阿慈谷ヒフミは聖杯戦争に参加するようです   作:1じゃんね☆

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【2日目】
走り出す運命


 

 あの事件から一夜が明けた今、私はベッドの上でスマホと向き合っていた。

怪我はどうか、関係者以外は見舞いに行けないという話を聞いたとか、元気になったら遊びに行こうとか、早くよくなりますようにとか。

心配のモモトークが何件も入っているのを確認して、くすぐったさを感じながら一つひとつに返信していく。

 朝食前から始まった再検査や事情聴取がようやくひと段落して検査結果待ちで出来た空き時間。

もう15分近く返信や返ってきた相手とのやり取りを無言で続けている。

その様子を隣に立って眺めていたセイバーさんが、ぽつりと呟いた。

 

「変わった電話だね、ヒフミ。スマートフォン、だったかな?」

 

 セイバーさんの視線は私が持つそれへと注がれている。

お気に入りのカバー*1をつけた白いスマホと液晶画面に踊る文字やスタンプは恐らくセイバーさんが生きた時代にはなかった物だからだろう。

 

「えと、はい。セイバーさんはあまりこういうのは見慣れないですよね」

 

 遥か昔の時代に生きた英雄であるセイバーさん達がいた時代に思いを馳せれば、それこそ手紙だって紙やインクを使う以上は貴重な筈。

当然、こういう風に連絡を取り合う姿というのは奇妙に映るかと思ったが、思いの外、彼は現代の科学に通じていた。

 

「そうだね、僕の生きた時代でこういった遠い距離の相手との連絡手段なんて手紙かそれこそ魔術ぐらいの物だったし……以前僕が()()()()時代で見た電話も、家屋に備えられた物だったかな」

 

「あはは……きっと固定電話ですね」

 

 呼ばれた、というからにはきっと私のように彼を召喚したマスターがいて、そしてこことは違う場所で行われた聖杯戦争があったのだろう。

その話に一瞬興味がぐんと湧いてきたが、セイバーさんの言葉でその思考は中断された。

 

「なるほど、あれを指して固定電話、そして君の持つのが所謂()()()()か……聖杯から事前に知識を与えられてはいても、実際に見てようやく腑に落ちたよ。誰もが遠くにいる友人と気軽にやり取りが出来るというのは素晴らしいね」

 

「そう、ですね。私が生まれた時にはもうあった()()()()で今まで実感はあまり湧きませんでしたけど。こうしていつでもどこでも気軽に話やメッセージを送る事が出来るのは、本当にありがたいです……も、もちろん実際にお友達と会って今セイバーさんとしてるみたいにお話出来るのが一番ですけどっ」

 

「なるほど、それは道理だ。いつの時代も、どれだけ科学が進歩しても。友と同じ卓を囲んで話をする時間に勝る物はないからね……さて、そんなヒフミに朗報だ。お客様だよ」

 

 そう言った彼がまた音もなく病室の空間へと溶けるように消えたのと同時に、微かな革靴の音が扉の向こうから聞こえて。

控えめなノックの音が部屋に木霊した。

 

 関係者以外面会謝絶とミネ団長直々に教えてもらった私への予想していなかった来訪者に驚きと期待で胸が騒ぎながら、上擦った声でそのノックに返事をする。

果たして現れたのは、私もよく知る()()の顔だった。

 

“やぁ、調子はどうかな?”

 

澄んだ青の差し色が目に眩しい真っ白な仕事着を翻して、現れた彼の落ち着いた声にはこちらを心配する思いやりが乗せられている。

キヴォトスにただ一人だけの大人の()()が扉の向こうから顔を出していた。

 

「先生!お忙しいのに……わざわざありがとうございます!」

“大切な生徒の為だからね”

「先生……!」

 

 思わず声が跳ねてしまうのを自分でも自覚する*2

普段から忙しそうに昼夜問わず各地を飛び回っている彼*3がこうしてお見舞いに来てくれた事実への驚きと喜び、そして何よりも納得で胸が一杯になる。

何せ先生は、生徒の為ならいつでも何処でも駆けつけてくれる、私が信頼する大人だから。

こうして事件に巻き込まれた私の元へ来てくれるというのは、ただただ嬉しいのと同時にどこまでも納得のいく行動だった。

 

“大変だったね、ヒフミも……もちろんアズサも”

「はい……あの、アズサちゃんは?」

“大丈夫、さっきミネと話してね。アズサならついさっき意識が戻って、このまま検査結果さえ悪くなかったら明日の午後には退院できるって”

 

