……そう、ですか。
あまり無理をしないように。
───あなたがたのうちで、自分の子がパンを求めるのに、石を与える者があろうか。
そうです、マリー。
主はいつだって私達を見守って下さるのです。
だから、決して。
病などに、その心を負けてはいけないのです。
ユズちゃんは目を不安げに揺らしたり何度も机をと自分の手を見つめて、それでもぎゅっと唇を噛んでから前を向いてくれました。
「その……副委員長の方はとても勤勉で……自主的に夜間パトロールを単独で行っていた、だから通報を受けた時に即応できた……こちらの生徒会長さんはそんな風に推測して言っ……じゃなくて、仰ったそうです」
「それが自然ではない、花岡さんはそう思うんですね?」
「わ、私も……その、そう思いました……けど、幽霊騒動、があった夜、ちょうどアビドスでは……えぇっと、その……と、トラブルがあったみたいです!」
「……私のところにはそういった話は届いていませんが。どなたから聞かれましたか?」
「ええっと、あの……その、ぇと「先生から」……ぁぅ、は、はなこちゃん……」
報告書にあったアビドスの話は当然ですが、あまり人に触れ回って良い話ではないでしょう。
そしてそれをシャーレが連邦生徒会に本来提出する筈の書類を見て知った、なんて事も正直にはお伝えできません。
だから言葉に詰まってしまったユズちゃんでしたが、そこはすぐにハナコちゃんが助け舟を出してくれました。
「ここに来る前、前回の登板の際の忘れ物を受け取りにシャーレに寄りまして。これからトリニティに戻るとお伝えしましたらその時に先生から正義実現委員会の皆さんによろしく、と」
そう言って片目を瞑る彼女に、ユズちゃんは小さく頷きながら
「は、はい……その、ハナコちゃんの言う通りで……先生から聞いたんです……三日前の夜、幽霊騒動があった晩……トリニティの治安維持部隊は夜にアビドス自治区に向かった……って」
ユズちゃんの語り口はとてもゆっくりとしていて、たとえばハナコちゃんがそうする時のような確信めいた物を予感させる口振りでは決してありませんでした。
どちらかと言えば辿々しくて、聞き入ってしまうようなお話ではないかもしれません。
「だから、その……夜間に
けれど、不安げに揺れる目の奥を見ているとそれだけじゃないと感じるんです。
拙くとも自分の意思を知らない相手に必死になって伝えようとしている、自分の気づきを精一杯に理解してもらえるように努力してくれている。
この中で今回の幽霊騒動についてはっきりとしたことが分かっているのは多分、ハナコちゃんだけ。
その彼女も、そして。
「彼女が対応したのはアビドスで起きたクレーター事件の通報と協力要請があった時間より前で、事件が起きた現場がパトロールに人員を割く必要がない場所……だったからではないでしょうか?」
「……どうぞ続けてください」
ユズちゃんの問いかけに先を促すだけのミネ団長も気がついている。
ユズちゃんが見つけた物を、恥ずかしくても怖くても、伝えようとしているのだと。
だからそれを待って、聞いて、受け止めようと思っておられるんだと思うんです。
「最初はあんまり遅い時間だったからだと思ってたんです。だって、えぇっと……その……「なんでもアビドス自治区に救援を送ったのは日付が変わるような遅い時間だとか。確か真夜中の1時過ぎ……なんて話をどなたから聞いたいような聞いてないような、ね?ユズちゃん」……ぁ、ありがとう、ハナコちゃん」
そうしてハナコちゃんから伝聞という形で聞いたのだと、フォローをもらい、また話は続けられていきます。
「……救援部隊に人を送って、だから人が足りないから単独でパトロールをする他なかった。最初は……そういう考えました。でも多分違います」
「……違うとは、何がだったんでしょうか?」
「多分……その……幽霊事件が起きたのはアビドス自治区にトリニティが救援部隊を送るより……もっとずっと早い時間の筈です」
ユズちゃんが引っ掛かりを覚えた部分。
電車内でみんなであの報告書を回し読んだ時、どうしてだかユズちゃんは熱心にアビドスのそれを見ては首を捻っていた理由。
それが時系列とナギサ様の発言。
「別自治区に救護部隊を出したから人手が足りません、だから一人でふらふらパトロールしてました。……副委員長っていう立場の人がですか?」
