モブ黄金の一族に転生しました。   作:蜥蜴の隠者

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お待たせ致しました。
第4話です

今回は少々長いですが、思うよりも展開は進みません。
某野菜人の出る龍玉を求めるアニメより進みません。
進まなすぎて主人公に特殊能力が付与されました。

それではどうぞ!


第4話 よく聞け、おぉよく聞け

 

「・・・まぁ、なんじゃ。上がって行け」

 

ジジィが俺の母方の祖父だと発覚した衝撃の展開後、少し経ってからジジィは杖を降ろし家に上がらせてくれた。

 

家の中はthe魔術師の家!って感じでよく分からん本が床や机に山積みにされ散らかっていた。棚には輝石の結晶であろう青白い光を放つ鉱物が詰め込まれており、あとは天球儀とか望遠鏡とかが部屋の片隅に追いやられていた。

 

ジジィは机や椅子に積まれていた本を無造作に払い退かし、椅子に座るよう言った。とりあえず座る、と同時にジジィが杖を一振りするとジジィの頭上に青白く発光する球体が現れる。輝石の魔術『星灯り』だ。

 

「・・・いま明かりと茶を入れる。少々待っとれ」

 

ジジィはそう告げると棚をガサゴソと漁り始める。俺といえばさっきの威勢がまるでウソのように黙り込み部屋の中をキョロキョロと眺めるばかりだ。

 

だって、何話したらいいか分からねぇし。普段何してんの?とか、今まで何処いたの?とか孫らしい話題とか振り辛いじゃん?初対面の爺さんに。

 

そんなキョロキョロと眺めるばかりの俺に溜息をつく様に息を吐いたワンコが俺に近寄ってきた。うぅ、デカい。うわペロペロして来た。顔舐めんな。息臭う。俺犬苦手なんだよなぁ・・・。

 

なんて考えてるとジジィがコチラへ戻って来てドカリ、と溜息混じりに対面に腰掛けた。

 

「・・・全く、何処ぞのクソガキのせいで蝋燭も茶も切らしているのを忘れとったわい。今日はこの星灯りで我慢せい。・・・で、おぬしがわしの孫じゃというのは本当なんじゃろな?嘘じゃったら承知せんぞ?」

 

ジジィは身を乗り出しコチラを睨みつけながら言い放つ。・・まぁ、初対面の人に貴方の孫ですって言われても詐欺にしか思わんよな。

 

「・・状況的にアンタの孫だっていう可能性が高いだけだよ。もしかしたら、また別ん所で作った女の子供かも知れんし」

 

そう会話を切り出して、俺は自分の境遇を伝えた。

 

自分が庶子であり幼いときに本家に引き取られたこと。名前はなく、オイとかお前とか呼ばれていること。

 

母は皆から石女とか売女と呼ばれて蔑まれていること。双子の妹が忌子で捨てられてしまったこと。忌子を産んだ罪で幽閉されてしまったこと。

 

恐らく異母兄弟である本家の餓鬼どもにいじめられていること。本家では使用人、いや、部屋住みの奴隷として扱われていること。

 

食事は1日に1回、残飯を煮込んだ餌であること。恐らく父親であろう家の当主は滅多に家に帰らないし、遭遇しても俺を居ないものとして扱って無視すること。

 

と、脈絡もなくボソボソと話した。話していると、不思議と震えて声が詰まり、涙が滲んできた。俺本心は悲しくとも何ともないのに、鼻声になる。

 

これってもしかして、俺の身体の感情なのか?俺って転生は転生でも憑依転生系なのではもしかして?

 

「・・とまぁ、俺が知ってるのはこんな感じでさ。さっきアンタがわしの娘を売女呼ばわりされてるとか言ってたからもしかしたらって思った訳さ。これが俺の知ってる全てのこと。納得して貰えるといいんだけど、どう?」

 

俺がジジィに尋ねると、ジジィは瞳を閉じ沈黙していた。身を乗り出した際に机に乗せた拳は握り締められプルプルと震えている。暫くすると星灯りの効果が切れて部屋が一瞬にして暗くなる。外から黄金樹の明かりがさしてくるので真っ暗闇って訳じゃないけど、杖を持った魔術師の微動だにしない影が目の前にあって、ちょっと怖い。

 

「・・じぃさん?明かり切れちゃったんだけど、付けてくれない?」

 

俺が声をかけると、無言の影が杖を振り、再び室内が青白い光に照らされる。ジジィは深い溜息を吐いたあと、重々しく口を開いた。

 

「・・・良かろう、おぬしをわしの孫と認めよう。よくぞここまで生き延びてくれたな。よう頑張ったな」

 

ジジィは真っ直ぐ俺を見つめ声をかけてくれた。心なしか、というか、心の底から、くつくつと感情が込み上げて来る。

 

これは俺の感情じゃない。感情じゃない筈なのに、涙が、溢れ、

 

 

 

その夜、俺は延々と泣きじゃくっていた。

 

耳をつん裂く俺の慟哭と、背中に添えられた暖かい掌の温もり、そして太ももに寄り添うワンコの頭の感触だけが其処にはあった・・・。

 

 

 

気がついたら朝になっていた。

俺は机に突っ伏して寝ていたようで、背中には黄土色のマントがかけられていた。恐らくジジィの、いや、爺ちゃんのマントだろう。

 

「起きたか?」

 

声をかけられた方を見ると、窓際に座って街の景色を眺めていたであろう爺ちゃんがこっちを見ていた。その表情は優しげであり厳しくもあり困惑しているように眉間に皺を寄せていた。

 

「・・ぁあ、ごめん。寝ちゃって。」

 

「構わん。・・構わんさ。」

 

爺ちゃんはそう告げると黙りこくってしまった。・・・無言の時間が過ぎる。息が詰まりそうだ。ワンコの息遣いだけが室内で響く。

 

