ウルトラマンライラ   作:さわたり

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人気だったり気が向いたりしたら二話以降も書きます。とりあえず一話だけお試しで。


第一話「夜と、神事」

ズゴォォン!!

 

巨大な、そして重量級の一歩。

 

赤く熱のこもった巨獣が、都市を踏みしめる。

 

「グオォォン……」

 

その、黒い巨躯を見上げる、二人。

小柄な少女は、スーツに身を包み、深々と帽子をかぶり、どこか胡散臭く。

うねった茶髪の……まあ、いささか性別の分かりづらい青年は、少女に視線を流す。

 

「ミツレ様、ニヤニヤしてないで」

 

「ん~、仕方ないねえ。まあ、あれはマヒトツのとこの子だ。誰のせいで暴れてるかは知らないけど……うん、私には多少どうにかする義務が、」

 

「御託はいいよ! さっさと倒そう」

 

「っふ、はいはい」

 

ミツレ様、そう呼ばれた少女は、紫にぎらついた目をのぞかせる。

 

「……っは!」

 

青年はその胸から、光とともに……「それ」を引きぬく。

 

「神獣の名前は……デマーガ。頑張ってな~、サネミ」

 

「分かってる」

 

そしてその手の光は、ハンドベルの形を成し……。彼の服が、ふわりと変化する。……巫女が着るような、白と赤の、それに。

 

がらん、ごろん。

 

からん、ころん……。

 

鳴り響いた音色のなか、ミツレは飛び跳ね、踊り狂う。青年……サネミの周りをくるくると回りながら、ブレイクダンスのような、激しい踊り。

 

サネミがそのベルを空に掲げれば、光が放たれ……。

 

「ライラァァァァァァ!!!!」

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

巨人が、降りたつ。

 

 

「デュゥ……!」

 

巨獣に……デマーガに放たれる一撃。重く硬い拳が、そのツラをひしゃげる。

 

「キギュァァァ!!!」

 

「デェァ!!」

 

甲高い咆哮のデマーガに、低く、響く声の雄たけび。

 

巨人は、

 

ウルトラマンは、デマーガの腕をつかみ。次は重く激しい蹴り。怯むその身の下に潜り込み。

 

「ヘゥァァ!!」

 

投げ放つ!!

 

「ギィィァ!!」

 

「いいねえ、やってるやってる……」

 

屋上でその様を眺めながら、ミツレはケタケタと笑う。

避難の済んだ町は、営みがなく静かである。デマーガとウルトラマン、その声とぶつかり合いの音が、ただただ響く。

 

「グギャアア!」

 

「シュゥワッ!!」

 

デマーガが、その口から熱線を放つ! クロスした腕で防ぐウルトラマンだが、いささか苦しみの様相。それでも、ウルトラマンは無理矢理駆け出す。

 

「ディヤ!」

 

そして熱線覚悟のタックル! 怯むデマーガの頭部に、手刀を叩き込む。

 

「ぎぃぃ……!」

 

「グゥゥェア!」

 

だが、デマーガも簡単には怯まない。尻尾の反撃にフッ飛ばされたウルトラマンはビルに突撃、その胸のランプが、赤く点滅し始める。

ウルトラマンの中、精神の世界にミツレが現れ、苦悶のサネミに声をかける。

 

『あーあ、儀式に慣れてないって感じだねえ』

 

『わざわざ茶々入れに来たの?』

 

『おいおいおォい……そんな邪険にするかね』

 

『戦ってるんだから静かに見ててよね……』

 

中でそんな軽口を叩きつつも、ウルトラマンの苦境は変わらない。

……だが、デマーガが消耗しているのも事実だ。ウルトラマンは立ち上がり、その手を下に伸ばし交差する。

 

「デゥァ!!」

 

背面に飛び退きながら、L字に組む腕。放たれた光線が、デマーガの体を捉える。

 

「ギィアアアァァ!!」

 

直撃、光がスパークし、そして、

 

 

爆発!!