ユズちゃんの喋りに熱が籠り、その視線がミネ団長へと真っ直ぐに向かいます。
緊張が抜けて、そして思考が整理されて来たのでしょう。
澱むことがなくなった彼女の話は鋭く、そして着実に真相へと近づいていくようです。
「あり得ません。他の自治区で不審者が現れるような状況が起きて人手も薄くなってるなら、なおさら役職を持っている指揮官が単独行動をして。それをまるで組織のトップの人間が
───おそらく夜間パトロールの最中だったのでしょう……今度甘い物でも持って、それこそ今日お土産に持ってきてくださったロールケーキでも手土産に労わないといけませんね
ユズちゃんの言葉を聞いた時、私はナギサ様がそう言っていたのを思い出しました。
夜間での単独のパトロールを労る。
緊急時に勝手な動きを見せた相手に、そんな言い方を他ならぬ彼女が言うだろうか。
恐らく言わないでしょう。
そうだとするのなら、ナギサ様の発言の意味は。
「羽川さんは幽霊事件に対応した当時、
ユズちゃんの言うように、ハスミさんが対応されたのはあくまで自主的な活動の結果という風に捉えたからになります。
「そして副委員長という立場の方が非番な状況なんて、それはきっと緊急な出来事なんてまだ起きてない時間の筈なんです」
ナギサ様が話してくれた、そしてハスミさんが第一発見者となった幽霊騒動。
私達はそれ以上の情報を持ち合わせてはいませんでしたが、ユズちゃんは手元にある情報だけでアビドスで起きたクレーター事件より前に幽霊騒動が発生した事。
「ここまでが前提条件……そして、そうだとすると余計におかしいんです」
そしてその真相まで辿り着こうとしていました。
「幽霊を見た被害者が通報したのは、シャーレから要請が入るより前の時間。そしてそれが正しいなら救援部隊に人手は取られてない」
人手はあった。
何故なら副委員長のハスミさんが非番でいられるのだから。
「夜間パトロールの人員は足りている状況で彼女達は襲われた。なのに対応したのはパトロールしている筈の治安維持組織の部隊じゃなくて非番の人間だった」
なら幽霊事件が起きた時系列は、アビドスでのクレーター騒動より前ということは。
「だから、私は二つだと思ったんです───幽霊騒動の現場は夜間パトロールの対象地域外か対象外の施設内で起きたんだって」
そしてそれが正しいのなら。
「そう、ですよね?」
被害者の子達はきっと───。
「
───ぁ、あれ?
───ここからは当てずっぽうになります。
予想よりもずっと鋭い角度だった事に驚く私達を置き去りに、そう前置きしてから彼女は語り始めました。
「トリニティの生徒2人が実際に襲われて、生徒会が臨時で夜間にパトロールが行うよう指示を出すほどで、臨時休講騒ぎにまでなったトリニティで」
一呼吸置いてから、ユズちゃんは真っ直ぐにミネ団長へと問い掛ける。
「どうして5人も生徒が夜間にいるんでしょうか」
それは言葉こそ疑問系でしたが、ミネ団長の答えを待つ事はなくユズちゃんは自分からそれを口にしました。
「救護騎士団のような医療従事者の方が夜勤交代をする為に……って考えたら納得がいきます」
だって緊急事態であって病院は開けなくちゃいけませんからとユズちゃんが言った事で私達もそこでようやく気がつきました。
そもそも五人の生徒が同時刻、それも夜間に出歩いていたのは何故か。
普段なら別におかしな話ではありません。
部活帰り、遊んだ帰り、補講帰り。
理由はなんだってあるでしょうし、いくらでも思い付きます。
時間だって学生寮に住んでおられる方なら門限はありますが、アパート住まいの方でしたらそこらへんの融通は効きます。
けれど今は違うんです。
今トリニティは休校期間で夜間パトロールが強化されるほどに夜出歩くのも厳しい状況。
普通に出歩いていたらきっとすぐさま補導されてしまうでしょう。
なのに、五人の生徒は被害に遭った。
「そして、これなら夜間パトロールを強化しているのにそのパトロールの担当者が来ずに、現場近くに偶然居合わせた副委員長さんが対応した理由も分かります……単純にそこがパトロールの対象外だったから。これだけなら自治区中心部から外れてるとかも候補になりますけど……非番とはいえ副委員長さんが夜間に滞在できる程度の距離。なにより錯乱していた五人の生徒を一人ですぐに搬送できる場所ってなったら」
