月の砕けた世界で   作:鈴ノ猫鳥

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第1話

 かつての人間だけの世界は壊れ喪われているのだろう、月が崩壊し地上へと降り注いだ5年前のあの日に。

 

 10年前から元の世界で排斥され移住して来た魔族を名乗る単独で世界を渡る者達の力により地球が月の崩壊で滅亡する事こそ避けたものの。

 日本では都市部以外の道路等に月の欠片が落ち交通網は崩壊した。

 今では都市が点々と孤立し点在し、それ以外は自然に飲まれるか、崩壊しかけた建築物が残る荒野となっている。

 文明の存続を天秤にかけられ、都市部の人間は魔族の支配下に置かれた。

 人間が熊と腕力で競っても種として勝ち目が無い様に、人間と魔族の間では魔力と言う不可視の力の有無により圧倒的な差があった。

 都市部を治める人間の文化を学んだ魔王を名乗る魔族は娯楽の一つとして迷宮を生み出した。

 ローグライクでハックアンドスラッシュでウィズライクな迷宮を。

 ゲーム地味た物だという。

 余りそう言う物に触れて来なかった私は、崩壊前の海外ゲームをよくやると言うナードを自称する学友の言っていた事だ。

 、魔力を扱えない人間の為に迷宮内では『魔法(ルール)』を作り、肉体の保護と言うHPのシステムに、人間は死なないと言う魔法。

 

 代わりに人間が死亡判定を受ければ魔族の奴隷となる、代わりに最下層に座す魔王をルールの上で倒せたならばその都市を解放し人間のものに戻し自由にすると言う魔族の中の魔族の一種族族契約を重んじる悪魔の名のもとに契約された娯楽。

 関東地区に住む上泉小夜(かみいずみさよ)は剣術家の末子としてその身に付けた剣術の腕試しとして迷宮へと入る事を決めた、母は剣術を継ぐ時点から反対していたが、魔族の支配下になった今でも家が取り潰しになっていないことから考えるとあくまで精々人間の武術程度の扱いなのだろう。

 その人間の武術がどれほどに通用するのか、それが知りたくて迷宮へと向かった。

 そして私は、あの人と出会った。

 都市部に定住せず、荒野を彷徨い各地を巡る堂々とデッド・エンド(行き止まり)なんて言う偽名を名乗る渡り鳥の男性に。

 迷宮ではゲームの様にHPを削り会うのが基本と聞いている。

 人間の力では、もとい、魔力の籠らないと攻撃は単純に無効化される為に迷宮で生み出されるか魔族が作る武具が必要となる、その攻撃の範囲は核なども含むらしい、魔族にとって核汚染も毒と大差無い状態異常のひとつでしかないとか。

 初めて迷宮に潜る私が買ったのは初心者用として作られている刀と実家で来ているものと同じデザインのオーダーメイドの道着である。

 オーダーメイドを頼んだ時に、カウンターの奥から下半身が蜘蛛の魔族の女性が出て来てその場で直ぐに作ってくれた。

 口さがない人は魔族の支配下とは言うけれども、少なくとも普通に暮らしている分には支配されていると言う感覚は無い。

 私の実家にも戦乙女(ヴァルキリー)を名乗る翼の生えた魔族さんが来たりもするし、少なくとも支配されているという雰囲気は無い。

 迷宮で手に入る物も持ち帰れば適正価格で買取をしているので、それで生計を立てている人がいるくらいだ。

 魔族の人達で少し気になるのは女性しか見ないという点だ。

 一緒に迷宮に入ることになった。

 迷宮管理局と言う迷宮へと入場する為の施設に居るのも女性の魔族さんである。

 初回の迷宮は同行者が必要と言う事でたまたま居合わせ、迷宮探索者の資格のある行き止まりさんと

 一緒に入る事になった。

 作りたてで傷一つどころか、汚れひとつ無い私の道着と違って、行き止まりさんの革のベストにロングコートは小さな傷があちこちに見え、コートの裾なんかは破れた跡が見える、きっと渡り鳥だからと言うだけではなく、探索者としても大分経験豊富なのだろう。

「上泉さん、初期職業(ジョブ)が剣士だったからと言って余り調子に乗らない事をお勧めします」

 大半の人間は初めに就く職業は初心者(ノービス)と言う職業らしいが、私は学んで来た剣術の影響か転職した後に就く剣士(ソードマン)から始まったらしい。

 職業とは人間の能力を元にして与えられ、人間の能力を上乗せされる魔法の一つ、具体的に幾つかと言うのは教えて貰えないがレベルと言うのもあるらしい。

 (スキル)と言うのもあるらしいが、今の私には関係が無い。

 

 職業に就いたばかりの人間にはスキルは発現はしないらしいので。

 行き止まりさんと共に迷宮に入ると目の前には二人? 二体の半透明の女性が居た。

「初回に迷宮に潜る奴がいる場合、同行者含めて同数の魔物(モンスター)か魔族が現れるんだが、人型のスライムは上層だと厄介だな、スライムは物理攻撃が通りにくい、凡そ半減だ、一体はこっちで引き受ける、一体はやりあってみせな」

 スライム達を見据えたまま、頷いて踏み込みながら首元を狙い居合を放つ。

 今までは危険だからと封じられていた横薙の居合打ちであるが、液体を切った感触のみを刀身を通じて感じただけで効かなかったかと思えば、液体としてパシャリと地面に崩れ落ちた。

「普通ならさっきも言ったように中々厄介な相手なんだが、スライム系はHPの幕で粘体の身体を覆って存在している、それに人型の体身体持つのはモンスターでは無く魔族だ、もちろん本体じゃないんだが」

 話を聞きながら、刀身に付いたスライムの体液をふるい落とし納刀する。

 つまり単純に言えば人型はまぞくの分身みたいなものだから強くて危ないという事だろう。

 

 バスパスパスと空気が抜ける様な音が三度鳴るともう一体のスライムの上半身部分が仰け反るように倒れ込む。

 先程までの説明からするとまだこれでは『死亡』していないということなのだと気づく。

「削りきれなかったか」

 その言葉と共に二再び三連射の音が鳴る。

 その液体を叩いた様な着弾音で行き止まりさんを見ると手には木製に黄金色の金属で装飾され銃剣の付いたピストルを手にしていた。

「迷宮産の銃器で弾にモンスターや魔族の分体を倒した時に残る魔石から魔力を吸い出して撃ち出すんだ」

『そうなんですね」

 短く返し、スライムの液体の中心部を見れば確かに透き通る宝石のような意思が落ちている、これが魔石と呼ばれるものなのだろう。

「基本的に迷宮産の強力な武具は魔力が使えない以上石が必要になるから覚えておくといい、それに基本的な迷宮での稼ぎはその魔石だ」

 行き止まりさんと魔石を一つづつ分け合い、初日ということで、その一戦だけで戻る事になった。

 まだ疲労すらして無かったのだけれど、少々気がかりな事があり素直に戻る事にした。

 




この世界の迷宮上層のスライム(魔族)は
打撃属性のダメージは半減します

攻撃属性は
斬撃、刺突、打撃
物理魔力
基本的に分類されさらに属性が付与されます

行き止まりの銃の攻撃は魔力打撃に分類されます
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