「・・あのさ、お願いがあるんだけどさ」

 

「おぬしを引き取ることは、わしには出来んぞ」

 

俺が話を切り出そうとして、爺ちゃんが喋りだす。

 

「昨日見ての通り、部屋の明かりや茶すら切らし自身の食い扶持すら事欠くような有り様じゃ。とてもじゃないが、おぬしを養育することなど出来んぞ?・・それに、いくら無法者とて、奴らは黄金の一族。おぬしを探しにわしのところに来るかもしれん。そして、楯突けば娘に被害が出るかもしれん。・・奴らのことじゃ、もうとっくに死んでおるかもしれんがな・・。兎に角、安易におぬしを匿うことなぞ出来ぬ。わしではおぬしを守り切れぬのじゃよ・・・分かってくれ。」

 

爺ちゃんは吐き出す様に一気に話した。その表情はさらに険しくなっている。まぁ、普通はそうなるよな。

 

「・・あぁ、お願いってのはそっちじゃなくて、俺をアンタの正式な弟子にしてくれってこと。輝石の魔術を覚えたいんだよ、俺」

 

爺ちゃんはちょっと意外って感じで困惑の表情を浮かべている。

 

「・・詳しくは話せないんだけど、もうすぐ大きな戦争が起こるんだ。それに、黄金の一族も巻き込まれる。当然、俺も巻き込まれると思う。だから、死なない為にも力を付けたいんだ。だから、教えてくれよ、輝石の魔術を。いや、教えて下さい。お願いします。」

 

俺は椅子から立ち上がり頭を下げた。

 

「大きな戦争、じゃと?何の話だ?」

 

爺さんは豆鉄砲を喰らったような声を上げる。おれは頭を下げた状態から少し顔を上げて答える。

 

「・・話さないとだめ?」

 

「話せ。おぬしが魔術を教わりたいが為にわしに嘘をついているんじゃなければの。まずは話を聞いてからじゃ」

 

そんなやりとりがあって、俺は知っていることを全てを話した。

 

俺が別の世界からの転生者であること。この世界は別の世界では一つの物語として伝わっていること。そして、この世界の過去と未来の知識があること。

 

陰謀の夜にゴッドウィンが殺されること。ラニが首謀者でライカードとマリカが関与していること。ラニの目的は二本指の支配から逃れること。ライカードとマリカは黄金律を壊したがっていること。そしてエルデンリングがマリカによって砕かれること。砕かれたエルデンリングの破片をかけてデミゴット達が戦争を起こすこと。そのうち、黄金の一族は黄金樹勢力に反旗を翻し王都に攻め入ること。しかし敗れてゴドリック一門はリムグレイブまで逃げ帰ること。そして、遥か昔に祝福を失い狭間の地から追放されたゴッドフレイを始めとする褪せ人が狭間の地に戻って来ること。そのうちの1人がデミゴット全てを打ち倒しエルデの王となること。

 

「・・信じては貰えないだろうけど、これが本当に俺の知っていることの全てだ。俺という存在がなんなのかも分からないし知らない。でも、俺が言った出来事は必ず起こる。もしかしたら既に起こってるかもしれない。俺は、死にたくないんだ。こんな訳のわからない世界で。アンタには教えるよ。俺の本当の目的。おれは死にたくないし、永遠に死のない世界で生きたくもない。俺は普通に生きて普通に死にたいんだ。黄金律の届かない狭間の地の外で。その為にも、力が居る。生き残る為の力が。狭間の地の外でも、黄金律に頼らなくても生きていける力が。」

 

一気に話すと、爺ちゃんは絶句していた。信じられないモノを見て、聞いて、理解が及ばなくて。

 

そして見開かれた瞳孔に淡い虹色の光が一瞬煌めいたかと思うと、どっと息を吐き、ゼェゼェと息を荒げた。

 

「アンタ、大丈夫か?少し休もうぜ。ほら、座って・・・!?」

 

俺は爺ちゃんに椅子に座るよう促し爺ちゃんの身体に手を添えようとした。その時、爺ちゃんがガッと俺の手を掴んだ。

 

「・・見えた、わしにも見えた。ゴッドウィン様が刺されるのを。エルデンリングが砕ける様を。あぁ、あぁ、引き裂かれた二本指様にお座りになられる、あの人形は、ラニ様?」

 

爺ちゃんは息も絶え絶えと言った感じで言葉を紡ぐ。

 

「え?爺ちゃんラニ様って?ていうか、見たって?」

 

「・・そうか、そういうことじゃったか。あの星辰の意味はそういうことじゃったのか・・。」

 

徐々に息が落ち着いて来たのか、爺ちゃんは椅子に座り、息を整えて俺を見据えて言った。

 

「・・座るのじゃ。おぬしに、話すことが出来た」

 

爺ちゃんの話とは何なのか、爺ちゃんはさっき何を見たのか。

 

俺は静かに爺ちゃんの言葉に耳を傾けた。

 

 




第4話いかがでしたでしょうか?
段階を踏むって難しいですね。

主人公の方向性悩む。本当は特殊能力付けたくなかった。
主人公の特殊能力、虹色の光で時といったらアレですよ刻が見える的な。
でも敵キャラでも飛び道具使った瞬間に避けるやつ居るからありだよね?
プラキドサクスとかファルムアズラも使ってるし。
そしてゲーム中のデミゴッドの能力といえば、本人が望むものとは程遠いもの。力強さを求めたゴドリックに宿った最弱の力とか、黄金樹を愛したモーゴットに宿った忌子の力とかね
普通に生きたい主人公に宿った可能性の獣的な力はどう作用するのでしょうか?
次回こそ修行回にしたい!
お楽しみに!
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