未改訂版 Dark & Light Blues 作:沖田十三郎
また、最低文字数が改訂されたらしく、本来の演出意図を壊さざるを得ない事態に陥ったため第一部の宣誓文を扉絵の直後に接続しております。
ともかくも、そんな感じで。
第零章
神様の悪戯か、はたまた神様の思し召しか、
どちらにせよ彼等彼女等にとっては同じ事だ。
大切な者を奪われた者、守るべき者を守れなかった者、
そういう連中にとっては
そういう事になった原因がどのような種類の物であったのかなど、
瑣末な問題にすぎなかった。
彼等彼女等の名前は復讐者。
己の全てを賭けて、どこかの誰かに一矢報いる事を誓った者。
哀しくて悔しくて、何もできなかった自分の無力を呪った者。
これから語るはそんな彼等彼女等の
どうしようも無い程滑稽で、
どうしようも無い程に救われない、
そんな復讐の物語だ。
災厄は最悪を呼び、
どちらにせよ、
これはそういう所に、収まるべくして収まった、
そんなモノガタリだ。
それではご覧頂こう
救われぬ小羊達の
愛と地獄の物語を。
「ダーク&ライトブルース ~復讐の章~ 」
そして地獄なる日々は終焉を迎え、煉獄の日々が始まる。
第一部 復讐者の為の哀歌 ~elegy for avengers~
――かつて、この地にいた英雄と呼ばれた男はただ一つの言葉を残して姿を消したという。
「子供等よ、将来、君たちが大人になった時、剣を持ってはならぬ。戦を望んではならぬ。
それは無意味な行為だ。
それは愚かな行為だ。
愚かな私は剣を手に取り戦に馳せ参じたが、
そこにはただ一つの真理しか見出せはしなかった。
それは、人を殺す事よりも人を生かすことのほうが難しいということだ。
人を泣かせることは簡単だが、人を笑わせる事は難しいということだ。」
そこに彼のどんな思いがこめられていたのかは、今ではもう知るすべのないことだが、
それでも、彼が残したこの言葉は、一つの真実を言い表していると言ってよいだろう。
その後、英雄と呼ばれた彼がどこに行き、どのような半生を生きたかは伝えられていない。
しかし、一説によると彼はその後孤児院を開き戦で寄る辺をなくした子供たちを大切に育てたとの事だ。
それが真実かどうかは、やはり知る事のできないことだ。
だがしかし、事実が一つだけある。
北の牧草と交易だけで成り立つ至極平和なその国のやや南西部に小さいけれど立派な孤児院が一つ、子供達の笑い声と共に今もある。
それが彼の作った場所なのかどうかは、誰も知らない。
誰も知らなくても、子供達は今笑っている。
それが事実で、それが現実だ。
平和と笑顔が咲き乱れるそこは、戦場よりもはるかに楽園という夢に近いだろう。
その夢のために、人は生きているのだ
少なくとも、銃声より剣戟より、子供達の喧騒の方が可愛らしい。