モブ黄金の一族に転生しました。   作:蜥蜴の隠者

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お待たせ致しました。第15話です。

※注意※

・前話と今話にかけてゲーム本編に登場しない地域やオリキャラが多数登場します。

・ゲーム本編シナリオに影響を与えないのでご了承下さい。

・以後、この様な状況になった際、前書きで簡単に※オリキャラ・オリジナル展開注意報※と表記します。

それではどうぞ!


第15話 この先、反省が必要だ。そして、ピンチの予感…

 

壺売りの御隠居の店をあとにした俺は《脂売り》の旦那の露天に訪れた。脂売りの旦那の露天はこの貧民市場の露天で1番品の良い店構えをしている。

 

脂売りの旦那は壺売りの御隠居の甥御さんだそうで、つまりは貴族の出身だ。お家ではうだつが上がらなかったそうなので、御隠居の出店を機に自身も出店したそうだ。

 

高級そうな品のある絨毯に明るい色の兵士が使う野営用のテント。その中には根脂で磨かれた艶のある木箱が置かれ、格子状の枠に区切られた中には一個一個良質な根脂が配置されている。

 

脂売りの旦那は品物をとても大切に扱うことで有名だ。採取した根脂をわざわざ湯煎し溶かして不純物を取り除いたのち、整形してそれぞれ同じ大きさに切り分けて販売するという付加価値を付けて販売している。

 

恐らくこの自由市場で1番品質の良い脂を売っているであろう商人だ。そんな人の商品に、俺は泥を付けるような真似をしてしまった。心の底から反省してるし、いち早くあの人に謝罪したい。そして、あの人に俺の作った新たな商品、石鹸をプレゼンしたい!

 

この狭間の地での根脂の使い方は、主に灯りの燃料か蝋燭の原料、あとはワックスの様に艶出しに使う。ゲーム中のように武器に属性を付与させるのは極々稀だ。なんせ剣に油なんかを塗り付けたら切れ味が悪くなるし、下手に熱を加えれば脆くもなる。根脂から石鹸が作れることは全く知られていない。

 

石鹸は少なくとも王都ローデイルでは貴族社会でも特に一部の上位貴族か王族くらいしか認知されていない超高級品だ。殆どが海外からの輸入で使い方も香り付けといった感じだ。

 

簡単に説明すると泡風呂にチャップンと入るだけだ。現実世界のように身体を洗うやつ…えぇと何だっけ?…あっそうそうボディタオルにソープを付けて泡立てて擦るような洗い方はしない。良くてサウナか香で体臭を誤魔化すくらいだ。なんで狭間の地の民はかなり臭い。今では慣れたがそれでも臭い。

 

俺は出来れば、この貧民市場の一角に風呂屋を開業させたい。

 

水風呂は無理でもドライサウナかなんかで汗をかかせて石鹸とボディタオルを貸し与えて身体を洗ってもらい、さっぱりした所で冷たい飲料水や軽い小料理でもてなせるような総合料理屋をこの狭間の地で開業したいと密かに願っている。これは前世の夏休みに田舎の銭湯にいって熱いお湯で身体を洗って風呂上がりに飲んだ瓶入りコーラやフルーツ牛乳を飲んで癒された前世の記憶が由来している。

 

せっかく黄金一族から追放され師匠の家に転がり込んで自由を得たのだ。破砕戦争に備えて準備するのも良いけど、前世ではやれなかったことを折角だしやってみたいのだ。

 

その為にも、脂売りさんとの関係の悪化は避けたい。未来の石鹸メーカーの社長さんだからだ。

 

 

「お、おい!いつまで店の前をうろうろしてるんだ!商売の邪魔だ!」

 

突然後ろから怒鳴られる。振り返ると脂売りの旦那が姿を現していた。

 

頭は貴人の帽子、胴は上級小姓の服、腕は何も付けず、脚は貴人のブーツ。全体的に白っぽい衣装が特徴的で髪は金髪、鼻下にはチャップリンのようなちょび髭を生やしている。顔は特に誰に似ているとかはない。強いて言えばヒゲダンスが似合いそうな雰囲気がある。

 

「脂売りの旦那!一昨日はすみませんでした!」

 

俺は前世で培った分離礼で早速謝罪した。伝われ〜俺の謝罪の心〜!