───襲われたのは多分
ユズちゃんの言葉にミネ団長は目を閉じたまま、そしてハナコちゃんはにこやかに、けど真剣な眼差しで見守っています。
「普通、施設の中というか敷地内まで治安維持組織の人がパトロールするなんてありませんよね。専門の業者や……それこそ救護
「……ええ。私達は救護騎士団はその役割から夜勤の人間がその間での病院内の警備も請け負っています」
「なら、やっぱり治安維持組織はそういう所は優先してパトロールしません。むしろそれなら、繁華街とかそれこそ学生アパートがある住宅街に人を回すでしょうから」
だからこれが一つ目に私が抱いた『数の疑問』に対する推理です。
そう言い切ったユズちゃんに、目を開いたミネ団長は静かに尋ねられました。
「一つ目、ですか。では答え合わせの前に先に聞きましょう……その口振りですと、まだ『推理』があるのでは?」
「……はい」
また一口、紅茶で喉を潤して彼女は語り始める。
「次の……二つ目、最後の疑問と……その推理はもっと単純です」
最後と聞いて身を乗り出して聞いていたコハルちゃんとアリスちゃんもいよいよといった様子で目の輝きを隠せません。
「正義実現委員会の報告書にあった、聞き取りの結果っていう被害者の子達が言っている発言には矛盾があります」
コハルちゃんは昨日会ったばかりの、そしてアリスちゃんにしてみれば普段からよく遊んでいる友達のかっこいい姿です。
見たらドキドキもワクワクもしちゃいますよね。
そんな様子にミドリちゃん達は苦笑しつつ、けれど真剣に耳を傾けていますし、かく云う私も同じです。
「『幽霊を見た』『襲われそうになった』『男だった』『女だった』『大人だった』『彼らは殺し合いをしていた』『見られたが私達には何もしてこなかった』」
ナギサ様から聞いた報告書にあったというその言葉は、私達も確かに疑問を抱きました。
幽霊、恐らくはサーヴァントだと思われますが性別も聞こえてくる内容もどこかちぐはぐです。
「襲われそうになったのに、見られたけど何もしてこなかった……錯乱しているから、で話はお仕舞いかもしれませんけど、見方を変えればいいんじゃないかなって」
ただ、ユズちゃんの言う通り錯乱しているとあった以上、その発言が支離滅裂になってしまうのも仕方がないかと思って納得しかけていましたが。
「多分……幽霊は少なくとも3人以上、いたんです」
ユズちゃんはそこにこそ、真実が隠れている。
そう気づいたようでした。
「男、女、そして大人の呼び分けです。男性でも女性でも良かったのに、わざわざ大人だなんて言う必要があったのは……多分性別が分からないサ……幽霊がいたからです」
「そして、男性、女性、大人。その誰かまでは分かりませんけど……被害者の子達を襲った幽霊もいれば、
「それなら正義実現委員会の報告書にあった発言に矛盾がなくなります」
「だから私の推理は、夜勤担当だった5人の救護騎士団員の子達が3人の幽霊を見た、です……」
そう言ってユズちゃんは口を閉じた。
沈黙が部屋を包む。
調度品の少ない無機質な団長室に白い煙だけが揺らめく。
目をつぶったまま、ミネ団長は考え込んでいます。
そこにどんな想いがあるかは分からず、私達の言葉を置き去りにしたまま針だけが進んでいく。
「この話はどこまで?ハナコさん」
どれほど時間が経ったか、沈黙を破ったミネ団長が声を掛けたのはハナコちゃんへだった。
「いいえ、私は一つも」
「……そうですか」
「補足は必要ですか」
「分かって聞く必要はありません。───あなたたちは勇気を出しなさい。落胆してはならない。あなたたちの行いには、必ず報いがある……ですか」
それは、古い経典の言葉。
教会での説法の時間にシスターフッドの方々が仰られていた事もあるそれ。
主がかつて言って下さった、勇気を讃え、行動した者は報われるという話。
「私は回りくどい言い方を好みません。説法も得意としません。救護に必要なのは迅速な情報共有。故に、私はトリニティの風潮を苦手とする部分があります」
その言葉は確かに彼女らしいと感じてしまう。