 一番気になっていた友達の安否を確かめることが出来て、ほっと胸を撫で下ろす。

キヴォトスの住民は誰も彼もが基本的には頑強だ。

程度の差はあれど、拳銃で頭を撃たれようと致命傷を負う事はまずない。

人によっては電車と正面衝突しても何事もなく立ち上がれてしまう生徒だっていると聞いた事がある。

 でも、だからと言って血に濡れた彼女の事を心配しなかったなんて事は決してなかった。

 あの時、私を守る為に戦って、最後は横転する電車からその羽で私の事を包んで地面と衝突するのを身を挺して庇ってくれたアズサちゃん。

彼女の無事が聞けた事が、ただただ嬉しかった。

 

“私はその場にいる事が出来なかったけど”

 

 そんな風に安堵を噛み締めて黙ってしまった私へ、先生がそっと呟くような小さな声で、何かを確信するように。

私を労わる言葉を贈ってくれる。

 

“怪我をしたアズサのこと、ヒフミが()()()守ってくれたんだよね?”

“ありがとう、ヒフミ。よく頑張ったね”

 

その優しい笑顔と言葉に、思わず雫が溢れた。

自分でも気づかなかった張り詰めていた物がするりと解けていく。

 

“色々気になる事も、聞かなきゃいけない事もあるかもしれない”

“でもそれはまた今度にしよう。今はとにかくゆっくり休んで”

 

涙を拭いながら、先生は優しく背中を摩ってくれる。

 

“何かあったら、私が力になるからね───”

 

その手の暖かさが背に広がる事に安心感を覚えて。

私は暫くの間、先生のその胸に隠れるようにして時間を過ごした。

 

 

 

***

 

 

 

“この後まだお見舞いに来てくれる子達がいるみたいだから。”

 

 そう言って先生がハンカチを置いて病室から出て行かれてから数分後、聞き覚えのある声と共にトリニティでは珍しい黒い制服を着た二人が訪ねてきてくれた。

 

「キェェェェェェェ!!!」

「ツルギ……病院ですから声はあまり張らずに」

「きぇぇぇぇ……ッ」

 

 その活動内容からトリニティで唯一()を纏う事が許された*4正義実現委員会。

その委員長である剣先ツルギさんと副委員長の羽川ハスミさんがお見舞いに来てくれた方でした。

 

「あはは……ツルギさんもハスミさんも、来てくださってありがとうございます」

「いいえ、お元気そうなヒフミさんの顔を見れて安心したいと思っていましたから」

「ほんとに、ご心配おかけしました……」

 

 昨日のアズサちゃんの話や今日の検査を担当してくれた救護騎士団の皆さんから聞いた話で、正実の皆さんが夜に緊急招集を受けて私の保護に動いてくれていたとのだという。

恐らく目の前の二人もあれから働き詰めだったのだと思うと、申し訳なさが込み上げてくる。

 

「ツルギさん、ハスミさん。心配、してくださってありがとうございました!」 

 

 ぺこりとベッドの上からだけど頭を下げてお礼をする。

たくさん迷惑をかけた申し訳なさはある。

けれどそれよりとまずは、助けようと動いてくれた彼女たちへの感謝の方を伝えたかった。

そんな私の言葉にハスミさんが返してくれたの微笑みだった。

 

「構いません。貴女達の学びの日々を守る、それが正義実現委員会で、その為の私達なんですから……ほらツルギ」

「……ん」

 

 一つ年上なのが信じられないほど、嫋やかで上品な、大人びた微笑みを浮かべながらハスミさんはツルギさんを促して。

それに対して、いつものように片手に銃を構えていたツルギさんは、そのもう片方の手で来た時からずっと握っていたそれを差し出してくれました。

彼女が握りしめていた小さな紙袋。

ツルギさんらしい、控えめながら可愛らしい絵柄が施されたその袋を受け取る。

 

「さ、ささ差し入れ……入院長引いたり、もし自宅療養だったりした時に……」

「わっ!ありがとうございます……中身は、小説?」

「き、きひひひひ……も、もし良かったらヒフミ、も、読んで、みて……いやなら……」

 

そう、空いた手で前髪を弄りながら少し恥ずかしそうにするツルギさん。

正義実現委員会の長という立場とその戦い振りからあまり知られていない、彼女の一面を私に見せてくれる。

 そんな彼女の姿が嬉しくて私は。

 

「ありがとうございますっ!必ず読んで、また感想をモモトークでお話しますから!」

 

読み終わったら返しがてら、お茶をしつつ感想会をするのもいいかもしれない。

そんな風にこれからを楽しみに思いながら一番の笑顔を彼女達に見せた。

 

 

 

「それではお大事にヒフミさん」

「は、早く、良くなれよ」

 

暫くして、怪我の様子やこれからトリニティでは厳重にパトロールが行われるといった話をしてからお二人は病室を出ていった。

ハンカチと、それから数冊の小説。

贈られた気遣いが嬉しくてつい紙袋を私は抱きしめてしまう。

だから。

病室を出るその間際。

囁くような小さな声で。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「───うちの学生(ヒフミ)に指一本でも手を出してみろ」

