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アイテム名:テル⬛︎⬛︎ュ⬛︎イの熱砂の欠片
分類:情報マトリクス
説明:テル⬛︎⬛︎ュ⬛︎イの熱砂、その歴史の一欠片。
彼が歩んだ道のりがほんの僅かだが刻まれている
戦車の在処
「
ランサーとの戦闘から一夜明け、朝食を食べ終えた私含めた補習授業部一同の間に重々しい空気が漂っている。
昨晩の戦闘後に起きていたハナコと話し合った結果、かなりまずい状況なのがわかりました。
ちなみにコハルちゃんはぐっすり寝ていた。
流石コハルだね、とはセイバーさんも褒めていた。
彼が言うには睡眠不足は体調面だけでなく精神面にまで不調を来たす。
それが戦争中という平時から掛け離れた状況なら、なおさらその不調は、分かりやすい物から本人すら自覚できない物まで様々な形で現れるという。
だからこそ、どんな状況下でも体力の回復に努めて睡眠をしっかり摂れるというのは戦士として大切な資質なのだという。
比較的安全な拠点内にいられて戦闘を任せられて、そして信頼できる仲間が近くにいるのなら。
今回のように眠っていたコハルちゃんも、起きて即応できるように待機していたハナコちゃんの行動も、どちらも正しいのだと。
やはりコハルちゃんは正義実現委員会に所属するだけのポテンシャルがあるのだなぁと再確認しつつ、代わり番こで頭を撫でること数分*1
改めて私達は、危機的状況打破のための話し合いをする事になった。
「なによヒフミ……なんか問題でも起きたの?」
「はい、正直言ってかなり状況は
「そ、そんなになの……?」
おっかなびっくり、と言った様子でコハルちゃんが私に聞いてくる。
食後の紅茶が入ったティーカップは、彼女の気持ちを伝えるようにその水面に波紋を作っている。
脅したいわけではない。
だけれど、事態は早急の対応を必要としている。
この問題を解決しなくては、最悪の場合。
今後、私達の
だから私は意を決して、コハルちゃんの問いに答えた。
「はい実は……今日のアズサちゃん退院パーティの食料が全然ありません!!!」
「というより、今の朝食分*2で食料は最後ですね」
頬に手を当て「困りましたねー」と言いながらハナコちゃんが同意してくれました。
早急な解決が求められている。
冷蔵庫の中にあるのは醤油等の調味料類を除けば、食材は最早何もない。
四日分もあった食料は、そのほとんどが昨晩の鍋パーティで消費されてしまった*3。
対してコハルちゃんはあまり驚いた様子はなく、むしろホッとしたようにしていた。
「なによもう!驚かせないでよね!ご飯ならこのあと買いに「すまない……確かに緊急事態だ……」……はへ?」
そこに被せるようにセイバーさんの声が掛かる。
あまりにも暗い。
きっと責任を感じているのだろう。
その整った顔には、どこか翳りがあるように感じる*4。
「気を落とさないで下さい、セイバーさん。お作りした料理を一人でたくさん食べて頂いて、私達も作り甲斐がありましたから」
な、ナイスフォローですよハナコちゃん!
優しいハナコちゃんの言葉に、セイバーさんも「ははは、ハナコには敵わないなぁ……」だなんて笑って返しています!
よかったですね、セイバーさん!
