星達のオーケストラ~双星のセレナーデ~   作:NiwaNiwa

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今回は幕間です


第5.5話 東音羽の恋愛思考

 音羽が西田と下校した、次の日。朝練を終えた音羽が教室に行くと、彼を迎えたのは男子面子であった。今日は1時限目から体育であった為、女子はさっさと更衣室へと向かっていたのだ。

 

「よ、おはよ東」

 

「うん、おはようみんな」

 

「聞いたぜ、東。お前、西田の事フったんだって?」

 

「フっ……!? え、僕は何もしてないよ!?」

 

 心当たりのない音羽は、彼等の言葉に酷く慌てた様子であった。

 

「いやー。しかしあの西田がねぇ。あいつだって、もう5人はフってたと思うんだけどな。東が好きだったからとはな」

 

「でもよ。西田だって結構可愛いじゃん。何か不満があったのか?」

 

「だから、僕は何も……」

 

「はぁい、そこまでよ。音羽ちゃん、困ってるじゃない」

 

 おどおどとしていた音羽に、助け船を差し出したのは。

 

「げ、西園寺」

 

「レディにげ、とは随分なご挨拶ね」

 

「レディならなんで俺達と一緒に着替えてるんだよ」

 

「細かい事は気にしないのよ」

 

「あ、美麗さん……」

 

 音羽の数少ない同性―便宜上同性としておく―の親友。西園寺美麗だった。

 

「ほら、野郎連中は散った散った。ここからはコイバナなんだから、乙女のターンよ」

 

「僕も一応野郎だけどね」

 

「あら、音羽ちゃんは紳士よ♡」

 

「ありがと……」

 

「それで、どうしたのよ音羽ちゃん」

 

「うん、えっとね」

 

 音羽は事の顛末、つまり昨日何があったかを事細かに話した。

 

「う~ん……いや、それは音羽ちゃんが悪いんじゃないかしら」

 

「うんうん」

 

「えぇ!?」

 

 美麗はおろか、周囲の男子すら同調して頷く有様に音羽は困惑していた。

 

「アナタね、デート中に他の女の子の名前出しちゃダメよ」

 

「……あ、そうだった。すみれちゃんにも言われてたのに」

 

「え、アナタ平安名ちゃんともデートしたの」

 

「え? うん。かのんちゃんとも……」

 

「マジかよ!」

 

「東も隅に置けないなぁ」

 

「てか純粋に羨ましすぎる……! 澁谷さんも平安名さんも超絶美少女だし……!」

 

「音羽ちゃん、モテモテなのね……」

 

「そ、そんな! そういう風に見られるのは、みんなに失礼と言うか。デートって言ってもそれは形式上そうなったって言うか」

 

「なぁにが失礼なモノですか」

 

 美麗は音羽に、デコピンをお見舞いする。

 

「あたっ」

 

「アナタね、少しは自分に向けられる好意ってモノに向き合いなさい。音羽ちゃんはLiella!のみんなが好きだし、その逆も然り。それは、あなたの中でも当然の認識でしょ?」

 

「う、うん……」

 

「だったら、その先の“好き”だってありえなくもない話でしょ?」

 

「そう、なのかなぁ」

 

「そうなの。さ、長く引き留めちゃって悪かったわね。早く着替えて、体育館向かいましょ」

 

「……うん」

 

 服に手をかけながら、音羽は考える。音羽は恋愛というモノを、形式でしか考えた事がない。一般的に男女同士の、友愛以上の感情。それが、音羽の中での恋愛というモノの認識だ。無論、音羽はLiella!全員からの好意を無碍にするような人物ではない。だがしかし、それはあくまでも友情としてのラインであった。

 

(かのんちゃんとすみれちゃんが、僕を男として好き?)

 

 音羽は今一度考える。音羽は過去の出来事もあってか、自分は否定される存在だと思い込んでしまう事がある。故に。

 

(……いやいや、そんなわけない。僕なんかの事、そんな風に思うわけない。寧ろ、そんな風に思われる事だって、かのんちゃん達はきっと嫌がるに決まっているよ)

 

 その可能性はないと、自分の中で決定づけたのだった。

 




次回更新もよろしくお願いします。
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