 

 

 

 

 

 

容赦はしない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ぽつりと、姿が見えない筈のセイバーさんがいる方向に目線を送りながらツルギさんがそんな言葉を溢した事に、私はついぞ気づきませんでした。

 

 

 

***

 

 

 お二人からがお見舞いに来てくれた後、一度検査結果を聞きに行って、午後には退院できると言われた私は病室に戻ってから荷造りを始めていた。

荷造りといって大した荷物があるわけではない。

精々は昨日着ていた制服や下着*5と、ツルギさんから渡してもらった小説の入った紙袋。

後は救護騎士団の方から渡された検査結果が書かれた書類程度。

それらを教科書類なんかを避けながら、なんとかお気に入りのリュックサックへと詰め込んでいると本日三度目の扉を叩く音がした。

 面会謝絶中らしい私の病室に、先生と正義実現委員会の二人が来てくださる事が出来たのは関係者だからという理由で、他の友達は会いに来られない筈。

なら救護騎士団の方か、後は()()()*6ぐらいかなと当たりをつけて返事をする。

 そうして部屋に入ってきてくれた方は。

想定していた誰でもなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

参上です!!

 

 

 

 

 

 

ヒフミさん!!お加減は如何ですか!??

 

 

 

 

 

 

 

 

「あはは……元気いっぱいだね、レイサちゃん」

 

 病室に訪れた彼女は、トリニティ自警団で活躍している1年生の宇沢レイサちゃんだった。

その元気一杯と言わんばかりの声に思わず、思ったままの感想が出てしまったが、それを彼女は咎められたと感じたのだろうか。

 

「ぁ、ぁれ?もしかして、声……おっきかった、ですか……?すみません、私よく注意されるのに……」

 

 しゅんと、小さくなってしまう。

しまったなと思いながら、彼女にかけるべき言葉を探す。

 レイサちゃんと言えば元気の女の子というイメージが強い。

パトロール中の彼女の声を聞くのも、トリニティで過ごしていれば1週間に4回に程度は耳にする機会がある。

 では、彼女のその元気の良さがただ騒がしいだけの声かと聞かれれば、きっと自警団の方達も。

そしてもちろん私も。

そんな事はないと言い切る。

 

『彼女の声から元気をもらった、そんな言葉を自治区の住民の方からお礼や手紙を時折貰うのです』

 

『人によってはたかが挨拶一つ、たかが声一つと思われるかもしれません。でも私は、彼女のその勤勉な態度と快活な声が好ましいのです』

 

『そして同じようにそんな彼女の姿を好ましく思ってくださる方が学園だけでなく自治区に住まわれる中にも大勢いる……』

 

『そんな人々と、彼らが愛するレイサさんのような学生がいるトリニティの未来は明るい。なんだかそんな風に思いませんか?ヒフミさん』

 

 いつだったかのお茶会で彼女と話した事を思い出す。

 

「あはは……病院だとちょっと大きいかもしれませんね……」

「……で、ですよね〜!私ったら、お恥ずかしい!……ほんとに、ごめ「でも」……?」

 

真っ直ぐに彼女の目を見つめて、心に思った素直な気持ちを伝える。

 

「私はそんなレイサちゃんの元気いっぱいの声、大好きです!」

 

今だってほら!と力こぶをむんっと作ってみせる。

今回の件で自警団*7の方にもお世話になったと聞く。

そんな彼女達の中から、病院へのお見舞い役としてレイサちゃんを選んで私と会わせてくれた理由をなんとなく察した。

 

「パワーもらっちゃいました!」

「ヒフミさん……」

「だから、よかったらレイサちゃん……この後退院するまでの間、私とお喋りしてくれませんか?……病室だからちょっとだけ声は小さく、ですけどね!」

 

そんな私の言葉にレイサちゃんは、

 

「はい!よろこんで!!」

 

晴れやかな笑顔を見せてベッドに腰掛けてくれました。

 

 

 

「ってもう退院されるんですか!?!?!?」

「あはは……そうなんです、あと30分後ぐらい?」

「お見舞い間に合ってよかったです!!」

 

 

 

***

 

 

 

「あ、もしもしハナコちゃん?」

 

 ミネ団長からたくさん心配してもらいつつ、何とか午後一番で私は退院する事ができた。

隣にはセイバーさんが、病室の時と変わらず()()()というのを使って透明になって付き添ってくれている、らしい。

……もし透明になれなかったら使ってもらおうと思っていたウェーブキャットさん風ポンチョ*8はどうやら今回は出番がないようだった。

 

