モブ黄金の一族に転生しました。   作:蜥蜴の隠者

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お待たせ致しました。第16話です!

※オリキャラ・オリジナル展開注意※
・今回、また新たにオリキャラが登場しますが後書きによる装備紹介は割愛させて頂きます
・後日、正式にキャラが活躍する際に紹介させて頂きますのでご了承下さい。

それではどうぞ!


第16話 この先、巨大な奴に注意しろ、そして竜を御照覧あれ!

 

空を引き裂かんばかりに咆哮を轟かせる大古竜グランサクスの出現に王都は阿鼻叫喚の坩堝と化した。王都を防衛するローデイル兵達も流石の事態に対応が遅れている。一部正気を取り戻した兵士達がクロスボウやバリスタを持ち出して攻撃を仕掛けるも、足元にいた兵士たちは絶えず羽ばたく四枚の翼の風圧で吹き飛ばされ、あるいは脚に踏み潰され尾で薙ぎ払われる。地上部隊の攻撃に援護しようと外廊のバリスタ部隊が攻撃に転じようとすると、今度は別の巨影が外廊のバリスタ部隊を抉り去る。

 

古竜だ。赤い雷を纏った古竜が攫ったバリスタ砲台を空中から地面に打ち捨てる。グランサクスよりは矮躯であるそれらも人間からしたら巨大な怪物に変わりない。上空を見上げると、その古竜が7頭、グランサクスの上空を旋回している。

 

…何だよこれ。どう足掻いても絶望じゃねぇか。こちとらホラーゲームやってるんじゃないんだぞ?何だよあれ?某新世紀な旧劇場版の量産型か何かか?思わず私に還りなさい〜なんてフレーズが頭をよぎったよ。

 

それに古竜だけじゃない、あれは、飛竜だ!何で飛竜と古竜が一緒に行動してんだ!?

 

DLCで暴竜ベールが竜王プラキドサクスに弑虐してから飛竜は古竜にとって粛清対象じゃなかったのか!?

 

それにしてもなんて数だ!10や20どころじゃない大群だぞコレ!何だよこれ!こんなの空飛ぶ回転亀怪獣映画3部作の最後に出てくる超音波怪獣の大群そのものじゃないか!あんなのが降りてきたら王都は壊滅だ!助けてくれミリエル様!マッハ3の回転ジェットて飛んできて助けてくれ!それ行け飛び出せやっつけてくれ!

 

…いかんいかん。余りのことに現実逃避が過ぎた。今は身の安全と、そうだお客様の安全を確保しないと!

 

振り返ると貧民市場には俺を含めたいつメンの他に6人。1人は俺と同じくらいの歳のガキンチョ、1人は幼女連れの奥様、あとは常連のおじさんに、見かけないのが2人いるな?

 

頭装備を抜いた星見シリーズ(胴は軽装)の若い兄ちゃんと恰幅のよい…何あれ?ハグリッドん?多分、あれは、そう、頭装備を抜いたはぐれ魔術師シリーズ(例によって胴は軽装)な服を着ていてお顔は非常に某魔法学校の森番に似ている!?よく見ればさっきの若い兄ちゃんも某生き残った男の子に似てる!?いつから此処はホグワーツになったんだ!?

 

しまった。また現実逃避をば。とにかく何とかしないと!

 

「あ、あ、その、お客様方!危ないので物陰に避難して下さい!」

 

俺に声をかけられ呆けていた6人は意識を取り戻し、忘れていたかのように取り乱し始めた。

 

「ひ、避難ったって何処に避難すれば良いんだよ!何処もかしこも化け物だらけじゃないか!」

 

常連のおじさんが喚き散らす。幼女連れのお母さんは子供をキツく抱きしめ、幼女ちゃんは今にも泣きそうだ。

 

「とにかく、ぎゃーぎゃー叫んであれの注意を引くのだけはやめて下さい。見てください、あの飛んでる馬鹿でかい蜥蜴は肉食性で人間が好物です。恐怖心に負けて叫んだ奴らはあの蜥蜴に掻っ攫われます。どっか、そう!露天のテントの近くに身を隠して下さい!御隠居、脂売りの旦那も、旦那のテントの近くに居てください」

 

俺は人差し指を口に当ててシィーのジェスチャーをしながら皆に注意を促す。皆それに従って脂売りのテントの周辺に集まった。

 

「御隠居、俺、野草売りの姐さんと骨肉売りの旦那の方にちょっと行ってきます。…皆さん、常に空を警戒して下さい、何か来たらすぐ逃げれるように準備して下さいね」

 

俺の言葉に目では反対の意を示すも無言で頷く皆さん。絶対に騒がないでよね。俺は上を警戒しながら野草売りの姐さんの元へそろりそろりと移動した。

 

「姐さん、大丈夫ですか?」

 

「ん。坊。大丈夫。そして、偉い。皆、坊のおかげ、で、助かった。」

 

野草売りの姐さんは骨肉売りの旦那の屋台の近くに潜んでいて辺りを警戒してた。骨肉売りの旦那は貧民市場の入り口付近で身を潜めている。流石の2人だ。自然と同化し気配が察知できない。祖霊の民の血が成す技なのか、それとも狩人としての技量か。姐さんの手には普段は見慣れぬ長弓が握られている。恐らくこれは、角の弓だろうか?祖霊の民の武器だ。

 

