"黙示録"を回避しよう!   作:rezi

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交戦

 

深夜:アビドスブラックマーケット/ルイの倉庫

 

「……待て」

 

倉庫の前まで帰ってきた私は、一つの違和感に気が付いた。

 

エイミを手で制し、建物の影に隠れて周辺を観察する。

 

「……廃棄物用のクレートが移動している、誰か来たようだ」

 

大きく移動している訳ではないが、屋上へ登るための梯子の近くに移動している。

他の出入口が破壊された様子はなく、クレートを足掛かりに天窓から侵入された可能性が高そうだ。

 

「……後を付けられてたって事?」

 

「いや、それなら私たちは既にヴァルキューレにでも囲まれている」

「……恐らくこの倉庫が私所有の者だと知っていて、張っていたんだろう」

「そこに、誰かが入った形跡を確認して突入した……と言ったところか」

 

「……まずくない?」

 

「ああ、恐らく侵入されている……まだ中に居るかはわからないが、居たら交戦せざるを得ないだろう」

 

「……念のため装備を確認する、ちょっと待ってて」

 

そう言ってエイミはショットガンを確認し、弾帯に弾を装填し始めた。

 

「私も用意がある、お互いに用意が出来たら突入しよう」

 

「……おっけー」

 


 

 

────戦闘の用意を終えた私たちは、入り口の前に立つ。

 

「いいか、最初は交渉を試みる。破談に終わっても無理に戦わず、撤退を優先する」

 

「了解」

 

「……ここは私の倉庫だ、侵入者用の設備もある」

「時間稼ぎを任せる事になるだろう、前衛は頼んだ」

 

「わかった、頑張るね」

 

「ああ」

 

作戦会議を終え、音を立てないように電子ロックを解除し、エイミと共に中に入る。

 

真っ先に目に入ったのは、暗闇の中立ち尽くすピンク色の髪をした背の小さな少女。

 

"それ"は私たちの気配を察知し、素早くこちらを向いた。

 

「ん、二人?……勝手に入ってごめんねぇ~…ねえ、ここの持ち主ってどっち?」

 

"それ"はそう尋ね、ぎらりと光る橙と碧の眼が私たちを射貫く。

 

「動くな……ここの主の事は知らんな、お前は?」

 

ショットガンを構えつつ、そう返すとピンク髪は制する間もなく素早く銃をこちらに向けた。

 

「ふーん……」

「まあ一応聞くけど……降伏の意志は?」

 

「……無いな、少し話をする気は?」

 

「……無いねえ」

 

「そうか……」

 

割れた天窓から差し込む月明りに照らされたピンク髪の姿には見覚えがあった。

 

(……アビドス生徒会、小鳥遊ホシノ)

 

まずい相手だ、今ここでやりあうリスクは高すぎる。

 

しかし運のいい事に……ここは私の倉庫だ。

それに相手は一人、やりようはある。

 

「……作戦通りに頼む、30秒でいい。距離を詰められるなよ」

 

小声で伝えると、エイミはこくりと頷いて、ばっと服を脱ぎ、戦闘態勢に入った。

 

「……まあいいや、少し痛い目を見てもらうけど、許してね!」

「……行くよ!」

 

"ダンッ!!" "ダアンッ!!"

 

二人は叫び、ショットガンの撃ち合いが始まった。

 

ホシノは障害物に隠れ、エイミは体を出しながら注意を引きつつ牽制する。

エイミに気を取られた事を確認して、私は後方にある制御室へ駆けだした。

 

「……逃がさないよッ!!」"タタタタタタンッ!!!"

 

後退する私に対しホシノはハンドガンを連射し牽制するが、飛び出したエイミがそれを遮る。

 

「行ってッ!」

「ああ!」

 

"ダダアンッ!!"

 

エイミを盾にショットガンを撃ち込みながら後退し、制御室に入り急いで配電盤を操作する。

 

"バチインッ!!" "ヴン────カッ!!"