「あはは……実は退院がなんとかついさっき決まって……」

「えぇっと……もう実は外に出ちゃって……え?迎え、ですか?大丈夫ですって!」

 

電話越しのコハルちゃんを宥めつつ、ハナコちゃんと話を進めながら、病院の自動ドアを潜って歩き始める。

 

「噴水?あ、スクエア*9のですね!分かりました、今からそちらに行きますね!」

 

 午後の日差しは思いの外、眩しい。

なんだかたった半日程度、外に出なかっただけなのに不思議な気分だ。

どこか浮世離れしているような。

そんな気分になる。

 

「はい、はい、……じゃあこれから連絡バスでそちらに向かいますね」

 

 電話を切ったタイミングで、病院近くにあるバス停に着く。

トリニティらしく、景観を壊さない為に装飾こそ簡素だが白色が眩しい、東家(ガゼボ)風に建てられているバス停のベンチへと腰掛ける。

日陰となるように計算されて火照るような暑さから逃れるには丁度良かった。

 

バス停には、私達以外誰もいない

 

 

 

『(ヒフミ。これから会いに行くのが、昨晩君が言っていたホシュウジュギョウブの友人かい?)』

 

 

「ぃええっ……!?」

 

 隣から急に声がしてつい変な声が出てしまった。

キョロキョロとバス停内を見渡すが、生徒の姿はもちろん、セイバーさんの姿も見えない。

そんな私の慌てた様子がおかしかったからか、揶揄うような口調でセイバーさんの声が頭に響きました。

 

『(すまない、昨日説明しそびれていたね。これは、念話と言って……僕たちサーヴァントに備わっている基本的なスキルなんだ)』

 

「て、テレパシー……みたいな感じですかね?」

 

『(うん、そう思ってもらって大丈夫だよ。ヒフミと僕との間にある契約のパス、それを通じて秘匿した会話が可能だ)』

 

「な、なるほど……」

 

 予想より凄いものが飛び出てきた。

なんていうか、昨日から驚きっぱなしだ。

本当にこんな魔法みたいな事ができると聞くと、恥ずかしながらわくわくしてしまう。

 

「なんだかまだまだ、セイバーさんの不思議なとこはいっぱいあるんですね……」

 

『ははっ、何度も驚かせてしまってすまないね、ヒフミ。ああ、それから念話をするのなら……』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

念話を使う時は声に出さないのをおすすめしますよ

 

「───阿慈谷ヒフミさん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ───どくん、と心臓が打つ。

全身に鳥肌が走り、凍りついたように肌の硬直を感じる。

いつの間にか隣に。

 

真っ黒ながいた。

 

 虚空に穴がぽっかりと空いたのを想起させる、黒い人。

横に足を組んで座って、仕立ての良いスーツを着た、()()の男性。

その纏ってる空気は、私のよく知る先生と似ているようで、けれど決定的に異なっている。

異質。

目の前の底知れない()()()へ、本能が警鐘鳴らした。

 

『(……セイバーさん。話をしてみます、この人と)』

『(分かったよ、ヒフミ。もし、何か動きがあれば……)』

『(はい、その時は私の指示を待たずに対応をお願いします)』

 

 頭の中で念じるように、彼へと向けた言葉。

それはきちんと届いたようで、傍で待つ彼の存在感が僅かに強まった気がした。

 

「クックックッ……素晴らしい対応力です。サーヴァントとの会話はそうして、脳内でパス越しに行うのが望ましいでしょう」

 

 バレている。

驚き、はあまりありません。

 

「……お詳しいんですね」

 

「ええ、()()から教わりましたから」

 

事も無げにそう言いつつ、けれどと彼は続ける。

 

「きょろきょろと周囲を見渡しながら一人言を呟くのも、或いは指摘を受けて急に黙るというのも()()()()()()()()()()()()というような物ですよ」

「───特に今、このキヴォトスでは」

 

 そうでしょう?このキヴォトスの地に選ばれた()()()()()()()、阿慈谷ヒフミさん?

 

 

 

***

 

 

 

「第、二……ですか?」

 

「ええ、少なくとも私が観測した限りでは阿慈谷ヒフミさん、貴女がこの世界で二人目の()()()()です」

 

 あんな開けた場所で、あれだけエーテル光を放てば嫌でも観測してしまいますからね。

そう言って、くつくつと笑いながら彼は言葉を続ける。

 

「ふむ……もう少し動揺なさるかと思いましたが、思いの外落ち着いておられる」

 

「あはは……そう見えるよう立ち振る舞ってるだけですよ」

 

「それはそれは、流石は一般学生ながらトリニティの中枢たるティーパーティ*10のホストと懇意になさっているだけはある」 

 