「…あの飛び蜥蜴、達、皆怖がっている。周りに飛ぶ、姿の違う、飛び蜥蜴に。…何匹か、空に、逃げようと、して、襲われた。…姿の違う、飛び蜥蜴、他の飛び蜥蜴、に、手一杯。だから、こっちには、来ない、思う」

 

姐さんが途切れ途切れに推察を伝えてきてくれる。なるほど。飛竜達は無理矢理連れてこられたのか。例えるなら戦奴といったところかな。飛竜達は古竜達に狙われる立場でもあり、隷属する立場でもあるのか。腑に落ちた。

 

ゲーム中で古竜の本拠地と思われる崩れゆくファルムアズラで今のこの王都のように背景に大量の飛竜が飛び交うエリアがある。飛竜にとって古竜は捕食者であり近寄りがたい存在である筈なのに、あそこまでたむろしているのは隷属していて主人から離れたくても離れられないといった事情があるのかも知れない。

 

「けど、飛び蜥蜴、は、もしかしたら、やって、来る、かも知れない。…他の、市民、襲ってる、とき、食いつき、良かった…。腹、空かしている、かもしれない」

 

姐さんの言葉に俺は背筋がゾッとした。今、この貧民市場の主戦力は骨肉売りの旦那と野草売りの姐さんくらいだ。俺には原作知識があっても戦う力はない。

 

ゲームでは充分距離を取ってから頭目掛けて輝石魔術や毒矢、竜鱗祈祷で腐敗ブレスや氷ブレスなどの遠距離状態異常で戦ってた俺だったが、今の俺は魔術一つ扱えない。今戦闘になったら確実に被害が出る。…死にゲーの世界だからって知り合いが目の前で惨殺とか鬱展開は御免被りたいし、もちろん俺も死にたくない。

 

…あぁ心配になってきちゃった。師匠もとい爺ちゃんは大丈夫かな?今頃俺を探して巻き込まれてないかな?いざとなったら地下室に逃げ込めば良いけど逆に地下室の耐震強度とか大丈夫か?など今まで忘れていた恐怖心や不安が一気に頭の中を駆け巡る。そんな俺の不安を察知したのか、姐さんが俺の腕に手を添える。

 

「大丈夫。坊の、お爺さん、心配いらない。坊の家の、ほう、まだ、飛び蜥蜴、行ってない。それに、魔術師、賢い、人、多い。あの、飛び蜥蜴、に、誰も敵わない、分かってる、思う。だから、お爺さん、も、闘わない。大丈夫」

 

姐さんは子供をあやすように俺の腕を優しく叩いた。…そっか、姐さんから見たら俺はまだ子供か。情けない姿見せちゃったな。

 

気持ちを切り替えないと。今は貧民市場の皆さんと無事生還することを考えないと。飛竜は脚遅いし、いざとなったら走って逃げればいい。皆が襲われたら最悪俺が囮になって注意を引きつければーーー。

 

そこまで思考していた時、静寂を乱すように幼児の泣き叫ぶ声が聞こえた。さっき脂売りの旦那のテントに隠れたお客さんの幼女ちゃんが恐怖に耐えきれず泣き出しちゃったんだ!

 

テントの裏で幼女のお母さんと近所のおじさんが必死になって泣き止まそうとするが、大人たちの不安が伝わったのか益々火が付いたように泣き喚き始めてしまった!

 

「まずい!来る!」

 

野草売りの姐さんが声を上げて立ち上がった。姐さんの視線の先を見つめると、陽の光に照らされたひとつの巨影が真っ直ぐ脂売りの旦那のテントに向かっていっていた。

 

姐さんは骨肉売りの旦那の屋台に駆け上ると角の弓を構えた。構えた矢が青緑色の蛍光色を発し、それはまさに今テントを襲撃しようとする巨影に流星の如く突き刺さる!

 

間一髪、巨影はテントを避け、金切り声を上げて地上擦れ擦れを旋回する。風圧によって脂売りの旦那のテントは吹き飛び、隠れていたお客さん達も突風に煽られている。

 

旋回した巨影は俺たちの真上を一周旋回すると急降下し砂煙を上げながら地上に降り立った。巨大な翼と鉤爪、鼻先とこめかみに合わせて3本の角が生えた巨大な頭に口元から覗く短剣ほどもある牙、陽光に照らされて色褪せた黄金のように煌めく体毛に覆われたまるで丸太のように太い尻尾が鎌首をもたげた大蛇のようにくねる。

 

"ギョアアアアアアア!!!!"

 

耳をつん裂き、大気を震わせる咆哮に、正しく今自分は被捕食者であるという現実を嫌という程に理解させられる。

 

狭間の地の捕食者、飛竜が、その姿を現した。

 

 





如何でしたでしょうか?
今回は飛竜と古竜の関係性に対してのオリジナル考察を交えてのストーリー進行にさせて頂きました。

何故古竜戦役に飛竜を出したかといえば、ゴドリックはいつ飛竜の骸を手に入れたのか、そして何故ゴドリックの飛竜はあんなにも腐敗が進行していたのか?という理由付けに登場させました。

狭間の地でモブ飛竜が現れるのはケイリッドのみですが、ラダーンを恐れていたゴドリックとその軍勢がわざわざケイリッドに赴いて飛竜狩りをするようには思えず、古竜戦役で棚ぼたしたのだと私は考察しています。

読者の皆様はどのように考えてますかね?
良かったら感想でお聞かせください。
感想を下さった方々もありがとうございます。

これからもよろしくお願いします。
それでは次回もお楽しみに!
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