「まずは改めてお集まりいただきありがとうございます。確認ですが、ここに居ると言うことは今回の行動に参加していただけると考えてよろしいですか?」
と、見渡しながら言う不知火カヤ。彼女の言葉に、誰も否定せず静かに頷いて見せた。
「では余裕があるとも言いがたいので端的に言いますが、現状はかなり不味い状況に成っています」
その言葉と共に不知火カヤは脇に控えているニコに視線を送る。すると彼女は頷いてノートパソコンを操作し、用意して貰ったスクリーンに巨大な蛇の様な機械、デカグラマトンの予言者たるビナーと歪な角を持つディアブロスの写真が写し出される。
「現在、この2体がアビドス砂漠自然公園近辺にて頻繁に衝突し争っている姿が確認されており、その影響でアビドス砂漠に生息する生き物たちの大移動が発生しています」
カヤの視線がアヤネへと向かい、彼女は静かに頷きタブレットを持ち直して語る。
「アビドス砂漠から自治区内へ向かって移動、侵入を行おうとする生き物が草食、肉食問わず頻発している状況です。24時間の間にも単独個体が14回、群れ単位でのものが6回程確認されて居ます。今の所はなんとか迎撃し、侵入を防げてはいます…ですが」
「それが何時までも続けられる訳ではなく、限界が何時か来るのは分かりきっている事です」
変わるように、再び語り始めるカヤ。
「その限界が訪れる前に事態を解決しなければ成りません。でなければアビドス自治区は完全に崩壊し砂漠の生物が他自治区に溢れだします。当然、イレギュラーの類いが発生したり、ディアブロスやビナーの再襲撃が発生した場合は、その時点でアウトですがね」
まぁ、その場合は迅速な避難以外に出来ること無いので分かりやすいのですがね。なんてカヤの呟きを聞きながら、ネルは内心で成程と納得した。
何故、あの早瀬ユウカがらしくもなくセミナーとしての権限を行使してまで自分たちメイド部を、『C&C』と言うミレニアムの特殊部隊をここに呼び寄せたのか、当時の彼女が相当焦っていたからユウカにしては珍しく説明が要領を得ず、今一把握出来ていなかったが…確かに、これは不味い状況だ。
あの会長作のくそださまで引っ張り出そうとしていたのも納得と言うものだ。
「とはいえ、解決策もなくどうしようもないと言う訳ではありません。寧ろすべき事は極めて単純」
即ち。
「元凶であるビナーの破壊、及びディアブロスの討伐です!」
断言するカヤ。だが、しかしと言葉が続く。
「それを成し遂げるには大きな問題が一つ。ズバリ、火力が足りないと言う点です。特にディアブロスに対しての」
その言葉に納得した様に頷くのはハスミ。実際に戦闘を行った彼女だからこそ、火力不足と言う言葉に理解を示した。目に見えてダメージを与えられたと判断できた物が大量の火薬を搭載したヘリやトラックの捨て身特攻からの爆発。ハスミが装備を犠牲にして放ったアビドス産の特殊弾にそれから、ビナーの攻撃位だ。
「一応、先の襲撃の際に爆発物と単純な質量攻撃は有効であると判明しています…が、ビナーのミサイルによる攻撃を受けて致命傷になっていない時点でどれだけ用意したところで足りない可能性の方が高いのですよ」
「それに、仮に用意できたところでそれを利用できるとも限りません」
と、横から言うアヤネ。
「例の二体が暴れまわっているせいで、現在のアビドス砂漠自然公園内に生息する生き物たちは非常に気が立っている状態です。そこに、仮にですがミサイルを撃ち込んだ場合」
「より激しい暴走を引き起こす、と言うことね」
「はい」
「さらに言えば同じ理由で大規模な人員の動員も難しい状況ですが、それに関してはまだどうにか出来る手段があります。要は、どれだけ暴れても問題の無い場所まで目標個体を誘導しそこで行動すれば良いのです」
そうカヤが言うと同時にスクリーンに写し出される地図や写真。
「目標地点、私たちが決戦場と定めたのがここ『オアシス跡地』です。自然公園から適度に離れており、また広いこの地点ならば自治区や自然公園への影響を最小限に留められるでしょう。現在、オアシス跡地では急ピッチでトラップや攻撃用の設備の設置を行っており。それら設備を有効活用し、火力不足を補う事でより確実な目標達成を成し遂げる…と言うのが理想です。まぁ正直に言いますと賭けと言えるかも分からないのですが」
「そこまでか」
「えぇ。どうやって対象を誘導するのかとか、そもそもディアブロスに対しての火力は用意できる設備等でさえ物足りない事に変わりありません」
正直、カヤは頭を抱えたい気分だった。ゲームで言えば単純にレベルが相手の方が高いから勝てない様なもの。それをどうにか覆さなければいけないのだが。
「その火力不足に関してはどうにかなると思いますよ」
そんな声と共に扉が開き一人の生徒が会議室に足を踏み入れる。全員の視線がそちらへと向き、ユメがあっと声を挙げその生徒の名前を呼ぶ。
「ハナコちゃん! 帰って来たんだね、お帰りー! 無事で良かったよー!」
「無事で良かったは寧ろ私の台詞なのですが…いえこれは違いますね。えぇ、ただいまです」
全身で良かったと表現しながらユメは『浦和ハナコ』の手を掴み、ぶんぶんと振る。それに若干困ったような表情を浮かべるが、直ぐに諦めたようにだが嬉しそうにされるがまま手を振り回される。
それを眺めながらふむとカヤは考えるような仕草をしながら問いかける。
「それで、どうにかなると言うのは?」
「えぇ、考えとしては単純な事ですが」
そう言いながらハナコは背負っていた鞄を下ろし中から幾つもの素材を取り出しては並べて、答える。
「現在の装備で不足ならばより強力な物を用意すれば良いだけの事です」
その中の一つ、『龍石炭』が少女達の目の前でコロリと転がった。
Q・モンスターが強くて勝てません、どうすれば良いですか?
A・装備を強くしましょう。
これがモンハンの最適解っ!