原石とよく言われますが興味はありません   作:鈴木颯手

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書けたので投稿しました。色々とおかしい点があるかもしれないです。


第四話「変人は唐突に現れる」

 俺にとってゲームとは何か? そう問われればまさに日常を過ごすうえでなくてはならない潤滑剤と答えるだろう。一日に最低でも1時間、ゲームをしていないと俺は落ち着かない。最悪、ゲームをしていなくてもいい。コントローラーに触れ、適当にカチャカチャするだけでもいいんだ。そうでないとイライラしたり心が落ち着かない。

 まさにヤニカス共に見られる典型的な症状(※フブキちゃんの偏見です)と言えるだろう。あいつらと一緒になるのはまさに人間として終わっている(※フブキちゃんの偏見です)が仕方ない。実際にそうなのだから。

 そんな俺だがプレイするジャンルは多岐にわたる。基本的にその日の気分でやりたいゲームを決めている。昨日ならば育成ゲーム。一昨日ならばRPGといった具合にその日にやりたいゲームは変わっている。

 最近はウマ娘としての動体視力が良いせいかFPSにドハマりしていたりする。昨日までは久しぶりに他のジャンルがやりたくなっていたが今日はFPSの気分だ。とはいえFPSと言えど色々とある。大人気の者から不人気のものまであるなかで俺は基本的にオンラインゲームよりもオフラインが好きな傾向にある。別に下手とかそういうわけではなく、単純にコミュニケーションを取ったりするのが面倒なのだ。最初は良いんだ。話す事が出来るけどだんだん面倒くさくなってきて喋らなくなる。そういう意味では幼馴染の彼女はよかった。

 幼馴染故か空気を読むのが上手で俺が負担に思う事がなかったほどだ。トレセン学園に通う事が決まっていなければずっと一緒に居たかったと思う程だ。とはいえ彼女には彼女の夢がある。応援しないで何が幼馴染か。彼女の夢を聞いてから俺の応援方法として彼女以外のウマ娘を絶対に応援しない事に決めた。ここは前世のように賭け事をするわけではない。もししていたのなら私はこれまでに貯めたゲーム代を彼女につぎ込んでいただろう。……多分。

 

 

 ……さて、こんなつまらない独り言を何故延々と続けているのか、について。誰もが知りたいだろう。いいとも教えてあげよう。理由は目の前のウマ娘が原因だ。

 

「ヘイ彼女! アタシと一緒にマグロ釣りにいかないか!?」

「ここ内陸県ですよ?」

「よし! 今すぐ行こう化石堀に!」

「マグロ釣りじゃねぇのかよ」

 

 何やら白髪のウマ娘に先ほどから絡まれているからです。マジで何なんだこいつ。話通じねぇよ。

 

 

 

 

 

 

 黙れば美人と称されるトレセン学園の生徒、ゴールドシップがそのウマ娘を見つけたのは偶然だった。今年度はスペシャルウィークという新しい仲間を拉ち……得たが、そんな彼女に負けない逸材に見えていた。

 何しろ、明らかに走っている姿が普通とは違うのだ。まさに原石。才能の原石と呼ぶに相応しい走り方をしており、鍛えればレースにおける勝利は約束されていると思わずにはいられなかった。もし、最高の状態の彼女と共にレースに出る事が出来れば人生最高の瞬間を味わう事が出来るとゴルシは確信したのだ。

 故に彼女に話かけたのだが瞬間的に自らが描いた最高の夢がかなわない事を悟った。

 

「(ダメじゃん。見るからに走る事に興味ないじゃん)」

 

 変人奇人とも、ナンパとも取れる形で話しかけたゴルシは彼女、フブキが走る事がそこまで好きではないと一瞬で悟った。それは意外と人を見て奇行を発揮する彼女の空気の読み方故に知れた事だがそれだけに残念でならなかった。

 

「(という事はトレセン学園の生徒でもないな~? まぁ、いたら絶対に気づいていただろうし、こんなに原石のままでいるわけないっしょ)」

 

