なるほど、お前達の事情は理解した。
確認を怠ったのも我に責任があるだろう。
その上でだ。
モモイよ、モモイよ、浅慮かつ短慮な我が愚かな主人よ。
お前に我から言葉を贈ろう。
───今から説教だ、馬鹿娘
ぶすっと、いえお顔は見えませんけど完全に怒ってますという雰囲気のキャスターさんの傍でしおしおになったモモイちゃんがいます*1。
事情は言わずもがなというところです*2。
「あー……それで、貴方がキャスターのサーヴァントでいいのだろうか?」
空気を見かねてミノリさんが苦笑しつつそう尋ねると、小さく唸り声を上げてからキャスターさんも丁寧に自己紹介をしてくれました。
「如何にも、バーサーカーのマスターよ。我が此度の聖杯戦争でそこの短慮なるマスターに招聘された
いえ、丁寧ではありましたけどちっちゃな棘はしっかりモモイちゃんに刺してます。
隣で萎れているモモイちゃんがますます小さくなっていきました。
けど、モモイちゃんは怒られたのもあってそれどころじゃないでしょうけど、彼の言ったその名乗りの中にあった言葉に聞いている私達はちょっとだけにやけてしまいます。
きっとキャスターさんも自然と言ってしまったのでしょうから、お気づきになられていませんけど、ミノリさんは気づいたみたいです。
「……なるほど、ね。とはいえ貴方も分かっているとは思うからこれ以上この話題に触れるのは終わりにさせてほしい」
「うむ?……その反応と言葉には些か腑には落ちないが、願ってもない。我としても呼び出された以上は無益な話に時間を浪費するのは本望ではないのだ。本題といこう」
本題とキャスターさんが言ったところで私も居住まいを正して何から話そうか、口を開きながら案を改めて頭の中で並べていると、ミノリさんがそれを手で制しました。
「まずは令呪まで切って誠意を示してくれた君達に、私から結論を話しておこう」
はっきりとした口調で彼女はそう言うと空気がしんと冷たくなったような錯覚をしました。
「私は聖杯戦争に積極的な参加をするつもりはない」
熱の一切ない冷えた言葉に続けられたのは、ともすれば拒絶にも似ていました。
「この場に戦いではなく話し合いを求めに来たというのなら、恐らくは同盟か若しくは停戦の協定を結びたいというのが君達の考えていることだと予測している。だから初めに伝えておくね───私は現時点で君達との何かしらの契約を結ぶつもりはない」
それに内心で焦りを覚えてしまいましたが、彼女は頬を緩めてくれました。
「とはいえ君達にも当然のように事情があるだろう。それを聞かずに一方的に話を打ち切るなんて事を私はしたくはない」
ただ。
その明らかに話をする、聞くという意思表示にほっと胸を撫で下ろしてから彼女の笑顔を見て勘違いに気づきました。
「だからそうだね、ここは聖杯戦争らしく」
彼女は笑顔でしたが、けれどそれは優しい物ではなく。
「交渉といこうか……君達は」
もっと獰猛なソレだったからです。
「───私に何を望む?」
何を望むか。
その問いに答えるのなら私達が言うべきなのはストレートに目的からの筈です。
「私達が今日ミノリさんを訪ねたのは聖杯戦争中の協力関係を結びたいと思ったからです」
調月会長も仰っていましたけど、彼女はやり手の弁論家。
下手に小細工を弄せば、真っ向から正論と彼女の信念に叩き潰されてしまいます。
「いいよ。続けて」
その上、彼女は聖杯戦争に積極的に参加するつもりはなく、そして私達と協力関係を含めた関係性を持つ事自体もしないときっぱり仰っています。
「協力関係と言っても聖杯戦争で私達と一緒に他の陣営と戦ってほしいという話じゃありません。私達は聖杯戦争でこれ以上、犠牲になる人を増やしたくないんです」
今の時点でミノリさんに関して分かっている事は少ないです。
ただシュロちゃんと違って彼女は明確に話し合う土俵に立つのを楽しんでおられます。
少なくともこちらを揶揄うだけして満足するのとも一方的に言葉で打ちのめすのを愉しむ手合いでも、靄のかかった言葉遊びをする人でもありません。
だからまずは幾つか話し合いの中で確認作業をしていきます。
「犠牲が出てしまうというのは私としても本意じなないね。でも、どうして協力が必要かな?現に聖杯戦争による直接的な被害は私の知る限り、各自治区の尽力もあってかそう大々的な物じゃない」
ミノリさんがどの程度聖杯戦争の現状を知っているのか、ミノリさん達の願いはなんなのか、そして彼女がどうして聖杯戦争に消極的なのか。