 

 

デマーガの中の熱が、熱波として放たれ……。

 

戦いの済んだウルトラマンは、両手を伸ばし空へと飛び上がる。

 

「デェゥワッシャ!」

 

町に残るのは、炎の弾ける音を除けば……静寂である。

 

 

 

 

 

 

第一話「夜と、神事」

 

熔鉄神獣デマーガ

酒神獣アルスター

 

登場

 

 

 

 

 

 

けたたましく通知音が鳴り響く。

少し暗い部屋の中、あまたのモニター達が、その存在を警告する。

 

「反応あり、海中です」

 

「どこのッスか!?」

 

「兵庫、尼崎近くのだよ!」

 

「ンのまえの、何でしたっけ? デマーガ? あいつも兵庫だったっスよね。何があるってんですかね……!」

 

「さあな、とにかく、今は分析が必要……動かせそう?」

 

「出撃準備ならいつでもオッケーっス」

 

指で丸を作った女性は、ヘルメットをもって扉の前へ。

地球防衛組織「ACHE(エイク)隊」……出番とばかりに空気が引き締まり始めた、その時だ。

 

「……連絡が入った」

 

指令の、寡黙な男が口を開く。

 

「この件は、一切の対応を必要としない。一般市民の避難の際に問題が発生したときのみ、限定的な対応を許可する。これは会長からの通達だ」

 

「……は?」

 

「ウゲ、この前の奴と同じっスね……デマーガん時と……」

 

「一体何が、」

 

「これ以上の連絡はない。前回同様追及はするな……とのことだ。あと……怪獣の名前は、アルスターだそうだ」

 

同時に、中継映像に映る怪獣の姿。海の中でとどまっているのは、ヒトデをつなげ合わせたかのような異形の怪獣。

つなぎ目にあたる部分には、兎のような、コウモリのような……そんな頭がある。

 

「……失礼します」

 

「え、ちょ、ドコ行くんスか!」

 

呼び止められながらも、止まることなく一人の青年が立ち去る。ヒロネ・カザト……憤りの残った目で、彼は動き始めた。

 

「ま、待って、自分も行くっす!」

 

「オリカワ隊員は待機だ」

 

「なんでっスか!」

 

「君はパイロットだからだ。……正直、この判断に私も納得しているわけではない。二回目ともなれば、なおのこと」

 

「……元秘密宇宙情報部門のエースは泳がせるってことっスか」

 

「そうだな。……まあ、尻尾切りになっては、さすがにかわいそうだ。私が最後は責任を負わねばな。……いや、どっちにせよ監督責任か」

 

秘密宇宙情報部門……ACHE隊のなかでも、宇宙からの存在を扱う、秘匿性の高い部隊である。

情報収集と、扱いなら自信があるわけだ。……資料室で、ひとまずつながりそうな足掛かりを探す。とりあえずは、リスクの少ない行動から……。

 

最終的には、会長室への侵入も視野か……そんなことを考えながら本をめくった時、ふと、

 

「……! 誰だッ!!」

 

背後に感じた『異様さ』。本を捨て銃を向け……冷や汗を額に流しながら、カザトは気配の正体へ視線を向け。

 

「……会、長?」

 

「学校で習わんのかったかのォ。本は、だァ~~じにせんといかんぞ?」

 

普通の、まあ、少し毛髪がこんもりしている、それぐらいで、風貌はいたって普通の女性。物言いは古臭いが、服装は現代的だ。

彼女こそ、ACHE隊の会長フタクラ・シュウ。

 

言ってみれば、「怪獣を前に何もするな」と言い出した張本人。

 

「……会長」

 

「アルスターの件なら何も聞く気はないぞい」

 

「なぜです」

 

「何も聞く気はないと言うておろうが」

 

「……。そうですか」

 

「気にせず本を読む胆力は評価するがのう……」

 

「暴力や権力で訴えてみますか。実際、俺はいま命令違反の最中ですからね」

 

「野蛮だのォ。まあ、せいぜい頑張るとよいぞ」

 

「ありがとうございます」

 

相変わらず、怪しい空気を零しながら、フタクラ会長は踵を返す。そして振り返り、ひとこと。

 

