区切るとこ間違えたかもしれません。
面白い話や戦闘のない話ですが、なんとなく読んでいただけたらと。
神社を出発し、長い石段を降りていくとやがていっぱいに広がる向日葵畑が目に映る。
「おお・・・」
鎮守府では見れない光景だろうその陸の自然の美しさに圧倒される。
明るく花咲く向日葵を堪能しながら私は地図を頼りに人里へ向かう。
やがて、太陽が真上に昇ってきたころ、私は人里についた。
人々で賑わい、皆仲が良さそうだ。その光景を見ると鎮守府での仲間とのやりとりを思い出す。
「土産話をたくさん用意して必ず帰るから、皆待っていてくれ・・・」
私は人里の中へと歩を進めた。
甘味処や貸本屋走りまわる子供達。
江戸時代にでもタイムスリップしたかのようだ。
まずは霊夢の話にでていた人里の教師に会ってみよう。土産話も増える。
「すまない、少しいいか?」
適当な店の人に話しかけてる。
「なんだい?嬢ちゃん。」「この人里の学校はどこか教えてもらえないだろうか?」
「学校?」
まさか学校という言葉もないのだろうか、学校の前・・・確か江戸時代で学校は・・・
「あー、寺子屋かもしれない」
「ああ、寺子屋ね!最近の子供はそんな呼び方してるのか」
通じたらしい
「それならこのまま真っ直ぐ行ってみたら大きなお屋敷があるからそこを右に曲がって・・・」「そうか、わかったよありがとう」
「お嬢ちゃん、ついでに饅頭一つどうだい?」
「すまない、一銭も持ってないんだ」
「そうかい、ならまた今度頼むよ」
ニカッとしたいい笑顔で言われ、何となく心暖まる。こういった店は今我々の世界でどれ程あるだろうか
「ああ、そうしたいな」
言われた道を進んでいくとやがてそれらしい処につく。
「ここだな」
聞き耳をしてみると中からは小難しそうなことを言う女性の声が聞き取れる、授業中のようだ。しばらく待とう。
表で何をするわけでもなく人々の様子を眺めていると
「そこのお嬢ちゃん、誰かを待っておるのか?」
ふとそちらを見ると大きな丸い眼鏡とをしたロングヘアーの人がいた。
「ああ、ここの教師を待っているんだ。」
「そうかそうか、じゃが今からだと1刻は待たねばならんじゃろう」
さすがにそこまで何もせず待つのはつらい。
「それまで手持ち無沙汰・・・・かの?」
ニコニコと聞かれる。
これが提督なら警戒したいが恐らく少女を気遣った善意なのだろう。子供扱いはあまりいい気もしないが、向こうに悪気はない。
「まあ、その通りだな。」
「ならば儂に少しついてきてみるか?」
「どこへいく?」
「ここの貸本屋じゃよ。なかなか面白い本が多い」
貸本屋・・・悪くなさそうだな。
「ああ、ついていってみよう」
ロングヘアーの人についついく。
「ところでお主、何処からきた?」
「何処から、と言われると難しいが。多分お前達の言う外の世界だと思う。」
「ほう・・・」
眼鏡の奥がキラリと光った気がした。興味を持たれたか?
「成る程、実を言えば儂も最近外の世界からやってきてのう。」
「何!?」
「と言っても旧い友に呼ばれてきただけじゃが。」
「私は目が覚めたらここにいた。何やら返そうにも返せないらしい。」
「返せない・・・難儀なものじゃな。」
「まったくだ。だがきっと神社の巫女が返してくれると思っている。それに珍しいものばかりで回るのも楽しいんだ」
「霊夢に無理なら誰にも無理じゃろうし心配は必要ないじゃろう・・・着いたぞい」
暖簾を潜り後に続くとまるでどこかの倉庫のように古い書物が並んだ棚が目につく。
「いらっしゃいませー」
明るく元気な声と共に本屋の店員がかけるようなエプロンのようなものをかけた少女が出迎える。
「邪魔するぞい、今日は連れもいる」
「あら、里じゃ見掛けない娘ですね。」
「ああ、少し外の世界からな」
「あー、なら読むのは構いませんがお借りできませんね。」
「そういうものなら、仕方ない」
「ここにはどんな本がある?」
「よく聞いてくれました!鈴奈庵には珍しい外の世界からきた外来本を扱っています。外の世界に住む生き物の図鑑や様々な海の怪異が記された本から百鬼夜行絵巻現代解説本まで幅広く取り扱ってます。」ハキハキと説明してくれる。
本が好きなんだろう、伊8と会えば面白そうだ。
「色々あるんだな、しかし・・・」
棚を見ても字が古い、或いは外国語で書かれていて読めなさそうな本が多そうだ。
「どうしたものか」
「何を困っておる?」
いつの間にか後ろに丸い眼鏡の女がいた
「本があっても読めなさそうな本が多くてな」
「ふむ・・・ならあの小娘に気になった本を持っていってるがよい」
?試しに近くの英語表記の本を手に取り店の娘にまで持っていく。
「どうかしましたか?」
「この本を読みたいのだが読めないんだ・・・」
「成る程、少しお待ち下さい。」
スチャッと丸い眼鏡をかけて本を開けばその少女は本の内容を読み上げてくれる。
「すごいな、その年で外国の文字をここまで読めるのはそういないぞ。」
「私はそこまで賢くない普通の女の子です、【能力】のおかげですよ。」
ここでいう能力は勉強ができる、体育が得意というような能力ではないだろうな。
「能力とは?」
「幻想郷には何かの能力をもっている者がいるんです。魔法を使う程度の能力をもった魔法使いとか」
「魔法だと?そんなものはこの世にないだろう」
「そんなものがあるのがこの幻想郷じゃ、お主の常識なんぞどこまで機能するかわからんぞい」
・・・成る程、確かにここはそういう場所だったな。
「ひょっとしてあなたも何か能力が?」
「あ、私もそれは気になります!貴女なら何か持ってても不思議じゃありません!」
店の少女も食いついてくる。
「何を言うか、儂はただの外の世界マニアじゃよ」
カラカラと笑う。何やら煙に巻かれている感じがするし違和感がある。
「さて、儂はそろそろ用事があるから失礼しようかの。儂は二ツ岩マミゾウ。また会うこともあるじゃろう」
「ああ、いい時間潰しができそうだ、ありがとう。私は長月だ。」
「ありがとうございましたー」
店の中に二人残される。
「私の名前はまだでしたね、私は本居子鈴っていいます」
「ああ、よろしく。本の続きを頼めるか?」
「はい、では続きを読みますね。」
本の内容は特別なものでもなかったが【能力】で読まれたこの本は土産話にいいだろう。
「すみませんが、そろそろお昼なんで。」
「もうそんな時間か、ありがとう。」
「また続きを聞きに来てくださいね。そのときは土産話になりそうな誰かが来てるかもしれませんよ。」
「ああ、そうするよ」
暗い貸本屋から外に出ると昼の太陽に目がなれない。
「さて、今度こそ寺小屋の教師に会えるといいが」
そして私は寺子屋へと足を向けた。