モブ黄金の一族に転生しました。   作:蜥蜴の隠者

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第14話です

※注意※

・本話と次話にかけて本編では登場しない地域やオリキャラが多数登場します
・ゲーム本編のシナリオに影響を及ぼすようなキャラではないのでご了承下さい。

それではどうぞ!


第14話 強敵だと思うだろう?、おそらく商人

 

今日は露天商と露店街について少々話そうと思う。

 

露店街とは王都ローデイルの下町にある自由市場だ。狭間の地の様々な物品や狭間の地の外から輸入された多彩な品々が集まり、誰でも自由に販売購入できる正に王都の台所と言ったところだ。

 

しかし、誰でも自由に販売購入できるとは言ったものの近年までは放浪商人の大隊商が市場を独占して調子に乗って価格を高騰させた結果、他の商人に黄金律に反する異教徒、所謂狂い火信仰者だと密告され一族郎党生き埋めにされてしまった。実際に狂い火信仰の商人も複数居たらしいし、一般では販売が禁止されている鎮痛薬にもなるが依存性の高い麻薬にもなる《イエロの瞳》を秘密裏に販売していたらしいので完全に濡れ衣という訳ではない。因みにイエロの瞳の違法販売先は大体黄金の一族である。証拠隠滅の為に放浪商人の大粛清に1番ノリノリだったのは黄金の一族だったことは言うまでもない。そんな大粛清もあり、露店街の市場は一度縮小したが徐々に回復し、今ではかつての賑わいを取り戻している。

 

さて、今日は1日ぶりの露店街でのアルバイトだ。何やら少し心配をかけてしまったようで、特に脂売りの旦那には申し訳ないことをした。本当の理由を言っても信じてもらえないので適当な理由をつけようか。

 

そんなことを考えながら露店街へと足を運んだ。

 

 

 

「オォー!ボヤー!心配シタヨー!大丈夫カーイ?」

 

このカタコトの喋り方をしている、いかにも外国人だと主張している人は《獣肉の香草焼き屋台》の店主。料理ができない師匠と俺にとって王都だけでなく我が家のお台所でもあるお方だ。

 

頭には市民の頭冠、胴には布の服、腕には何も付けず、脚は布のズボンを纏っている。ぱっと見はラクダに乗ってそうな見た目をしているアラビアンな人だ。

 

彼は壺を2つ積んだロバを一頭引き連れており、その壺には香草の薬液に漬け込まれた獣肉の塊がある。その肉を槍と見紛う鉄串にブッ刺して大壺を改造した火鉢に刺してクルクル回しながら炙り焼きし、それを店主が剣舞をしながら2振りの山賊の湾刀で肉を削ぎ落とし販売している。うん、すんごくケバブ。すんごく中東。雰囲気出過ぎでしょ?そんなパフォーマンス販売で露天商では1番人気のある屋台だ。

 

因みにその炙りそぎ肉は輸入品である小麦粉の薄焼きパンに挟んでスイートレーズンベースの甘いソースかアルテリアの葉ベースの辛いソースのどちらかをかけて食べる。ここら辺は前世のケバブと食べ方は同じだ。パンとソース込みだと一食500ルーン、肉のみだと300ルーンで庶民にも良心的だ。

 

「こんにちは〜。ご心配をおかけしました。今から仕事なんで、帰りに買わして頂きますね!」

 

「オゥ!頑張ッテー頑張ッテーネ!…待ッテルヨー!」

 

店主はそう答えると湾刀をジャグリングのように宙に投げ、見事キャッチしてキメポーズを取る。もちろん拍手喝采だ。俺は手を振り答えると後ろ髪を引かれる思いでその場を後にした。

 

 

 

「…む。来た」

 

露店街の奥のほうに行くと、段々と人通りが少なくなっていく一角がある。ここは王都では居場所が乏しい者達が売買するエリアだ。別に犯罪者が売買する違法市場という訳ではない。例えば王都貴族社会で落伍者となってしまった没落貴族や片親家庭やホームレスなどの社会的弱者、もぐりの調香師や調香師未満のヤブ医者など、人の目を気にする方々が安くて品質の良い品を求めてやってくる、いわば《貧民市場》と言ったところか。

