

*4
シズコは可愛い

*5

*6
百鬼夜行自治区は観光業が盛んであり、駅構内も非常に混みやすい

*7
アイドルグループ。発起人であるゲヘナ学園の陸八魔アル、ミレニアムサイエンススクールの早瀬ユウカ、天童アリス、そしてヒフミの四名で構成され、最近アビドス高等学校の十六夜ノノミも加入した。活動は不定期

*8
綺麗な形と手触りでした、と彼女は後に供述した

*9
ヒフミとアズサは互いの部屋でお泊まり会をする

*10
ヒフミは普段の穏やかな様子で忘れられがちだが、わりとぐいぐいくるタイプなのだ

*11
非常に歴史ある色硝子。職人の手作業で作られた精巧かつ高価、そして貴重な品なわけだがまさかその硝子も少女の羞恥を照らす事になるとは思うまい

*12
セイバーはちょっと泣いた

*13
以前、補習授業部四人でD.U.のショッピングモールに見に行った映画である。ちなみにヒフミは既にブルーレイ(初版)を購入済み





1じゃんね☆
シュロちゃんがやっと登場したじゃんね☆
シュロちゃん好きじゃんね☆

本作の内容は

  • ①Part6スレまで読んでる
  • ②あにまんの過去ログまで読んでる
  • ③ハーメルン版のみ読んでる
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