話し合いの中でそれを知っていかないと。
『そうね。ミレニアム、トリニティ間での協定もあるから私達各校の生徒会は警邏活動の強化も含めて聖杯戦争による表面的に見える被害を抑える努力は確かにしているわ』
「それはヒフミ達の陣営の裏には二校が着いているという話でいいだろうか?調月会長」
『マスターの貴女であるなら、その認識で構わないわ。そしてこれが今現在の私が切れる精一杯のカードよ』
「なるほど、あくまでも
調月会長の話を聞いてから私の方を向いた彼女は再度質問を投げかけられます。
「つまり君達は私達が目にしている聖杯戦争の被害とは別件で、犠牲になる生徒や一般人が……若しくは私達マスターもか。とにかくそうやって犠牲になる、なっている事を知っている。だから協力を結びたい、か……という理解でいいんだろうか?」
「はいっ!そうなんです、ミノ「読めないな」……え?」
「此処に来た目的は分かったけれど、君達の利が見えてこない」
細められた目の奥で嘘は許さないと言っている気がします。
利、つまりは私達が聖杯戦争での犠牲者をなくそうとするメリットが見えてこない。
つまりは行動の動機が見えないのだと彼女は言う。
いえ、私達に協力する事でのミノリ先輩側のメリットでしょうか。
それとも或いは聖杯戦争の犠牲や被害を減らすという行為その物へのメリットでしょうか。正しく答えないと拗れそうだと直感した私は咄嗟に。
「私はそのっ!……聖杯戦争で、もうこれ以上誰にも苦しい思いをしてほしくないんです……!」
強いぐらい勢いよくそう言ってしまいました。
ですが私の言葉に対して、ミノリ先輩の反応は無言。
「(間違え、ましたかね……)」
先を促していると受け取っていいとは思いますけど多分彼女にとって今私が言った言葉は望んでいた回答じゃなかった。
足りなかったか、それとも着眼点を勘違いしてしまったか。
前者であればリカバリーが効きますが、後者だと難しいです。
「(それでも、私の願いは……)」
一瞬不安が過りますけど、焦らず落ち着いて。一度不安は無視して次に繋がる話題を出していきます。
「私は他のマスターの方の願いを見ない振りをするつもりはありません」
「魔力供給による負担、という話だったね。そして聖杯戦争に決着が着かなければ私達マスターは死んでしまうとも。なら決着を着ける必要があって、必然的に願いが叶うのは一組だけ。その矛盾を君はどう解消する?……まさか、誰も死ななきゃハッピーエンドかい?」
それはみなさんとも話してきた事です。
まだミノリ先輩には伝えきれてませんけど聖杯の破壊も視野に入れてしまう以上、私達は一組分どころかマスター、そしてサーヴァントの方全員の願いを叶える事が出来ないかもしれません。
ならその部分は別の形で
「先ほどの話にもあったように、私達はトリニティ、ミレニアムの生徒会のみなさんと協力関係にあります。可能な限り、みなさんの願いを叶えるサポートを私も含めてお手伝いするつもりです」
サーヴァントを誰も犠牲にしない以上、聖杯自体の使用も勿論無理です。
そもそも全員の願いを聖杯
だからこその次善の一手。
各学園の生徒会という行政府の手助け、その約束を取り付けられている現状こそが聖杯に願いを託さなくてもいいんだと他のマスターの方に言えるカード。
ですがそれに対する彼女の反応は。
「……ふぅん」
焦る。
またです。
ミノリさんはどうしてだか、特定の話』するたびにつまらなさそうな反応を見せます。
「……私達の提案では叶えられない願いがあるかもしれません。でも、それでも……その中で折衷案や妥協案を見つけていきたいんです」
なんとかフォローを入れようと足掻いてみます。彼女は暫く無言の間を置いてから、口を開きました。
「確かに生徒会、それもトリニティやミレニアムといった三大校に数えられるほど大きな学園のそれと協力関係を結び、そして願いを叶えるフォローまでしてくれるというのならありがたい話だ」
「なら……!」
「
「……ぇ?」
横から殴り飛ばされたような、そんな気持ちになる感覚がありました。
私の口からはまとまりもない戸惑いしか出てくれなくて、それを気にしないでミノリさんは淡々ともう一度同じ事を繰り返しました。
「私の願いは死者の復活、そのために聖杯戦争という殺し合いに参加している。そう言ったんだ」