「ヒントをやるなら、……そうだの、儀式を邪魔立てするな、そういう話じゃ」

 

「儀式、何を…………」

 

追おう、という気は起きなかった。彼女が姿を消した時点で、垂れていただけの汗がどわっと、吹き出し始めたから。

 

本は大事に、正論だ。

 

彼は本を閉じ、零れ落ちそうな汗をぬぐった。

 

 

 

儀式。

 

たしかに、儀式らしい。

 

相撲がそうであるように、巨人と怪獣の取っ組み合いは、何かに奉納する物のように感じた。

 

「君が、カガワ・サネミか?」

 

「……僕に、何か?」

 

カザトは、兵庫県尼崎の某所にいた。小さな、ボロボロの神社……。夕陽に照らされるそこは、いちおう最低限の手入れはされているらしきもので。

声をかけられ、振り返るサネミ。その視線の訝しみは鋭い。

 

「カガワ・サネミ。都内某所の神社の家系で、」

 

「要件を先に言ってください」

 

「……なんていうか、見た目でふんわりした感じだと思ったけど、違うんだな」

 

「要件を言ってくださいってば……」

 

「君、ウルトラマンなんだろ」

 

「……。は?」

 

「俺はこういう情報の収集には自信があってさ。まあ、あえてこのACHE隊の服で来た辺りで…………意図は察してもらえるかなと思うけど」

 

サネミはカザトの顔を見て、うつむいて、また顔を見て。ため息ののちに言葉を続ける。

 

「飼い殺される気はないからね」

 

「おい待て何処に行く」

 

「買い物。あ、あんまり人の多いところで変なこと言わないでくださいよ。騒ぎになるのはACHEのひとも嫌でしょ」

 

「……胆力あるな、君」

 

少し感心した様子で、カザトはサネミを追う。

 

「あそこで生活してるわけ?」

 

「拠点ですよ。知ってんでしょ都内某所の神社住みなのは」

 

「いやそうだけどさァ……。いちおうさ、仲間に引き入れたいって言いに来たんだから! ほら、アイスをブレイクしたいわけで」

 

「仲間にって……どうせ監視対象でしょうに」

 

カザトだけに聞こえるように、「それか戦術兵器」と付け加えながら、サネミは大根をかごに入れる。

尼崎中央商店街は、怪獣の一件がありながらもにぎやかだ。怪獣騒ぎも、別に一度や二度ではない。世界自体が慣れつつあるのだ。

 

「ひねくれてんな君も」

 

「いやァ? みんなそう思う気がしますけどね」

 

「まあ、俺が胡散臭いのは認めるよ?」

 

「あなたが例えにこやかでカワイイ女の子でも、僕はあなたがたの下に入ったりはしませんからね!」

 

「はいはい……。でも、」

 

と、そのとき。瓦礫が崩れ、突如降り注ぐ。点検の行き届いていない場所だったというところか。

それはカザトの頭上に……。

 

「お兄さん危ない!!」

 

「うおッ!!」

 

避けきれない、カザトがそう感じた瞬間、彼はサネミに突き飛ばされていた。

 

「いだだだだ!!」

 

「ってて、っちょ、大丈夫か!?」

 

「まあ、死ぬような量じゃないですし。……幼稚なんだから」

 

「幼稚?」

 

「ああ……お兄さんのことじゃないです」

 

のそのそ立ち上がるサネミをカザトが手助けする。……まさか、こんな形で助けられるとは思わず、戸惑いながら、だが。

 

「ヒロネ・カザト。名乗らなかったのは失礼だったな」

 

「人の経歴いきなり読み上げようとする方が失礼なので、大丈夫です」

 

「……。」

 

結構毒舌だな、と思いつつも言い返しようのない話だ。居心地悪そうに、彼はサネミの横、先ほどと同じポジションに戻るのであった。

 

「まあ、正直監視や利用という側面は否めないだろうな」

 

「でしょうねえ」

 

「だが……現状、お前が正体とまでわかっているのは、俺だけなんだ。……あと、多分、会長」

 

