疎遠になった幼馴染の距離感が最近になってとても近い気がする 作:ひざぎ
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止め処なく紡がれる私の理想は、夏に終わりを告げてしまった。ただの理想は、理想のまま。
理想は幻想、『想い』という字を抜けきることができない限り、私の現実はどこまでも変わらない。
いや、変わらなかった。
愛想を作り、奇想を抱き、妄想に励み、そうして散った、私の恋愛というもの。
どれもが、止め処なく紡がれていたかった私の理想、イデアル。
私のイデアルはここにあった。リアルは、そこには存在しない。
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夏の終わりを彩る花の季節は、すべてを殺そうとしているように思えた。私もその花の一部だと思った。秋の季節に咲く花は、きっとすべてが死んでいるのだと思った。更にかれゆく冬の季節に、なぜ彼らは根を生やして生きようとしているのかを、私には理解することができなかった。
私は愛を拒絶された。そんな気持ちでいっぱいになった。
私は兄が好きだった。私の心を埋めてくれる兄が好きだった。
でも、その愛は禁忌だった。きっと、禁忌というだけで兄に否定された。
そうして私は兄を勝手に恨むことにした。そうすることでしか自分の気持ちを保つことができなかった。
でも、本当の罪を犯していたのは誰なのだろう。そう考えると震えが止まらなくなった。
彼も、彼女も、全員そうだ。あらゆるものが夏から秋にかけて死んでいく。静かに疎遠になっていく兄と愛ちゃんの関係を見て、ほくそ笑む自分が気持ち悪い。
生臭い湿気のある風が身を包む。葉を落とす季節には程遠い。
私は朝、誰もいない部屋で、兄の部屋で目を覚ました。
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兄がそこにいてくれれば、それだけで私は救われたのかもしれない。報われたのかもしれない。でも、そこに兄はいなかった。兄を探して廊下に出た、玄関を見た。靴はなかった。私は捨てられたのだと思った。私は世界から逃げることにした。
数少ない落ちた生きていた葉っぱを踏み潰しながら走った。行く場所に当てはなかった。でも、なんとなくで走り去った場所は、昔兄と一緒に遊んでいた公園だった。その公園に設置されていた滑り台で日射を交わすようにして静かにうずくまった。きっと、ここなら誰かに見つかることはないはずだ。そうして心の平穏を保とうとした。
私の純潔は、私の願いの通りに兄によって失うことになった。それについての幸福感は確かにあった。愛ちゃんよりも先に兄の純潔を奪った、独占した恍惚があった。でも、それも過去になってしまった。今ではない現実は、どうしようもなく後悔に変わっていく。
禁忌を犯した。禁忌を犯したのだ。私は、禁忌を犯してしまった。
兄妹の関係なんて考えたくなかったのに、自分自身がそれを意識してしまっている。いや、意識しないようにしていたからこそ、私はそれについてずっと考えていたのだ。
兄との関係が報われないことには、ずっと前から気づいていた。気づいていたけれど、それが血縁関係だからというもので縛られることはどうしても我慢できなかった。それだけで比べられることもない土台に並べられるのが嫌だった。
それなのに。
どうしても、自分に対しての嫌悪感が拭えない。あの時の兄の顔が目に焼き付いて離れない。私が犯した罪はどこまでも消えることはない。愛ちゃんにも悪いことをしてしまった。でも、それを考えた上での行動だったはずだ。それなのに、なぜ自罰感情は拭えないのだろう。どうにかしたい気持ちはぬぐえないだろう。
巻き戻すことは絶対にできないのに。
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どうでもいい毎日を送っている。兄は私を避けるようになった。私は昔の生活を取り戻すように、いつも通りに振舞った。でも、それでは罪を償えないと思った。だから、敬語でその気持ちを表すことができればと思った。でも、その敬語を聞くたびに、兄はどうしようもない顔になった。
こうなったのは私が悪い。私が悪いけれど、兄がそんな顔をして、私と距離を取ることはどうしようもなく苦しくて仕方がない。でも、敬語によって距離をとっていたのは、私が兄を兄として、恋愛感情を持たないようにする要素でもあった。
どうでもいい毎日の繰り返し。私を愛してはくれないと知った日から、すべてがどうでもいいと捉えてしまう。自罰感情がすべてを占有する。あらゆるものがすべて死んでいると思うのは、私の情緒が狂ってしまったからなのだろうか。
どうやっても、私は彼から愛を享受することはない。きっと、それでも彼は愛を私を愛していると謳ってくれるのだろうけれど、そこに私の求めている本質的な愛はないような気がした。
恋愛も、親愛も、そこにはないのだ。
形式だけでのものしか、そこにはないのだ。
兄が私のことをどう思っているのか、それを理解することは容易い。行動を起こしてしまえば、それこそ結末については見えてくる。
後悔、後悔、後悔。
彼の指先をなぞらせて、私の肌に滑らせたかった。私の素肌の柔さを弾くように、彼の爪で躙ってほしかった。抓ってもいい、もしくは刺すでもいい、噛むでもよかった。象徴的な愛がまた欲しかった。
でも、それを求めることは許されない。
兄妹だから。
そして、私は兄に拒絶されたのだから。
彼に肉欲を求めることはできない。
精神的にも、世界の倫理としても。
でも、私は彼に傷を与えてもらいたい。傷を与えたい。彼が苦しい中にいるだけで、それだけで私が彼に刻まれたことを認識することができるから。きっと、それでさえ私は罪人なのだろうけれど。
愛の本質とは、相手にどれだけ傷を与えることができるかだ。傷を与えられるかどうかで、愛を享受するに至ることができるのだ。
私は兄に傷を与えることができた。だから、今はそれでいい。彼が私の指先を肯定してくれなくとも、私の唇を、私のすべてを肯定してくれなくとも、それでいい。
私は、罪を償うだけなのだ。
禁忌を犯した罪を償うだけなのだ。
私は愛されない。彼には愛されない。
いつまでも、どこまでも。
それなら、やはり償うだけ。
彼に報いるために、償うだけなのだ。