阿慈谷ヒフミは聖杯戦争に参加するようです   作:1じゃんね☆

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───状況は!?
───わ、わかりません……!な、なにかすごく強い、マリョクの反応みたいのが……!?
───キャスターッ!
───分かっている。恐らくはサーヴァントだ、準備出来次第、すぐに向かうぞ。

───ハナコ。
───……はい、アズサちゃん。
───ヒフミ達ならきっと大丈夫。まずはこちらで通信を立て直そう

───……きっと、大丈夫な筈だから



叛逆の闘士

 

 誰も彼もが間に合う筈はなかった。

最早これまでと振るわんとするセイバーの聖剣(宝具)ですら、今のキヴォトスでは()()()()()()()()

致命的な敗北。

阿慈谷ヒフミの失敗。

この瞬間に、阿慈谷ヒフミはミレニアムに壊滅的な被害を与えた罪を短い生涯に亘って背負う、その筈であった。

 

 ケセドが拠点とする軍需工場に轟音が響き渡る。

ヒフミ達が今いる場所は地上から数えて地下3階。

深く潜ったその場所に戦士は文字通り()()()()()

何のことはない。

至極明確、単純にして簡潔。

鈍色の拘束具に身を包んだ大男はさながら 掩蔽壕破壊弾(バンカーバスター)の如く空から垂直にヒフミ達目掛けて地面へとぶつかり、その勢いのまま天井をぶち抜いて地下まで降り立ったというだけの話。

 

 そうしてこの場所に馳せ参じた男は、破砕された鋼鉄の資材と粉塵をはためかせて、悠然と目の前の圧政者()を見る。

 

 大気は、燃えていた。

空気中にプラズマが如き炸裂光をあげて、断罪の刻は来る。

 

 ケセド、渾身の一撃。

本来は全管理権限を即座に破棄して撤退するAIが、伏してその力を蓄え続けた最高の奇襲。

第三スキル『王は慈悲を施すものなり』。

仮設段階であるとはいえ、今現在自身が管理する設備の51%から無理矢理捻出させた熱量、そして仮初の器であり、疑似神聖とまで至った己の躯体。

 

 それら全てを投げ打つ、自爆込みの大出力によって自他共に殲滅する放熱の裁き。

暴走とも言えるケセドの過剰駆動によって迸る赤き燐光は、正しく火を思わせ、既に外郭が熔解を始めているのも気にせず赤々と周囲を照らす。

 

だが、男は不敵に笑った。

 

「素晴らしい、これはなんと美しい」

 

うっそりと悦に浸るかのように、夢心地で男は笑う。

ヒフミに声をかけ終えた背中はその胸の高鳴りを隠そうともせずに地響きを鳴らして、けれどどこか厳かな足取りでケセドへと向かっていく。

 

「王、即ちは自ら権力者であると名乗り上げる!そしてあろう事か幼き少女達にその矛を向ける!」

 

笑みを絶やさぬ大男の肢体は屈強の一言。

鋼を束ねたかの如き筋肉と、肌に刻まれた多くの疵痕。

 

「窮地である、絶体絶命の刻である。これこそがヴェスヴィウスの剣が峰!」

 

男が英雄であると誰が疑うか。

 

「だが、誰もが傷つきながらそれでもまだ前を向くというのなら」

 

男は歩みを止めない。

抱擁するように両手を広げて前進する。

 

「私もまた前に出よう、前を向こう、前を叩き潰して歩こう!我が眼前の悉くに打ち勝ってみせよう!」

 

既に余剰エネルギーが溢れかえるケセドの周辺に、己の肌を焼け焦がされる痛みも傷も厭う事はなく。ただ近づく。

ただ、歩いていく。

 

「そうして遍く圧政を我が宝具で打ち破りしその時の凱旋は、如何程に甘美であろうかッ!!」

 

その反応にケセドは疑問しか宿せない。自殺行為である、この15秒と満たない時間でやる事が大きすぎる歩幅で抱きつきに来る。理解できぬと、ケセドの思考回路はエラーを起こした。

 

「───さあ、圧制者よ。その権力は失墜し、神を騙る驕りが蹴散らされる刻が来たぞ!」

 

 だからと言って止まることは、ケセドにはあり得ない。未

完成であろうと己が全てを賭して、この一帯にいる全ての生命体を根こそぎ絶滅させんと。

赫赫とした光は、今、臨界し。

 

雄ォォォオッッ!我が愛は───!

