今回は主人公の心情描写がちょっとくどいかも(^^;
主人公の性格は燃え上がりやすく冷めやすい。思いつきで行動する性格なんで、ブレっブレの主人公の心情描写をお楽しみ下さい。
それではどうぞ!
「ん。兄ぃ。やる」
「む。分かった。やれ」
俺が飛竜の威容に竦み上がっている間に骨肉売りの旦那は野草売りの姐さんの側に駆け寄っていた。
野草売りの姐さんは祝祭の礼服の袖口から何やら瓶の様なものを取り出し、その瓶の口から芳しい香りの粉が噴霧される。もしや、あれは…?
「ルオォォォオオオルッ!!!!」
骨肉売りの旦那が野獣の如き雄叫びを上げる。手にした巨大な丸太のような棍棒、恐らくラージクラブだろうか?その太さに負けないくらい上腕二頭筋の力瘤が隆起する。身体から発せられる闘気が湯気となって現れる。
恐らく、野草売りの姐さんは《調香術・高揚の香り》の粉を周囲に散布して攻撃力を高め、骨肉売りの旦那はラージクラブの戦技《野蛮な咆哮》を発動させ大幅に攻撃力を上げた。
獣じみた咆哮を上げ、自らを鼓舞した骨肉売りの旦那はラージクラブを振り構え、野獣の如き猛進によって飛竜に肉薄した。飛竜も骨肉売りの旦那の動きに合わせ鎌首をもたげ、その天を突く鼻っ柱の角を振りかぶる。
両者の攻撃がぶつかろうとする刹那、野草売りの姐さんが2射目の宿り矢を飛竜の目を狙って放つ。流星と見紛う燐光を放つ矢は飛竜の目に吸い込まれるように突き刺さり、飛竜は苦痛に思わず呻き、口を開く。そこに骨肉売りの旦那の大きく振りかぶったラージクラブの一撃が衝突する。
"グシャアアア!!!!"
弾ける肉片、吹き散る竜の血。そして根本から折られ唾液と共に飛び散る竜の牙。骨肉売りの旦那は飛竜の前歯を幾つか折り、吹き飛ばしたのであった。
「…スゲェ」
思わず呟きが口から漏れる。今眼前に繰り広げられている戦いは唯のゲームの敵モンスターとNPCの争いではない。それは正に物語の英雄と怪物が己の命を賭して戦う伝説の戦いだった。その光景は、陽光に照らされた1つの絵画の様で、とても美しかった。
だが、予想外の出来事も起こってしまう。骨肉売りの贅力に耐えられなかったのか、それとも飛竜の牙の堅牢さに負けたのか、旦那のラージクラブが真っ二つにぶち折れてしまったのだ。
後先考えずに振り抜いたのか身動きの取れない骨肉売りの旦那に怒りの炎に燃える飛竜は、片翼を振りかぶって骨肉売りの旦那に振り抜いた。
受け身を取れず、もろに喰らって吹き飛ぶ骨肉売りの旦那。野草売りの姐さんも流石に焦りの声を上げる。聞き慣れないその言葉は祖霊の民の言葉なのかも知れない。
土煙を上げて地に落ちる骨肉売りの旦那を見ることなく、飛竜は残った隻眼を憎悪の光に爛々と輝かせ野草売りの姐さんを見つめ咆哮した。
"ギョアアアアアアア!!!!"
飛竜が突如として舞い上がり、そして野草売りの姐さんが乗る屋台目掛けて急降下する。衝撃に巻き込まれ吹き飛ばされる俺と姐さん。土煙と屋台の破片で何も見えない。咄嗟に右手で庇ったが、どうやら掌を端材で貫かれたらしい。継ぎにより感覚が鈍っている右腕の石掘りの腕であっても、骨に響く鈍痛が脈打つように伝わった。
「…あ、姐さん…!」
同じように吹き飛ばされた野草売りの姐さんは気を失っているようで、地面に横たわって動かない。飛竜は怒りが収まらないのか、屋台の残骸を粉々に粉砕してる。商品だった羊肉や鶏肉が汚いミンチと化していく。
ダメだ、コレは、勝てない。対処のしようがない。やっぱゲームと現実は違う。無理だよコレ。
俺はゲームの主人公、褪せ人のように状況をひっくり返す力も能力もない。祝福から無限に復活する訳じゃないし、継ぎの能力なんてカスだ。死体相手じゃないと何の役にも立たない。どうする?飛び散ったラム肉でもくっ付けるか?痩せっぽちのモブ黄金一族のガキの肉付きが良くなるだけだ。…心が折れそうだ。いやもう折れちまってるよ…。
…
……
………。
…でも…それでも…だとしても。
ここで逃げるのか?逃げてどうなるんだ?俺は、このままでいられるのか?俺のままでいられるのか?姑息に隠れて生き延びて、そのあとどうするんだ?破砕戦争もそうする?褪せ人がやって来たときも、褪せ人が王になり世界が穢れや死に生きるものや狂い火に覆われる律がやって来たとしても、こそこそ隠れ続けて何喰わない顔で生き延びるのか?何のために?せっかくエルデンリングの世界に転生したのに?何のために、何のために、何のために、何のために、何の、ために…?