「そうですよセイバーさん!今度からはセイバーさんが食べる分も考えてたくさん用意しますね!」
そうと決まれば次の行動も自ずと見えてきます。
食料がなくてはこの合宿所生活もままなりません。
衣食住が欠けては、足るを知る以前の問題。
なにより今晩予定しているアズサちゃんの退院お祝いもできません。
とはいえまたマリーちゃんに持ってきてもらうのをお願いするのは申し訳ない。
「え、ちょっと、そんなやっぱり緊急じたいなんて大袈裟なんじゃ……」
いい機会、なのではないか。
買い物するついでにセイバーさんにトリニティをご案内するというのは。
「しかし、コハル。兵站や補給の確保は重要だ……それを言われるがままに僕は……」
この自治区を拠点に今後活動していくなら、土地に慣れてもらうのは戦略的にも重要な事だし。
自分が生まれ育ったこのトリニティの地を、美しいと言ってくれた彼にもっと見てもらいたいという気持ちもある。
「セイバーさんは夜ふけに女の子達の大事なもの*5を貪ってしまったんですよ、コハルちゃん。これは緊急⬛︎態ですね♡」
「えっち!変態!駄目!!……っていやだから買いにいけば済むし……」
そんな事を考えているとセイバーさんは兵站の重要性についてコハルちゃん達に教えてあげてくれている。
そういったことはトリニティでも一部の学生しか習いませんが、コハルちゃんは正義実現委員会にも所属しているのでちょうどいい学びとなるのかもしれない。
最初は男の人という事もあってどうなるかと思っていたが、もしかすればコハルちゃんとセイバーさんは仲良くなれるのではとこれからが楽しみになる。
それはさておき、緊急事態なのだ。
「このままじゃまずいです……かくなる上は……」
私は一呼吸おいてから、
そういうわけでクルセイダーちゃんを
「えぇ……なんで普通に買い物にいけばいいだけじゃない……緊急事態ってそんなことないんじゃ……あと戦車じゃなくてレンタカーあたりでいいじゃない……」だなんて何故か困惑しているコハルちゃんでしたが、ちゃんと一緒に着いてきてくれている。
『(あそこにあるのがこの後みんなでお買い物に行くショッピングモールです)』
『(へぇ……随分と大きな。だけどあまり現代的な佇まい、ではないね?)』
『(はい、トリニティは歴史ある自治区なので、その歴史を大切にする為に建造物も昔からあるものを大切にして景観を守っているんです)』*6
と、念話をしながら私が指差す先にあるのは煉瓦造りの老舗大型高級百貨店*7。
トリニティ生達が休日遊びに行くショッピングモールの中では、どちらかといえば
「ねぇ、ハナコ。なんで『Hello's』にするの?あそこ、高いんでしょ?」
「ええ、そうですね……普段でしたらもう少しカジュアルなお店で買い出しをしたいのですけど、今回はアズサちゃんの退院祝いの食材やお花がいりますから」
「ふ〜ん……まぁ!私はエリートだから!ああいうお高いお店も!いつかは行かなきゃって思ってたからちょうど良いけどね!」
そんな二人の会話に紛れながら私はセイバーさんと念話を続ける。
ハナコちゃん曰く、グループの会話の中に混ざっていれば、一人が黙って念話をしていても、頷いたりしていればカモフラージュになるのでは……という発案だった。
『(あはは……そんなわけで今日は奮発です)』
『(なるほど。君たちの供をしてあの建物の中に入るのが今から楽しみだ)』
『(はい!楽しみにしておいて下さい!)』
そんな会話をしながら私達はクルセイダーちゃんの整備*8を頼んでいる正実かかりつけの工場に向かっている。
私も久しぶりの愛車*9との対面に、セイバーさんはこれから会うクルセイダー
お互いうきうきとした気持ちを隠すこともせず話を続けていた。
だからまさかこの後、セイバーさんがしなしな*10になってしまうだなんて。
