それではどうぞ!
「おぉ、弟子よ…!どうしたのじゃその腕は!?一体何があったのじゃ?」
あのあと、無事に師匠の家に辿り着いた。師匠は心配していたのか家の前で立って待っていたようで、ワンコ君と一緒にソワソワ立っていた。
師匠は市民の服シリーズを着た俺、というか血に滲んだ包帯を付けた俺に驚いたようで飛んで駆けつけてきた。ワンコ君は右腕の違和感に気付いているようで、唸り声をあげて右腕を凝視している。落ち着いてくれワンコ君、今説明するから…。
そんなこんなで師匠ん家に上がり込んで事情を説明した。
「…おぉ、おぉ、大変じゃったのぅ、よう頑張った、頑張ったのう!」
ひと通りの説明をし終えると師匠は涙を滲ませてお爺ちゃんモードになっていた。仕切りに石掘りの腕の付け根を摩っている。ワンコ君は落ち着かないのか机に乗り出して腕に噛みついてくる。痛くないけどヤメテって下手したらワンコ君の口くっつくから。継ぎ木の影響で。…痛って!?血が出た!(出血)
「…しかし、娘が生きておったとはいえ、傀儡の精薬を飲まされてしまっておるとは。話には聞いたことはあるがまさか実在していたのか…。解毒剤など聞いたことがない…はてどうしたものか…。それと、お主に施された継ぎ木の所業、なんと厄介なものじゃ。元の腕があれば元に戻せそうじゃが…、何か不都合はないかの?」
あ、そう言えばあのクソ実父俺の右手どこやった?まさか捨ててないだろうな…?
「支障はとりあえずないですね。右腕は触覚はあるけど痛覚がない感じですかね。厚手の手袋を付けてるイメージですねー。けどワンコ君の噛みつき痛いです。離して下さい」
「これ、離しなさい」
師匠がワンコ君退けてくれた。助かった、これ以上やられたら出血死するとこだった。
「それより師匠、はれて黄金一族から足抜け出来たんで、申し訳ないんですが正式に此処に引っ越したいんですけど良いですか?」
「!…前にも言ったが、わしにはお主を養うだけの財は…「何とか自給自足しますんで。そこを何とか…!場所は地下室でいいんで」…まぁ、無事に帰って来た愛弟子を追い出すのも忍びない、良かろうて。ならば地下室に棲まうが良い。」
よっしゃ!師匠から許可貰ったぞ!早速行ってみるか地下室!
「これ待つのじゃ、地下室は王都に帰って来てからまだ開けていないからの、どれわしが開けよう」
そんなこんなで師匠と俺とワンコ君は地下室の入り口に赴いた。地下室に続く螺旋階段は所々苔むしてはいるけど木の根が纏わりついている感じは無かった。そして地下室の入り口に辿り着く。師匠が鍵を開けると…あぁ、やっぱりシャッター式なのね。腰に悪そう。
地下室は真っ暗でカビ臭く、そして何故か動物臭がしていた。ん?なんで?しかもチューチューと鳴き声もする?…まさか!
師匠が魔術"星灯り"を発動して地下室を照らすとそこにはでっかなネズミが3匹!あれは、大ネズミだ!?
大ネズミはフロムゲー皆勤賞?だっけか?少なくともダクソから登場している古参雑魚キャラクターだ。そうでなくても大型犬サイズの巨大ネズミは一般人が敵う相手ではない。業者を呼べ業者を!
その時、師匠の杖が煌めき菱形の粒が光の尾を引いて1匹の大ネズミの額に吸い込まれた。あれが魔術、"輝石のつぶて"!…まぁ、一撃では死なないよね。何発か顔面に輝石のつぶてを喰らった大ネズミは息絶えてバタリと倒れた。
異常事態に気付いた残りの2匹が戦闘体制に入る。キーキー!と吠えながら接近する2匹の大ネズミ。すると今度は全身の毛を逆立てたワンコ君が左右に瞬間移動したかと思えば2匹のうちの1匹の首根っこにガブリと噛み付いた。
ブシャァっ!!と飛び散る血潮!まさに"血が出た!"出血の状態異常攻撃だ!
ワンコ君はそのまま生きたまま大ネズミを喰らい始めた。…あの様子は暫くマトモなご飯貰えてなかったな。通りで右腕噛みまくっていた訳だ。そう言えば、残る1匹は!?
「キシャーッ!!」
ぬあーっ!もう目の前に迫って来てる〜!回避も間に合わない!てか何処に回避すれば!
その時であった、地下室の一角に無造作に被せられていた襤褸布から一本の棘棍が突き出た…!吹っ飛ばされる大ネズミ。棘棍が突き出た襤褸布の方を見ると、膝立ちの木製のマネキンが立っていた。
あれは、もしや人形兵!?
人形兵とは狭間の地の魔術師が護衛の為に作った木製ゴーレムもとい自律人型兵器である。
しかし、あの人形兵はあちこち壊れているようだ。右足は膝から先が欠けており4本ある筈の複腕は左腕は完全になく脇下の2本は肘から先がない。右腕のみが残っている。あの刺々しい鎧は纏ってなく、木製マネキンの上に直塗りした緑色のTシャツ柄が露わになっていた。兜も付けていないようだ。
そんな壊れかけの人形兵は大ネズミに一撃を喰らわせたのち、凄まじい速さの膝立ち歩きで大ネズミに近づき棘棍でめったうちにし始めた。
飛び散る血潮!弾ける肉片!あっという間に大ネズミは生肉団子に加工されてしまった…!
ってオイィ!俺の新居がホラースプラッターハウスになっちまうぅ!辞めろ辞めろ!掃除すんの俺なんだよ!オイ!止まれ!
一体何なんだこの血塗れ人形は!?
如何でしたでしょうか第9話
そう言えば主人公の住んでいる王都ローデイル地域ですが、本編フィールドが余りにも狭いので、王都外廊と王都ローデイルの間にある水色の湖沼地帯を街として扱います。なのでオリジナル区画が増えてしまうと思いますがご了承下さい。よろしくお願いします。