「…ぁ、あ」
そんなの、
「あ、ああっ」
そんなの、
「あ、ああ、あああああっ!!!!」
そんなの、決まってる!
「こっち来いやクソトカゲェ!!!!」
俺がやりたいことを成すために決まってんだろうが!!
"ギョアアアアアアア!!!!"
気がついたら俺は立ち上がり、飛竜に吼えていた。俺の存在に気がついた飛竜は咆哮で答える。
俺はそこら辺の石を拾って飛竜に投げつけ注意を惹きつけながら貧民市場の出口に向かって駆け出した。何とかあの飛竜をこの場から引き離さないと…!
飛竜は上手い具合に俺に食い付いてきた。野草売りの姐さんには注意はいってないようだ。
よし、来い!そのままついて来い!
俺は飛竜に付かず離れずな距離を維持して移動する。目指すは王都ローデイルの兵士達の駐屯地だ。何人生き残ってるか知らないが、建物の中に入ってクロスボウでチクチクやったら俺でも勝てるはずだ!
よし、来い来い!そのままこいや!
貧民市場から上手く抜け出すと、自由市場は地獄と化していた。老若男女問わず辺りに人だったものが転がっている。活気のあった街並みは瓦礫と化し、腹を空かせた飛竜が咀嚼音を立てながら人肉を貪っていた。
思わず吐きそうになるが、押し留めて前に進む。飛竜はイラつきながらも跡をついて来る。時折飛び上がったり尻尾の薙ぎ払いもしてくるが、何とか避けている。前転回避はしない方がいい。服の中に砂が入るし、石畳に打ち身する。頭はたん瘤だらけだ。
身体は満身創痍。もしステータスゲージが見えるのなら赤も青も緑もミリセンチしか残ってないくらいにぼろぼろになりながらも何とか駐屯地に辿り着いたが、そこで俺は絶望した。
辺りに転がる兵士兵士兵士兵士兵士兵士の死体!駐屯地の建物は崩壊し、人の気配は全くない。
…あ、これ終わったな。やっぱダメかな?
あまりの光景に今度こそ心がポッキリ折れた。膝から崩れ落ち、立ち上がる気力もない。
のしり、のしり、飛竜の迫って来る音が聞こえる。…もう、いいかな。頑張ったし。今度もし生まれ変わるなら、フロムゲー以外でお願いしますよ神様。せめてポカポカアイルー村にしてくれ。ダメだってんならニンテンドーに鞍替えするからな?ハイラルでゼルダロボ作るのだ。
俺は天を仰ぎ、空を眺めた。はぁ、黄金樹の枝が邪魔だなぁ。何もかも黄色い。どうして黄金の一族何かに生まれ変わってしまったんだ。どうせなら師匠と同じようにレアルカリアに生まれて人形兵職人になりたかった。そしたらガンプラファイト普及させてたのに。武装神姫もいいぞ。フレームアームズガールズやメガミデバイスみたいにかわいいおにゃのこ人形兵を普及させたのに…。
俺の現実逃避も極致に極まったころ、空に異変が起きた。空に、エルデンリングの、黄金律のマークが浮かんでいた。そして、続いて巨大な地響きが聞こえた。
余りの異変に、今まさに大顎を開いて食いつこうとしてた飛竜も釣られて地響きがした方を向いた。そこには信じられない光景が広がっていた。
大古竜グランサクスが地に伏していた。そして、空に浮かび上がる黄金律の下に小さな人影が浮遊している。赤髪に、半裸の偉丈夫。黄金の光を湛える石槌を携えたその男は巨人戦争の英雄
王配、黄金律ラダゴン
その人であった。
如何でしたでしょうか?
前半の祖霊兄妹VS飛竜の対決は自身でも満足出来る描写でしたが、後半の主人公の心情描写は正直微妙、上手くまとめられませんでした。皆さんならどうしますかね?自身が突然エルデンリングの世界に飛ばされ何の能力もないのにお世話になった人を助けるにはどうすれば良いか?色んな人の考え方がありそうですよね。
次回、エルデンアベンジャーズ、集結!
お楽しみに!