モブ黄金の一族に転生しました。   作:蜥蜴の隠者

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大変おまたせしました。第23話です。
それではどうぞ!


第23話 やはり、天才か…。おれはやった!

 

「…ァ"ァ"ァ"…今何時だ?」

 

起床した。酷く肩凝りがひどい。頭痛もする。喉もガラガラだ。風邪でも引いたか?

 

寝惚け眼で寝室から出てくると人形兵が陰干しされている旅の服の前で座り込み、服を見上げていた。

 

「…あぁ、おはよう。今何時か知ってる?」

 

"コテン?フリフリ"

 

人形兵に尋ねると、人形兵は首を傾げて首を横に振った。…ああ、そうだった。狭間の地には時計ないから何時とかわからないんだった。

 

あまりに疲れすぎて前世の感覚が出ちまったのかね。

 

しかし、人形兵、可愛いなぁ…!

眼窟に瞳ないからホラー寄りではあるけど。

 

「…まぁいいや。ちょっと師匠に聞いてくるわ。完成までもうちょっと待ってて。その服も着せてやるから」

 

"…コクリ"

 

人形兵は頷き、そのまま衣装を見上げる形で再び動かなくなった。

 

俺は瞼を擦りながら地下室の扉を開けて地下室を後にした。

 

 

 

「…ようやく起きてきたか。この寝坊助が。」

 

師匠はいつもよりも更に呆れた表情で俺を出迎えてくれた。

 

「…ぁ…師匠、ぉはようございます」

 

俺はあくび混じりに師匠に挨拶する。

 

「…何を呑気なことをぬかしておる?丸一日眠っておいてからに。魔術の修行もせんと人形弄りとは、呆れてものも言えんわ。大概にせよ。」

 

「…ぁ、はい。すみません。」

 

「…しかし、おぬしはほんに器用な手先をしておるの。あの人形兵を見た時はほんに腰を抜かしそうになったわい。あそこまで精巧に、いや人以上の美貌の人形を拵えるとは。おぬしはやはり魔術師よりも職人の才があるんじゃのう。死んだ親父が見たらおぬしを後継に選んだじゃろうて。もし輝石職人や魔術技師に出会うことがあれば必ず師事し技術を習得せよ。きっと必ずお主の財になるからのう。」

 

師匠は呆れつつも俺を褒めてくれた。ちょっぴり嬉しい。そうか、俺は魔術師よりも魔術技師とか輝石職人の方が向いているのか。破砕戦争とか争いごとがなかったらそっち方面で仕事してみたかったなぁ。

 

「ありがとうございます、師匠!…あと、本当申し訳ないんですが、まだ仕上がってないんですよ。だから今日も修行はおやすみということで、お願いします。あとは左脚に義足をつけて服着せて、目玉は…まだ用意出来てないんでアレなんですけど、どっかに義眼とか売ってるお店とか、知りませんか?」

 

「わしがそんなもん売っておる店なんぞ知るわけなかろう?…まぁ、こっちの知り合いにちと聞いてみるわいな。…まったく、ほんに、その歳で人形遊びとは…呆れて、ほんに呆れて…はぁ」

 

師匠は本当に呆れたといった感じで更によそった麦粥を溜息混じりに掻き込んだ。俺も麦粥をサラリと食べ終えると地下室へ戻った。

 

 

地下室に戻り、人形兵に足を伸ばさせて座らせると地下室の傍に置いていた折れたラージクラブの残骸を取り出した。

 

ラージクラブは骨肉の旦那が古竜戦役の際に飛竜の前歯を渾身の力で殴り飛ばした結果、棍棒の半ばから折れてしまったものだ。

 

先端の丸太部分は前回の人形兵修復の際に用いたパテの材料にしてしまったが、今回使うのは持ちてから半ばまでの残った部位だ。

 

俺はこれを使って人形兵の無くなってしまっている左脚に義足として接木しようと思っている。

 