 その齢で随分としっかりなさってますね、と褒めているように見せかけた空虚な言葉が聞こえました。

彼の言葉通り、最初こそ焦りはしたものの、今はもう取り乱すことはない。

もちろん抑えていても感じてしまう僅かばかりの緊張がないとは言い切れない。

だがこの程度の駆け引きは、ブラックマーケットでは日常茶飯事。

ペロロ様グッズを手に入れる為の闘争で、こんな風に大人とお腹を探り合うなんていつもの事。

 何より、聖杯戦争の関係者と戦いを伴わない話し合いと情報収集できる機会を、みすみす見逃すという選択肢は私にはなかった。

 

「幾つか、聞いても構いませんか?」

 

「ええ勿論……バスはまだ来ませんからね。ですから、その手に握ったデコイは仕舞っておいて頂いてかまいませんよ」

 

「……それは、失礼しました『黒服さん』」

「───クッ、クックックっ……。えぇ、結構。長年トリニティは彼女に任せていて管轄外でしたが、これは惜しい事をしましたね」

 

汗がぽたりと垂れる。

遠くに聞こえる蝉時雨を背中に受けながら、()()との会話が始まる。

 

「さあどうぞ、何なりと聞いてください。お互い益のある時間となる事を、祈りたい物ですからね」

 

バスはまだ来ない。

 

 頭の中で情報を整理する。

隣に触るのは謎の男性、『大人』。

対話に持ち込んだのはいいけれど、私がマスターだと()()()()、相手は聖杯戦争を知っている、念話の件から明らかに私より手慣れていてかつ情報量が多い、そしてバスが来るまではあと数分という()()()()

これらを踏まえて聞かなきゃいけない事を頭の中で箇条書きにし、即興の台本を仕立てる。

 

「黒服さん」

 

「はい、なんでしょうか?」

 

 慇懃な、明らかに楽しんでいる風な口調。

それに対して反応は返さない。

今私が聞くべき事、言わなくてはいけない事だけに集中する。

それは。

 

「黒服さんは()()()()()()()()()()()()()()()()、ですか?」

 

 この目の前の男性から、それとなくあのサーヴァントについて、そしてこの人が聖杯戦争にどう形で関わっているか。

その二つを探る事。

その為に、直球の問いかけで動揺を誘う。

 だが、その意図を彼は理解しているのか、対する返答はあまりに簡潔だった。

 

「ええ、はい。()()()()()()()()()ですよ」

 

あっけらかんと、そう告げる彼に対して、まずいなぁと心の中で僅かな焦りが生まれる。

 

「(うぅ……この人、表情読めないです……)」

 

辛い。

普通アンドロイドタイプの方だってもうちょっと分かりやすいのに、そもそも表情の変化が中々見えてこない。

なんなら声色すら変わらない。

どこまでも平坦な音だけが返ってくる。

 

『(頑張るんだヒフミ……力になれなくてすまない)』

 

 セイバーさんの応援を聞きつつ、なんとか探りをそれとなく入れていく。

 

 息を、吸う。

わざとだ。

こんな風に交渉中に隙を、深呼吸をしてさも私は焦っていますと見せつけるのは基本的には下策。

けれど、そんな事は相手も私も承知の上だと認識している。

だからこそ、そういう相手であればコレはただの隙ではなくなる。

あからさまな()()()()は相手の思考にノイズをかける()()()となる。

私が緊張している、かもしれない。

そう見せかけているだけ、かもしれない。

それすら計算のうち、かもしれない。

そう思わせる小細工へと転じる。

そういう小細工を張り巡らせて、()()()()()()という可能性で僅かでも相手の思考を散らしていく。

 

「……ではもう一つ教えて下さい」

 

「どうぞ、幾つでも」

 

「彼女とお知り合いになられたのは私が彼女に怪我を負わされる()ですか()ですか?」

 

「さて、どうだったでしょう。少なくとも、昨日、今日の話ではありませんからね」

 

肩をすくめるその所作に澱みはない。

 それなら。

 

「黒服さんは、どうして彼女とお知り合いに()()()()()()()?」

 

「───なるほど」

 

 釣れた。

内心ガッツポーズをする。

先ほどまでと比べて明確な変化が現れる。

ここまでの会話の中で辛うじて掴んだ、この人の特徴から、こういう聞き方なら刺さるとは思ったが予想外に上手くいった。

 

「(上手く、このまま……どうかいってください)」

 

「確かに、確かにそうですね。目撃者を殺す事、それを命じられた彼女と知り合いになる……それは一体どんな絡繰か……えぇ、良い質問ですよ、阿慈谷ヒフミさん」

 

まるで学生の思わぬ発言にほくそ笑んで教えたがる学者のように。

彼はその答えを告げた。

 

「それは私が、」

 

残り1分。

 