「じゃあ、会長に言われて、ですか」

 

「いいや、俺の独断さ。俺は、……なんだ!?」

 

話の流れを切るのは、突如落ちる植木鉢。それをとっさにキャッチし……。会話は途切れたが、カザトは軌道修正に戻る。

 

「……で、俺はむしろ今は動くなって言われてんの。今きみに話しかけてるのも独断なんだよ」

 

「え、そういうの大丈夫なんです?」

 

「わからん。一件が終わったらクビかもな。抱えてるヒミツが多すぎるし、消されたりして」

 

「そ……んなリスクを冒してまで……」

 

「……」

 

「……僕をおちょくりに来たんですか?」

 

「おちょくりに来たと思ってたわけ!?」

 

「冗談ですよ」

 

淡々と毒を吐く、癖のあるキャラクターだ。……まあ、相手が相手、状況が状況。触れ合い方を間違えたかなと、そんなことを考えて、

そう、考えながら歩いていたのが祟ったか。

 

「うおおお!?」

 

「あ。」

 

「っでェ!!」

 

思いっきり、転んでしまった。

流石に情報部の出とはいえ、防衛組織の最前線で働く人間だ。完璧な受け身を取りつつ、気のゆるみかもな……などと考え。

 

「大丈夫です?」

 

「……あ、ああ」

 

こうして顔を向けられると、サネミの顔の綺麗さに気づく。

中性的なその様相は……何処か、妖しさもある。そこで思い起こされるのは『儀式』という、会長の言葉選びである。

 

「普段はこんなドジじゃあないんだがな」

 

「ええ、まあ、わかりますよ」

 

「ほんとか? 俺ァな……」

 

「いや、心当たりがあるんですよ。……まあ、そんなことは良いんです。なぜ、そんな危険なことを」

 

「情に訴えるための嘘だとしたら?」

 

「つく意味あるんです? 『俺の後ろ盾無くなるかも』なんて内容の嘘」

 

「ま、確かにね」

 

土ぼこりを払いながら、彼は続ける。

 

「単純に……『指をくわえて見てろ』、ってのが気に入らないんだ。人々が苦しまない、大丈夫だ、余計な手出しをしてはいけない……そういう理由があるなら、知りたいんだよ」

 

「……その言い方、怪獣とかが?」

 

「…………ま、ウルトラマンならいいか」

 

「あのですね、周りに人が居ないからって、」

 

「いま、ここに怪獣が近づいている。避難勧告は、未だ出ていない。曰く、『儀式のため手出しをするな』」

 

サネミは少し、眼を見開いて。

 

「……ま、わざわざ防衛隊にいるような人だし、そりゃあ志は高いか。ちょっと、ビックリしましたけど。……それに、儀式か」

 

「ウルトラマンと、怪獣の戦いを……相撲みたいな儀式になぞらえた、のかなってさ」

 

「それ、結構核心かもしれません。……その、」

 

サネミが言葉を選び始めたとき、突如避難勧告が鳴り響く。人々が慌て始める、その姿の先。……港の沖に怪獣アルスターが現れる。

 

「……!」

 

「出やがった……! 隠し切れなくなってから、避難勧告か? 何が意図なんだ……!!」

 

「……、なんのつもりだ!」

 

「ちょ、なんだ? ウルトラマンには……」

 

「きまぐれなんだ彼女は……!」

 

突如駆け出すサネミ、それを追うカザト。走り抜け、向かった先は、サネミの拠点である、小さな神社であった。

 

「ちょっと、ミツレ様!」

 

「は? みつ、何?」

 

「ミツレ様、姿出して。は? いいから早くしてよ!!」

 

虚空に声を上げたサネミ。……その前に、風と煙が舞い。

カザトの一瞬のよそ見の後、視線を戻せば、『彼女』はそこに居た。

 

「奴は、オオモノヌシのとこのやつだろー。私にどうこうする責はない」

 

「君になくても僕にはある。ACHE隊は、それを予期して部隊を出さなかったんだとさ。……つまり、儀式の」

 

「御託はいいからさー、」

 

