魔術修行回といいましたが、今回はちょっと触りだけです。
そして新たにオリジナルアイテムな料理を作ってしまいました。
新しく出たエルデンリングの漫画、あれ良いですよね〜。食欲が掻き立てられます。
羊肉のアロスティーニはサイゼリヤで食べられるから聖地巡礼飯としていけるかも?
そんなわけで第6話どうぞ!
「・・取り乱してスマンかったの」
あれから数分後、爺ちゃんは正気を取り戻して泣き止んだ。まだ息が息が上がり目元も赤いがとりあえずは落ち着いたようだ。
「いいよいいよ。気にしてないから、大丈夫。それに無理もないって。いきなり色々見せられたんでしょ?そんなの見せられたら取り乱しても無理ないって・・。それよりさ、俺を弟子にしてくれるって話だけど、本当にいいの?」
俺は恐る恐る尋ねてみた。爺ちゃんは深く一息ついてから答えた。
「無論じゃとも。心配しなくともよい。わしが弟子にするといったらする。二言はない。じゃが、やはりお主を引き取るというのは流石に無理じゃ、そこは諦めて欲しい。先も言った通り、お主を養うほどの財を持っておらぬからな。とりあえず、今お主が住んでおるであろうあの一族の館から通ってもらう他はないが、出来ればあの一族の者にお主とわしが会っていることを悟られたくはない。もし知られて何か変な気でも起こし娘に危害でも加えられると元の木阿弥じゃからな。無理を承知で言っておるが何とか秘密にして貰えぬじゃろうか?」
爺ちゃんが俺の目を見つめて問いかけてくる。うーむ難しいなぁ。と俺は頭を捻って答える。
「俺に興味ない館の使用人たちならともかく、俺を虐めてくる親戚のクソガキどもの目を掻い潜ってってのは正直難しいかなぁ。けどまぁ、ここに直で来ないで人混みの多いところを回り道して此処にくれば大丈夫かなぁ?露店街とか宿場町とか・・・いや、朝早く出てくれば大丈夫か?クソガキどもはどうせ朝遅くに起きてくるし、日が昇る前に出ちゃえば問題ないかな?こっちに来たらそのまま日暮まで一切外にでなければ大丈夫だと思うけど・・・。こんな感じでどうかな?」
俺は爺ちゃんに考えを伝えた。爺ちゃんは腕を組み、深く思案するように眉間に皺を寄せて目を閉じ云々と深く頷くと目を見開いて答えた。
「・・・そうじゃの。それが良いかもしれん。では、お主に地下室の合鍵を渡しておこうかの。地下室は魔法の修練や研究に使っておった場所じゃ。丁度修行の場に使おうと思ってたところじゃ。ほれ、渡しておくぞ」
そう言って爺ちゃんは懐から黒い鉄製の鍵を渡してくれた。
「・・ありがとう。爺ちゃん」
俺は鍵を受け取るとズボンのポッケにそれを仕舞う。
「・・地下室は好きに使っても構わぬ。望むならお主の私物を持ち込んでお主の私室としても構わん。じゃが余り散らかさんでくれよ。よいな?・・それと、わしの呼び方じゃがな、わしは師弟関係に私情を挟むのは好かん。・・わしのことは以後、師匠と呼ぶように。よいな?」
「分かりました!師匠!」
俺は姿勢を正して爺ちゃん改め師匠に返事をした。師匠は良い返事じゃと頷き答えてくれた。
「・・それで、師匠。俺にどんな魔術を教えてくれるんですか?」
「まずは魔術の基本、輝石のつぶてを教えようと思っとる。その次に星灯りじゃ。正直、星灯りを習得してからのほうが輝石のつぶてを習得しやすいが、先ずは基礎の基礎たる輝石のつぶての原理をおぬしが理解しなければならぬからの。・・おぬしが見せたあの記憶、あの忌まわしいこの世界を模した児戯の記憶では、ルーンを支払えばごく簡単に魔術を習得しておったが、あんなものは空想の世界の話よ。魔術の道、探究の思索は斯くも難しく、日々幾人もの魔術の徒がレアルカリアの魔術学院の扉を叩くが、魔術を習得できるものはほんの一握り。あとは有象無象の鈍石として夢敗れ路傍に捨てられてゆくのじゃ・・。」
師匠は深くしみじみと呟いた。恐らく師匠も夢敗れた鈍石の一つなんだろう。貴人魔術師だし。
「時に弟子よ、星とはなんぞや?」
師匠が俺に質問する。こういう問題って何答えても不正解になるし、この質問は答えを求める質問じゃなさそうだ。
よぅし、こうなったら現代科学っ子の元チー牛オタクっ子の知識を披露してやろうじゃないか!
「星とは宇宙空間に存在する岩石、ガス、塵などの様々な物質が重力的に束縛され凝縮状態になっているものの事を言います。」
「・・お、おぅ?」
「そのうち、自ら光を発する星を恒星といい、夜空で輝く恒星のうち最も近い恒星は太陽であり、即ち、夜空で輝く星々は須く太陽と同様のものであると「まてまて待てぃ!」どうしたんですか師匠?」
饒舌に話す俺の言葉を遮って師匠が止めに入る。何で?