本当は適当な丸太を削ってちゃんとした足を作ってから接木しようと思っていたが、古竜戦役や神人との遭遇など戦闘案件が増える昨今の状況から少なくとも人形兵を護衛として連れ歩かないと危ない事態であると判断したため、急遽義足を作成することにした。

 

右脚と共に伸ばさせた左脚に折れたラージクラブを合わせる。若干ラージクラブの持ち手部分が右脚より長かったため持ち手部分を切り落とす。

 

右脚と左太腿から左膝とラージクラブを合わせた長さがほぼ同等になったのを確認したら、ラージクラブの中心部と人形兵の左太腿の中心部をくり抜き、切り落としたラージクラブの持ち手部分が差し込める太さに少しキツめに掘ってゆく。

 

そして、左脚とラージクラブのくり抜いた穴に持ち手部分を差し込み繋げた。それぞれの断面部には膠を塗りつけ接着剤の代わりとする。

 

膠が乾くまで暫く待つ。

待ってる間に骨灰パテを作成する。

 

乾いてしっかり結合したのを確認してから接続部とラージクラブにパテを塗り込み接続部を目立たなくする。そしてパテが乾いたら布ヤスリとなっている預言者のローブの切れ端で削り上げて形を整えた。こうして白玉の様な肌色をした義足は完成した。

 

さぁて、いよいよ衣装着せだ!

 

俺は人形兵に立ち上がるように指示し人形兵の手を掴んで立ち上がらせた。かなりおぼつかない足取りだがなんとか両の足で人形兵が立ち上がった。

 

おぉ!機動戦士、大地に立つ!

若干感動するね!

 

立ち上がった人形兵に肩を掴ませると、まずは人形兵に旅のブーツのズボン部分を履かせた。薄手で伸縮性のある白い生地はピッチリと人形兵の下半身にフィットする。うぉぉ!エッッすぎるぞ後ろ姿!

 

更に旅のブーツを履かせる。墨汁に漬けて若干黒みを帯びた赤革のブーツはズボン部分の白い生地に映えていた。因みに左脚のブーツには詰め物としてガラス片を詰めている。

 

石だと粒が大きく重すぎるし砂だとブーツから漏れるためおはじきサイズのガラス片がちょうど良かったのだ。

 

そして、いよいよ上服、旅の服を着させる。人形兵にバンザイする様指示しバンザイさせる…が、身長差が激しすぎて上から着させられない。

 

俺は人形兵にバンザイした状態のままでお辞儀するように指示してなんとか旅の服を着させることに成功した。

 

墨汁で染めた純黒の衣装は品があり、傍目からみたら貴婦人に見えるようだった。相変わらず眼窟は伽藍堂だが、目隠しでもすれば盲目の貴婦人に見えるだろう。

 

俺は最後の仕上げに胸元の飾り紐を戻した。黒の衣装に白い飾り紐が映えている。鬘の髪色も鼠の毛で作った白黒のマーブルカラーだが白黒の衣装によく馴染んでいた。

 

ようやくここに、俺の病みかわ地雷風コーデ人形兵が完成したのであった。

 

「…おお!すげぇ!完璧だよ!俺の人形兵!最高!めっちゃ地雷系ファッションじゃん!やべぇ、俺天才か?」

 

俺のテンションは爆上がり。人形兵はそんな俺に動じず…いや、首を傾げたり右腕を頬に添えてぶりっ子ポーズしていたりとポージングしている!?なんて知能が高いんだ!?

 

「お前スゲェな!わかってんじゃんノリが!こうなったら師匠にも見せに行こうぜ!」

 

"コクリ"

 

俺の言葉に人形兵は頷くと、俺たちは地下室を後にして師匠の元へと向かうのであった。

 




いかがでしたか?やっと人形兵キャラクリ終了です。
次はお披露目会?そして新たな出会いが?

次回も1週間後ぐらいになります
お楽しみに!
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