 

その入り口で佇む筋骨隆々なこの大男は《骨肉売り》の旦那。頭は小姓のフード、胴は毛皮の服、腕は何も付けず、脚は毛皮の脚絆を装備したこの人は毎日新鮮な獣のお肉と副産物である骨系アイテムを卸してくれる商人?だ。

 

…どうみても侵入NPC敵キャラにしか見えない。特に装備の関係で《獣の爪、マグナス》にしか見えないが、本編のアレより体格がデカイ。何でもお母様が祖霊の民らしく、祖霊の民譲りのガタイとタッパらしい。

 

「…あ、どうも。ご心配をおかけしました…。脂売りの旦那も居らっしゃいますか?」

 

「…む、居る。…気にする、ない。お前、反省してる、なら。問題ない」

 

骨肉売りの旦那はこんな感じで話すのが余り上手くない。なので、店番は妹さんである《野草売り》の姐さんに任せている。普段はこの貧民市場の門番?をしてくれているのだが、…この人のせいで貧民市場の総売上げが落ちているとも言えなくもない…。

 

しかし、彼が門番をしなくてはならないのは理由がある。王都在住の富裕層は何かと性格が悪く、こういった細々と商売をやってる弱者をいびりにやって来ることがしょっちゅうある。中には謂れのない差別を受け商品をネコババされたりダメにされたり、最悪商人自体が怪我させられ商売を続けられなくなることもある。

 

放浪商人の大隊商が自由市場で幅を利かせていた頃は、放浪商人が一丸となってそういった輩を締め出していたが、彼らが居なくなって以降、そういった輩も盛り返してきて弱小露天商は泣きを見る羽目になっていた。

 

この一角に集まっている露天商の皆さんも最初は輩に商売を邪魔されて商売上がったりだったが、骨肉売りの旦那と野草売りの姐さんの兄妹がこの一角で商売を始めたことをキッカケに、輩連中は骨肉売りの旦那が追っ払ってくれるので必然的に兄妹の近くで店を開くと安心だということで出来上がった市場だ。

 

「…はやく、行く。妹、心配してた。」

 

「わかりました。では行きますね!ありがとうございます」

 

「む。」

 

そんな感じで骨肉売りの旦那に挨拶して貧民市場に足を踏み入れた。

 

 

「ん。来た。坊。心配してた。具合、大丈夫?」

 

貧民市場に入ってすぐ、皮を削ぎ首を落とした羊肉や羽を毟った鳥が吊るされた屋根付き荷車の隣に野草の入った木箱を広げてる女性が声を掛けてきた。

 

頭は堕落調香師のフード、胴は祝祭の礼服、腕は忌み潰しの長手袋、脚は忌み潰しのブーツを装備したこの座っててもタッパがデカイ女性が《野草売り》の姐さんだ。こちらも祖霊の民譲りの長身だが、装備に関しては父譲りだそうだ。

 

お父様は元は忌み潰しだったそうなのだが、忌み潰しの生業に疲れ足抜けし、堕落調香師となって忌子の治療薬を求めて旅をした末、祖霊の民のお母様に出会い諸々あって骨肉売りの旦那と野草売りの姐さんの兄妹を儲けたのだという。

 

混血である兄妹は祖霊の民と馴染めず、お父様に外の世界の知識を教えてもらい兄妹揃って出奔したのだそうだ。因みに今身につけている祝祭の礼服は祖霊の民の集落から出奔して旅をしていた時に風車村ドミヌラで祝祭の贄にとして襲われた際に返り討ちにして奪い取ったものだという。

 

「姐さん、おはようございます。体調はもう大丈夫なので心配ありません」

 

「ん。よかった。だけど、無理、しない、で。具合、悪く、なたら、直ぐ、言う」

 

姐さんも途切れ途切れな話し方をするが骨肉売りの旦那さんよりは話すのが好きらしい。

 

「姐さん、脂売りの旦那はどちらにいらっしゃいますか?」

 

「ん。坊、来たとき、隠れた。情けない。坊、御隠居に、先、挨拶する。心配、してた」

 