 

纏めて全てのブレーカーを上げると、倉庫内全体に明かりが灯る。

 

「……動いてくれよ!」

 

"バリインッ!!!" "カチッ"

 

ブレーカーの横に配置されたガラスカバーを叩き割り、内部のスイッチを押す。

 

"バシュウウウウウウウウウウウ!!!!"

 

それと同時に、天井に配置された戦車用のスモークディスチャージャーが起動し、いくつもの発煙弾が点火、一瞬で建物内は煙に包まれた。

 

リロードを済ませ、傍のケースからサーマルゴーグル付属のヘッドギアと防煙マスクを取り出し、急ぎ着用する。

 

(よし、これで────)

 

ゴーグルを起動し煙の中を進むと、遮蔽に隠れて睨み合う二人の姿が確認できる。

 

"ダンッ!""ダダダンッ!!"

 

エイミは私の支援を待っているのか、動かずに銃だけ出してホシノの方向へ闇雲に射撃している。

 

対するホシノも遮蔽より体を出さず、状況を伺っているようだった。

 

(……動くのなら今だ……!)

 

足音を立てないよう、そっとエイミに接近し、肩を叩く。

 

「ッ!?」

 

驚くエイミの耳元で、煙を吸わないように小声で告げる。

 

「……サーマルゴーグルだ、これを着けてもう少し時間を稼いでくれ」

 

「装備の装着が完了したら私が注意を引く、私が戦闘を始めたら気付かれないように装甲車に乗り、シャッターが開いたら急ぎ離脱しろ」

 

「……その後安全な位置に付いたら私に連絡してくれ、こちらも安全が確保でき次第連絡する」

 

「……おっけ」

 

小声で作戦会議を済ませ、足音を立てないように走り、装備ラックの前に立つ。

 

"ズダアンッ!!" "ダアンッ!!"

 

エイミが銃撃を始めたのを確認して、急ぎ装備ラックから装備を下ろす。

 

脚部装甲に足を差し込み固定、ジップラインランチャーを装着して脚部装甲と接続。

突撃剣を担ぎ……装備は整った。

 

気付かれないよう、撃ち合っているホシノを見る。

 

姿を消している私を警戒しているのか、可能な限り体を出さないよう、時間稼ぎに徹しているようだ。

 

(……これは孤立無援の人間の戦い方じゃない、応援は呼ばれていると見るべきか……)

 

可能ならば不意打ちを行うつもりだったが、その余裕もなさそうだ。

 

シャッターのコントロールパネルへ向かい、急ぎシャッターを始動させる。

 

ガラガラと大きな音を立てゆっくりとシャッターが開いていくにつれ、煙は外に逃げていく。

 

「……逃げるつもり?させないよ!」

 

煙が抜けていくのを見て逃走を図ったと考えたのか、ホシノは立ち上がり、シャッターの方へ銃を向ける。

(……しめた!)

……こちらに背を向けたホシノに向けて、引き金を引く。

 

"ダアンッ!!"

「うッ……!!」

 

背に散弾の直撃を受けたホシノは、唸りながらこちらを向く。

 

「残念ながら、お前の相手は私だ」

 

盾とショットガンを構え、ホシノの前に立つ。

「へえ、時間稼ぎのつもり?おじさん困っちゃうなぁ~……」

 

(……装備はショットガンと拳銃に……折り畳み式の盾)

 

防衛戦、あるいは突撃戦向けの装備だ。

 

……私たちの戦い方は似通っている。

だがしかし、装備と状況的には私が圧倒的に有利だ。

……奴がそれに気付いていないはずはない。

 

「……小鳥遊ホシノ、お前と敵対する理由は無い、退け」

 

警告すると、ホシノはやれやれと首を振った。

 

「そっかぁ~でも私には敵対する理由がいっぱいあるんだ~…ごめんね。」

"ズダアンッ!!" "ガガッ!!"

"ダンッ!!" "ガアンッ!!"

 

ホシノの放った散弾を防ぎ、返しに放った銃弾もホシノの盾に防がれる。

 

"ダァン!!" "ダダダンッ!!!"

 

交渉は破談、状況は膠着。

睨み合うようにしている内……シャッターが上がり切った。

 

"ヴヴォンッッ!!!"