この時の私は。
思っても見なかったんです。
受付を済ませて通されたのは、正義実現委員会が管理する整備場『ブリッジ工廠』*11の中。
その作業場を覗き込んで、今日はどうやらあまり忙しくないようだと、訪れた時にはいつも聞こえてくる金属加工したり工具を使う重たい音があまり聞こえてこない事から察した。
その代わりと言わんばかりに、軽い足音が工場中から走り寄ってくる。
いつもの黒い制服、ではなく黒いツナギを身につけたおかっぱの少女達。
コハルちゃんと同じ正義実現委員会の子が、彼女の周りに人だかりを作っている。
「あ、コハルちゃんだ」「今日は補習じゃないの?」「
クルセイダーちゃんが車庫から出てくるのを待つ時間、またのんびり作業を眺めながら待とうかと思っていた私達にとって幸運な事に。
どうやら今日はかなり空いていて、手が余っているらしい。
おかげで待っている間も、正義実現委員会の方や工場勤務のバイトをしてる子達とお喋りを楽しむ事ができる。
そんな風に待っていると。
『(そういえば、ヒフミ。クルセイダーちゃんっていうのはどんな
セイバーさんから、急な角度*12の質問がきました。
一瞬何の事か分からず、質問に質問を返す形となってしまう
『あれ?もしかして私説明がまだでしたっけ……?』
セイバーさんは聖杯からその時代や土地の知識を受けたっている、という話だったけれど、どうやらその中に
『どうやらその子もまた、ホシュウジュギョウブのメンバーなんだろう?君達と共に戦ってくれる大切な戦友だからね、出来るなら直接会う前に少しでもその子の事を知っておきたいんだ』
そういうことなら、と私は意気込んでクルセイダーちゃんについて説明を始めた。
『(クルセイダーちゃんはとっても大きいんです)』
『(なるほど、背の高い整備士の子なのかな?)』
セイバーさんが聞いてきたのは何故か整備士さんについて。
今回
工場に来たからに気になったのだろうと、私はあまり深く気にしなかった。
『(普通、ぐらいですかね?)』
『(ん?あれ、そうなのかい?)』
『(はいっ!あ、それから夏の日差しがよく似合う淡い小麦肌なんですっ!)』
クルセイダーちゃんの姿を思い出す。
クルセイダーちゃんと言えばやはりあのお洒落な色*15。
夏の砂浜より鮮やかで、日差しを柔らかく受け取る穂麦色。
その姿見るたびにアズサちゃんとの思い出が何度だって鮮明に甦る*16。
『(なんだか健康的な姿の子みたいだね)』
『(あはは……健康的はどうですかね?でも足*17の調子はよくなってますから……*18。今ならフルマラソンだって
『(んん?ふ、フルマラソンをかい?それは思った以上に元気な子だ……)』
なんだか反応がよくありません。
こう見えてトリニティは文武両道を掲げている名門校です。
キヴォトス六大マラソン大会*20にだって名前を連ねてるぐらいそうしたフットレースにも力を入れているのもあって、いつもお友達とお喋りしてる時みたいにマラソンで距離を例えてみましたが、あまり反応が芳しくない。
それならと、他のアピールポイントカードを伝えていく。
『あとはですね、装甲とかもしっかり硬くて*21』
『……ん?』
クルセイダーちゃんはキヴォトスの強力な銃弾にもそうそう負けない堅固な装甲でいつも私達を守ってくれる。
『砲身もとっても長くて大きくて*22』
『んんん!?……いや……えぇ……?』
私達の夏の思い出を彩ってくれてた大事なお友達。
それが。
「おーい!ヒフミちゃーん!連れてきたよー!」
「わぁっ!ありがとうございます!!」
『(そうですちょうどあんな感じの子なんです!!)』
たった今、整備担当の子に連れられて、整備が完了してぴかぴかのクルセイダーちゃんこと『巡航戦車 Mk.VI クルセイダーⅠ型』が到着しました!!