「この聖杯戦争の()()()、だからですね」

 

バスが来るまであと、僅か。

ここからが正念場の筈、だった。

 

***

 

「もっとも、大変不本意ではありますがね」 

 

 どこか疲れたように見える、というか声に如実に疲れが見え隠れしている。

 

「不本意、ですか?」

 

もう少し探ろうと、彼の心情が伺える言葉から崩していく。

もしかすれば、この聖杯戦争の根幹に関わる情報の一端も今この場で得られるかもしれないと気持ちを引き締めて。

 続く彼の言葉で私は 致命的な失敗(動揺)をしてしまった。

 

「ええ、私としてもこういう形で携わるつもりはなかったのですが……大人になると好むと好まざるに関わらず責任を負わなくてはいけない。それは貴女もよく知る()のように、ね」

 

黒服さんの言う彼、それが誰かはすぐに分かった。

そしてそれをわざわざこのタイミングで生徒である私に向かって言う、という意味も。

 

「(ぅぅぅ……この人、すごく面倒です……)」

 

一見すればただの代名詞。

ほぼ間違いなく、このキヴォトスで唯一の大人の先生。

彼を引き合いに出しただけの言葉だを

 だけどこのタイミングで思わせぶりに言えば。

 

「(まるで先生が聖杯戦争に関わってるみたい……って思わせてくるのはズルいです……)」

 

 先生と関わりがあった生徒はどうしても、思考がブレる。

一瞬、すぐに否定は出来るがほんの一瞬だけでもそんな選択肢を想起させてくる。

無論これまで積み重ねてきた時間と信頼があるから、彼が聖杯戦争に、誰かとの殺し合いに望んで参加しているなんて思う事はない。

 

 けれど、それでも、一瞬だけ。

心から信頼する彼と命の取り合いで敵対する事になってしまったら。

そんな絶望的に悪趣味な想像を、思考の中に植え付けられてしまう。

そしてそれは、少なくとも私にとって間違いなくウィークポイントへの一撃となった。

ほんの針の一刺しに、僅かな動揺が生まれてしまう。

だからごく短時間、私は思考に囚われて()()()()()()()

 

「……さて、良い時間でしょうか」

 

 その言葉でいつの間にか脚の上でぎゅっと握った拳を見つめるようにしていた私は、ハッとして顔を上げました。

 

「バスも来ましたし、私は此処で」

 

 そう彼は立ち上がりながらバス停を出て、けれどバスには乗り込まず、まるで見送りに来たと言わんばかりに立ち竦んでいる。

陽の光の下、彼は陽炎のように揺らめいてどこか非現実めいた存在であると錯覚させられてしまう。

 

「貴女も早く乗った方がいい。……今日は随分と暑くなるようですからね。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「……っ」

 

私は返事も出来ないまま、立ち上がりバスへと近づいていく。

そんな私の背中に彼は、

 

「最後に一つだけ」

 

そう言葉を投げ掛ける。

 

***

 

「貴女は聖杯戦争に参加する」

「なぜ?平凡な学生を自負しながら」

「他ならぬ()の教え子である貴女が」

「なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?」

「聖杯戦争は己が望みの為に他者を踏み躙り、血で血を洗い合う惨憺な儀式である事はサーヴァントから聞いているでしょう?」

「では何故貴女は。先生のもとで学んだ筈の生徒である貴女は」

「どんな理由でこの()()()()に参加されるのでしょうか?」

「阿慈谷ヒフミさん、一体貴女は───」

 

 

「どんな欲望を抱いて戦うのですか?」

 

 

 

 バスのステップ、そこに片足に乗せた私へ疑問が投げかけられる。

彼との会話は空虚な言葉の応酬だった。

彼からの問いかけには、探究心はあれど感情はこもっていない。

思い返せば会った瞬間から声も視線も、まるで実験動物を見るような温度のない物だった。

 だけど、今この瞬間だけは。

背中に感じるその視線には()()のような物を、感じる気がして。

私は振り向かないまま、それでも精一杯の答えを返した。

 

「理由なんて簡単です」

「私はもう誰かに、あんな風に傷ついてほしくないだけなんです」

「誰にも、傷ついた友達を見て悲しい思いをしてほしくない」

「殺し合いなんて、そんな悲しいだけの物語が嫌だから」

 

 

 

「だから私は───戦うって決めたんです」

 

 

 

「失礼します」

 

 そう告げて、私はバスに乗り込みます。

その私の背中に彼は、最後の言葉を投げかけた。

それはまるで鋭く尖ったナイフのように。

 

「クックックッ……成る程、であれば」

「祝福を」

「おめでとうございます。阿慈谷ヒフミさん」

「その願いはきっと、この聖杯戦争を駆け抜けるに相応しい」

 

