……来ましたか、セリナ。
ええ、そうです。
私は休学致します。
……いいえ、留守ではありません。
私は貴女に全てを託します。
それが私に出来る最後の務めであり勤めです。
……どうか、ヒフミさんとモモイさんを。
よろしくお願いします。
嬉しいことに、倒れてしまった私のお見舞いにという事でミレニアムから駆けつけてくださった皆さんでしたけれど。
『じゃっ!あとはお若いお二人で……ってことで!仲人さん達よろしくぅ!』
「誰が仲人よ!ばかモモイ!」
入ってこられたかと思えば、モモイちゃん達はすぐに部屋から出ていってしまいました。
病室に残ったのはアズサちゃんとコハルちゃん、セイバーさん、そして。
「……ヒフミ、ちゃん……アズサちゃん……」
ハナコちゃんと私のいつもの補習授業部の面々でした。
いつもと考えてからちょっと不思議な感覚になります。
まるで合宿をしていた頃のようにずっと一緒に寝食を共にしていますけど、いつの間にか人がたくさん増えました。
だから補習授業部だけで固まって一緒にいるというのはなんだか久しぶりです。
「はい、ハナコちゃん。おはようございます!」
「ハナコ、おはよう。昨日はお疲れ様」
でもそんないつもの私達なのに、いつもと違う表情の彼女がいます。
病室の扉のすぐ近く、コハルちゃんの一歩分後ろにいる彼女の顔はひどく昏い。
目が痛むぐらいの眩しい陽射しが射し込んできてくれる部屋の中で、ずっと深く沈んでいる。
「(私は、嫌なんです)」
だってそんな顔が見たくて戦ってきたわけじゃない。
だってそんな顔をさせたくてみんなと一緒にいるわけじゃない。
「(だって私は……)」
ハナコちゃんの笑顔が好きだから。
大好きなお友達がいつも見せてくれる素敵な
私はどうしても気になって、どうしても彼女の笑顔が見たくて。
あんな風に昏く沈んでいるのがどうしても嫌で。
「ごめんなさい、ハナコちゃん」
「ごめん、ハナコ」
「すまなかった、ハナコ」
だからでしょう。
私も、アズサちゃんも、セイバーさんも。
気づいた時には揃って同じ言葉が口から溢れていました。
思わず吹き出しそうになってしまいます。
見ればコハルちゃんも腕を組みつつ呆れた顔をされていました。
私にだって気持ちはなんとなく分かります。
どんな事よりもまずハナコちゃんの笑顔が見たくて、だから真っ先に謝罪が出る。
三人揃って同じことを考えていたんですから。
でも私達の言葉に、ハナコちゃんの顔と心はまだ晴れてはくれません。
俯いて顔に影を落として、奥歯を噛み締めるように小さく呟いている。
「……なんで、ヒフミちゃん達が、謝るんですか……っ」
そのハナコちゃんの疑問に答えなきゃいけない私達は、また同じタイミングで口を開こうとしてから互いに顔を見合わせてしまいました。
まさかこのタイミングで被ってしまうなんて、ちっとも思いませんでしたから。
「あはは……お二人からどうぞ?」
「む。私はヒフミとセイバーの後でいい。ヒフミが話したいなら先に話してくれ」
「いえいえ、私なら後で全然大丈夫です!」
「だけど、ヒフミだって大事な話だろう?それなら僕より先に話してくれて構わないよ」
誰が先に謝るかをお二人と言い合いながら、でもアズサちゃんの眦は柔らかく下がっていて、セイバーさんの口元は緩やかで。
お互いにああだこうだと言いながら戯れ合うように譲り合ってしまいます。
それを見たハナコちゃんは、分からないといった様子です。
ハナコちゃんの気持ちは痛いほど分かるから、だから困った顔をさせちゃう理由だって分かりますけど。
でも、これで私達は良い筈ですし、こうするのが私がハナコちゃんにしたいことなんです。
普通に笑って、戯れあって、いつだって温かい。
そんな私の大好きな補習授業部のみなさんと今一緒にいるんですから。
それに。
「ああもう!全員、『大した話じゃない』んだから!順番なんて、誰が先に話したってそんなのどうだっていいの!」