「あ……え、と……」
何を返せば良いか、どう答えるべきか。
その願いを咄嗟に否定する為の方法どころか、そもそも否定するという選択を私はついぞ自分の中で見つける事が出来ませんでした。
「いいかな、ヒフミ。殺人という行為を選択する際、人には必ず二つの枷が嵌められている。一つは法、容易にその行為をさせない為の社会的秩序と罰による枷。もう一つは道徳、それをしてはいけないという人が生まれてから培ってきた倫理的な枷。そして二つの枷を砕いてもその行為の及ぶのならば、それはまともな社会から逸脱するほどの想いを抱くという事だ。激情、恐怖、絶望……そして願望」
「……ぁ」
聖杯戦争に願いを持って参加するというのは
「さて、誰かを殺してでも死んだ人間を生き返らせたいという私の願いに対して、君は一体どんな妥協案を出せるんだ?いや……君は自分が目指すハッピーエンドの為に私の願いを踏み躙ってでも前に進めるのか?」
ですが、聖杯戦争を止めないと、ハッピーエンドを目指さないと今回も、そしてその次からも犠牲になってしまう人が生まれてしまいます。
「……それは、けどっ!今回の聖杯戦争が終わってもまたすぐ次のマスターが選ばれてしまうんですっ、だから願いを叶えるとかじゃなくて聖杯自体を根本からどうにかしなくちゃ駄目で……!」
トキさんから教えてもらった聖杯戦争の仕組み。
それが本当なら彼女がそうするように、形ややり方は違っても私達も聖杯戦争を今回で終わらせなきゃいけない。
それも含めてのハッピーエンドなんです。だけれど彼女はやっぱり
「ここに来て新しい話か。別に構わないよ、答えは変わらない。だからどうした。二つの枷が外れた人間だ、外してなお、人の社会から逸脱してしまってなお叶えたい『エゴイスティックな願い』を掲げたのがマスターだ。なら次に誰かが犠牲になったって構うものか。社会よりも道徳よりも秩序よりも、叶えたい願いこそを優先したからこそ、我々は人殺しになるんだ。今更、数の多寡を問える立場じゃないさ」
願いを持った時点で止まる選択肢が存在しない、対話が意味をなさないと突きつけられてしまいます。
どうするべきか、頭の中でちらつくのは
でもそれをするということは明確な敵対関係にミノリさんとなるという事です。
なにより彼女と私はまだちゃんとお話出来てません。
もっとなにか、そう考えて煮詰まりかけた時。
「ヒフミ。ミノリの言う願いが本当の話なら確かに考えるべきだ。でも、
涼やかな声が私の隣から戦ぎました。
「……アズサ、だったね。君は私の願いは嘘だと?」
ミノリさんの視線が私から隣いるアズサちゃんへと移ります。
彼女はいつの間に私の背中にそっと左手を当ててくれながら、毅然とした口調で話始めてくれました。
「嘘だと断じるつもりはない。けど、その重過ぎる願いに対して動きが消極的過ぎる……それにそういう願いを持っている人間はもっと死に物狂いの眼をする」
思わずどきりとするぐらい鋭い眼光がミノリ先輩を射抜いていました。
思えばアズサちゃんはセイバーさん達を除けばこの中で誰よりも過酷な戦場を生きてきたんです。
死者を甦らせたい、その現実で起こるはずもない願いを当たり前に掲げてしまうようなほど追い詰められた人や状況の事を、彼女は見てきたという。
「なるほど、主観だな。それに聖杯戦争は七つの陣営の殺し合い。他の陣営同士がぶつかって消耗したところを叩く、というのは戦術的な基本では?」
鋭利な視線に何一つ怯むことなくむしろそれを春風でも浴びるかのように心地良さそうにしながら、ミノリさんは再度問う。
「私ならそんな下手な手は打たない」
でもアズサちゃんからすると、それはあまりにもわかりきったことだったようです。
「ぎょ、魚人……違う、ぎょ、魚醤……ううん、魚粉!「漁夫の利、ですアズサちゃん」ありがとうハナコ」
どうやら言いたかった言葉が見つかったようでアズサちゃんは咳払いを一つ。
それからミノリさんの方を見ながら講義を行う教官のように説明してくれました。
「漁夫の利を狙うには、聖杯戦争は
確かに様子見に徹して全く動かないで、後から漁夫の利を得ようとするというの一見理に叶ってます。でも敵に回すとするなら陣営の数は六つ。
横槍を入れようとしても六つも陣営があってそのどれもが横並びの戦力ではありません。
現にライダーさんとアルさんの陣営は飛び抜けて強いと感じましたし、彼女達が消耗するのを待ってようと、あのオートマタを増やされていつまで経っても埒が開かないでしょう。
