疎遠になった幼馴染の距離感が最近になってとても近い気がする   作:ひざぎ

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◇◇◇

 

 中学の放課後の頃合いだった。

 

 夏の季節も真っ盛りというように、夕焼けの時間帯にも関わらず、太陽の熱が咲いている。あたりに日射をばらまいている、というよりは影を降らせているという心地にも似ていた。俺はそんな日射の中で、愛莉と一緒に下校していた。

 

 愛莉と一緒に下校をするのは久々だったと思う。夏休み中だというのに、試験の結果から進路を定めなければいけないという登校日、愛莉が所属していた部活動も三年生は活動をすることはなく、引退という結果を辿った。近くの大会で彼女がどんな成績を収めたのかは知らない。いつも同じように爽やかな笑顔で俺と関わってくれていたから。

 

 放課後といっても、単純な進路相談のための登校だったために午前中で学校については終わる。

 

 教師からは厳しい一言を投げかけられ、はあ、とため息を付きたくなる昼間の帰り道、雲ひとつない晴天が俺たちを照らしていたのだ。確か、そんな景色だったように思う。

 

「元気ないね?」

 

 愛莉は俺がため息をつく様を見て、そんな言葉を吐いてくる。

 

「元気もなくなるよ。試験の結果、悪かったらしいから」

 

 俺は、彼女と一緒の高校に行くことを約束していた。幼馴染だから、どうせなら一緒の高校に行ってしまおう。そんなことを愛莉が提案していたから、なんとなくの気持ちでその提案に乗っかってしまった。

 

 その結果がため息をつく事につながってしまっている。

 

 愛莉は俺と違って成績については良好だ。運動についても部活に入っているだけあってというべきか万能だ。そんな彼女が俺と関わってくれている。だから、そんな優しさに報いるためにも俺は学力を上げなければいけなかったのに、その日の教師の言葉は心臓に針をさすような、とてもキツめの台詞を投げかけてきた。

 

「お前なぁ。愛莉と一緒の高校に行きたいっていうのは傍から見てても理解することはできるけどよ? 流石にこの成績じゃ無理じゃねえかな。恋愛にああだこうだと口を出すべきじゃないかもしれねぇけどよ、きちんと適切に見極めるっていうのはどの場面でも重要なんだぞ。ただ好きなだけで物事がうまく言ったら、そりゃあいいだろうけどよ。この成績で夢は見るべきじゃない」

 

 対面の、面談のような形式ではっきりと教師にそんなことを言われた。

 

 四月の段階から繰り返していた面談だ。である。毎回そんな言葉をかけてくるたびに、なんとかしてみせる、その言葉を後悔させてあやる、そんな気持ちで向き合っていたものの、流石に進捗が芳しくない学習状況において、その台詞はどうしようもなくなく心に刺さった。

 

 実際、わかっているのだ。愛莉の成績に合わせて高校を選ぶことなどできない、そんな自分に。

 

 だからこそ、彼女に報いるために頑張っていたのだが、それでも結果が伴わないと、どうしてもため息を吐きたくなる。

 

 勉強の仕方がだめなのだろうか、それとも、俺の脳みそはそういった学習を詰め込むことのできる容量を持っていないのだろうか。あらゆることに対して憂鬱が心を反芻する気持ちがした。

 

「無理し過ぎなんだよ、翔也は」

 

 彼女は俺の背中をぽんぽんと叩きながら、へへ、っと笑いあげた。

 

 でも、無理をしなければ彼女と同じ高校にはいけない。それならば、俺は無理をする必要があるのだ。

 

 ……まあ、無理をしての結果が教師の言葉であることは重々承知なんだけど。

 

「あ、また苦しそうな顔をした」

 

「……してない」

 

 俺がそう言うと、彼女はまた笑う。

 

 俺も彼女の調子に合わせて笑うことができればよかったんだけれど、それはできそうになかった。

 

 ──そしてきっと、この頃にはまだ素直さを持っていたように思う。

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