 

 がっぷり四つ。

 

爆発するッッッ!!

 

焼け爛れる肌を気にせず、今まさに臨界を迎えたケセドに組付き。

 

「378. שלוש」

疵獣の(クライング) ───」

 

零距離での爆発。

ケセドの大放熱は放たれる。

その刹那、その数瞬。

それだけでキヴォトスの住民にすら致命傷を与えかねないその一撃を。

一番初めに触れた『バーサーカー』の『常時発動型宝具』、その真価が発揮された。

 

 

 

 

 

 

咆ォォッッ哮ォォォオッッッ(ウォォッッモンガァアッッッ) ───ッ!!!

 

 

 

 

 

 

 放熱と爆発、その対消滅。

本来、今のバーサーカーで堰き止められる威力ではない。

 

 だが、条件が噛み合った。

あろう事か、この場にいたのはケセド。

『権力を通じて動作する慈悲』、その小径に通ず預言者。

その存在に王国と権力を刻み、断罪という強権を振るう『圧政者』に、トラキアの大英雄が屈するだろうか。

 

 ───否。

 

どれだけの熱量であろうと、概念上、今まさに弱者をその背中に守る彼が圧政者相手に敗北も、ましてや宝具出力が()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「愛ッ!これぞォォッ!」

 

そうして、バーサーカーは。

 

 

 

───ッ!!!」

 

 

 

廃墟一つを吹き飛ばさんとする程の過剰な熱量、その全てを五体一つで抑え切った上で、漲る魔力と筋量を昂らせてケセドを力強く抱擁し。

 

「吹射ゥゥゥゥゥゥゥゥッ……」

 

全身から爆発による蒸気を放出しながら。

ケセドを抱きしめ潰した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 圧倒、されてしまっていました。

ケセドが放とうとした、恐らく軍需工場を丸ごと焼き払う高威力の爆発。

それを己の肉体だけで抱き込んで、その宝具でこちらに一切の余波を与えずに、爆発に指向性を持たせて『真上』へと受け流して、暴発させる。

物理的な現象を鼻で笑うような、ファンタジー染みた光景が目の前で起こって。

私も含めて誰もが声を失った。

 

『……えますか!?⬛︎⬛︎ミちゃん!コ⬛︎ルちゃん!!』

 

『ア⬛︎⬛︎ちゃん!!返事してッ!!』

 

 誰もが状況を整理できないまま、押し黙るしかない空間に、雑音混じりに音が届きました。

膨大なエネルギーが放出された余波か、まだ通信は安定していないけれど通信端末から二人の声が聞こえてきました。

 

「……あ、はい、ヒフミ、ヒフミです。生きてます、みんな」

 

 生きてますとしか言いようがないと言いますか、圧倒されて何が何だかといいますか。

 

『……かった!さっき!キャスターさんのドローンが高出力の魔力を……サーヴァントの反応を感知して!』

 

『空中からその反応が降ってきた時は本当に……ヒフミちゃん達のいる地点に落下したと思いますがその様子だと大丈夫だったんですね?』

 

あ、目の前の人は本当に空から降ってきたんだと呑気な感想しか生まれない。

 

「と、とりあえず無事です!ご心配おかけしました!」

 

 通信越しにそう言いつつ、先ほどまでケセドを抱きしめていて、今は全身に浴びたオイルやケセド本体だった破片を力強く払っている男性の後ろ姿を改めてみる。

 

 鈍色の肌に搭載された筋肉はまるで大理石の彫像のよう。

衣服もかなり……その特殊な感じで鋼鉄製の下着しか身につけていません。

普段のコハルちゃんなら即死罪判決を言い渡すと思いますが、今はもう呆気に取られてぺたんと座り込んでいます。

 

