アビドス砂漠で狩りに生きる。   作:春山乃都

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第49話

 危険であることは分かっていたがティガレックスという分かりやすい驚異をその目で確認した二人、目的地の道中で出会す可能性が高い故に二人が取った行動、それは。

 

 普通に隠れながら進もう、という当たり前すぎる事だった。そもそも危ないことはしないとシロコ達はホシノと約束しているのだから。

 

「ん、安全第一」

「まぁ、それを言ったら今現在あそこに向かってること事態安全から駆け離れてるけどねー」

「それは言わない約束」

 

 と、何気なく会話しながら進むのは葉っぱの化け物…ではなく砂漠用迷彩シートに地の色が見えなくなるまで葉っぱを張り付けただけのものを被っている二人。カサカサと擦れる音を鳴るがこれが意外と効果的だ。問題点をあげるならシートに葉っぱをくっ付けただけなので派手に動けば簡単に剥がれ落ちてしまうという点か。

 

 流石に普段利用している砂漠用に調整された専用の物を砂漠で使った時に比べれば雲泥の差だが、そもそもあれは動かず止まっているからこそだから比べるのが間違っているだろう。

 

 ただ、うまく迷彩が機能していたとしても鉢合わせる事無く済めばそれに越したことはない。故に行方の分からないティガレックスを避ける為に、シロコ達は例の光る虫を目印にする事にした。

 

「ん、あった」

 

 呟くシロコの視線の先には地面を中心に飛んでいる光る虫。周囲を警戒しながら近付いてみれば、地面に爪痕。

 

「これは結構前のみたい」

「なら偶々通っただけか、縄張りの巡回してから時間が立ってるかだねー。巡回だった場合出くわす可能性があるから離れよっかー」

 

 周囲を見渡し、折れた枝や踏み砕かれただろう倒木から通ったと思われる道を見つける。巨体ゆえに残る痕跡も多く見つけやすく助かると二人は進んでいく。

 

 そうして慎重に歩き続けて暫くすると迷彩シートから葉っぱが落ち始めていることに気がつき、張り直すついでに一旦休憩と、二人は樹の隙間に身を隠しながら一息つく。

 

「それじゃぱぱっと直しちゃうねー」

「ん、分かった。私は現在地を調べておく」

 

 言いながら警戒しながらドローンをゆっくり空に向けて飛ばす。とても分かりやすい目印があるので迷子になること事態はないのだが、その目印が大きすぎて今一距離感が掴みにくいのだ。

 

 さてどの位近付いただろうかと思いながらドローンが樹上に出たのを確認してからスマホに目を向ける。写し出されるのはドローン越しの光景。目的地までは、もう少しといった所だろう。

 

 何事も無ければ今日中には辿り着けそうだと考えていると画面の端に大きな土煙。なにか起きてるのかとドローンを動かし土煙をしっかりと映し出す。と、同時に何かが土煙から飛び出す。

 

 

 飛び出してきたのはセルレギオス…と、その首にしっかりと牙を食い込ませたティガレックスだった。

 

 

 セルレギオスが吼え、鱗を震わせてティガレックスの肉体を切り裂きながらなんとかティガレックスを引き剥がそうと乱暴に飛び回る。しかしティガレックスも負ける事無くその強靭な顎と牙で鱗をかみ砕きながらより深く食い付き続けている。

 

 そして、先に力尽きたのはセルレギオス。空を飛び続ける事が出来なくなりティガレックスと共に地面へと墜落し、再び大きく土煙を巻き起こす。

 

 直後に、ズドンッと何かがなにかを叩き潰す音が遠くから響くと。

 

 

「グルオォアアアアアアアア!」

 

 

 樹海中に己の勝利を告げるが如く咆哮が轟く。

 

「すっごー」

「ん、本当に凄い」

 

 いつの間にか横からスマホを覗き込まれていたがシロコは気にする事無く頷いて。

 

「セルレギオスはアビドス外の不良より喧嘩っぱやい」

「え、そこー? いやまぁ、否定できないけどもねー」

 

 言いながらスマホの画面に映る傷付いてはいるが元気にどこかへと飛んでいくティガレックスを見る。種族的に上下関係にあるのか、それとも単なる個体差なのかは分からないが、勝てぬ相手に喧嘩を売ったのは明らかだ。

 

 その点を考えれば大半のキヴォトスに居る不良よりも喧嘩っぱやいと言うのも間違いではないのだろう…ゲヘナ生徒と同じ位だろうか。

 

 と、それよりも重要な事が一つ。

 

「ティガレックスがどこかに行ったねー」

「ん、狩りにでも行ったのか。もしくは寝床に休みに?」

「休みに行ったって言うほど消耗した様子はなかったから狩りかなー? いやまぁ画面越しだから断言できないけどー」

 

 どちらにせよ、ティガレックスという分かりやすい驚異が一時的だろうが離れてくれたのだ。急いで先に進む…ということはしない。なにせ危険なのはティガレックスだけという訳ではない。なので結局はやることは変わらず、ゆっくり堅実に進んでいくのだ。

 

 それでも警戒する対象が減ったのは素直に精神的に余裕が出来るのでありがたいとシロコは思う。

 

「迷彩はどう?」

「あとちょっとー…良し、直ったよー」

「ん、それじゃあ出発する」

「おっけー」

 

 慣れた手付きで迷彩シートを被る二人。まだ見ぬ驚異と、ティガレックスが戻ってきていないかを警戒しながら進んでいく。

 

 そして、慎重に進んだのが良かったのか。以降は何事もなく進むことが出来、そこに辿り着く。

 

 

 樹木が減り視界が開ける。そして広がる光景は巨大な岩山…いや、もはや断言しても良いだろう。

 

 

 そこにあったのは正しく岩山の如きダレン・モーランの死骸と広大な渓谷。

 

 

 

 

 そして、無数の…屍。




実は樹海に居たティガレックスはモンハン的に言うと歴戦のそれなので超強かったりする。
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