 

「ええい!辞めんか!いつまでも愚痴愚痴と気にするではないわ!早く面を上げよ!お前がそんな調子だとあの大女に私がシメられてしまうわ!」

 

脂売りの旦那は慌てたように声を荒げて俺に話しかける。…何処か遠くで野草売りの姐さんの怒気を感じる。くわばらくわばら。意外なことに、この貧民市場で怒ると1番怖いのは野草売りの姐さんだ。なんせ兄である骨肉売りの旦那ですら姐さんの怒気にあてられると借りて来た猫のようになるのだから。

 

「はい、じゃあ改めてよろしくお願いします!…実はお詫びといってはなんですが、新たな商品のアイデアをお教えしたいのですが…」

 

「うん?まさか、お爺様に教えたという、…例の、白磁器の作り方と同等の知識か?」

 

脂売りの旦那はコショコショと耳元で囁く。俺は頷き、静かに答える。

 

「…えぇ、そうです。根脂を使った、石鹸の作り方です!」

 

「!?ほ、本当か?石鹸が根脂で作れるのか!?」

 

「はい。今日は試供品も持って来ました。作り方もお教えいたします!」

 

「〜〜ッ!!素晴らしい!是非教えてくれ!!なんと素晴らしいことだ!でかしたぞ!坊主!」

 

脂売りの旦那は周りを気にせず大声で喜んでいた。脂売りの旦那の喜ぶ姿を観て俺も幸せな気分になる。

 

「それだけじゃありません、実は石鹸に対する新たなアイデアもあるんです!それには骨肉売りの旦那や野草売りの姐さん、壺売りの御隠居の強力も必要ですが、これが上手くいけば脂売りの旦那の得られる利益も計り知れないです!是非協力して頂きたいんです!」

 

俺も嬉しくなって大声上げてしまう。しかし、脂売りの旦那の顔は途端に渋ってしまう。

 

「う、う〜む、お爺様なら兎も角、あの兄妹の協力が必要なのか…。石鹸だけでもいいんじゃないか?あの兄妹は苦手なのだ。」

 

「まぁまぁ、そんなこと言わずに。あの2人には俺が言っておきますんで」

 

「そういうなら、まぁ、良いが…。それよりも、早速その石鹸を見せてくれ。試してみたい。」

 

俺は脂売りの旦那に促されながら露天のテントの中に案内されそうになった。その時であった。

 

落雷の様な巨大な爆発音と共に王都ローデイルの外廊の城塞の一部が砕け散る。一瞬静寂となり騒然となる自由市場の人々。一体何が起こっているんだ?

 

俺は貧民市場の中央に駆け出し空を眺める。…バサリ、バサリ、と巨大な羽音が遠くから聞こえてくる。

 

黄金樹を照らす太陽、それを遮る巨大な、とても巨大な、天と地を覆い隠すような巨大な影が舞い降りる。

 

その身体はまさに山、その翼はまさに空そのもの。四枚の翼をはためかせ、その巨体は地に降り立つ。

 

喉あれば叫べ。耳あれば塞げ。心あらば祈れ。体の全てが、魂の全てが、今ここから逃げろと全てが叫ぶ。こんなに遠くに離れているのに、奴の雄叫びが大気を震わせた。

 

大古竜グランサクス

 

王都防衛戦、古竜戦役の始まりを告げる鐘が今、鳴り響いた。

 

 




如何でしたでしょうか?

一大イベント、古竜戦役の開幕です!
どう描写しようか楽しみです!古竜軍の構成や迎え打つ王都ローデイルの戦力は以下ほどのものなのか!英雄のガーゴイル&ガーディアン・ゴーレムVS古竜とか胸熱ですね!
そして主人公は接木能力を駆使して生き残れるのか!?

最後に登場商人の装備一覧を紹介します

《脂売り》の旦那

右 貴人の細剣
左 なし

頭 貴人の帽子
胴 上級小姓の服
腕 なし
脚 貴人のブーツ

次回もお楽しみに!

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