 

瞬間、装甲車のエンジンが始動、ヘッドライトが灯り、勢いよく動き出す。

 

「……やっぱりねっ!!」

 

ホシノは私に目もくれず装甲車の前に飛び出し、運転席のエイミに銃を向ける。

 

「……させんッ!!」

 

"ズダアンッ!!"

   "ダダダンッ!!" "バリインッッ!!"

      "ギャルルルルルッッ!!!"

 

私の牽制もむなしく、フロントガラスが割れる音と共に装甲車は大きな音を立てスリップする。

 

「クソッ!!」

 

"ガシャッ!──バシュッ!!!" "ドオンッッッ!!"

「ッ!!」

 

装甲車の前に取りついたホシノにグレネードを撃ち込み、爆風で引き剥がす。

スリップした装甲車は、そのまま壁に向かって────

 

(コントロールを失ったか!?────いや!)

 

"ギャリリリリリ!!ブオオオオオオンッ────!!"

"ガシャアアアンッッ!!"

 

ロストコントロールに偽装した綺麗な方向転換で、金網を破壊しながらエイミの乗る装甲車は離脱していった。

 

(……よし、エイミの撤退が完了した今……いくらでもやりようはある)

 

「────さて、これで私は防衛を行う必要がなくなった……お前に勝ち目はないぞ」

 

受け身を取り、盾を構えつつこちらを睨むホシノにそう告げると、彼女は不敵に笑った。

 

「うーん、そうかなぁ?」

 

「……私に対する報告書は読んでいるはずだ、今の私に対する勝ち目があると思うか?」

 

その言葉に、ホシノはあくびで返した。

 

「話が長いなぁ……夜遅いし、早く帰らないと心配されちゃうよ~…」

 

挑発。ホシノはあくまで戦闘を続ける気の様だ。

 

「……なら、早く済ませよう」

 

「そうだねぇ……」

 

(……今すぐに撤退しても良いが……状況は圧倒的に私が有利。状況を偽装するだけの余裕はあるはずだ)

 

ホシノとの戦闘中、アタッシュケースの中身をバラまきつつ……それを見せつけ撤退する。

 

緊急の為に隠しておいたアタッシュケースの中に入っているのは5000万。

私の目的は"倉庫内に隠されていた資金の回収"、そう誤認させるに足る金額だ。

 

「では……行くぞ!!」

 

「来なよ、魔王!」

 

お互いに叫び、突進する。

"ダダダアンッ!!"

    "ガガガキンッ!!"

    "ダンッ!!タタタタッッ!!"

"ガンッ!!ガガガッ!!"

 

十数メートル接近する2秒ほどで、幾多の弾丸を交わす。

お互い距離を詰めるために踏み出し、気付けば手を伸ばせば届くほどの距離。

 

(やはりお互いに格闘戦が本領!ならば……!)

 

"ブオンッ!!"

「ッ……!!」"バッ!"

"タタタァンッ!!"

ルイが牽制に振るった足狩りの一閃をバックステップで躱し、ホシノはハンドガンで切り返す。

 

"カカカンッ!!"

 

頭部へ向けて放たれた銃弾を義手で防ぎ、ルイは再び盾を構え、ゆっくりと距離を詰める。

 

(……お互い牽制に弾を使い過ぎた、リロードの時間を作れるような相手ではないだろう)

 

ショットガンから手を離し、拳銃を握る。

 

確認する限り、ホシノがリロードを挟まずに撃った弾は合計8発。相手のマガジンチューブの長さを見る限り、残された弾は薬室の1発のみ。

(……ならば、弾切れを起こさせ殴り合いに持ち込むのが最適解。)

 

そう判断し、盾越しに挑発する。

 

「どうした、音に聞こえた小鳥遊ホシノはこの程度ではないはずだが?」

 

「……意味があって挑発してるんなら無駄だよ」

 

ホシノはそう返し、私を追い詰めようとじりじりと接近する。

私も後退しつつ、相手の隙を窺う。

 

(……奴も壁際での戦闘に持ち込むのは避けたいはずだ、万一逆転され────)

"ダァン!!!" "ザッ!!"