「そしてそれだけ戦力差があるなら早々に動いて敵の兵力がこれ以上増強する前に決着してしまう方が賢い。なにより、本当に漁夫の利を狙うなら今この場で願いを口にするのは迂闊だろう。ここで二つの学園からサポートを受けている私達を敵に回すより騙して協力関係を築いた方がずっと建設的だ。その判断すら出来ないなら、戦術なんて口にするのは破綻している」
断じるつもりはないと言いつつも、アズサちゃんははっきりとミノリさんの話を矛盾していると言います。
「破綻しているからこそ殺し合いの舞台に立つ他なかった。だからマスターなんて物を、聖杯戦争なんてふざけた物を私達は続けている。違うだろうか」
肩をすくめてそう言うのに対してアズサちゃんの返事は淡々としたものでした。
「違う。さっき言ってた二つの枷、たとえそれが破綻してしまったとしても人は自分の中で優先するべき順位がある。ミノリが本当に願いを叶えたいならこれまでの行動は願いを叶えるにはあまりにも無計画すぎて一貫性がなくなる、ミノリがただ壊れて人を殺したいだけなら、この場で貴女の願いを考慮したり私達が妥協案を探す意味もない───違う?」
その確信を得た上での問いに頬を緩めてミノリさんは答える。
「いいや、正しい。確かに私の願いは死人を蘇らせる事じゃない、こちらの事情で私は願いを叶える為に積極的な動きをしてないからね……この手の話に詳しい人間がいるのは想定外だったよ。アズサ、君は随分と目がいいようだ」
「うん。視力検査はいつも良い結果」
「あー、うん……まぁ君の言う仮定の話で申し訳ないけど再度、ヒフミに尋ねよう」
アズサちゃんからのお返事に少し面食らった様子のミノリさんでしたけど、すぐに被りを振ってから私の方を向き直りました。
「仮に他のマスターやサーヴァントの願いが死者の蘇生だった場合、君達は一体どういう妥協案を出すんだい?」
先ほどと打って変わって痛いぐらいに冷たい視線。言葉こそ丁寧ですが、聞いていると底冷えしてまうと錯覚してしまいそうになります。
「ハッピーエンドを目指す、聞こえは良いけどそれはエゴであり君の願いだ。何の犠牲も出さないと嘯きながら君は自分の願いを貫き通す。君の願いは美しく優しい。誰も傷つけない、苦しめない。だから『優しくない』『間違っている』他者の願いは踏み躙る、捨てていく」
決して責め立てるような強い口調ではありません。
ですが並べられていくその言葉の圧力に息苦しさを感じてしまう。
「たとえば死者の蘇りは道徳として間違っている、だからその想いより私の願いは優先していい。たとえば過去のやり直しは今を蔑ろにするからいけない事、だからそんな願いは叶えさせてはいけない。では不治の病に侵された恋人を救いたい、そんな倫理的になんの問題はないけれど現実として聖杯に願う以外に叶えられない願望に対して君はどう返す?」
その問いになんと返すべきか悩んで再度ハナコちゃんから心配するような視線が送られている事に気がつきます。
けどそれに返事をする前にミノリさんは次の話へと進んでいってしまいます。
「サポートをする、フォローをする、聖杯を使わずとも願いが叶うように支援する。なるほど確かに賢しい答えだが、願いを抱いたマスターは『今この瞬間に恋人を治して欲しい』んだ。『治療できるように支援する』では最早足りない。ならきっと、そのマスターは君達には聖杯は譲れないという言う事だろう……何せ人を殺してでも願いを叶えたいと思っているのだから。最早そこに真っ当な道徳意識を期待しろという方が無理だろう」
いっそ諦めろとでも言うように彼女は深々と溜め息を吐き出してから、今までよりもずっと鋭く目を細めて私を見た。
「改めて伝えようか。私の願いは富の分配だ」
その言葉を聞いた時、今度こそ、そしてきっと間違いなく正真正銘それがミノリさんの心からの願いなのだと直感しました。
「この世すべての財を共有し合い、誰もが平等に願いを叶える、万人に約束された奇跡こそを私は望む。誰もが等しく幸福を実現するこの願いに道徳的な失陥は何もなく、現実としての綻びも聖杯という超抜的な神秘を用いるならば何ら問題を抱えていない」
聞いた限り、それに破綻は存在しません。
いいえ、確かに大きな財産を持つ方からすれば何をふざけた話ということでしょう。