「あ、あのっ!」

 

 私達より前に立っているセイバーさんとアリスちゃんは後ろ姿しか見えませんけど、その手の握りしめた具合から見えない剣を離した様子はないですし、警戒は解かずにいてくれています。

だから、私にできること。

まずはお礼を言おうと声をかける事にしました。

 

「……ぬふっ」

 

 キャスターさんがウッドベースなら、この方の声はバリトンサックスでしょうか。

金属めいた鋭利さはあれどどこまでも低く、そして聞く人の胸を熱くさせるような力強い鼓舞。

そんな声の持ち主は今振り返って……

 

「どうしたかな?幼き少女よ」

 

 満面の笑みと見事なラットスプレッドを披露してくれました。

 

え、笑顔です。

すごい愛嬌のある方のようで、にこやかに白い歯を見せながら、彼は一歩ずつこちらに近づいてくる。

 

「───アリス、すまない」

 

「うぴゃっ!?」

 

 その足取りは先ほどまでケセドに迫っていった時のような、半ば駆け足というかスキップめいた歩みではありません。

こちらを脅かさないように、一歩、また一歩とゆっくりと丁寧に進んでくれる。

 

『(ヒフミ、話すのは構わないけど。こちらの判断で離脱するよ)』

 

『(すみません、セイバーさん……その時はよろしくお願いします)』

 

 アリスちゃんと目を回しているコハルちゃんを猫のようにして両手に抱きかかえて、隣まで来てくれたセイバーさんからの提案を受け入れます。

 

状況だけ見れば間違いなく助けてくれた相手ではあるけれど、だからと言って味方だとは言い切れない。

ところで、離脱する時は両手に二人を抱えてますけど私はどこに捕まればいいんでしょうか。

 

「その……助けてくださってありがとうございました!」

 

「構わないとも。幼き子が愚かなる圧政によって涙するならば───このスパルタクスの出番である」

 

はっきりと、煙を立てて怪我を修復しつつある彼はにこやかにそう告げられました。

 

『(トラキアの英雄、スパルタクスか……)』

 

『(あの……どんな方なんでしょう……?)』

 

『(僕の生きた時代にまで名が轟いた高名な英傑さ。詳しくはまた後で。ただその名を名乗り、あれだけの力を魅せたのなら、まず間違いなく本人と考えていいと思うよ。クラスは恐らく……)』

 

「叛逆の原石たる少女よ。まだ()は痛むかな?」

 

 セイバーさんとの念話の途中、スパルタクスさんから不思議な事を聞かれる。

多少擦りむいたり流れ弾で痣は出来たかもしれないが、大きな怪我はない。

とはいえ、そのダイナミックな姿形から想像する以上に、先ほどの近づき方といい気遣いに満ちた紳士的な方なのだと感じさせます。

 

「はいっ!もうぜんぜん大丈夫ですっ!……あっ、お名前……あのっ!私も自己紹介、してもいいですか?」

 

「勿論だとも。聞かせてくれたまえ」

 

膝をついて、そうスパルタクスは私の目をじっと見る。

棍棒を手から離し、静かに私の言葉を待ってくれるその理性的な姿に、緊張こそあれど恐怖を私が抱く事はそれほどありませんでした。

 

「トリニティ総合学園2年生、阿慈谷ヒフミです。この度は助けて頂いて、本当にありがとうございました!」

 

 名前と改めてしっかりとお礼を伝える。

流石に夜会の時みたくカーテシー、というわけにもいかない以上、その分だけ深々と私は頭を下げる。

それを静かに見守り、ゆっくりと彼は口を開いた。

 

「礼を受け取ろう。君達の営みを守れたのなら、私も満足である」

 

堂々とその言う姿は、衣服こそ纏っていませんが、とても高潔な戦士を思わせる。

彼もまた偉大な英雄なのだとひしひしと感じながら私は一つ質問をする事にしました。

 