『(……は、はい?え?いや、えぇ……?)』
久々のクルセイダーちゃんはしっかり隅々まで洗車してもらって心なしか満足げな様子で私との再会を心待ちにしてくれていた。
「いやぁやっぱり足回りが結構、ね」
「ヒフミの運転が荒っぽいからよ!酷使しすぎ!!」
「あはは……面目ないです……」
そう言いつつ受領書にサインをしてすっかりお馴染みになった補習授業部の備品『クルセイダーちゃん』に乗り込みます。
中はそれほど広くありません*23けど、この後買い出しに行った時の荷物は積み込んだり、外側に括りつければたくさん買っても持ち帰れます。
今回クルセイダーちゃんを引き取りに来たのも、戦力の拡充もそうですが、多めに買い物しても大丈夫にする為です*24。
「あら?あそこにあるのは……?」
「おっ!ハナコ先輩、お目が高い」「さすハナ」「ハナちゃん先輩かわいい」「じゃんねじゃんね」「浦和先輩しゅき……」「誰ですか今の」
同じようにクルセイダーちゃんに乗り込もうとするハナコちゃんがその時、何かを見つけたように工場の片隅、シートを被っている物を見つけていた。
「あれはねー不良品って言われて返品されたんだ」
「パテル派の子達が買ったんだけど何回乗ってもハンドルが捥げるんだって」「力入れすぎだよねー」「誰が運転したんだろうねー」「野生のゴリラがとか言ってたよ」「なにそれー」「まあクルセイダーに比べるとわりと癖あるしねー」
と正義実現委員会の子達が口々に教えてくれる。
どうやら今は使われてない戦車なのだという。
……なるほど。
「ちなみにあれってレンタルとかって出来ますか?」
昨晩を思い出す。
セイバーさんとランサーさんの戦いは苛烈で例え銃を持っていても私だけではとても力になれないんじゃ……そんな風に思わせるほどでした。
だから私には今、必要なものがあります。
「ええ……まあ直してあるけどなぁ……」「貸すのはちょっとねー」「私達も廃棄に困ってるけど、だからって使いにくい子、渡すのは気が引けるし……」「ひふみんに渡すとまたハスミ先輩怒るし」「ヒフミちゃんに轢かれたくないし」「阿慈谷の運転上手いけど荒いんだよなぁ」「じゃんねじゃんね」「勝手な事したらまたイチカ先輩にお仕置きされちゃう……///」
力。
今この瞬間に、そしてこれから皆んなを守るために私は力が必要なんです。
その為に、私は。
覚悟を決めた。
私の叫びと共に、工場内の目線が一瞬だけ、けれど一斉に外に向かいます。
何故かコハルちゃんもつられて外を見てますし、ハナコちゃんの目線は逸らされてますがこの際気にしてはいけない。
『(セイバーさん!)』
『(……アー、ナンダイ?ヒフミ)』
私はコハルちゃんを担いでクルセイダーちゃんに乗り込むとエンジンをいつでも始動できるよう、待機する。
大名行列が気になって探している彼女達に気づかれるわけにはいかない。
『(チャンスです!!あっちの戦車に乗り込んで下さい!!騎乗スキルで!)』
『(……すまない、聞き間違いだろうか?もう一度……)』
『(時間がないんです!!早くあっちの戦車に乗って合宿所に置いてからまた戻ってきて下さい!ダッシュで!)』
『(ひ、ヒフミ……僕ら一度、その、少し方針というか倫理というか道徳についてだね、その話し合いを……)』
おかしいです、何故かセイバーさんもとい謎のヒーローXさんがお願いを聞いてくれない。
でも今は話し合いをしてる暇はない。
『大丈夫です!キヴォトスでは問題ありません!さぁ!早く!』
その言葉を皮切りに、
『あ……はい……』
無事に謎のヒーローXさんは行動に移してくれて、
「それでは皆さん!ちょっとお借りします!」
お腹の奥に響くような重低音を掻き鳴らして、工場を脱出したのでした。
あれから。
無事に正義実現委員会の皆さんとの熾烈なカーチェイスを制してなんとか身元が謎のヒーローXさんだけバレるという悲劇は起きましたが、セイバーさんと無事に百貨店で合流できた。
何故か、遠い目をして「倫理とは……秩序とは……」と黄昏ているようでしたが、もしかするとお疲れなのかもしれませんね!
