トリニティで作成された、他校に渡すための経緯報告書……のイメージです。
トリニティ戦のあらすじと、トリニティ側のプロパガンダが混ざった内容になります。
当該報告書はMM月DD日に発生した"魔王"を名乗る元二年生、"相談室・室長"天城ルイによる"トリニティに対する大規模テロ"および"先生殺害未遂事件"の経緯報告書である。
以下、元・室長 天城ルイを"魔王"と呼称する。
経緯報告の際に必要な知識として、先に記す。
以前の報告書に記載されている装備も、確認のため記載する。
以下・機動装置。
先端に鉄鉤の付いたジップラインを撃ち込み、着弾箇所へ高速で移動する機動装置。
サンクトゥス寮襲撃事件や聖園ミカ拉致事件の際にも使用されていた事から、"魔王"の戦い方の根幹を為す装備。
この機動装置がある限り、魔王の行動、逃走を阻害するのは極めて困難だと思われる。
こちらは文章を読むより、実際に"魔王"が使用している映像を確認する方が理解が易いだろう。
・鉄鉤の着弾地点を破壊する。
・機動装置本体を破壊する。
・鉄鉤を使用できないような地形に誘導する。
等の対策を提案する。
以下・大盾剣。
映像から計測したところ、全長およそ210cm、刃渡り180cmほどの大剣。
盾形態には刃部分が横に展開し、大盾となる。
刃は潰れており、打撃による制圧を目的として作られていると考えられる。
報告と記録によると、魔王は大盾剣を背負いながら機動装置で飛行し高速で接近、着地後は盾として構えつつ、接近戦に持ち込んで剣形態で相手を殴り倒す、というスタイルを多用している。
ボディカムの映像を見る限り、盾形態時は我々正義実現委員会の採用する5.56mm口径ではほぼ貫通せず、傷が付くことも少ない。
通常の弾薬ではなく、更に貫徹能力の高い弾薬、あるいは擲弾等の使用が推奨される。
形態切り替え時には平均1秒ほどの持ち替え時間が存在する。
極めて短時間ではあるが、切り替えタイミングは予想できる。頭に入れておくように。
剣形態は、現在確認した限りはただの大剣である。
しかしその威力は凄まじいため、直撃を受ければ重篤な負傷を受ける可能性がある。
"魔王"に接近された場合は下手な抵抗をせず、距離を置く事に徹するべきだろう。
"魔王"がトリニティ在籍時より使用しているショットガン。
著しい改造が施されており、外見から基になった銃を断定するのは困難だが、元になった銃はレッドウィンター校製セミオートショットガン。
トリニティ在籍時に提出された書類から変化している様子も見られないため、銃器管理システムの登録書より抜粋、記載する。
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使用者:二年生/天城 ルイ
役職:相談室/室長
銃器名:SAIGA-12K isp.103
装弾数:7
改造許可申請 / 許可
特殊弾使用申請 / 許可
特殊アタッチメント使用申請 / 許可
以下、改造許可申請の際に提出された申請書に記載された文章。
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用途上、盾との使用を前提とする。
そのため、片手での弾倉交換を可能とする特殊フレームに換装。
これによりセレクター・コッキングレバー・マガジンキャッチの位置が変更される。
いずれも業務上必要な改造であり、許可を願う。
上記にある通り、盾との使用をメインにしている。
接近戦での使用のみならず、接近する際の制圧射撃に使用したり、スラグ弾を使用してライフルのような取り回し方をする事も報告されている。
これは"マガジンごとに弾薬を変更し、多様な局面に対応できるようにしている"と以前の同輩に語っていた事がその者より報告されている。
その為、距離が離れているからと迂闊に射線上に立つのは非推奨。
映像を見る限り、片手での再装填には平均で1.3秒ほど要している。
彼女が造反を起こす以前より、可能な限り撃ち切らないようにする癖がある事が彼女とチームを組んだ者より報告されている。
