"黙示録"を回避しよう!   作:rezi

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捜索

13:25:ゲヘナ自治区/作戦エリア

side:捜索部隊

 

"先生"より連絡のあった墜落地点付近を車で捜索していると、大きな血だまりが見つかった。

 

「……こちらガンマ-2、手配犯の物と思われる血痕を発見しました、付近の建物に続いています」

 

指令本部に通信を送る。

 

[わかりました、建物内部の調査を命じます……相手は手負いですが、油断しないよう]

 

指揮を執っているアコ行政官は、私たちの部隊に内部を調査するように命じた。

 

「了解───聞いたな?」

 

車内の部隊員達を見回すと、全員が"こくり"と頷いてライフルを抱えた。

"バタン"と車を降り、私を含めた3人全員で建物の中に入っていく。

 

「信用ならないが……奴を撃墜したトリニティのスナイパーからの報告によると、ターゲットが移動した様子はないらしい。警戒を怠るなよ」

 

"ギイ"と音を立てて、半開きのドアを押し開ける。

 

「私が先頭に立つ。皆は周囲を警戒……血痕を追うぞ」

 

そう言って扉を潜り、"付いてこい"とハンドサインを送ると、部隊は私を先頭に進行を始めた。

そのまま血痕を追って進行していくと、一際大きな血溜まりと散乱した医薬品の残骸が目に入る。

 

「……ここで傷を治療したようだ」

 

夥しい量の出血だ、まともに動く事すら厳しいだろう。

 

血だまりを軽く蹴って見ると、靴先に赤黒い軌跡が残った。

 

……流れ出た血はまだ完全に凝固していない。

この血が流れてからそう時間は立っていないようだ。

 

「……まだ近くにいる、警戒を強めろ」

 

点々と続く血痕は廃墟の奥、階段へと続いている。

 

「奴は二階に上がったようだ……同時に上がるぞ」

 

「……報告、対象はまだこの建物内に居る可能性が高い。調査を続行する」

 

[了解しました、応援を派遣します]

 

本部への報告を終え、足音を立てないように警戒しながらゆっくりと二階に上がる。

 

「……クリア。」

 

思いのほか何も起きず、拍子抜けしたが……続く血痕は廊下奥の扉へと続いている。

 

「……あの奥だ、私が前に出る。お前達はここから援護してくれ」

 

「……了解」

 

二人の隊員は廊下の前でライフルを構え、私の背を護っている。

 

(……委員長によると、対象は所持していた武器を殆ど失っている───そしてあの出血、治療の跡があったとはいえ、まだ瀕死のはずだ)

 

"仕留めるなら今だ"と思い切り、扉の前に立つ。

 

"カチャ……ガシャン!!"

そっとドアノブを捻って、鍵が掛かっていない事を確認し……蹴り破る。

 

「……!」

 

即座にライフルを構え、部屋の中を見渡す。

 

────誰も居ない。

 

そして、開いた窓が目に入る。

ターゲットは窓から逃げたようだ。

 

"居ない"とハンドサインで後ろで待機していた二人に告げる。

 

───と同時に、背後で"タタァン!!バタン!!"と銃声がした。

 

「……ッ!?」

 

反射的に振り向くと、後ろで待機していたはずの隊員達が床に倒れている。

 

(……何があった?いや、奴の仕業なのは間違いない……!)

 

────間違いないのは、あの手配犯と私の一対一だという事。

私が取るべき選択は───!!

 

「……通達、ターゲ───」

     "タァン!!……バキッ!!"

「なっ……!?」

 

応援を呼ぼうと取り出した通信機は、手の中でガラクタに変わった。

 

"バシュッ──ギュルルッ!"

 

「なんっ、だ……!?」

 

咄嗟にライフルへ伸ばした腕に、ワイヤーのようなものが絡みつき、私のライフルを奪った。

 

「……ひとつ、聞かせて欲しい……」

 

眼前に現れた女は、私から奪ったライフルの薬室をカチャリと確認しながら尋ねる。

 

「……何だ」

 

「……トリニティからはあのスナイパーと誰が来た?」

 

"名前がわかるなら教えてくれ"と付け加え、

目の前の包帯お化けはライフルを片手で持ち、私に向ける。

 

「……知らないな、撃つなら撃て」

 

私が拒絶すると、相手は一つため息を吐いて、続けた。

 

「……そうか、では頼みがある、報酬も出そう」

「断る」

 

拒否する私を無視し、このクズは話し続ける。

「……ここから離脱するのを手伝え、報酬は……そうだな、"先生"に対する爆撃の中止だ」

 

「……!?貴様、自分が何を言って────」

「やはり"先生"は既に介入しているのか」

 

「……チッ……!」

 

クソ、こんな下らない手法に引っかかって、余計な情報を渡してしまった。

口は禍いの元とはよく言った物だ、クソが。

 

「──これ以上は、何も喋らない」

 

「いや、十分だ……感謝する」

 

銃口が光ったのが一瞬見えた気がして、私の視界はブラックアウトした。

 

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