「とりあえずお昼ご飯を探すのも兼ねて地下に行きましょうか」
ハナコちゃんが指差すのはエスカレーターとその隣にあるG→UG1*25と書かれた案内板。
「何がいいですかね?」
「アズサのことだし何でもいい……って言いそうよね」
コハルちゃんのその言葉に、思わずその姿が思い描けちゃいます。
そこはかとなく、言いそうです。
私たちの頭の中でぼんやりアズサちゃんが『私は何でも食べるぞᓀ‸ᓂ』……って言ってるのが聞こえてくる気がした*26。
そんな風な会話をしつつエスカレーターに乗っていると、前に立っているハナコちゃんが振り返りながら
「あ、ヒフミちゃん。折角アズサちゃんへのプレゼントを買うんですし……そうですね♡セイ♡なる刃さんにも電話で聞いて見てもらえませんか?」
コレで、ね?……とスマホを振りつつ笑うハナコちゃんの姿に少しだけ考えてから。
『なるほど。ヒフミ、確かにこれは名案だ』
『……そうですね、通話越しっていう体なら私達の会話にそれこそ直接セイバーさんの声が混ざったりしても不自然じゃありませんね』
とハナコちゃんの言葉の意味を汲んで、私達はすぐに賛成しました。
流石ハナコちゃんだと思ってしまう。
サーヴァントとの会話は秘匿にすべき、という事をあのバス停で体感してから思考が固まっていた私には思いつかなかった柔軟な発想。
お友達と一緒にいる、という選択は決して間違えじゃないと思えてくる。
「せ、性なる刃!?!?(やっぱり……やっぱりセイバーって名前は
コハルちゃんは元気です。
「あはは……ちょっと聞いてみますね……」
そして電話をかけるふりをして、気付いてしまった。
流石にせ……聖なる!聖!な!る!刃さんってお名前で呼びかけるのはちょっと恥ずかしいことに。
「こんにちは、せ、あ、謎……いやそれもだめだし『(
『(ルキウス、そう呼んでくれればいいよ。もっともこの名前は友からの借り物、だけどね)』
言い淀んで困っていた私にセイバーさんもとい、今この場ではルキウスさんが助け舟を出してくれました。
これで無事に会話もできる。
「はい!改めてこんにちは、ルキウスさん。今お電話大丈夫ですか?」
『勿論構わないとも……ところで一ついいかな?』
「どうかしましたか?」
『いや、大したことじゃないさ。ただ───』
彼はそこで一呼吸置き、悩ましげに、ひどく重く呟いた。
『コハルが僕のことをどう思っているのか本格的に気になってね』
毎回死刑宣告されてる気がするんだ……と続けるセイバーさんに私は,
「あはは……コハルちゃんはそこも含めて可愛いですから……」
と答えるしかなかった。
しばらく経ってコハルちゃんも落ち着きを取り戻し。
端末のスピーカーモードにしている、という体でセイバーさんを交えながら、地下の生鮮食品売り場やギフトショップを巡る。
「そういえばルキウスさんの好きな物は以前仰ってましたけど……苦手なものとかってあるんですか?」
『苦手か、そうだね。───今はとにかく苦手な食べ物とかはないかな?いわゆるアレルギー、だったかな、そういう物も僕については気にしなくていいよ』
「そういえば、好きな物はこの前教えてもらいましたけど、それ以外だと……」
苦手な物を聞くというのは中々難しい事ではあるけれど。
一緒に食事をしたりする以上はある程度把握もしていきたい。
それにお友達から相談を受ける時も、まず相手の気持ちや悩みとかを探る意味で苦手な物なんかの話題を出す事だってある。
そして好きな物も、仲良くなってから改めて知ったり、関係が深まったからこそ初めて知る事だってある。
好き嫌いの話はシンプルで、会話の糸口な面が大きいけれど、その実はとても大切な相手の内面に関わる物。
だから少し踏み込んだ内容になってはしまうが、私は思い切って聞いてみる事にした。
『そうだね、僕はこの前言った通り、物の好き嫌いから縁遠くてね。嗚呼でも、そうだ。特別好きかどうかは、僕としても判断がつきにくいけれど、
馬の世話と聞くとやはりセイバーさんが遠い時代の人なのだと強く感じる。
トリニティ内でそういった事への知識が深いのは、それこそ上流階級出身の方達や、或いは乗馬部の生徒ぐらいだろうか。
とはいえ、
トリニティは鹿狩りなんかも有名で時折ジビエ販売もするほど。