 そうしてバスの扉が閉まって。私は───。

 

「セイバーさん」

 

『(……ああ。お疲れ様、素晴らし「今から」……なんだい』

 

 

 

 

 

 

今からこのバスをバスジャックします

 

 

 

 

 

 

「……は?」

 

 セイバーさんからの返事を待たず、下を向いたまま運転席と車内を確認。

幸い、古いバスのようで監視カメラもなければ、ステップ部分に立つ私の顔を運転席から見る事はミラー越しでも難しいのを察する。

それが分かり、少しホッとしてから。

 私は急いで鞄から取り出した()()()()()()()()()を被った。

 

「えぇ……ご乗車のお客様、運転中のバスは大変危険ですので急ぎ着席していただきますようお願いしまぁす」

「お願いします、早急にこのバスの運転席を奪取して下さい」

「え……あ、ああ、分かったよ」

「えぇ……ご乗車のお客様、運転中のバス内でのテロ行為及びテロ行為のご相談はお控え下さぁい」

 

 既にバスは発車している。

セイバーさんは敵襲に対して()()()()()()()()()

その上で、この反応なら最悪の場合でもまだ間に合う。

 

「ではよろしくお願いします」

 

「ヒ、ヒフ「()()()()()です」え、いや「この覆面が見えませんか……今の私はファウストです」……ファウスト、君は何をするつも「私は」あ、はい」

 

「とりあえずデコイを撒きまくります!!」

 

そう言うが早いか、私は手近な窓を拳で叩き割った。

 

「お、お客様さまぁっ!?!?」

 

「お願いしますっ、、ペロロ様!!」

 

鞄の中にあるありったけのデコイをばら撒く。

ここに来て、遠くになっていく黒服さんの表情が呆気に取られつつ、こちらの意図を読んでか肩を振るわせている。

 

「すまない……本当にすまないと思ってるんだ……」

 

「いやぁぁぁぁ!お客様!あぁいけませんお客様!困ります!お待ちくださいっ!お客様ぁぁっ!!」

 

 けど、どうだっていいんです!!

 

「あ、あのヒフ「ファウストです」……ファウスト、運転席、奪取したよ……」

 

「ナイスです!それでは、せ……いえ、謎のヒーローXさん!!」

「ここからはスピード勝負になります……!」

「ぶっちぎりの()()!魅せて下さい!!」

 

 

 

***

 

 

 

「あー!もうっ!やっぱり遅い!!」

 

 噴水前、一人の少女が立ち上がって叫んでいる。

周りの学生達はあまり気にした様子はない。

比較的富裕層からの進学者が多く世間一般でお嬢様学校と呼ばれるここ、トリニティ総合学園であってもキヴォトスなのだ。

いくら治安が良いとは言っても、多少叫んでたり、爆撃したり、銃撃戦したり、人質になったり、裏取引していたり……そんな事はキヴォトスではわりと日常風景だったりするのだ。

 

 だから今、息を切らして怒っている、わざとはだけさせた襟から覗く白い肩が眩しい小柄な少女『下江コハル』の姿は、そんなに珍しい物でもなかった。

 

「ちょっと!聞いてるの!?ハナコ!!」

 

 細い腕を振り回してめいいっぱいに主張を表現しているコハルに呼ばれながら、そんな彼女を微笑ましげに見守りながら座っていた『浦和ハナコ』は、これまた楽しげに返答した。

 

「もちろん聞いてますよ、コハルちゃん」

 

「だったら分かるでしょ!!やっぱり私たちが迎えに行くべきだったのよ!!」

 

「そうですね……ほんとは私もそうしたかったんですけど、ヒフミちゃんがこちらに来てくれると言ってくれたので……」

 

 そう言いながら彼女は手元の携帯端末を眺める。

つい十分足らず前の電話で、彼女がバスでこちらに向かうと言っていた、その事を思い出す。

もちろん、迎えに行くとは言ったが、大丈夫とヒフミに言い切られていた。

彼女なりの心配、なのだろうとハナコには推察できた。

何かあった時に巻き込まないよう、誰かと接触する際はなるべく自分が移動する。

そういうリスク回避をしているのだと、そうハナコは察していた。

コハルは別に察していない。

コハルは可愛いからいいのだ。

 

「もう!大体いっつもヒフミは無理ばっかり言って!!あの子にはしっかり無茶しないよう言い聞かせなきゃ駄目!大体昨日だってあんな時間まで買い物しにうろついて!今回はもう怒ったんだから!!」

「あらあらコハルちゃん♡まるでヒフミちゃんのお母さんみたいですね♡」

「お母さん!?幼妻!?妊婦!??エッチなのはダメ!死刑!!」

「まぁ♡」

 