 彼もまたサーヴァントだというのなら、マスターがいるのでしょうから。

もし助けに来てくれたのが、その人の意思だというのならもしかすれば協力し合えるかもしれません。

 

「スパルタクスさん……一つ、教えては頂けませんか?」

 

「聞こうとも」

 

 ただ、ストレートに聞いても教えづらいというのはあるでしょうから、スパルタクスを通してアポを取る形にするのではなく、最悪でも私の気持ちが相手に届くように。

 

「今回助けてくださった事、それにもし他の方も関係しておられるのでしたらその人達にもお礼を伝えたいんです」

 

「ふむ……」

 

「もし会う事が難しいなら、スパルタクスさんに託す形にはなっちゃいますけど……できればきちんと面と向かってお礼したいです。ここに来るのに、どなたか()()してくれた人はいるんでしょうか?」

 

その言葉にスパルタクスさんは。

 

「それが指示というのなら、私は誰の指図も受けていない。そう答えよう」

 

はっきりとそう仰った。

 

 指示を受けていない、つまりサーヴァントとして自分の意思で独断で助けたという意味。

それが本心からなのか、マスターを隠す意図があるかは定かじゃありません……。

 

「ただ───」

「……え?」

 

 やはりスパルタクスさんからマスターについては教えてもらえないかなと諦めかけた時に、彼は特段と顔色や表情を変えることなく、先ほどと同じようにはっきりと。

 

「私に『協力』してくれた『同胞』ならばいる」

「少女よ、君が願うのなら私は同胞のいる場所まで案内しよう」

「───礼を言われるという歓びを、彼女達も同じように受けるのなら、それは喜ばしい」

 

それだけ言って彼は私達を通り過ぎて、歩き始めてしまう。

 

『(どうするんだい、ヒフミ?)』

 

『(と、とりあえず追いかけましょうか……)』

 

その背を追って私とセイバーさんは歩き出す。

 

「あっ、スパルタクスさんっ!!上にお友達がいて、通信車もあるんですけど乗っていかれますかー?」

 

「スパルタクスはこの大地への叛逆に悦びをおぼえるのだ……私の事は気にせずともいいんだ、今はまだ未熟な叛逆の卵よ」

 

そういう事になりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うふふ♡……ヒフミちゃんはもしかしてサーヴァントの事を犬猫とかだと思ってます?」

 

「あ、あはは……そ、そんな事ないですよ」

 

「ヒフミ、流石に私も搬入口からヒフミ達を引き連れて半裸の巨人が出てきたのにはびっくりしたぞ」

 

 運転中でなければ真っ先に目線を逸らしてしまいたかったのですが、残念ながら今は真っ直ぐに前と、先導するように魔力を分かりやすく漏れ出させてくれる、霊体化中の彼を追いかけるしかありません。

 

「ひ、ヒフミさん……あの人、人?は次の信号を右に曲がられました」

 

「ありがとうございますユズちゃん!」

 

 背中に感じる冷たい視線だったり残念そうな物を見る目だったりは気にしないようにします。

私だってよくよく考えたらかなり滅茶苦茶な気がしますが、ここまで来たからには今更スパルタクスさんのマスターにお会いしないわけにもいきません!

 

「ねー!キャスター!スパルタクスってどんな英雄なの?」

 

「む!アリスも気になります!あのエネルギー、それに袴と棍棒だけの装備……きっと彼は装備縛り中のベテラン勇者です!」

 

「……ねぇ、コハルちゃん。あの服、どう思う?」

 

「エッチ……エッチ……エッチ、いや、でも……うう……」

 

 エッチかどうかという哲学的な問いに頭を抱えているコハルちゃんはさておき、私もモモイちゃんの言う通りスパルタクスさんの事は気になる。

 

 現状残るクラスはバーサーカーだけ。

狂戦士、だなんて呼ばれる割に、確かに服装はちょっとあれですけど、スパルタクスさんは理性的だ。

一体どんな方なのか、気になってしまう。

 