「しまっ……!」 "ガキインッ!!"

 

不意打ちの射撃と同時に踏み込んだホシノは私の真正面に立ち、盾を横に蹴り飛ばした。

 

"ガシャアンッ!!"

 

盾は数メートル離れた場所に吹き飛ばされ、バランスを崩した私にホシノが突進する。

「……はあっ!!」

"ゴンッ!"

 「……ぐうっ!!」

   "ズザアッ!!"

突進を受け、仰向けに倒れた私にホシノは馬乗りになり、銃口を突き付ける。

 

「魔王ちゃん?君こそ聞くほど強くないねぇ~…それで、降伏、は聞かない方がいいんだっけ?」

 

「降伏?ハッ……決着を急いたな」

「お前が私の装備を知っているように、私もお前の装備を知っている」

 

「……私の予想が正しければ、そのショットガンにもう弾は入っていない」

 

「へえ、よく知ってるね……それで、この状況が変わる訳じゃないけど?」

 

"ガシャッ" "ガシャンッ!!"

ホシノがショットガンから手を離し、ホルスターに手を掛けたと同時に私はカタパルトを起動し、ホシノに左腕を向ける。

 

「ッ……うへぇ……やっぱ相性悪いなぁ~」

 

妙な声を上げながら、ホシノは動きを止める。

 

「辞めておけ、お前がそのハンドガンを抜き、私を気絶させる間に……私は三発全ての榴弾をお前に撃ち込む事ができる」

 

そう脅すと、ホシノはため息を吐きつつも、手はホルスターに添えたまま。

 

「ふーん……自爆するけど大丈夫?私は榴弾くらいじゃ倒れないけど」

 

「ハハ、では私がミサイルからどうやって立ち上がったか、考えたことはあるか?」

 

「興味ないなぁー……やるならやりなよ」

 

……ホシノはそう言って私を睨む。

 

(……この状況で膠着するのはまずい、どうにかして拘束は抜ける必要がある)

 

(……勝負は次の一撃、その成否にかかっている)

 

────視線が交差する。

 

「……では、遠慮なく!」

 

"ガシュッ────!!" "────ドォォォン!!"

 

頭部に向けて放たれた擲弾を上体を逸らして回避し、擲弾は私たちのはるか上空で炸裂する。

勝利を確信したホシノは即座にハンドガンを抜いてルイに向け────

「残ね────ッ!?」

「終わりだ!!」

 

"ギュイイイ……!!ヴオンッッ!!"

 

上体を戻したホシノに対し、最高出力の殴打を振るう。

 

ホシノは驚異的な身体能力で飛びのき、それを回避した。

ごろりと転がって受け身を取り、立ち上がる。

 

「ッはあ……危ないなぁ……!」

 

「……」

 

ルイも立ち上がり、再びハンドガンを構える。

 

(……お互いハンドガンのみ、勝敗は決した)

 

「さて……ここで一つ、提案がある」

「"魔王様"のお話は長いから、遠慮したいなあ~……」

 

私の言葉にホシノは軽口で返し、ハンドガンを向ける。

 

「状況は私が圧倒的に有利で、お前は時間が稼ぎたい……聞くだけ聞くべきだと思うが?」

 

「へえ、気付いてたなら、黙って続きをやるべきだと思うけど~?……まあ、聞いてあげるよ」

 

ホシノが銃を下ろしたのを確認して、私も銃を下ろす。

 

「……まず、私はここに隠してあった金を取りに来ただけだ。私の離脱を見逃せば……そうだな、ここに残った物資は全てお前たちの物だ」

 

「聞けば、アビドスは資金繰りに困っているそうじゃないか、ならば追加でこの建物と土地の権利書ごとくれてやる、その上で二度とアビドスに足を踏み入れないと約束しよう」

 

「コンテナ内のアタッシュケースさえ回収してしまえば、もうアビドスに用は無い」

 

「権利書はこの倉庫内に保管してある、気になるのなら確認すると良い」

 