ティーパーティーへの参加権を有す、歴史あるヨハネ分派という一大派閥の首長。
蒼森ミネさん、今でこそ『鉄拳』なんて物騒な渾名を聞いたりもしますが、ヨハネ分派首長着任当時からティーパーティーで呼ばれ続けたその名は。
その怜悧かつ視野の広さを讃えられた『ヨハネの貴婦人』。
救護活動に専念するという理由から一時期まで政治への不干渉を貫いた彼女の物言いは、政を重んじるトリニティ中枢とは少しばかり相容れない部分がある。
だからこそ、彼女が聖句を口ずさんでいるのは珍しさすら感じる。
「花岡ユズさん。私は救護に殉ずる身です。例え何を言われても『今』救護を必要として『入院中』の彼女達の様子や聞き取った話をいたずらに風聴する事は出来ません」
そして彼女は、ナースキャップを
まだ日差しは高い時間、この後も救護騎士団の活動があって休憩中であってもオフでない限りそれを外さない彼女が、今この場、ユズちゃんの前でナースキャップを脱がれました。
「貴女の話は大変興味深く、そして私にあの話をする事であの夜何があったのかを知ろうとした、その意図も理解しました」
「その上で、一つ確認します」
鋭い眼光がしっかりとユズちゃんを捉える。
決して虚偽は許さぬと、この場にいる誰もが言葉の裏に隠れたそれを感じる。
「貴女は自身の発言、推理には『説得性』が著しく欠けているという事を理解していますか?」
それは正論でしかありませんでした。
「……ぅ……ぁ……はい」
呻くように、それでも強い視線に報いるように。
ユズちゃんは肯定した。
そう、肯定せざるおえない。
だってさっきまでの推理には確かに穴がある。
恐らく、ミネさん相手ではなく私達相手ならどうして『病院』に限定したのかは……考えたくないが分かってしまう。
だけど、少なくともさっきユズちゃんが話してくれた話は本人も言った通り当てずっぽうになっている。
そして彼女自身、それを自覚したうえで私達の為に必死にハッタリを利かせてくれたのだから。
例えば病院でなくても夜間にバイトをしている学生だっているだろう。
もっと単純に夜までこっそり五人で遊んでいたのかもしれない。
ハスミさんが先に単独で来たのだって、たまたまパトロール要員だった人達より本当に近くにいただけかもしれない。
幽霊の話も別に三人かどうかなんて分からない、ただ錯乱していて「大人の男」や「大人の女」を伝えようとしていただけかもしれない。
そもそも錯乱しているなら、もしかするとそれすらあやふやなのかもしれない。
言い出していけば、キリはないのでしょう。
それを分かっても、あの場で彼女は、自分が気づいた一つの推測で、なんとかミネ団長から情報を聞き出そうと。
震える声で勇気を奮ってくれたのだ。
だからこそ。
「理解されているなら私からこれ以上指摘をするつもりも回答できる物もありません」
彼女は、その発言をもってこれ以上の追求をよしとしなかった。
「救護騎士団の蒼森ミネからお話出来ることは『アレ』以上はありませんから」
ただ、同時にそれは。
この場でミネ団長から聞ける事はこれ以上ないという最終通告に他ならない。
「お引き取り下さい」
そう言われてしまえば、私達に言える事はもう何もない。
リターンは、ありませんでした。
そう思ってお茶のお礼を言って、沈んだ気持ちで退出しようとして。
「───そういえば」
私達の背に、いつのまにか書類棚から何かを取り出していた彼女から声が掛かった。
「資料室に返さなくてはいけない物がありました。紅茶とクッキーの分という事で少しお使いを頼まれては頂けませんか?」
「ぇ……ぁ、あの……えと」
手に取った何かに万年筆を走らせて、団長印を押す。
返さなくてはいけないと言ったソレに目を通して穴がないかを確認するようにしてから。
少しだけはにかんで。
「これを資料保管室の担当者に渡しておいてください。よろしくお願いしますね、花岡ユズさん」
そう言ってユズちゃんに手渡されたの一枚の用紙。
『貸し出し許可証』と銘打たれたその貸し出し物品の対象名は「監視カメラ記録映像・聖モイラ病院B棟」。
恐らく、あの日彼女達が見た幽霊騒動の顛末についてが残されているであろう、監視カメラの映像を見る事を許可する物でした。
「あ、あのっ!……ぁりがとう、ございます、蒼森先輩……!」