コハルちゃんの言う通り。
「コハルちゃん……だって、私は……」
「あー!もー!どいつもこいつも考え過ぎ!大体ハナコ!もう忘れたの!?あんた、私とさっきしたばっかりでしょうが!いい!?」
これからハナコちゃんとお話しすることは確かにとても必要でとても大事なこと。
それ自体に間違いありません。
でもきっとこれからする事な何か特別な物ではないんです。
友達同士なら当たり前に見る物なんです。
「私達は友達なんだから、これからする話なんて当たり前の事だけでしょうが!」
だからこれは
「えへへ、ハナコちゃん」
「……はい」
ハナコちゃんの話を遮って私は彼女に呼びかける。
その言葉に彼女はひどく強張って肩を震わした。
私はやっぱりそれがどうにも嫌でした。
そんな寂しそうな、辛そうなハナコちゃんの顔を見たくなんかないんです。
誰だってお友達には嬉しそうに、楽しそうに過ごしていてほしい。
お友達と言ってくれる相手が私の隣にいる時もそうじゃない時も、いつだって幸せであってほしい。
だって、大好きな人だから。
だから隣にいるアズサちゃんに目で合図をすると、彼女は小さく頷いてくれた。
その反対側に立っているセイバーは、なんとなくですけど私の背を押すように促してくれているのが念話なんてしなくても分かる気がするから。
私は、伝えたい気持ちを音に乗せた。
「急に倒れちゃってごめんなさい……心配、しててくれたんですよね?ありがとう、ハナコちゃん」
「ごめん、ハナコ。私、ヒフミが倒れた時にハナコに怒鳴ってた……それをずっと、謝りたかったんだ」
「僕がもっとしっかりしていれば、ヒフミにも君にも大きな負担をかけずにすんだ。辛い思いをさせてしまったね、ハナコ」
どうか、そんな悲しい顔をしないでほしいんです。
「……なん、で」
顔を伏せるハナコちゃんの隣でコハルちゃんがその手を握って。それからハナコちゃんは訥々と話し始めました。
「……だって私……だって……知ってたんですよ……!」
知ってた。
言葉にすれびたったの四文字の音です。
それが意味する物も、もう分かっていますし、それを彼女が口にするのがどれだけ辛いのかも、分かりたいと思っています。
ハナコちゃんは何かを振り絞るように必死に喉の奥から吐き出している。
その何かを私は全部受け止めたい。
普段の彼女とはまるで違う風に私の目に映るハナコちゃんが、今必死に身体を震わして吐き出そうとしている
「ヒフミちゃんの身体のこと。ウイさんから教えてもらってて……」
言葉にはしていません。
でも分かるんです。
ハナコちゃんが苦しいって、ごめんなさいって、今全部話そうとしてる事が。
私はお友達とお喋りしたりお悩み相談したりするのは好きです。
でも今、痛みに悶えるようにして苦しい事を吐き出し続けている彼女の言葉を聞くのはすごく苦しい。
「ふふっ、ウイさん。マリーちゃんの協力者だったんですよ……マリーちゃんが発症してるのも全部、全部知ってたのに、それも全然話さなくて……だから、私……っ、私は……!」
でも、私が聞いて苦しいとかそういうのは全然これっぽっちだって関係ない。
ハナコちゃんが辛そうだからお話しするのもやめようとかい言うのだって違う筈なんです。
だってハナコちゃんは必死になって話してくれている。
辛い事、苦しかった事、自分のせいだと思っていること。
そういうのを全部、彼女が抱えていた物をまとめて今、一生懸命吐き出してくれようとしているんです。
なら彼女の想いを受け止めたい。
私達の補習授業部のいつも通りの空気の中で、そういう事をしたって、話したって大丈夫だと思ってもらえるように。
真っ直ぐ受け止めたいんです。
思えばどれだけの時間それを抱えていたのだろうかと、彼女がそれを『知ってからの時間』に私は想いを馳せる。
その時間が長いか短いかとかじゃないんです。
きっと一分一秒が刻んでいく中ですらずっと辛かったでしょうから。
私はセイバーさんへと目線を送る。