「……難しいな。我が知る聖杯から与えられた知識と、我の生きた時代の『彼』に対する考え方は、少し乖離が激しい。よって我ではなく、屋根にいるセイバーに聞くといい」

 

「呼んだかい、キャスター」

 

「セイバーよ、上半身だけ霊体化を解除して天井から顔を出すのはやめよ。見ろ、ユズが半泣きだ」

 

 天井からにゅっと逆さまになって顔を出したセイバーを見て、隣で振り返って話を聞いていたユズちゃんが明らかに動揺しています。

分かります、あれちょっとホラーっぽいですもんね。

 

「っと……申し訳ない、ユズ。つい君を揶揄いたくなってしまったんだ……どうか愚かな()を許してはくれないかい?」

 

「……ひゃ、ひゃい」

 

 そんな今時臭すぎる甘い台詞を、天井をすり抜けて車内に戻ってきたセイバーさんは宣いました。

しかも、ここぞとばかりに珍しい一人称使っていますね、ちょっと小癪な気がします。

 

「それで、セイバーさん?スパルタクスさんってどんな方なんですか?ユズちゃんから100m離れてお答え下さい」

 

「100m離れたらもうそこは外だよヒフミ……」

 

「あはは……」

 

「ははは……」

 

 そんなやり取りをしながら私達はスパルタクスさんの魔力を追いかけていく。

彼が向かう先、もしかしたらもっと人気のない場所かもなんて考えていたけれど、思ったよりずっと人通りが多い。

そんな場所を走り続けて私達がたどり着いたのは……。

 

「モノレール、ステーション……?」

 

昨晩私とセイバーさんがいて、ユウカさんが苦心して直そうとしているモノレールステーションでした。

 

 

 

 

 

 

 

「おお!同胞者達よ!スパルタクスが帰還したぞ!」

 

 彼が案内してくれたのは、修理中と書かれたA型バリケードの奥にある壊れたモノレールステーション。

そこ立てかけられた工場看板の責任者欄には『レッドウィンター連邦学園工務部』と『工務部部長 安守ミノリ』と記入されている。

 

「あ、スパさんおかえりー」「昼休み中どこ行ってたの?」「少し遅くなるかもって話だったけど案外早かったね」「スパさん次、北口の足場やっちゃおうって部長言ってたよ」「そういやスパさん、モノレールの解体じゃなかったっけ?」「それスパさんが午前中で終わらせちゃった」「あれ?てかお客さんじゃね?」「スパさん『ナンパ』したのぉ〜」「私らいるじゃーん!このこのー!」

 

 スパルタクスさんの周りに集まるヘルメットを被った少女達、恐らくレッドウィンターの方なんでしょう。

スパルタクスさんも彼女達に挨拶を返しながらヘルメットを被り、紺色にオレンジのラインが入ったツナギを徐に着だしている。

 

「あはは……初めまして、みなさん。実はスパルタクスさんにお世話になって……」

 

「あー!トリニティ生じゃん!」「めっずらしー」「ねぇねぇ紅茶好きってマジ?今度ウチらとお茶会しよーよ」「レッドウィンターでもさーお茶結構飲むんだー」「てかなんでミレニアムいるの?」「じゃんねじゃんね」「スパさん、この子達困ってたの助けてあげたん?やるー!」「良かったねー、お姉さん達。スパさん優しいし力持ちだから頼りになったっしょ?」「まあそれでチョビ髭のとことも大喧嘩になったんだけどね!」「いやぁ、あれは参ったよ!」

 

「あはは……はいっ!みなさん、スパルタクスさんを送り出してくださってありがとうございましまた!……それでその、良ければ代表の方にもお礼をと思っているんですけど……」

 

セイバーさんとキャスターさんも合わせて10名の大所帯で押しかける形になりましたがまずは挨拶をしつつ、この工事現場の代表者の方を探そうと、スパルタクスさんを囲む集団へと声をかけて。

 

 

 

「───何の用だろうか?」

 

 

 

ポケットに『左手』をいれながら、

 