私の話を聞き終えると、ホシノは大きく息を吐いた。

 

「やっぱり、聞くだけ無駄だったね。そもそも私たちは汚れたお金は要らないよ」

 

「……良い事を教えてやるが……これらの物資や権利書は真っ当な金で手に入れたものだ、妙な心配は要らん」

 

「それでも要らないなぁ~……君から貰った時点で、汚れてるしねぇ」

 

「……そうか」

 

ホシノは頑なに断り、少し間をおいて口を開いた。

 

「……じゃ、話を聞いてあげたお礼に私の質問に答えてよ」

 

「断る、残念ながらお前に対して何も語る事はない」

 

そう返事を返しても、無視してホシノは話し始める。

 

「君が先生を殺そうとした……っていうの、あれは本当?」

 

ホシノはそう尋ね、ぎろりと私の目を睨んだ。

そのおっとりとした口調からは想像もつかないような威圧感を放っている。

 

(無視も否定も肯定も裏目がある、曖昧に返して怒りを煽るべきか……)

 

「……お前には関係のない事だ、余計な事に首を突っ込むな」

 

「……否定しないって事は、そういう事でいいんだよね?」

 

口調が崩れ、ホシノの声色が先ほどから度々顔を覗かせていたドスの聞いたものに変わっていく。

 

「あれが敵に回ったんだ、排除せざるを得ないだろう……お前が今、私に銃を向けているようにな」

 

「……わかった、お前はここで絶対に捕まえる。抵抗するならヘイローの無事は保証しない」

 

恐ろしい表情で私を威圧するホシノは、今までの雰囲気を完全に霧散させていた。

 

「フッ、この状況でそれが言えるのは……キヴォトス中探してもお前だけだろうな」

 

「……黙れ"魔王"、お前はここで倒す」

 

「やってみろ、と言いたい所だが……時間切れだ」

 

遠方から接近する多数の光が見える。

ホシノの増援が来たようだ。

 

"ガィンッ!!"

 

突撃剣を踏み上げ、柄を握る。

 

「……金は諦める事にした、好きにするといい」

 

「……逃がすか!」

 

"タタタタァン!!" "カカカンッ!!"

 

ホシノが放った弾丸は、全て盾に防がれた。

 

「それで全てか?……では、私は失礼する」

 

「……待てっ!!」

 

"バババシュッ!"

 

叫ぶホシノを無視し、周辺の建造物にジップラインランチャーを撃ち込む。

 

その場に私を止められる者はおらず、追跡を振り切り……安全にその場を離脱した。

 


 

深夜:アビドス砂漠

 

 

捕捉されないよう砂漠をミレニアム方面へ移動するうち、ポケットの端末が震えた。

確認すると、それは先に離脱したエイミからの連絡だった。

 

 


 

"無事?"

"無事だ、追跡は振り切った"

"良かった、こっちも無事に離脱できたよ"

"どこで合流する?"

"そちらの座標は?"

"N35 40 32.95 E139 44 41.72"

"私の現在地はそこから南西に32kmだ"

"20分ほど待っていてくれ、すぐに合流する"

"りょーかい"

"目に付かないとこに隠すから、近くに来たらまた連絡して"

"了解した"

 


 

「……よし」

 

エイミの待つ座標へと移動しながら、先ほどの戦闘を想起する。

 

(……小鳥遊ホシノ。恐ろしい相手だった)

 

今回は何より運が良かった。

 

実力はあちらが圧倒的に上。

"エイミが味方に付いて"、"私が管理する倉庫内で"、"装備の相性が圧倒的に有利"。

 

どれか一つでも欠けていれば危なかっただろう。

 

彼女の装備は誰かを守り、前線を張るための装備だった、決して一対一で戦うための装備ではない。

その装備であれほど動けるのなら……彼女が本気になれば、いったいどれほどの脅威となるか。

 

(空崎ヒナと肩を並べる程の強さ、という話は誇張ではないようだ……)

 

"あれとの交戦は控えるべきだな"とそう考えつつ、エイミとの合流ポイントへと向かった。

 

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