実際の訓練記録や襲撃時の映像を見ると、確かに6.7発撃つたびに一度射線を切り、再装填を行う様子が見られ、その癖は未だ抜けていないと思われる。
その際は大盾剣や後述のハンドガンによって攻撃が消極化するため、例え一瞬でも隙を突こうとするのならそこを狙う事も可能だろう。
魔王の使用する一般的なミレニアム製ハンドガン。
一切の改造が施されておらず、発射された弾薬を調べても一般的な9mm拳銃弾で間違いない事が確認されている。
防具で受ける、盾を構える等の一般的な暴徒に対する処置で十分に防げるだろう。
これは超至近距離での戦闘や、上記のように再装填時のカバーに使用する事が多いようで、基本的な撃ち合いには使用しないものと思われる。
念のため銃器所持申請書も添付して、本項を締める。
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使用者:二年生/天城 ルイ
役職:相談室/室長
銃器名:Grock-17
装弾数:17
改造許可申請 / 不要
特殊弾使用申請 / 不要
特殊アタッチメント使用申請 / 不要
トリニティ戦にて、侵入した"魔王"に対し狙撃による撃墜を試みようとした正義実現委員会の狙撃手 、"静山マシロ"氏に対して、"魔王"が使用したもの。
同氏に対するインタビューの書き起こしをそのまま記載する。
(前略)
静山マシロ氏「……そして、私は飛行しているターゲットを捕捉、狙撃態勢に入りました」
「ターゲットは私に気付いた様子もなく、射程内を本校に向かって直進、私はその先へ照準を置いて……引き金を引きました」
「……今思えば、誘われてたんですね」
「話を戻して……発射した瞬間、ターゲットが空中で制止、回転するようにこちらに向いて……」
「その直後……カウンタースナイプを受けて、私は気絶してしまいました」
同氏との交戦後、"魔王"は聖園ミカ氏と交戦になり、その際に放棄された物を回収した。
現物の写真を添付する。
回収した物を調査したところ、チャンバーに直接装填する方式、照準器は先端の照星とフリップアップサイトのみ。
側面にはサプレッサーのホルダーがあり、狙撃の際に使用すると思われる。
無骨なその形は、銃というよりは発射筒という方が近いだろう。
銃身から確認した口径は7.62x51mm弾で、マシロ氏の状態を鑑みるに衝撃力の高い弾丸が装填されていたと思われる。
以上により、"魔王"が遠距離からの狙撃を行ってくる可能性にも留意が必要となった。
一発装填式のため回避してしまえば身を隠すに十分な時間が確保できると思われる。
が、当たってしまえば気絶は免れない。
以上の事から、追撃や捜索の際は可能な限り単独行動は行わず、複数人で行動する方がよいだろう。
"魔王"の左腕部に装着されている義手。
最低4発装填のグレネードランチャーが内蔵。
拳上部に仕込み散弾銃があり、高威力の打撃を繰り出せる事が確認されている。
トリニティ・スクエア噴水広場へ行われた爆撃後、逃走する"魔王"へ追撃を仕掛けた聖園ミカ氏は"魔王"を撃墜、拘束しようとしたが、この義手による不意打ちを食らい気絶。
当時、この義手には皮膚に偽装したカバーが装着されていたものと思われ、今後"魔王"の対処に当たる際は留意願いたい。
その後、ゲヘナ校より支援に駆け付けた空崎ヒナ氏と銀鏡イオリ氏と戦闘になった際に使用した事が確認されている。
今報告書作成に当たり、交戦した風紀委員会の両名へインタビューを行った。
以下はそのインタビューの書き起こしである。
(前略)
空崎ヒナ氏「ああ、あの腕ね……」
「……そうね、確認できたことだけ言うわ」
「まず、グレネードランチャーが内蔵されているわ」
「私とイオリを同時に相手取る時……私の動きを牽制するために、確か……」
「そう、4発、リロードなしで撃ってきたわ」
「……榴弾が3発、閃光弾が1発。多分、装弾数は4発だと思う」
「私が閃光弾で怯んでいる間に、イオリに対して使わなかったから。」