もし今度そういう機会があればもっと話を聞いてみたいと思っていると、その機会にちょうど良さそうはアイデアが隣に立つハナコちゃんから告げられた。
「なるほど、ルキウスさんは狩りがお得意なんですね。そういうことなら……今日はお肉パーティなんて如何ですか?」
そう言うハナコちゃんの目線の先に私も目を送り。
思わず口元が綻んでしまった。
「あはは……お昼ご飯もここのを買って行きましょうか?」
立ち止まってケースの中を覗いては、色々な種類のお肉が入っている肉ブーケと、極上!百鬼和牛使用!と書かれたステーキ弁当に興味津々のコハルちゃんがいる。
そんなコハルちゃんに声をかけて、見ていた精肉店で肉ブーケとお昼ご飯用のステーキ弁当(加熱式)をまずは購入。
それからちょうどいいから、大きめにヒレ肉や幾つかの部位包んでもらう。
見えはしないけどなんとなく意外そうな視線をしている直感が働いて、今晩のローストビーフ用なんです、とセイバーさんにお話すると想像していた通りに意外そうな声が帰ってきた。
『ヒフミはローストビーフも作れるのかい?』
「あはは……実はトリニティの名物料理なんですよ……」
それで一応は作れるといいますか、なんて言うと少しだけ懐かしむようにセイバーさんは言葉を返しました。
『そうなんだね、僕も……いや、うん。僕が居た国にもよく似た料理があったよ』
「へぇ、ローストビーフに、似た料理があったんですか?」
『ははは……は、ハナコ?もう少しこう手心が欲しいかなぁ……』
「うふふ……♡」
「あはは……」
何故かセイバーさんとハナコちゃんが会話すると時折が冷たくなる気がする。
こう、背中に氷を入れられる感じというか。
コハルちゃんもそれを感じるようで頭の羽が忙しなく動いている。
とはいえ、今気にしてもしかたない。
コハルちゃんと目を合わせて頷き合い、彼女の方から新しい話題を出してもらう。
「ね、ねぇっ!ルキウス、さん……って外の人、なんでしょ?そこってなんて名前の国だったの?」
さらっとセイバーさんの真名に迫るような事を聞いてました。
コハルちゃんのこういう、相手の話をしっかり聞けてそこから自分の思うところ素直にを言える、そういうとこが私は好きだ。
『そうだね……もう少し時が経って、その事について君達としっかり話せれる時がくれば。僕のいた白亜の国について、その本当の名前も含めて話させて欲しい』
セイバーさんは困った顔をしつつ、コハルちゃんのふとした疑問への解答を示していました。
そしたら、
「ふーん、そうなんだ。じゃあ……」
「雰囲気とかはっ……どう、なんですか?」
と実は距離を詰めるのが苦手なコハルちゃんらしい感じでセイバーさんの故郷の話を聞いてくれました。
彼もそれを感じたのだろうか。
大きく、何か大切な部分に触れられないけれど。
彼なりに答えられる範囲の中で誠実に、コハルちゃんの疑問への答えを口にした。
『そうだね……決して豊かとは言えない国ではあったけれど』
『美しいヒースが小高い丘陵を彩って、深い森には恐ろしい獣もいたけれど慈悲深い恵があって』
『心清く隣人を愛する佳き人々が住まう、そんな───』
『紛れもなく、私が愛した国だったよ』
「そうなんですね……」
歩きながら思わず、頭の中にセイバーさんが語った情景が浮かぶ。
どこまでも大らかに広がる丘陵地を馬が駆け、青空の下には穂麦が優しく揺れて、人々が実った作物を収穫する。
そんな土地の中心にあるのは清廉さを湛える白亜の巨城。
幾百もの騎士が整列し民草の安寧を見守り、彼らの頂きに立つのは十三の騎士。
美しく磨かれた円卓を囲む彼らを束ねるのはそう───ってあれ?
気づいてしまう。
見つけてしまう。
私はそれを見てしまった。
「なっ!これは……!!期間限定モモフレンズクッキー〜円卓の伝説編〜!?!?!?」
新発売後、すぐ終売になって暫くは再販予定の告知もなかったのにこんなとこで出会えるなんて!?!
アズサちゃん!これは買いですね!
イマジナリーᓀ‸ᓂ「勿論だヒフミ!買おう!!」
はい!!!
1じゃんね☆
補習授業部に新たな戦車が加入したじゃんね☆
クルセイダーちゃんに合わせて、英国の戦車がモチーフのセンチュリオンちゃんじゃんね☆
夢の2台持ちじゃんね☆
本作の内容は
-
①Part6スレまで読んでる
-
②あにまんの過去ログまで読んでる
-
③ハーメルン版のみ読んでる