"黙示録"を回避しよう!   作:rezi

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激突

12:50:ゲヘナ自治区/作戦エリア

 

イオリとの戦闘が長引いている内に、

我が師、蒼森ミネと"風紀委員長" 空崎ヒナが戦場に現れてしまった。

 

(……さて、どうするか……)

 

ショットガンのマガジンを交換しつつ、状況を観察する。

 

ドローンからの映像を見る限り、ミネは単独、ヒナは数人の風紀委員と救急医学部を伴っている。

 

救急医学部が伴っているなら、途中でヒナと別れてイオリや先ほど倒した風紀委員の救護に入るはずだ。

そこを狙って仕掛けるか、ヒナの到着までにミネを消耗させるか。

 

(どちらもハイリスク……しかし合流されるよりは遥かにマシだ)

 

……ここはミネから行くべきだ。

ヒナとの戦闘中に横から来られたらどうしようもない。

 

(……行くか)

 

そう決めて、私はビルから飛び降り────ミネの元へと向かった。

 

 


 

 

"バシュッ────ザンッ!!"

 

接近するミネの目の前に着地する。

 

「……久しぶりだな、ミネ」

 

足を止めたミネはぎろり、と射抜くような目でこちらを見つめる。

 

「ええ、久しぶりですね、ルイ」

 

「……その額の傷や、ミカさんとセイアさんの件」

「貴方に言いたいこと、聞きたいことは沢山あります」

 

「ですが……まずは貴方を"救護"してからです!」

 

力強く叫んだミネは、ライオットシールドを構えた。

 

「……"救護"?」

 

「──道を誤った者を正す事も、"救護"です!!」

 

彼女がそう言い切った瞬間。

ミネは深く踏み込み──高速で突進を仕掛けてきた。

 

  「はあッ!!」

「……!!」

  「ふんっ!!」

   "ガァンッ!!"

 

突進からの体当たり。

咄嗟に盾で防御するが、その威力に体勢を崩されかける。

 

(重い……!!)  "ガンッ!!"

   「甘い!!」

突進の衝撃を逃がし切らないままに、ミネの蹴りが盾の側面に打ち込まれる。

 

(まずい、体勢が…!)

盾を蹴り飛ばされ、ぐらりとバランスを崩す。

  「逃しませんッ!!」

   "ドォンッ!!"

「ぐぅっ……!!」

 

突撃、体勢崩し。

その隙を逃さないショットガンでの追撃。

 

何度も受けた、私の知るミネの戦い方だ。

 

──ミネとの訓練中、私はそれを破れた試しがない。

 

(……だが、今は違う!)

 

受け身を取ってシールドを解除し、突撃剣を構える。

 

「団長、あなたは私を"道を誤った"と言ったが……」

「それを決めるのは貴方ではなく、私でもない」

 

ミネは防御姿勢を崩さず、答える。

「……なら、誰が決めると言うのですか?」

 

「────"結果"だ!!」

   "バシュッ!" "バシュッ!"

 

ジップラインを放つ。

 

目標はミネの真後ろ、廃墟の壁。

引力のままミネに突撃し、一直線に距離を詰める。

 

(まずは防御を崩す!!)

 

「はあっ!!」

    "ゴァンッ!!"

   「……ッ…!!」

 

全速を乗せた突きが、ミネのライオットシールドに直撃する。

ミネは衝撃で後ずさるが、その防御に揺らぎはない。

 

「……っ!」

 

「まだだッッ!!」

 

再び突撃剣を振り下ろす。

ミネは受ける。

 

「ふっ!!」

 

続けざまに左下から斬り上げる。

盾が跳ねた。

 

更に踏み込み、剣腹で横殴りに叩く。

ミネは一歩下がる。

 

その一歩を逃さず、強く踏み込む。

 

「ふッ!!はあッ!」

 

"ガンッ!!ダンッ!!!"

 

薙ぎ、剣腹打ち────。

一歩下がり、構える。

 

「崩れろッッ!!」

     "ガアンッ!!"

   「ぐっ……!」

 

シールド下部を狙った回転斬りが直撃する。

……衝撃でミネの体勢が崩れ、盾が逸れた。

 

(今だ!)

    "ガンッ!!ダダダダァン!!!"