気づいた彼は、仕方ないと言わんばかりに静かに嘆息して了承してくれます。
それに私は思わず笑ってしまう。
これから私がする事をアズサちゃんもなんとなく感じ取ってくれていて。
だから明るく、でも本心からそう思って喜んでくれている。
「そうか、やはりマリーには他にも仲間がいたのか。自治区境界線で会った時にもいるようだったけど、別の形で頼れる人がいたなら良かった」
腕に目一杯力を入れて、ベッドから起き上がる。
それをセイバーさんに支えてもらいながら、ぺたりなんて音もなく、私の足はリノリウムを歩き出す。
ハナコちゃんは下を向いてるからまだ気づきません。
「はいっ!シスターフッドを離れられても頼れる方がいるなら安心です!あっ!もしかしてウイさんに聞いたらマリーちゃんがどこにいるかも分かるかもしれませんね!」
「やはりマリーも発症済み、となると彼女の動きに焦りがあった理由もある程度見えてくる、かな?そういうことなら早めにマリーへのコンタクトも考えなくてはだね……彼の王にも非礼を詫びなくては、かな?」
そんな風に話すから、ハナコちゃんは伏せていた顔を上げて。
「……そんな話じゃなく……っ!?」
ずっと下を向いてたから気づかなかったんでしょう。
彼女からすれば目の前にいきなり、ベッドにいた筈の私がいる物ですから驚いている様子。
そうしてびっくりしたまま固まってしまったハナコちゃんの目の前にいた私は。
「───ハナコちゃん」
そのまま彼女を抱きしめた。
力を込めて一生懸命に話していたからかハナコちゃんの体は震えていました。
だから私もあんまりよく力が入らないなりに、今できる精一杯で腕を回して。
私の気持ちが伝わるように。
ハナコちゃんの事が大好きなんだって想いが届くように。
心と力を腕に込めました。
「……ぁ」
お互いの心音が溶けて混じっていく、そんな心地いい時間。
温かな体温が、自分でも驚くぐらい冷えた身体に沁みるような心地がしました。
「……私だって、お話してなかった事あるんです。マーリンさんと会った事だってちゃんと言えてませんでしたし」
「僕もまだ聞いてないしね」
「あはは……」
セイバーさんの話は笑って流しつつ、私はそっと背中に回した腕にもっとと力を込めます。
どうか貴女が自分を赦せるようにと。
どうかこれ以上悲しい顔をしないですみますようにと。
どうか、どうか貴女が笑顔になれますようにと。
そんな想いがハナコちゃんに伝わるように、私は彼女を抱きしめます。
「心配させちゃってごめんなさい。ずっと一人で抱え込ませちゃってごめんなさい。話せれなくて、辛かったですよね」
ぽたりと、音を立てなかまら肩が濡れた気がしました。
でもそれを無視して頬を擦り寄せる。
彼女の綺麗な髪に鼻をかすめてくすぐったさに笑ってしまう。
彼女から聞こえてくる哀しい音も、そうやって笑い飛ばされたらいいなって、思ったんです。
「違う……違うんです、ヒフミちゃん……だって私がもっと早く言えていれば……ヒフミちゃんが謝ることなんて……なんにも」
ずっと言えないまま心のうちで友達の生命に関わる秘密を抱えていた苦痛。
もし言えて吐き出せれてばなんて、ハナコちゃんが抱えてきた時間を想うと私の方こそそうやって願ってしまう。
だから今、やっと彼女の秘密を背負えて、ただ嬉しかったんです。
「じゃあ、おあいこ」
「……え?」
「ハナコちゃんが内緒にしてたのが気になるなら、私がマーリンさんの話と心配させた事、それから……ハナコちゃんがずっと苦しかったのを気づけなかったのを許してください。それでおあいこ、です!」
でもきっとそれじゃあハナコちゃんは自分を許せないから。
彼女はとても真面目だから。
だから言い訳を作ってみる。
貴女が自分を許せるように、代わりに私の罪を赦して下さい。
それを茶目っ気をたっぷり加えて言ってみれば、二人分の温もりが増えている。