ナースキャップを外す事に意味は、そういう事だったんです。
『今』療養中の彼女達については話せないし合うことはできない。
けれど、主は『あなたたちは勇気を出しなさい。落胆してはならない。あなたたちの行いには、必ず報いがある』と言ったという。
ならばきっと、彼女もそうすると決めてくれたのだろう。
「ミネで構いませんよ、
「はいっ……か、必ず連絡しますっ!」
ついさっき知り合ったばかりではあるけれど、彼女はきっと気づいている。
ユズちゃんが人と話す事があまり得意ではないのだという事も。
それでも彼女は勇気を出して、自分と話そうとしてくれた友達想いだという事も。
だからきっと、この場の誰が話してもこの結果は得られなかった。
彼女の勇気に、自分の立場で出来る限りの譲歩という形で、ミネ団長は報いようとしてくれたのだ。
ふわりと優しい空気が私達を包む。
ただただ、感謝が胸の中を温めてくれる。
今日トリニティ来て良かった、彼女に会えて良かった。
ユズちゃんがいてくれて、モモイちゃん達と仲間になれて本当によかった。
改めて、そんな風に私は思っていると、とびきりの笑顔でモモイちゃんもお礼というか絡みに行っていた。
「団長さんっ!やっさしーじゃん!もっとうちのユウカみたいに頭カチカチかと思ったよー!」
とはいえ、トリニティらしいちょっと婉曲的な言い方でおしゃれに終わる話は、天真爛漫なモモイちゃんに通用する事はなく。
ばしばしとミネ団長の背中を叩いてお礼を言っていて。
「はぁ……随分と元気な様子ですね。ちょうどいいです、貴女にも仕事を頼むとしましょうか」
「ぉごっ!?」
ため息をついたミネ団長から更紙の束を押し付けられていた。
「そちらは受付に持っていく予定だった今週の『救護騎士団だより』です。才羽さんでしたか、貴女が
「お、おもぉぉぉい……ま、前が見えねぇ」
腕に抱えた紙の量でモモイちゃんのその小さな顔が見えなくなる程度の量。
一体何部あるのか数えるのも辛くなりそうな束。
ついでとばかりに目を通しておけと言われたモモイちゃんはげんなりしていました。
「資料室先行ってるからね!迷子にならないでよ!」
「本当についていかなくて大丈夫ですか?」
「へーきへーき……きゃすじゃなくて『ベンジャミン』にも着いてきてもらうから前はなんとなく分かるし。それに早急にって言われたしさー。とりあえず受付行って渡したらそのまま資料室まで案内してもらうっていうか本当に重いからもう行くねぇ……」
一度モモイちゃんと霊体化しているキャスターさんは受付というか総務担当の方がおられる事務室へ。
私を含めたみなさんは貸し出しの手続きをしようと資料室へ。
再度お礼を言って団長室から退出し、私達は廊下を歩き始めた。
その背中に。
「ヒフミさん」
「はい……?」
静かに、ミネ団長から声が送られる。
一応病院というか救護騎士団の本部であるという事もあってか、その声は押し殺したようにどこまでも粛然とした物だった。
「必ず連絡致しますから……次会う日を、楽しみにしています」
再会の約束。
彼女の勤務表が分かれば、予定を立ててモモフレンズのショップ巡りをしにいこう。
今日会った時に交わした約束を再度そう念押しされて、思わず笑みが溢れる。
それだけ楽しみにしてくださっているなら、彼女の好きなウェーブキャットさんを重点的に取り扱っているお店を再チェックしておく必要もあります。
そんな事を考えながら、思わず私は浮き足立つように、
「はいっ!私もお待ちしてますっ!」
もう一度彼女と、約束を交わした。
1じゃんね☆
聖杯戦争で直接戦うわけじゃないけどモモイちゃん以外のゲーム開発部の子達も覚悟は決まってるよって感じで、今回はユズちゃんが頑張ったじゃんね☆
ミネ団長は救護の現場でもないし、モモフレ推しの友達もいるし、何より頑張ってるユズちゃん見たからとってもマイルドな対応って感じじゃんね☆
原作でもそうだけど基本的には年相応な優しいお姉さんなミネ団長、1は大好きじゃんね☆
本作の内容は
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①Part6スレまで読んでる
-
②あにまんの過去ログまで読んでる
-
③ハーメルン版のみ読んでる