アビドス砂漠で狩りに生きる。   作:春山乃都

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某動画を見る。
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これは良いものだと思う。
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気がついたら書いてた。(今ここ)


アビドスは今日も狩猟日和
第1話


 連邦調査部・シャーレの『先生』は、一般人である。

 

 これは嘘偽りや謙遜などではない覆し様の無い事実である。特技と呼べるものはこれと言って無く、精々愛する生徒たちの為になると言うなら自分の心臓を一瞬の迷いも無く抉り出す事が出来るだけの覚悟があるだけの只の大人である。

 

 もっとも只の人であることが生徒たちの手助けをやめる理由にはならないのでこんな自分でも生徒のためにと様々な事をしてきた。

 

 とある学園の部活の廃部の阻止を手伝ったり、あるいはまたとある学園の祭りの手伝いをしたり。他にも様々だ。

 

 字面だけで見れば平和的なものだが、残念な事にこのキヴォトスと言う地は大変治安が悪く、テロに銃撃戦なんて日常でしかない。今までとはあまりに違いすぎて先生は幾度と無く命の危機にさらされた。キヴォトスの常識に慣れた今でも変わりなく。

 

 

 そんな先生は今、今までとは違った危機を身に感じていた。

 

 

 

 それは一目見たときはエリマキトカゲの様だと思った。けれど違う、そんな領域ではなくそれは正しく想像されている恐竜のそれ。後にジャギィと呼ばれる生物であると知ることとなるその竜。

 

 

 

 

 

 

 

 の、頭部を模したマスクを着けた生徒十数名に、囲まれていた。

 

 

「ヘェーイ!」

 

「「アッアッオーウ!」」

 

「ヘェーイ!!」

 

『アッアッオーウ!! アッアッオーウ!!』

 

 

 叫び、いいや鳴き声を響かせ躍りながらジリジリと距離を詰め先生包囲網を狭めてくる謎の集団。彼女たちもまた先生の愛する生徒たちである、ではあるが…なにこれどう言うこと、怖いよぉ! と言った心境であった。

 

 それも仕方の無いことである。とある生徒から手紙を受け取り、ここ『アビドス自治区』に足を運び駅を出た直後にこれである。残念ながら見た瞬間にそう言うことかと理解できるほど賢くない先生はただただ腰が引けていた。

 

 思わず懐のタブレットに映る少女に助けを求める。助けてアロナ、どう言うことなのか教えてほしい。え、自分も分からない? そっかぁ。

 

「ヘェーーイ!」

『アッアッオーーォウ!!』

 

 一際、大きく鳴き声を上げギュンと距離を詰めてくる。もしかしてこれ今までで一番の危機なのではと心の中で思っていると。

 

 

「…なにしてるの?」

 

 

 声がした。周囲の恐竜マスクの集団と一緒に声のした方向を見る。

 

 そこに居たのは邪魔にならない位置に二丁のアサルトライフルが取り付けられた自転車に乗った記憶に間違いが無ければ『アビドス高等学校』の制服に身を包んだ生徒。

 

 

 

 が、鳥の様なマスクを身に付けた状態でそこに居た。

 

 

 

 ふ、増えたー!?

 

 思わず声が溢れる先生と懐のタブレットに映る少女。驚愕する二人を置き去りにして恐竜マスク集団のうち一人が軽く手を振る。

 

「おぉーしろっちおはよー。今日もナイスフェイク!…ってよく見たら何時ものと違う?」

「ん、新作…それでこれはどういう状況。あと、誰?」

 

 首を傾げ鳥マスクを揺らす生徒に、先生は自己紹介をする。と、少ししてから納得言ったように手をポンと叩いてから、マスクを取った。

 

「砂狼シロコ。よろしく、シャーレの先生」

 

 言って狼耳の生徒、シロコは近づいてきて手を差し出す。先生も手を伸ばして、握手。

 

「ん…それで、結局どういう状況?」

 

 満足げに何度か先生の手をにぎにぎとしてから鳥マスクを抱えながら改めて見渡し首を傾げる。正直、自分も分からないと素直に言おうとして、それよりも早く恐竜マスクの一人、先ほどシロコをしろっちと呼んだ生徒が声を上げる。