「もし何か用があるのなら、この私が───」

 

右手に拡声器を持ったヘルメット姿の少女が

 

 

 

「安守ミノリが話を聞こう」

 

 

 

私たちの前に現れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「粗茶だが」

 

「ありがとうございます、えぇっと安守先輩」

 

「ミノリで大丈夫だよ、ヒフミ」

 

 そう言って私達の分の珈琲を準備してくれたミノリ先輩は長机の向こうに周り、『頭を下げられた』。

 

「本来現場に民衆を入れたりはしない、危険だからな。それを今回は、君達をうちの『部員』が勝手に招待したらしい。危険に晒すような真似をしてしまって申し訳ない。スパルタクスにはよく言って聞かせるから、今回はどうか許してほしい」

 

「いえっ!そんな私達がお礼を言わせてほしいって……あ、あの頭をあげてくださいミノリ先輩!」

 

 慌てて、頭を上げてもらうようにお願いすると彼女は申し訳なさそうにしつつ、訝しむような顔をした。心当たりがないと言わんばかりに。

 

「お礼、と言われても私達がミレニアムに来たの今朝方で今もまだ足場を組んでる最中だし……もしかして病院の芝生や入口を直した話だろうか?」

 

「いえ、その実はさきほど……スパルタクスさんに命を助けて頂いたんですっ……それで、お礼を言いたくてっ」

 

その言葉に僅かに目を閉じてから、彼女は珈琲を口にして、暫く黙りこくって。

 

 

 

「───君達は聖杯戦争の関係者、か」

 

 

 

そう、鋭い眼光で、確信と共に尋ねてきた

 

 両手を組んで、机に乗せる。

その左手の甲には歯車のような痣、令呪が輝いている。間違いなく、彼女こそがスパルタクスさんのマスターである証だった。

 

「ミノリ先輩が……その、スパルタクスさんの?」

 

「殺し合いなんてごめん被るけどね。私がスパルタクスの、バーサーカーのマスターだ」

 

 殺し合いなんてという彼女の苦々しい響きに、胸が跳ねる。もしかすると、モモイちゃんの時のように、そうなるのではと期待が膨らむ。

モモイちゃん、そしてセイバーさん達に目配せをして、静かな頷きを貰う。

 

「ミノリ先輩、私は……「悪いけど」……え?」

 

私がセイバーさんのマスターだとそう告げようとしたその時に、彼女は手でそれを制した。

一口、また一口と、氷をぶつける珈琲を口にしてから彼女は立ち上がる。

 

「今日中に足場を完成させなくちゃいけない。これから君達と腰を据えて話す時間はないんだ」

「明日以降、少なくともこれから私はミレニアムに6日間は滞在するから」

「その日の朝でも構わないから、連絡をくれれば指定の時間に会って話そう」

 

どうだろうかとそういう彼女の目は、言外にここでは何も喋らないと言っているのを感じて。

私達は一礼をしてから、セミナー本部へと戻るのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ちょっとノア?これちゃんと映ってるの?』

『ばっちり?かわいい?これなら先生だって振り向く……って何言ってるの!!もうっ!!』

 

『んん……こほん、と言うわけで今貴女達の手元にある物が頼まれてた例の件についてよ』

『まず、滞在許可証。モモイが勝手に、まぁぁぁた勝手に発行してた物と違ってセミナーから正式に発行されるミレニアム滞在許可証になるわ。短期留学って名目で取ってるから』

『これが生徒会所属の生徒さんだったり治安維持組織の子だったら大変なんだけど、ヒフミ達は補習授業部なんでしょ?ならこちらが短期留学を受理したって書類をあっちの学生課に投げといたし、これで問題ないわ。一々、トリニティに戻って外泊申請の延長とか面倒だろうし、それにこちらで一定期間預かる形をとれば、責任の所在だったりも分かりやすいから』

 

『それから、軍需工場に行ってもらう時に用意したアプリにある程度、市街地の中でも戦闘して問題ない場所を幾つかピン留めしてあるからまた参考にしてみて。なるべく遮蔽物のある場所を選んだから『横槍』は入れられないはずよ』