「それと……高威力の殴打も行える。」
「格闘戦になった時、大きな駆動音を上げて、私を殴りつけた」
「拳の上に仕込み散弾銃が着いてる。"魔王"は、以前も似たような事をしていた」
「……直撃して、気付いたらかなり後方まで吹き飛ばされていたわ」
「……普通の生徒だとまずやられる。私も、一瞬意識が飛びかけた」
「私はこれくらいかしら、イオリ、何かある?」
銀鏡イオリ氏「そうだな……あの義手、かなり厚い装甲でできてるみたいだ」
「私の弾丸を拳で弾き飛ばしたんだ、そのせいで委員長と一対一に持ち込まれた」
「……私はからそれくらいだ、力になれなくてごめん、委員長」
────以上のインタビューを踏まえ、以下のような対策が考えられる。
"魔王"に対し接近戦全般、特に格闘戦は可能な限り避けるべきであり、万が一持ち込まれた際は逃げに徹する。
・グレネードランチャーは不確定ではあるが4発装填、リロードには時間がかかる物と思われ、発射された弾数を数えておけば反撃や逃走に役立つだろう。
・この義手を破壊する試みは非推奨であり、本体を攻撃する方が効率的と思われる。
[追記:このレベルの技術が使われた義手をその辺りのエンジニアが作れるとは考えにくい]
[この義手を作成した者を特定すれば、"魔王"に対する大きな足掛かりになると思われる]
[現在調査中です。心当たりのある者は、トリニティ情報部までご一報くださると幸いです]
まずは上記の写真を確認いただきたい。
写真の通り、防具は胸部から腹部にかけてのアーマーと、首から腰までを保護する防弾コートを着用している。
ゲヘナで確認された際とトリニティでの戦闘で同じ装備を着用していた事から、
基本的にこれらの装備を着ているものと思われる。
左腕は厚い装甲の義手で護られており、更に脚部は大型の装甲を着用しているため射撃の効果は薄い。
ヘルメット等は着用していないため、頭部を攻撃するのが有効である。
結論として、"魔王"の装備や戦闘スタイルは接近戦や一対一の戦闘を極めて重視しており、
あらゆる手段を用いて接近戦に持ち込もうとすることが報告されている。
戦闘の際は開けたエリアに追い込んで多人数で包囲し、中距離から頭部への射撃、あるいは多数の戦車や航空兵器で集中砲火を浴びせて撃破する事が有効と思われる。
しかし、後述の経緯に記載されるように多様な兵器を使用してくる可能性が高いため、油断は禁物である。
更に、"降伏"を装った不意打ちや、口頭での挑発を多用する、という事が確認されている。
これを受け、"魔王"に対しては降伏者に対する保護規定は一切適用しないよう連邦生徒会へ申請を出している。
これは現状未承認ではあるが、以下の画像を確認されたい。
[魔王追撃の際に保護規定を違反した場合の責任や賠償は全てトリニティが受け持つ、といった内容の誓約書]
繰り返しになるが、"降伏する"といった内容の言葉を掛けられても、全て無視して攻撃するようお願いしたい。
事件発生後、監視カメラの記録を確認すると、トリニティ東部外縁に"魔王"と思われる影が映っていた。
同日11:57分ごろ、外縁の壁上に立つ"魔王"はトリニティ内部を見下ろしている。
その後、正午の鐘が鳴ると同時に、確認できただけで43機のドローンが飛び立ちトリニティ校内へ侵入、更には建造物を標的として無数の砲弾が撃ち込まれた。
それと同時に、"魔王"はトリニティ校内へと侵攻を始める。
この事から、対象は12時、正午の鐘を号令にトリニティへ突入したと思われる。
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この事態を受け、居合わせた"先生"とティーパーティ/桐藤ナギサ氏は即座に避難指示を発令。
動ける全救護騎士団員、正義実現委員会のメンバーが迎撃及び治療、避難誘導に当たる事を指示した。
※当時、正義実現委員会/委員長・剣先ツルギ。同じく副委員長/羽川ハスミの両名は同日早朝より行方不明となった百合園セイア氏の捜索に出ており、不在だった事を注記する。
