星達のオーケストラ~双星のセレナーデ~   作:NiwaNiwa

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今回は幕間です


第6.5話 華の女子の恋愛トーク

 とある商業施設の一角、そこにある静かなカフェに、2人組の女子高生が今しがた入店した。

 

「いやー、可可ちゃん。今日は付き合ってくれてありがとね!」

 

「いえいえ! 千砂都と一緒にお出掛け出来て、可可嬉しいデス!」

 

 千砂都と可可は同じ部活の仲間同士、こうして休日の遊びへと繰り出していたのであった。

 

「可可ちゃん、何にする? ここはねー、バニラアイスが美味しいんだって」

 

「では、可可はアイスとホットココアにしマス」

 

「私は……あ、コーラだ。これとアイスにしよっと」

 

 2人は呼び出しボタンを押して、店員に注文を伝える。注文の品が来るのを待ちながら、2人は談笑に花を咲かせた。

 

「千砂都の予定が空いててよかったデス。音羽はレンレンとお出掛けデスし、かのんとすみれも……」

 

「誘ったの?」

 

「ハイ。デスが、用事があると断られてしまって」

 

「そっかぁ」

 

「ん……えっと……」

 

 そこで、千砂都は可可が何やら話したがっているかのような素振りをしている事に気づく。千砂都は笑顔を浮かべて、可可が話しやすい雰囲気を作る事にした。

 

「可可ちゃん、どうかした?」

 

「あ、えっとデスね。その、こういう事を聞くのは、失礼かもしれないのデスが……」

 

「大丈夫。私達の仲でしょ? なんでも聞いて」

 

「で、では……ち、千砂都って、音羽の事をどう思っていマスか?」

 

「え、おとくん?」

 

「は、はい」

 

 千砂都はまさか音羽の名前が出てくるとは思わなかったのか、多少面食らった様子を見せたが、すぐに平静を取り戻して、口を開いた。

 

「ん~……どうって言われても、大切な友達って思ってるよ」

 

「そ、そうではなくてデスね」

 

 一方可可は、自分が欲しがった答えが得られなかったのか、さらに千砂都に問いを重ねる。

 

「その……れ、恋愛的に好き、とか。そういう事を聞きたかったのデスが」

 

「え~、恋バナだったの? 可可ちゃんも女の子だねぇ」

 

「からかわないでクダサイ!」

 

「ふふっ、ごめんごめん。でも、そういう意味でなら答えはNOかな。確かに大切な友達だけど、異性としてっていうのは……うん、やっぱりそういう風におとくんの事を考えた事はないかあ」

 

「そう、なんデスね」

 

 平静を崩さない千砂都を見て、可可はそれが真実なのだろうと確信した。

 

「そういう可可ちゃんは? おとくんの事、好きとかだったりしない?」

 

「可可も違うデス! 可可と音羽は、好朋友デスよ!」

 

「はおぽんよー?」

 

「ハイ! 大切な友達って意味デス」

 

「ふぅん……」

 

 そこまで話した所で、2人の前にそれぞれの注文の品が届く。炭酸の泡が踊るコーラを1口運んだ後、千砂都は再び口を開く。

 

「なんで急にそんな事聞いたの?」

 

「えっ。えっとデスね……ここだけの秘密デスよ?」

 

 可可は恋バナに置ける決まり文句―大抵それが守られる事はない―を口にした後、耳打ちをする仕草で千砂都に告げる。

 

「実は、すみれが音羽の事を好きなんデス」

 

 千砂都はその秘密を予想出来ていたのか、或いは知っていたからかあまり驚かなかった。が、反応だけはしておこうかと、会話を合わせる。

 

「へぇー……そうなんだ。言ってもよかったの?」

 

「まぁ、千砂都なら大丈夫だと思いマスので」

 

「そりゃ、言いふらすつもりなんてないけどさ……それと、私におとくんを好きかどうか聞いた事と関係ある?」

 

「あぇ、え、えっと」

 

「知りたかったんだよね。すみれちゃんの他に、おとくんの事が好きな子……すみれちゃんに、ライバルがいるかどうか」

 

「ん、まぁ……ハイ」

 

「ふふっ。可可ちゃんは優しいね」

 

「べ、別にそういうんじゃありマセンが」

 

 そっぽを向いてココアを啜る可可を微笑ましく思いながら、千砂都は続ける。

 

「実はね、可可ちゃん。かのんちゃんもね、おとくんの事が好きなんだ」

 

「……え、そうなんデスか?」

 