『実際に戦闘になる場合はアプリ内で『緊急連絡』か私個人に連絡入れて貰えば、保安部を動かして避難誘導するから、そこは安心して』

 

 

『アルやトキの所在を含めた聖杯戦争についての情報、そして箭吹シュロについてだったりの情報については私達の方でも調べておくわ……もし情報の入手が『成功』した場合は、『夜』に連絡するから』

『それからエリドゥについてだけど、基本的には封鎖されていて監視カメラ程度なら生きてるけど……そちらも私達から確認する限りでは『異常はなかったわ』……ただ、これについては絶対とは言い切れないの。私達ですら理解の及ばない技術が使われた都市であったりするし……もしかするとトキもあそこを拠点に……いいえ、また確信を持てたら伝えるから』

 

『物資についても同じ、リクエストがあれば『夜』にモモトークで連絡するか私に直接会いにきて伝えて。私に直接言ってもらえたらその場で、『夜』にモモトークで連絡してくれたら『翌朝』には用意しておくから』

 

『最後になったけど、無事に帰ってきてくれて本当によかった……どうしても日中はバタバタしてて中々会えないけど、今晩含めて夜なら動けるからまた顔を見せて』

『戦う貴女達の事を、可能な限り支援するから、任せて』

『それじゃあまた、ね』

『ふぅ……ビデオメッセージっていうのも緊張するわね、変じゃなかったかしらってノア!?切ってなかったの!!』

 

『もうっ!あんまりビデオ通話とか慣れてないんだから仕方ないでしょ!先生とだってそういう通話は……大体ノアだって!……え?』

『ごめんなさい、ユウカ……ちゃん?』

『待って、ちょっと待ちなさいノア!笑ってないで説明して!!』

 

───ピッ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……とりあえず、これからの予定話しましょうか?」

 

 ユウカちゃんから受け取った滞在許可証を首にぶら下げながら、私はみなさんに提案しました。

私達には友達の醜態について触れない優しさがあったのだった。

 

「はいっ!折角だし戦車魔改造しよう!」

「駄目です!……って言いたいですけど今後もユズちゃんやハナコちゃんが指揮や管制してくれるならそういった機能は欲しいですね」

「そうなると『エンジニア部』かな?キャスターも道具とかあった方が楽でしょう?」

 

「それは確かにそうだが、我としては折角ならあの軍需工場を拠点として整備するのを進めたい」

「あれだけの広さがあれば十分にヘルタースケルターを建造できる。今から始まれば明日からは毎日建造していけるだろう」

 

「わ、私はこの前会った、ウイ先輩にもう一度……やっぱり『ゴルゴネイオン』についてはなんだか引っかかるっていうか……」

「僕もユズに同意見かな。ゴルゴネイオン、もしかするとまだ真名の分かっていないライダーへの手掛かりに……やめるんだヒフミ、そんな目をしないでくれコハル、目を逸らさないでくれハナコ……」

 

「アリスはネル先輩達にトキのお話を聞き行くのがいいと思います!」

「ネル先輩って誰なのよ?」

「ネル先輩はチビメイド様です!コハルと同じぐらいチビです!」

「あ、ん、た、もっ!小さいでしょっ!」

「いひゃいでふ!こはふ!」

 

ざっとこれぐらいでしょうか……。

みなさんの意見を考えたりしながら、これからの3時間、或いは夕方までの6時間。

そこで出来る行動は───





1じゃんね☆
間に合わないー!……ってなりながら書いたじゃんね☆
というわけでバーサーカーとそのマスターがエントリーしたじゃんね☆
初代スレでマスター候補を安価で募集した時にミノリちゃんの名前に添えてスパさんも書いてくれてる人いたからそのまま採用した……っていう裏話があったじゃんね☆

本作の内容は

  • ①Part6スレまで読んでる
  • ②あにまんの過去ログまで読んでる
  • ③ハーメルン版のみ読んでる
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