"魔王"は爆撃でパニックに陥ったトリニティ部室棟エリアを東部より本校に向け飛行、その道中に一度着地し、避難する生徒たちを攻撃、6名を負傷させた。
その後再度トリニティ本校へと侵攻し、その迎撃に当たった静山マシロ氏を撃破、再度侵攻を開始する。
避難誘導に当たっていた仲正イチカ氏率いる部隊に突如発煙弾が複数撃ち込まれ、避難中の生徒たちはパニックに陥り、四方ヘ離散。
混乱に乗じ、"魔王"がイチカ部隊を強襲。
煙の中、部隊員たちは大剣により各個撃破されるも、仲正イチカが煙を払い、魔王と対峙。
交戦するも、仲正イチカ氏は撃破され魔王は本校へ更に侵攻、中央噴水広場への到達を許した。
中央噴水広場に到達した"魔王"に対し、待ち伏せていた歌住サクラコ氏率いるシスターフッドが包囲。
更に、連邦捜査部/シャーレの"先生"、ティーパーティ/桐藤ナギサ、元ティーパーティー/聖園ミカの三名が包囲された魔王の元へ向かい、尋問を開始。
その内容は全て記録されているが、長きに渡るので当該記録を参照されたし。
[音声記録へのリンク]
尋問中、逆上した"魔王"は先生を人質に取り、"撤退を見逃せ"と脅迫する。
それを拒否し、"先生の解放"を要求したシスターフッド部隊に事態は膠着。
その状況は暫く続くかと思われたが、先生の発言に対し"魔王"は怒りを露にする。
その直後、"先生"もろとも爆撃を行った。
その直前に"先生"に対し何かしらの敵対的な発言をしていた事が確認されており、明確な殺意があった可能性が高い事にも留意願いたい。
"先生"は爆撃から彼を庇った生徒の活躍により奇跡的に無事だったが、この爆撃で先生が負傷、あるいは死亡する可能性は十分にあったと記録されている。
爆撃の中、逃走する魔王を聖園ミカ氏が追撃するも失敗、魔王はトリニティ校内より離脱する。
離脱する魔王に対し、待ち伏せていたトリニティ自警団のメンバー複数名が交戦。
自警団メンバー、守月スズミ氏が閃光弾を直撃させ"魔王"を撃墜、同時に宇沢レイサ氏が背後より接近し魔王に発信機を着けるも、その直後に魔王の振るった大剣が直撃、腕部や肋骨を骨折する重体となった。
"魔王"はレイサ氏を負傷させたのち、機動装置を使用しスズミ氏の方向に突進。
スズミ氏は回避する事叶わず、魔王により気絶させられる。
その後、残りの自警団メンバーからの攻撃を防ぎつつ、魔王は郊外へと撤退を進めた。
その際、何か呟いていたという報告もあり、協力者が居る可能性を考慮する必要があるだろう。
自警団の着けた発信機によると"魔王"の位置情報は郊外の建造物で停止しており、そこで治療、あるいは補給を行っている可能性が高いと先生は判断する。
先生は"魔王"の行動パターンから、"トリニティ生の位置情報が露見している"という仮説を立てた。
追撃部隊を敢えて見当違いな方向へ向かわせ、撒いたと誤認させるという"先生"の作戦により、
トリニティ外より帰還した剣先ツルギ氏、羽川ハスミ氏率いる追撃部隊が2方向へ挟み討つように展開。
包囲完了までの時間を、先生の要請を受けて駆け付けたゲヘナ風紀委員会/空崎ヒナ氏と銀鏡イオリ氏が稼ぐ、という作戦が決行される。
先生の作戦通り、郊外エリアで傷の治療を行っていたと思われる"魔王"の元に風紀委員会が到着。
交戦になり双方手負いになるも、トリニティ追撃部隊が到着。
その際、負傷した風紀委員会の両名は治療のため前線を離脱する。
追撃部隊が"魔王"を包囲し、確保しようとしたその瞬間、出所不明の巡航ミサイルが現場を直撃。
追撃部隊もろとも地上を吹き飛ばし、"魔王"は姿を晦ました。
────以上が、今回の事案及び"先生殺害未遂事件"の経緯である。
※注記:撃ち込まれたミサイルは局所的な破壊を齎す対戦車ミサイルのような方式であった事が報告されている。
今回は剣先ツルギ氏を狙って撃ち込まれたようだが、これは"先生"を暗殺するために用意された可能性が高い。
"魔王"に対して、あらゆる情報を募集しています。
どのような些細な事でも構いませんので、トリニティ情報部までお寄せください。