「なら私もハナコに許してほしい。昨日怒鳴ってしまった事、ハナコだって心配だったのに私は……自分の焦りで何も冷静でいられなかった。周りをちゃんと見れなかった。ハナコ、ごめんね」
「……じゃっ!じゃあ私も!ほら、今朝ハナコの部屋の扉とドアノブ壊しちゃったし!」
「えぇ?何があったんですか、それ?」
色々あったの!と怒って言うコハルちゃんの様子に笑ってしまう。
本当に今日も帰るのが楽しみです。
だからどうか。
「……本当に、もう……っ」
もう泣かないで、笑顔を見せて。
「……ごめんなさい……ありがとう、ございます」
そんな風に言うハナコちゃんに、私達はただ同じ言葉を返しました。
コハルちゃんの言う通り『大した事じゃなかったんです』。
私達は人間だから、時には失敗するし、思っている事も考えている事も違うからすれ違いもあるんです。
やらなきゃいけない事がなにかも分からなくなって道に迷うことだってあれば、選択を間違えてしまう事だってあります。
そしてそれは全部当たり前だから。
何度間違えたって、何度すれ違ったって。
それで終わりになんてならないんです。
その度にまたこうやってお話をして、何度だって仲直りすればいいんだって、私はそう想うんです。
だって私達は───友達なんですから。
「……まず、状況を整理しましょう」
病室での話し合いは、目元を少し赤くしたハナコちゃんの言葉から始まりました。
「まず私たちがハッピーエンドを迎える為に抱えている問題は一つ大きく分けて二つです。一つはヒフミちゃんとモモイちゃん達マスターの身体について。もう一つはこの聖杯戦争の着地点です」
指を立てるハナコちゃんの言葉にこの場にいる私達七人とセイバーさん、お見舞いに来てくれたユウカさんとそれからタブレットのビデオ通話越しのキャスター……にあと……なんですかね、ユウカさんの隣に置いてある謎のロボットさん、が頷きました。
「トキさんの話から、ヒフミちゃん達マスターは聖杯からサーヴァントへ送られる魔力の中継地点となっている。そしてその事が身体へ大きな負担となってしまっている……合ってますね、セイバーさん?」
「……残念だけど、僕にその正誤は
ハナコちゃんの問いかけへの答えは分からないという物。
その答えにコハルちゃんは躊躇いがちに、私達も気になる部分を聞いてくれました。
「サーヴァントってその、マスターとぱっ、パス!……とかいうのでつな、ふぅ……ふぅ……繋がって!!……るんでしょ!?」
どうして息を荒げているのかはここでは聞かないのがいいと、目を合わせた私とモモイちゃんの中で想いが一致しました。
アズサちゃんは意味が分かってないようですけど、目を輝かせてるハナコちゃんの静止に入ってます。
「あー……うん。すまない、コハル。それは事実だけど本当に分からないんだ。少なくとも僕はずっとヒフミから魔力が供給されていると思っていたし今もある程度魔力の流れを診ても、そうにしか見えない」
『我も同意見だ。モモイからの魔力の流れに異常はない。厳密にどういった手法かは我もまだ分からんが、真っ当なサーヴァントではまずもって気づける物ではない』
セイバーさんもキャスターも心なしかしょんぼりされています。
セイバーさんなんて肩まで落としてるので本当に分からないほど精巧に偽装されていたんでしょう。
「おじ様達が気づかないって事は、そういう風に細工がされているって事ですか?」
『うむ。ただ我もセイバーも魔術師ではない。仮にこの偽装や違和感を魔術的な側面で気づける者がいるならば恐らくは神代。近現代の魔術以上に古い魔術師であるならば或いは』
ミドリちゃんの言ってくれた小細工という単語にキャスターの答えはどうやら神代クラスの魔法使いさん、ではなく魔術師さんが必要みたいです。そう言われて思い出すのはアサシンさん。
真名をスカサハさんと仰られる彼女は確かかなり古い時代の魔術師だったはずです。
だとすれば、黒服さんはこの事態にも最初か、少なくとも早い段階から気づいている筈です。