「何じゃその知識は!?もしや"おぬし"の世界の知識か!?輝く星と太陽が同じとはどういう事じゃ!?」
師匠が驚嘆と困惑が入り混じった反応をしながら問うてくる。
「あれ?星の探究してたのに知らなかったんですか?そうそう"俺たち"の世界には魔法が無かった代わりに"科学"ってのが発達してましてね。この世の出来事や事象とかも科学技術でその殆どが説明がつきますし、科学技術を用いた様々な乗り物とか技術がありましたね〜。」
俺はちょっと得意げに師匠に話した。自分で開発した技術じゃないくせにね。師匠は目をパチクリと眼を見開きながらさっきの問答はそっちのけで現代地球の科学技術に対して質問しまくった。そんな師匠に俺は優越感を抱きつつ科学技術の産物について話した。
馬なんぞよりも速く時速何十キロで走る自動車のことや、何百人もの人を乗せて空を飛ぶ飛行機、何百どころか何千人もの人を運搬する長大な乗り合い馬車こと電車などなど。この世界で再現出来るなら自転車とかかなぁ?何て話したら物凄く食いついていた。
他にも離れた地域で意思の疎通が取れる電話や、それが発達し世界のありとあらゆる知識を学べるスマホやパソコン、そしてインターネットの概念などを教えると、最終的に魔術の授業などそっちのけで1人思案に入り物草と独り言を呟くようになってしまった。いかん、ブラボじゃないけど師匠に啓蒙を授けてしまったかもしれん。師匠の頭蓋の内に蛞蝓が生えてないか心配になってきた。
「・・クゥーン?」
主人の変貌に困ったような声をあげるワンコ君。てかそういえば居たねワンコ君。師匠は彼の餌をちゃんとあげたのだろうか?
散らかりまくった部屋の掃除をしながら師匠が正気に戻るまで待ってみたが、暫く経っても師匠は思索の海から戻って来なかったので、俺はワンコ君を連れて宿場町に赴き2日ぶりとなる久々の食事を楽しんだ。
ん?お金はどうしたって?師匠には悪いが、部屋を掃除している時に見つけた《壊れた結晶》とか《黄金のルーン》とか見つけたんで、ちょっと失敬しましたヌへへ。別に良いっしょ?部屋掃除してやったんだし。
整理整頓された魔術師塔の部屋の景色とはなんとも清々しいものか。ゲーム本編やってるときからイライラしてたんだよなぁ。魔術の探究してないで先に部屋掃除しろよって。
因みに何を食ったのかといえば、ゲーム本編では登場してなかった《獣肉の香草焼き》というもの。
所謂ケバブやタコスに似た料理で、ロアの実やヘルバ、アルテリアの葉などの香草で味付けした獣肉の塊を炙り焼きして火の通った部位を削ぎ落として薄焼きパンに挟んで売っている王都じゃ定番の屋台料理だ。よく行商の人や巡回中の兵士さん方も買い食いしてる。ゲーム本編での感覚で言えば馬鹿でかい勇者の肉塊を小売り販売しているようなものだと思って貰えるとよい。
因みに穀物類は全て輸入品。ゲーム本編中でも田畑が見つからないように、狭間の地の食生活は原始時代の狩猟採集生活と何も変わっていない。腹が減ったら肉!調子悪い時には葉っぱ!である。
さて、《獣肉の香草焼き》のお味なのだが、ヘルバの葉で肉肉しい匂いが抑えられたそぎ肉は、アルテリアの葉のスパイシーな香りで食欲を唆り、一口噛むと溢れる肉汁と広がる香草の香り、そして、恐らくはこの店の隠し味であろうスイート・ロアレーズンの仄かな甘みが、あまじょっぱい味の好きな俺の舌に旨味の致命の一撃を与える・・!ああ、なんて美味しいんだ!!
ワンコ君には肉の部分だけあげた。最初は強烈な匂いに面を食らったようなリアクションをしていたが、一口食べると"テーレッテレー!"的な効果音がつくほど気に入ったようで、2個目のおかわりを頼んだ時には襲い掛かられ、中身の肉を強奪されました・・。とほほ。
因みに一個500ルーン。まぁ、現代日本のケバブと同じ値段感覚と思ってくれれば良い。
さて、腹も満たしたし一旦帰ろうかと思ったら、空は既に日が陰り始めていた。・・流石に2日間も家あけてたらアイツらの嫌がらせも半端じゃないだろうなぁ。
・・仕方ない。一旦帰るか。
俺はワンコ君を師匠の家に連れてくと師匠に一声かけて帰路についた。師匠はまだまだ物草と思考の海から帰ってきてなかった。
ワンコ君にもじゃあ、と声を掛けて師匠ん家をあとにする。
・・はぁ本当気が滅入るわ。
獣肉の香草焼き
香草と秘伝の薬液に漬け込み焼いた獣肉の塊。
一時的に生命力をゆっくりと、ほんの少しだけ回復する。
王都の下町っ子なら誰でも味わったことのある故郷の味であり、それは蛮地のご馳走に由来があるという。
まぁ、美味ければ何でも良いのだが。
というわけでオリジナルアイテム《獣肉の香草焼き》です。
ゲーム本編には出ません。勇者の肉塊をそのまま出せば良いじゃんと仰られるかと思いますが、描写的に絶対火を通してないのでやめときました。腹壊させたくないし。
本編DLCのサソリ煮込みのような暖かそうな料理を出したかったのです。ご容赦下さい。
では次回も楽しみに