「それはこっちのセリフ!!」

 

「待て待て待て、何を喧嘩してんだ?」

 

止めに入ったカザトを、ミツレが一瞥する。帽子の下からのぞかせた視線。サネミは特に恐れることもなく、彼女の顔を掴み自分に向かせる。

 

「こいつは誰だみたいな顔しないで。あの幼稚な邪魔、さすがに気づくから」

 

「ちぇー」

 

「……え? 俺もしかしてあんたのせいで転んだりしたわけ?」

 

「……そーだ。 サネミをもっていかせるつもりはない。こいつには、」

 

「いいから、僕をライラにして。神々の使い全体が苛立ってるんでしょ? 誰の使いとか関係なく、治めなきゃいけないと思うんだけど!」

 

「あーあー、分かった分かった。いいよ、ウルトラマンにしてあげる」

 

「っていうか、僕の意思でなれるようにしてよ。いちいちお伺い立てなきゃいけないの、めんどくさいし!」

 

「でもなァ……」

 

「じゃないと今後口きいてあげないから!!」

 

まるで小学生のようなやり取りである。カザトは戸惑いつつも、呆れムードである。

 

「え? え〜? でもでも、口聞けんくなったら、困るのはサネミだし。私の力がなきゃ、ひとを守れないんわけで〜、」

 

「良いって言ったら?」

 

「それは……っ、ああ、もうわかった、わかったよ!」

 

「ちょ、そろそろアルスター上陸するぜ? 結論早く出してくれって!」

 

「僕の意思で変身できるようになる。そう言うことだよね」

 

「その話はあ〜と! ほら!」

 

ミツレが指をはじくと同時に、サネミが胸から『ウルトラハンドベル』を取り出す。同時に、服は一瞬で巫女のようなそれに。背後で踊り狂うミツレをよそに、サネミをベルを振る。

 

がらんごろん、からんころん。

 

鐘の音を響かせ、掲げ! グリップ上部のスイッチを押せば、ベルのパーツが展開し、閉じた目のような装飾が現れる。

 

「ライラァァァァァァ!!!!」

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

「デュゥゥァ!!」

 

「キィャアアア!!」

 

金切り音のような方向を上げる怪獣アルスターに、ウルトラマンは、ウルトラマンライラは蹴りを浴びせた。

夜の港で、ライラと怪獣は向顔。

 

「まいーや。やるならやっちゃえ。頑張れサネミ〜」

 

「アルスターは……あいつ何処目指してんだ?」

 

「酒造だろうな。陸を進んだ先……伊丹は酒造が多いし」

 

「……なに?」

 

ライラを振り払いながら進むアルスター。その様を、ミツレとカザトは眺めていた。

 

「奴はオオモノヌシの……酒の神のとこの子。気が立って暴れてても、やることは酒を飲むか生み出すか」

 

「あんた、やっぱ神様なのか」

 

「じゃなかったらなにさ。ミツレヒメ、そう呼ばれてる。……地味なせいか記紀には書かれてないけどねえ」

 

「……サネミは、あんたを祭る神社のとこの?」

 

「そういうこと〜!」

 

アルスターの吹き出すアルコール霧が、着火。ライラの体を焼く。

 

「っぐ、デェェゥァ、」

 

「おいおい大丈夫かよウルトラマン……デマーガの時といい、火に縁があり過ぎじゃねえ?」

 

「まあ、あれでやられるほどヤワじゃないよ、サネミも」

 

「そうか。……あんた、なんで渋ったんだ? 日本の神様なら、人間を邪険に扱うってわけじゃないだろ」

 

「私にも立場ってもんがあ〜るの。デマーガのとこの上司は、かかわりが深いけど……あいつのはなァ」

 

「デェァ!!」

 

炎を気合いで耐えながら、ライラは拳を浴びせ続ける。怯んだ一瞬を逃さずつかみかかり……。持ち上げる!