野草売りの姐さんは向こうで壺を売っている《壺売り》の御隠居の方に視線をやった。…脂売りの旦那、相当気にしてんのか、…申し訳ないなぁ。でも、ちょっと面倒くさい。

 

「わかりました。ありがとうございます。じゃあ、御隠居の所に行ってきますね!」

 

「ん。」

 

野草売りの姐さんに別れを告げ、《壺売り》の御隠居の元へ向かった。

 

 

「おぉ、やっと来よったか坊よ。もう具合は良いのかの?」

 

貧民市場の一角、品の良い絨毯に所狭しに並べられた壺、壺、壺、たまに土偶。この露天は壺作りに魅入られた《壺売り》の御隠居の店だ。

 

御隠居とあるように、御隠居は王都貴族の出身でご子息に家督を継いだのち以前から興味のあった陶芸を始め、今では工房を一つ持つ立派な陶芸家なんだそうだ。それで作った作品を露天で売り小遣い稼ぎをしているらしい。作った壺は実用性のある小壺や儀式壺、大壺と作品性のある陶芸品と様々だ。因みに師匠ん家で使っている壺も御隠居から譲って貰ったものだ。

 

そんな《壺売り》の御隠居の装備は、頭に老貴人の頭巾、胴に老貴人の長衣、腕には何も付けず、脚は布のズボンだ。因みに顔は某生き残った男の子が主人公の魔法ファンタジー作品の魔法学院の校長先生、あるいは指輪を火山に不法投棄する小人が主人公の王道ファンタジー作品に登場する灰色の魔法使いに似てる。若干声も似てる。絶対にレアルカリアンシリーズとか似合うでしょコレ。

 

「えぇ、大丈夫です。ご心配をおかけしました。」

 

「それは良かったわい。…それよりも坊、お主に教えて貰った骨灰を使った陶磁器なのじゃがな、…上手く行きそうじゃぞ」

 

「!本当ですか!?」

 

御隠居にはこの前、骨灰を使った白磁器の作り方を教えてみた。御隠居の販売する壺を見て、前世の知識で白磁器で無双するタイムスリップ転生主人公の作品を思い出したからだ。白磁器はこの狭間の地でも人気で白磁器の所持数は貴族家のステータスの一つとなっている。理由は白磁器を焼ける工房がないことと白磁器は主に輸入品で、大口で輸入すると輸送の際に殆ど割れてしまうためだ。

 

「うむ。まだ骨灰の配合と窯焼きの塩梅が難しいが、試し焼きした陶片は確かに白磁器となっていたぞい。この技術を確立したら我が工房は王都でも随一の工房になりそうじゃ。例を言うぞ坊よ!」

 

そう言うと御隠居は笑顔で頷いていた。自身の知識が誰かの役に立てたことにほんの少し喜びを感じる。

 

「ありがとうございます!またなんか役立ちそうな情報があったらお教えしますね!じゃあまた!」

 

「うむ。よろしく頼んだぞ」

 

俺はそう告げると御隠居の元を離れて脂売りの旦那を探しにいった。

 

 




如何でしたでしょうか?
主人公の強化には豊富な物資が必要と思い商人達と知り合いになってもらいました。
商人たちの服装とか設定を考えるの楽しいですね!

以下、今回登場した商人たちの装備一覧です。

《獣肉の香草焼き屋》の店主

右 山賊の湾刀
左 山賊の湾刀

頭 市民の頭冠
胴 布の服
腕 なし
脚 布のズボン

《骨肉売り》の旦那

右 ラージクラブ/大型ナイフ
左 なし

頭 小姓のフード
胴 毛皮の服
腕 なし
脚 毛皮の脚絆

《野草売り》の姐さん

右 ハンドアックス
左 角の弓

頭 堕落調香師のフード
胴 祝祭の礼服(軽装)
腕 忌み潰しの長手袋
脚 忌み潰しのブーツ

《壺売り》の御隠居

右 黄銅の短刀
左 なし

頭 老貴人の頭巾
胴 老貴人の長衣
腕 なし
脚 布のズボン

次回もお楽しみに!
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