 表面上はふざけているが内心では冷静にフブキを分析するゴルシは改めて思い出す。約一年前にトレセン学園のトレーナーがやらかした事件があったがその時に「才能の原石」を見つけたと言っており、ここまでの状況判断から彼女が件のウマ娘だと理解するに至った。そんな彼女は変人に絡まれたせいか虚無顔を晒しており、可愛らしい顔が台無しとも、一部の人の性癖にぶっ刺さりそうとも言える状態となっている。

 

「……あのですね」

「ん? なんだい?」

 

 いい加減苛立ちがピークとなったのか彼女から若干の怒気を感じる。ゴルシはそれを見てやりすぎたかな? と思いつつ彼女の話を聞く姿勢に入った。そして、それが間違いだったと数秒後には後悔する事になった。

 

「私は今、手に入れたばかりの新作ゲームをプレイしたいのですよ。いいですか? ゲームとはこの世における最高の癒しなのです。ゲームをやっている間人は時間を忘れ、自分を忘れ、全てを忘れる事が出来るのです。ゲームとは人間全てに平等に癒しを与えてくれるものなのです。それを貴方は私から奪おうとしているのですよ。そんなものは許されていいはずがありません。私がオンラインゲームをこよなく愛する人だったらどうするのですか? 私だけではなくともにゲームをする人全てに迷惑をかける事になるのですよ? ゲームとはそれだけ大切なものであり、かけがいの無い物なのです。一つ例を出しましょう。私はゲームをする事で全てを忘れてゲームと一体化するように没頭する事が出来ます。おかげでうざったい現実世界を忘れる事が出来るのです。全く、私をウマ娘だからと何故走らせたがるのか。私はインドア派なのですよ。家に一日中いてゴロゴロしながらゲームをしてお菓子を食べながらジュースを飲んでゲームをしたいのに何で走らないといけないのですか? トレーニング? 意味が分からないです。無駄無駄そんなの無駄ですよ。そんなことをするのなら育成ゲームでもした方が良いです。なんで現実世界で自分の育成ゲームなんてしないといけないのか。自分を主人公とするゲームなんてつまらないし気持ち悪いのですよ。それに楽しくないし。だからやるなら自分とは関係ないゲームで育成する方が良いです。私としては栄光あるナインがおすすめですね。野球部の監督になって野球部員を甲子園に連れていくのですが中々面白いです。すごろくみたいに月日を進めるんですがきちんと計算しないとたまに酷いマスに止まるんですよね。それを避けるためにも進むマスは気を付けないと。そして甲子園に行くとスカウトしてもらいやすくてスカウトしてもらえると通常プレイで使用できるようになるんですよ。それがすごく楽しいんですよね。場合によってはプロになった後の選手一人を育成するプレイと合わせるといいですけどこれらが揃っているのって中々ないんですよね残念です。まぁ、通常プレイはあまり好きじゃないから育てる事しかしていないんですけどね。それでも毎年発売されるたびに購入しちゃうゲームで楽しみにしているんですよ。個人的には数年前に発売された奴なんかは登録されている選手がとてもバランスが良くて楽しいんですよね。個人的にはアプリ版もアプリ版で好きですがあちらは課金要素があって中々……。」

「……お、おう」

 

 まさにマシンガントークというべき彼女の言葉に流石のゴルシもたじろいだ。まさにオタクと女子特有の話題が急に変わるが合わさった話であり、気づけば野球ゲームの話になってしまっていた。そして最悪なのは返事を求めていない会話の為にゴルシが一切喋らなくても話を続けている事であり、流石のゴルシも途中から何が何だか分からなくなっていたがそれは唐突に終わった。

 

「……疲れた。帰る」

「えっ!?」

「それでは変態さん。さようなら」

 

 驚き固まるゴルシに丁寧なあいさつをすると彼女の返事も待たずに帰路についてしまった。話が通じないという意味ではゴルシに似ているがまさか相手の返答を待たずに帰るとは思いもしなかったのだ。

 

「……かえっか」

 

 故に、ただただ呆気にとられたゴルシも頭に?マークを浮かべたままトレセン学園へと帰路に就くのだった。こうして、変人との出会いはなんとも表現できない形で終わるのだった。

 

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