ですが、取り返しのつかない世の中の理とか道徳とかそういうことに反した願いではないんです。
そしてその願いを生徒会の方と一緒に叶えるのを助けるのはとても難しい事だけは分かります。
「君達は己の願いを叶える為に私に協力しろと言ったな?なら私はこう返そうじゃないか───君達こそ私の願いの為に協力するべきだ、と」
幸福な社会を作る事が出来る、そう言った彼女の願いに、私は理屈で違うとは言い切れませんでした。
ですが、それでも否と突きつけなくてはいけません。
「ミノリさんの願いは間違ってないのかもしれません。だけどその願いを叶えるには他のサーヴァントの方犠牲にします……そんなの、私は……認められません……っ!」
誰かを殺す形でしか掴めない幸福なんて、きっと間違っている。
それが許される事だけはきっとあってはいけないと強く言い聞かせるように伝えてなお、ミノリさんは私の理屈の矛盾を指摘する。
「つまり君は社会的な道徳に基づいて人殺しはいけない、だから聖杯を使って願いを叶えさせないと?理屈が破綻しているな。サーヴァントは人じゃない」
そう、サーヴァントの方は生きている人ではありません。
何度もセイバーさんが仰って、それでも彼や同じようにキヴォトスに呼ばれたサーヴァントの方を犠牲になんかしたくなくて。
必死に説得してきた話。それを彼女は切って捨てる。
「人間じゃない以上、法に則って殺人という罪咎を問えず、道徳という観点からも問題ない。最早それを心苦しく思うのは君の感性の問題だ。はっきり言って、他のマスターからすれば『余計なお節介』の一言に尽きる」
『余計なお節介』。
なるほど確かにその通りです。
「(ヒフミ、僕から言える事は少ない。これは君達の戦いだ。だけど)」
ミノリさんの言う通りです。
私がサーヴァントの方を生きてる人として扱うのだって、人によってはそう思わない方もいるでしょう。
自分の願いの方が私のハッピーエンドよりも大切な人もいるでしょう。
「ミノリさん♡少し私達ともお話して頂けませんか?」
「次は君か、浦和ハナコさん。別に構わないよ、どうだろう。次は私の願いを解体でもしてみせてくれるかい?」
それが聖杯戦争で、そういう物が殺し合いをしてでも願いを叶えるという事なのかもしれません。
「(僕は君に呼ばれた時も君とあの夜に話をした時も同じ事を思った───あの強さこそが君の強さだと)」
でも。
「(リオも言っていただろう?君は君のまま、真っ直ぐに、ね?)」
だからって。
「……それでも」
それでも、と胸の中で呟く、声に出す。
「それでも諦めたくないんです」
大きくはないけれど事務所の中に思いの外その声は響いてくれました。
私の言葉を聞いて、ミノリさんはまた薄らと唇を吊り上げて会話を中断する。
「……ハナコ、話はまた後でにさせてほしい。それで、ヒフミ?君は何を諦めたくないんだ?」
「私は……ハッピーエンドを諦められないんです」
「ああ、さっきも言っていたね。それで?それはどうして?」
だって私は───。
1じゃんね☆
ミノリちゃんとのお話スタートじゃんね☆
次回かその次ぐらいで決着じゃんね☆
1話ごとの文字数で望ましいのは?
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3000文字〜4000文字
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4000文字〜5000文字
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6000文字〜7000文字
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8000文字〜90000文字
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9000文字〜10000文字
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10000文字〜12000文字
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12000文字〜15000文字
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15000文字以上