・義手の出所
・協力者の有無
・通信技術の解析
に関する情報には謝礼も用意させていただきます。
その他、重要だと判断された場合は別途謝礼をお支払いいたします。
何卒、ご協力ください。
────ティーパーティ財務部
おまけ
────────
??:特異現象捜査部/共用スペース
「……うちの情報部の政治的手腕には感嘆せざる得ないな」
"ふっ"、とルイは鼻で笑い、プリントされた報告書を机に置いた。
「ふふ、嫌味かい?」
セイアは紅茶を一口飲んで、苦笑しながらそう言った。
「いや、純粋に感心しているんだ」
「先生が殺されかけた、という嘘を限りなく真実のように書き、かつ嘘の責任を負わずに済むような書き方にな」
ルイはティーカップに紅茶を注ぎながら、小さく笑った。
「……貴方は笑って済ませていますが……」
「この報告書が全校に公開されたという事は、もうトリニティはなりふり構わない、という宣言に等しいと思いますが……?」
飄々としているルイに対し、ヒマリは少しだけ心配そうに尋ねる。
「そういう事になるだろう……とはいえ、あの公示があった時点でこうなる予想はしていた」
「ミレニアムは既に介入が決定している訳だし、今更文句を言っても仕方ないだろう」
ルイはそう返事をして椅子に座り直し、真剣な表情で続ける。
「そんな事よりも……私個人としては、ナギサに負担を掛け過ぎている事を心配している」
「彼女は精神的な負担に脆い、彼女が倒れてしまえばこの計画は終わりだ」
「……ティーパーティが全滅すれば、権力争いで内戦が始まって講和どころではなくなるからな」
ルイが"はあ"、と溜め息を吐くと、セイアも小さく息を吐いた。
「……仕方なかったのは理解するが……」
「それがわかっていたのなら、あまりナギサを苛めないで欲しかったものだね」
「確かに、貴方がトリニティで行ったナギサさんへの挑発や問答はいくら何でも……演技とわかっていたとはいえ、聞いている私も胸が痛みました」
二人はルイのナギサへの発言に苦言を呈する。
それに対し、ルイは少しの悲痛を滲ませるように瞑目し、返答する。
「……私も、やりすぎたかもしれないと思っているが……ナギサは私に対して全幅の信頼を置いていたようだった、ああでもしないと、私を諦めないと思ってな」
ルイがの返答に二人は沈黙し……少しして、セイアが口を開く。
「……確かに、ナギサは君の事をとても信頼していた」
「だからこそ、だ」
「ナギサがどれだけ傷付いたかは、君はよく考えるべきだと思う」
諭すように言ったセイアに続き、ヒマリも重ねる。
「……私が貴方にあのような行いをされたら……そうですね、泣き喚く、では済まないでしょう」
「……とはいえ?実際に?似たような事はされたわけですが……?」
ヒマリは真剣に私を諭した後、私の左腕を指し示しつつ、おどけるような仕草で張り詰めた場をほぐす。
「……あの時は悪かった、君の事を信用していたゆえだ、許してくれ」
「うっ……真剣に謝られるとこちらが逆に傷付きますね……」
「……話を戻しますが、いずれナギサさんには謝ってくださいね」
「お互いが何者でもなくなる時がいつか訪れるでしょう。その時にでも、誠心誠意、頭を下げてください」
ヒマリがそう言うと、セイアは頷いた。
「その通りだ……それに、ナギサだけでなく、ミネやミカ、ツルギやハスミにも謝るんだ」
「……今すぐじゃなくていいし、彼女たちは君を許さないかもしれないが……」
「君の為にも、謝罪するべきだと私は思う」
二人はそう言って、ルイをじっとりと見つめる。
ルイは少しだけ黙孝し、"はあ"、と小さくため息を吐いた。
「約束はできないが……いつかその時が来たら、誠心誠意、謝罪する」
「……今は、これで許してくれ」
ルイの言葉に、二人は小さく頷く。
────今日のお茶会は、少しだけ空気が重苦しかった。
報告書テイスト、書いてて中々楽しいですね。
ブルアカ本編のデカグラマトン編更新までの間、番外編をいくつかやりましたが、次回からは本編に戻ります!
お楽しみに!