 

「先生がわざわざあたしらの為に来てくれたから自慢のジャギ音頭を披露してたんだ!」

「そうなの?」

 

 と、先生に視線が向けられ。先生も思わずどう言うことかと首を傾げる。と、生徒は驚いた様子で先生を見る。

 

「え、あたしらのジャギ音頭見に来てくれたんじゃないのか!? 約束までしたのに! なぁ、みっち?」

「えぇ、確かよっちゃんが」

「え? アポ取ったのりーだーじゃないの?」

「え?」

「え?」

 

 瞬間、ただ通りすがっただけのパグの様な住人も含めた全員が理解した。あ、これ他の人がしてるだろうからって誰も連絡してなかったやつだ…と。

 

 沈黙。痛々しい静寂が辺りを覆い。それをシロコが破る。

 

「…あまり、迷惑はかけないようにって言ってた筈」

「…っすね」

「ん、次迷惑かけるようなら謹慎とも言ってた」

「…そーっすねぇー」

 

 再びの沈黙、それは先程よりほんの少し長くて。

 

 

 

「ん!」

「散っ!」

『アッアッオーウ!』

 

 

 素早く自転車から二丁のアサルトライフルの内の一つを手に取り構える。が、それよりも尚早く、恐竜マスクの生徒たちは動き散り散りに逃れた。

 

「…逃げられた、ちゃんと報告しておかないと」

 

 一人、さらばーなんて言葉を言っていた生徒がシロコに撃たれてあいたー!? なんて声を響かせながら逃げ去っていくのを見て、そう彼女は言う。相変わらずキヴォトスの人たちは耐久力すごいなー、なんて思いながら見てるとシロコが先生へと向き直った。

 

「ごめんなさい先生。迷惑をかけた」

 

 と言って頭を下げる。謝る必要はないと先生は言う。確かに行き違いが有って意味が分からないことに為ってしまったが、純粋に自分達の特技を見てもらおうとしていただけだ。迷惑などではない、と。

 

「…ん、そっか」

 

 頭を上げるシロコは、しかし先生の事をじっと見つめてくる。どうかしたのかと問い掛ければ、寧ろそれを聞きたいのはこちらの方だと言う。

 

「シャーレの先生は困ってる生徒を助けるために色んな自治区を回ってるって噂を聞いた。なら、アビドスでも困ってる子が居るのかなって。同じアビドスの住人として気になるから」

 

 少し、真剣な表情を浮かべるシロコに違う違うと否定し、懐から手紙を取り出しながら答える。自分はある生徒から祭りがあるからと招待されたのだと。

 

「祭りに?」

 

 すると、彼女は怪訝そうに首を傾げた。なにか、思っていた反応と違うなと思いながら手紙を見せてほしいと言われたので、素直にバナナと鳥が合体したようなイラストの描かれたそれを手渡す。

 

 受け取ったシロコはイラストを見た瞬間顔をしかめ、内容にさっと目を通してから…溜め息一つ溢す。

 

「…あの人、またやってる」

 

 と、少し困った様子。どうかしたのか、なにか問題でもと問い掛けるとそうじゃなくて変わらず困った様子のまま少し考えてから。

 

「…ん、とりあえず案内するからアビドス高校まで来て欲しい。ここに居たら体に良くない」

 

 元より、目的地はそこなので先生にとって渡りに船。お願いすると言うと、スッとシロコは抱えていた鳥マスクを差し出した。

 

「ん、お詫びの品」

 

 生徒からのプレゼントを拒む先生ではない。迷い無くありがとうと受け取り…流れるように匂いを嗅いだ。

 

 

 すごい、鳥の匂いがした。

 

 

 シロコに視線を向けると、渾身のどや顔を浮かべていた。

 

「ん、自信作。ヤッくんの匂いも完全再現」

 

 ヤッくんって誰だろうと思いながらも、そっかぁすごいねと言えば、ん、と自慢げに帰ってくる。

 

 じゃあ改めてと彼女は自転車に乗り、そうだと振り向き。

 

 

 

「砂と狩りと共に生きるアビドスにようこそ、先生」

 

 透き通るような笑顔を浮かべて、そう言った。

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