 といつも通り、補習授業部の二人が喋っていると、何やら周囲がやけに騒がしくなる。

 

「……一体なんでしょう?」

「あ、マシロからモモトークだ……?なにこれ?緊急事態?ばすじゃっくぅ?」

「?……何かありましたか?コハルちゃん」

 

よくわかんないけど……そう言って差し出されたモモトークの画面をハナコが覗き込んだその時。

がなりたてるようなサイレン音と遠くから聞こえる拡声器の声。

そしてそれよりも圧倒的に近い。

 

『そこの車ー!!!止まりなさーい!!!!』

「うおおおおぉ!!!駆けろドゥン・スタリオン二世!!お前もまた騎士王の名馬だと言うのなら!!!」

『返しなさーい!!それはトリニティ交通のバスでーす!!!』

 

 怒声とやたらうるさいエンジン音が聞こえてきた。

それが徐々に近づいてきて、周囲の学生達がなんだなんだ逃げ出し始めて。

そうこうしているうちに、呆気に取られる二人は尻目に、猛スピードで近づいてきたバスが路面を砕く勢いで噴水前で停車して。

 

「コハルちゃん!ハナコちゃん!お待たせしました!!」

 

笑顔で開け放たれたドアから身を出して、

 

「とりあえず!逃げますよ!!」

 

こちらに手を差し出すヒフミが現れたのだった。

 

To Be Continued……

 

 

 

 

 

*1
モモフレンズブランドから発売されている『いつでもいっしょモモフレンズスマホカバーver.ペロロ』(税込4,600円)。受注生産品の為、現在はブラックマーケット等でしか手に入らないプレミア品。ヒフミは予備を含めて確保済み

*2
キヴォトスに住む女子生徒達の大部分は先生と会う時に声のトーンが平時より数%上昇するという謎の研究論文がミレニアムサイエンススクールから発表された……が大量の抗議文が同校の生徒会宛に送られた為、先生が知る前に闇へと葬り去られたという噂がある。ちなみにその噂を聞いたとある少女達が生徒会の書記と会計にその噂を元にした『誇張しすぎた⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎と⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎(※セミナーにより検閲済み)』という一発ネタを披露した結果、無事に彼女達が所属する部活の今期予算が一時減額となったのは言うまでもない。ヌッ

*3
広大な学園都市キヴォトス唯一の先生である彼は日々生徒達の助けたなるべく実務、事務を問わず働いている。その為、徹夜続きというのも珍しくはない極めてハードな労働形態にある。なお彼の所属するキヴォトス全域の行政を司る連邦生徒会もまた同様である。彼、彼女達が手放しで布団に潜れる穏やかな日々が果たしてやってくるかは、誰にも分からない

*4
治安維持活動の際の汚れを目立たなくし、夜間任務の際の迷彩塗装の為というのが一般生徒からの認識である。また一説には、かつてトリニティ総合学園で治安維持をしていたとある団体の黒いシスター服に倣って黒い制服を今でも着ている……という話もあるが、詳細は不明であり生徒会及び委員会側からも正式な発表は控えられている

*5
救護騎士団側が気を回して洗濯、乾燥済み。清潔!消毒!殺菌!……が大切なのですと某看護婦長もそう語る

*6
ヒント:ヒ↓フ→ミッ↑

*7
正式名称、トリニティ自警団。立ち上げた守月スズミのもとに集まった有志の学生で構成される、生徒会非公認の部活動団体。ただし非公認とはいえ、一般生徒や自治区住民からの認知度も高く、治安維持組織である正義実現委員会とも時に反発しつつも大きな催し物や有事の際には協力の要請を受けて共に行動する姿も見られる

*8
ヒフミが鞄の中に入れておいたポケッタブルレインウェア。マナスル社とモモフレンズのコラボ商品。今日持っていたのは限定色仕様の黄色

*9
トリニティの中心部分に位置する広場です。トリニテイの生徒たちがよく集まる人気の場所で、特に中央にある綺麗な噴水は、トリニティ自治区内外を問わず知られている有名な待ち合わせスポット

*10
トリニティ総合学園の生徒会及びトリニティ自治区の行政機関。





今回のタイトル決めるのに元ネタ探ししてて思ったけど、大体どの作品も3話めで戦闘突入してるじゃんね☆
うちはまだじゃんね☆
もっと頑張るじゃんね☆
今回お見舞いに来てくれたお客さん達はどの子もとっても可愛い子じゃんね☆
ちなみに安価で選んでもらった中から決めたじゃんね☆
それからようやく補習授業部と合流したじゃんね☆
次回からは4人でわいわいしていくじゃんね☆

本作の内容は

  • ①Part6スレまで読んでる
  • ②あにまんの過去ログまで読んでる
  • ③ハーメルン版のみ読んでる
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