 

「ダァァ!!」

 

「キィィィ!!」

 

海面に叩きつけられアルコールを吹き出すアルスター。発火する敵から離れつつ、ライラは一瞬潜って消化。起き上がる敵に、向き直った。

 

「オオモノヌシ……。って言ってたな。デマーガのとこの神様とは何が違う?」

 

「キミには関係ないことだよ」

 

「あっそう。……だが、俺からも頼みたいね。あいつの判断で変身できないのは不便だろ」

 

「えー? あの子を捕まえて好き勝手したいだけじゃんね」

 

やはり言われるか、苦い顔のカザトをよそに、ライラとアルスターの戦いは大詰めにあった。

 

「キィィァァァァ!!」

 

「ッグ、」

 

閃光を放ちながら、燃える体をぶつけてくるアルスターにライラは水をかける。気化したアルコールの発火で結局炎は免れないわけだが。

 

「デァァ!!」

 

「キォォ……!」

 

今一度肩をぶつけ、怪獣をさらに沖の方へとぶん投げる、ライラ。……避難はおおむね済んだが、それでも。

 

『街を燃やされたら……たまったもんじゃないしねッ』

 

放たれ続ける火炎に体力をすり減らし、胸のカラータイマーが鳴っても、どんどんと沖に追い込み、そして。

 

「……サネミ、あいつ」

 

「へっへへへ、あの子らしーぃ」

 

「シェゥァ……!」

 

両腕を下に伸ばし、クロス。エネルギーの通う両手を構え、バックステップと同時にL字に組み、放つ!

 

「デァァーーーーッッッ!!!」

 

必殺の光線、シャドーストリーク。

 

そのエネルギーの奔流すべてをアルスターの体が受け止め……デマーガと同じく、爆散。

 

守られた街へ振り返り、ライラは頷く。

 

「デェゥワッシャ!」

 

そして、空へ。

 

 

 

 

「……お疲れ様」

 

「どうも。……理由なんだけど、さっき言った通り、神様の力と神様の眷属の戦いだから、……だから、手出しをするなって、そう言ったんだとおもう。君の上司がなんでそーいう事情を知ってるかはわかんないけど」

 

「……そう、だよな、やっぱ」

 

「僕としちゃ手出しをしてくれたほうがいいんだけどね。まあ、いいや。そう言うことだから、とにかく勧誘は蹴ることになるよ。じゃ」

 

「あ、待て!」

 

「……何?」

 

「俺はこう見えて、情報の秘匿とかを仕事にしてきた。人々の混乱を、防ぐような。…………だから、手伝うよ。手始めに監視カメラの映像に工作でもする。多少神様のサポートとかあるかもだけど、気まぐれだろ?」

 

「それは……そっか、ありがとう」

 

少し笑んで、サネミはその場をあとにした。

後ろについてくるミツレの頭に軽いチョップを乗せると、何かを話しながら、去っていく。

 

 

 

「お主、宇宙人達の情報に触れる最前線じゃろ。よく神々とかを信じたのう」

 

「異星人たちは結構……地球人とは離れまくった生態をしています。神々も、人間より強くて、人間が明かせないロジックを持った、それだけの生命体とも言えるでしょう」

 

「……かっかっか!! なるほど面白いわ。そうかそうか……確かに、そうじゃの! うむ。お主には教えてみて正解だったかもな」

 

パタンと本を閉じて、本棚にしまって。

フタクラはカザトの一瞥に視線を合わせると、ニヤリと笑む。

 

「ウルトラマンについては、秘密にしておこうかの。お主と、我だけのな」

 

「……ライラ、ウルトラマンライラ。そう呼んでいました。神々の力であるなら、前例があるのでしょう……ウルトラマンにも」

 

「ほーぉ、いいのう、なかなかイケてる名前じゃ。ウルトラマンライラ……。うむ、それで登録させておこう」

 

立ち去るその背を見送り、また、カザトは自らの汗が溢れるのを感じた。

 




突如届いた通信は、異星人「レヴティン人」のものであった。

要求するのは、カガワ・サネミの身柄。

渡さねば、総攻撃を始めると言う!

言い渡された拉致にも等しい任務を前に、どうするカザト!

次回、「撃て、侵略者」
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