「ハナコ。なんか思い当たる事、あるの?」
「……難しいです、小細工を施した存在がいるのなら。それは聖杯戦争全体の仕組みに関わる存在がいる、という推測があるんですが……確信に至るピースがまるで足りません。正直な話、黒服さん辺りが怪しいのはそうですけど……だったらなおさら何故自分がマスターに?」
ハナコちゃんが難しい顔をしているのを見てコハルちゃんが心配していましたが、ハナコちゃん自身も答えが出ないようで言い淀んでいました。
黒服さんは確かに怪しいです。
運営側でありながらマスターである事。
そして彼の言うことを信じるなら、二番目に召喚されたセイバーさんより先にいたアサシンさんのマスターである以上、彼がこのキヴォトスで最初のマスターです。小細工をしていると言われても納得できます。
でもそれなら、どうして肉体に負担がかかるのが分かっていながらマスターになったんでしょうか。
「どちらにせよ、ヒフミちゃんとモモイちゃんの肉体には現在も大きな負担がかかり続けています。幸い、救護騎士団やモモイちゃんの応急処置がよかったですから」
答えの出ない問いに悩んでいましたけど、ハナコちゃんは思い切ってそこを打ち切ってしまい事実を改めて確認してくれます。
分からない事を悩んでいても仕方がありません。
それに気になるのはそれだけじゃありません。
「モモイちゃんはその……体調は……?」
私の応急処置をしてくれたモモイちゃんはアリスちゃんから手渡されたアンプル剤を使っていたという話でした。
ここまで確認できてませんでしたけど、もしそういう事なら、と不安な気持ちを抱えて尋ねてみると。
「やだなーもー!私が調子悪かったら、こんな風にしてるわけないじゃん!」
「はい!モモイは頭の先から爪先まで全て健康です!」
けろりといつものようにモモイちゃんとアリスちゃんは笑顔でそう答えてくれて、私は不安が吹き飛ぶ気がしました。
「救護騎士団を選んだのはすごい単純な話でさ。この前みんなで会った時にミネ団長からこっそりアンプル渡されてたってわけ。ほら、私だけ事務局に行ったのあったでしょ?あそこ行って便り渡したらそのまま薬も事務局の人にプレゼントされてさー」
そういえばと思い出すのはモモイちゃんがミネ団長から書類を渡されてましたけど、まさかそんな風になっているとは思いませんでした。
恐らくミネ団長はマリーちゃんの件でウイさんと同じように協力されてたんでしょう。
それでも、ミネ団長もウイさんも。
お二人とも私達に公平に、そして実際に私の身体や戦いを助けてくださった。
雁字搦めの立場の中で、自分に出来る事をして下さった彼女を想うと胸が温かくなります。
「あの時は何のことだか全然分からなかったけど、マリーが持ってたアンプルと似てたからもしかしてって思ったんだ」
「お姉ちゃん……そんなわけわかんない薬、ヒフミさんに打ったの……?」
「なんだよー!これでもすごい焦ってたんだよー!一応調べてもらったりはしてたし!薬が効くならミネ団長のいる救護騎士団ならちゃんとヒフミのことも見てもらえるからって思ったしさ!」
なにはともあれモモイちゃんの話でひとまず不安は解消されました。
痛み止めや薬である程度なんとかなるとはいえ、無理に辛い思いなんてしてほしくありませんから。
「私の身体も少なくとも薬である程度は小康状態を維持できるそうです……今日を合わせて残る6日間を走り抜けるのだってへっちゃらです」
むんっと力こぶを作ってみんなに見せる。
実際、少しだけ怠さは残ってますけどそれでも動く分には問題ありません。
喋るのだってばったりスムーズになってきました。
しっかり治療もしてもらって大丈夫という意味も込めてポーズしてみましたけど、ユズちゃんはそれに表情を暗くしてしまいました。
「ヒフミちゃん……のいう通り、あと6日間がタイムリミット……なんだよね……」
その言葉を引き継いでユウカちゃんが続ける。