 本当に知らなかったのだろう。可可は、千砂都に向き直って驚いた顔を見せた。

 

「うん。可可ちゃんなら大丈夫だと思うから言うけど」

 

「そうだったんデスか……やっぱり、千砂都は」

 

「どうしたの?」

 

「千砂都は、かのんが音羽と付き合って欲しいって思っているんデスか?」

 

「んー、どうだろ? そりゃ、かのんちゃんには笑顔でいて欲しいけど……相手を決めるのはあくまでおとくんだからね」

 

「そうデスよね……」

 

「ま、かのんちゃんには頑張って欲しいよね。そういう可可ちゃんも?」

 

「はぇ?」

 

「すみれちゃんに、おとくんと付き合って欲しいって思ってるの?」

 

 千砂都がそう問いかけた瞬間、可可は顔を真っ赤にして早口でまくし立てた。

 

「はぁ!? べ、別に可可はそんな事! すみれはちょっと調子に乗りすぎる事がありマスので、お目付役として音羽がいてくれた方がいいんじゃないかとは思いマスが」

 

「ふふっ、素直じゃないなぁ」

 

「むーっ。千砂都意地悪デス」

 

「ごめんごめん」

 

 可可はカップから立ち上る湯気を見ながら、続ける。

 

「その……聞きたい事がもう1つあって」

 

「おっけー、ちぃちゃんに何でも聞いて」

 

「音羽とレンレンが付き合ってるかどうか、なんデスけど」

 

「んー、私はシロだと思うけど」

 

「白?」

 

「付き合ってないかなって。だって、付き合ってたら私達にちゃんと伝えてると思うんだよね。あの2人だったら」

 

「確かに、そうかもデス」

 

「まぁでも、フラグがないわけじゃないと思うんだよね……そこはちょっとグレーかな?」

 

「ふらぐ?」

 

「恋ちゃんがおとくんを好きか、その逆も然り」

 

「そうだったら……どうなるんデショウ」

 

「恋ちゃんがおとくんを好きな場合はともかく、逆だったら……2人は苦い思いをするだろうね」

 

「そうデスか……」

 

 空になったグラスの氷を回しながら、千砂都は続ける。

 

「ま、私達は外野として見守ろうよ。おとくんを振り向かせるのは、あの子達自身がしなくちゃいけない事だから。もっとも、泣いた時に肩を貸すぐらいの事はしてあげなきゃだと思うけど」

 

「そう、デスね。では、可可もこの件に関してはノータッチでいきマス」

 

「うん。それと、今日のこの話はみんなには内緒ね。女の約束だよ?」

 

「女の約束……! なんだかカッコいいです、千砂都!」

 

「ふふ……って、あれ」

 

「どうかしましたか、千砂都?」

 

「ねぇねぇ、あれおとくんと恋ちゃんだよね?」

 

 千砂都が指差した方を見ると、今しがた会計を済ませた男女の組み合わせに見覚えしかなかった。どうやら反対側の席に案内されて今まで気づかなかったらしい。

 

「本当デス。どうしマスか? 声をかけ……」

 

「んー……デートだったら悪いし、そっとしておいた方が……えっ」

 

「千砂都?」

 

 可可が再度店のレジの方を見ると、千砂都から言葉が出なくなった理由がわかった。急いで会計を済ませている女子2人組……その2人も、可可と千砂都がよく見知った人物であった。

 

「かのんとすみれじゃないデスか! え、2人して何やってるんデスか」

 

「あれは尾行してるんだろうね。おとくんと恋ちゃんのデートを」

 

「尾行……なんだか探偵っぽいデス」

 

「きっと、かのんちゃん達も気になってるんだろうね。おとくんと恋ちゃんが付き合ってるかどうか」

 

「声、かけマス?」

 

「んー……面白い事思いついちゃった」

 

「どうしたんですか、千砂都?」

 

 千砂都の提案とは、恐るべきモノであった。

 

「私達もさ、バレないように後をつけてみない?」

 

 恐るべき、頭の悪いモノであった。

 

「なんでデスか?」

 

「なんでって……ほら、さっき言ったじゃん。外野として見守ろうって」

 

「成る程……流石千砂都デス!」

 

 確実にそういう意味ではないだろうが、2人は面白そうな事を目の前にして、いてもたってもいられなくなっていた。

 

「そうと決まれば行こっか、可可ちゃん!」

 

「ハイ!」

 

 そうして可可と千砂都も会計を済ませ、かのんとすみれの後を追い始めるのであった。

 




次回更新もよろしくお願いします。
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