「……!!」

追撃とばかりに彼女のシールドを蹴り上げ、逸れた隙間からショットガンを連射。

 

ミネは後ろに飛び下がって回避しようとしたが、何発か被弾したのか服が破れている。

 

(まだだ……!)

     "バシュッ!"

  「何度やっても無駄です!!」

 

ジップラインをミネの足元に発射し、もう一度盾に蹴りを入れんと突進する。

ミネは盾を突進してくるルイに正対し、防御を固めた。

 

"ガチャン" "ガッ……バシュッ!!"

────衝突の寸前。

鉄鉤のロックを解除し、勢いのままシールドの上部を掴んで背面に回る。

 

(掴んだ!!)  「なッ……!?」

 

そのまま後方の壁にジップラインを突き刺し──。

   "ギャルルルッ────"

 

高速で巻き取られるジップライン。

その力を利用し、ミネごと盾を投げ飛ばした。

 

 「な……っ!!」

 

シールドと共に宙へ放り出されたミネへ、ジップラインの砲口を向ける。

 

「もらった!!」   「……!!」

 

  "ドシュドシュッ!!" "ガチャン!!"

 

ミネの制服を、ジップラインが貫いた。

即座に鉤が展開し────ミネをこちらに引き寄せる。

 

それを迎え撃つように、突撃剣を構える。

ミネはライオットシールドを投げ捨て、空中で体勢を変えた。

 

    "ギュルルルルル────"

「倒れろォッ!!」     「はああッ!!」

     "ガギャアンッ!!"

 

突撃剣の突きと、ミネの蹴りが激突する。

 

ルイは仰け反り、ミネは衝撃を逃すようにくるりと回転しながら着地した。

ミネは少しだけふらつきながらも、ピンと背筋を立てて構え直す。

 

「……やるようになりましたね、ルイ」

 

「……ハアッ……ハッ……貴方のおかげだよ、ミネ……」

 

息を切らしながら、ミネと向き合う。

 

(シールドは奪った。ここからだ……)

 

   "バシュッ!!"

ミネに向けてジップラインを放ち、突進する。

 

「行くぞ、ミネ!!」   「……来なさい、ルイ!!」

 

剣を構えて突進してくるルイに対し、ミネは深く腰を落として拳を構える。

 

「……そこだ!」 "ブオンッ!!"

 

────激突の直前、ルイは突撃剣を投げつけた。

     「……ッ!?」

    "ガンッ!!"

 

剣を弾かんと構えていたミネは不意を突かれ、飛んできた剣を咄嗟に防御する。

瞬間、ルイから意識が逸れる。

 

「もらった!!」

 

"ギュルルル────ガシッ!!"

激突の瞬間。横に軌道を逸らしたルイは、すれ違うようにミネの首へ腕をかけた。

 

   「何……ッをッ!?」

「はあッ──!!」

勢いのままミネの背に回転したルイは、地面にジップラインを突き刺した。

その引張力とルイの重量が、ミネの背を押さえつける。

 

そのままジップラインが全力で巻き取られ────。

 

"────ゴンッ!!!"

   「うぐ……ッ!!」

 

ミネの顔面が、地面に叩きつけられる。

ルイは地に伏したミネに圧し掛かったまま、後頭部にショットガンを突き付けた。

 

指先に力を込め────その時だった。

 

「────────見つけた」

"ドルルルルルルルルルル!!!!!!!!!"

 

視界の端に紫光が輝き、轟音と共に弾丸の雨が降り注ぐ。

 

「……ッ!!」

 

"ガンッ!!" "ガスッ!" "ガッ!!" "ギィン!!"

 

咄嗟にミネから飛び退いて突撃剣を拾い、防御した。

一時後退し、遮蔽物に身を隠す。

 

(……時間をかけ過ぎたか……!!)

 

 

「……巻き込んでしまってごめんなさい、無事?」

 

その人物は立ち上がったミネに手を貸して、ライオットシールドを手渡す。

 

    「ええ……貴女、は……!!」

ミネはシールドを差し出した人物の顔を見て、驚愕の表情を浮かべた。

   "風紀委員長"──空崎ヒナ。

 

双立する蒼と紫が、私を睨む。

 

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