「6日間の時間制限が一つ目の問題。そしてもう一つがこの聖杯戦争の着地点、どういう風に『勝つか』、ね」
私達マスターの時間制限と同じように問題になるのが勝ち方、或いは『願いの叶え方』でしょうか。
「聖杯戦争の勝ち方は基本的には最後の一組になる事が前提だ。そうしなくては聖杯は顕現しない、だから
必然的にサーヴァントさん達を倒して勝ち残らなければいけません。
じゃないと、他のマスターの方が死んでしまう。
けれどそれはサーヴァントの方の犠牲を許容してしまうというのもの。
マリーちゃんとランサーさんは、きっと良好な関係だった筈なんです。
私やセイバーさん、モモイちゃんとキャスターさんのように距離感は違ったり関係性は違うかもしれませんけど、でもきっとマリーちゃんにとって大事な人な気が直感ですけど、そう思うんです。
そしてそれは、アルさんやミノリさん、トキさん達だってそうなんだと思います。
一週間以上、一緒に遊んでご飯を食べて、過ごしてきた相手なんです。
死んで欲しいなんて思う筈がありません。
「自分の為にも他のマスターの子の為にもなんとしても勝たなきゃいけない。けどそうやって勝ったとしても聖杯戦争は繰り返される……か。本当になんて悪趣味なシステム……っ」
ユウカさんが憤ってしまうのも無理ありません。
これではサーヴァントの自害自体、選ぶかどうかは別としてもその逃げ道すら潰されています。
この聖杯戦争は必ず殺し合いをさせる、そんな意図が露骨なぐらい透けてみえるんです。
「だから聖杯戦争の中止を願う……だがその願いを叶えるとなれば結局6騎のサーヴァントの
「次以降の事を考えると6人を犠牲にすればこれから先の聖杯戦争で被害を受ける人は0になる……そう考えたら……でもそれって……」
犠牲を許容しなくては願いは叶わない。
願いを叶えようと戦わなくては死んでしまう。
そして仮に勝ってもまた次の誰かに犠牲を強いる戦いをする役目が与えられてしまう。
アズサちゃんやミドリちゃんのいう通り、トキさんの願いは、これからのことを思えば最善の選択肢にすら聞こえてきます。
でもそれは、本当にハッピーエンドなのでしょうか。
「一つ、いいかな?……ハッピーエンドをどう定義するか決める場だからこそ僕の意思を表明しておこう」
彼は、セイバーさんは。
「───僕はサーヴァントを犠牲にすべきだと思う」
私達の方をしっかり見てそう言った。
1じゃんね☆
普通に遅刻しました……ごめんなさいじゃんね……
今回はしっかり仲直り!
これで憂いなく……とはいかないじゃんね☆
しっかり、でもサクサクっとハッピーエンドについて話すじゃんね☆
続きはまた深夜、じゃんね☆
1話ごとの文字数で望ましいのは?
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3000文字〜4000文字
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4000文字〜5000文字
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6000文字〜7000文字
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8000文字〜90000文字
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9000文字〜10000文字
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10000文字〜12000文字
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12000文字〜15000文字
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15000文字以上