ウマ娘 バーニングフェスッ!! -アルストロメリア・チャレンジ- 作:稚拙
とある昼下がり。
あたしことトゥザヴィクトリーは、今日もまた初春の日差しを躯に受けて光合成をしていたのでした。
……ぶっちゃけお昼寝だけどね。
「た、大変!大変だよぉ〜!!」
そんな私の春眠をブレイクしたのは同級生の
しかしおとなしい性格のサトコがこうもあわてるとはタダごとじゃないなぁ……
「どったのサトコ……??」
「どったもこったもないよ!スペ先輩のチーム<コスモス>、感謝祭本番までに全部のチームと模擬戦やるって!」
「ぜ、全部の!?」
思わず眠気が吹っ飛んだ。
「ちょ、ありえなくない!?もうエントリーしてるの30チーム以上だよ!?本気!?」
「1日2チーム相手にするって話を聞いたけど……」
自分から試練に飛び込んでいくなんて……流石あたしのお姉さま!!
他のウマ娘に出来ないことを平然とやってのける!あたしはそこにシビれて、憧れたんだ……!!
「こりゃあたしもウカウカしてられないかもなぁ……」
「……あ、いたいた!サトコ!練習行くよ〜!」
「今日は初めての『大障害』の練習ですよ?気合いを入れましょう!」
サトコのお姉さん、
あたしがハリボテちゃんから仕入れた情報によると、姉妹同族で同チームはあまりいないとのこと。あのメジロ家ですらチームはほぼバラバラ、同族でメンバーを固めているのはサトノ家とダノン軍団くらいらしい。
ビワハヤヒデ先輩とナリタブライアン先輩姉妹、ドリームジャーニー先輩とオルフェーヴル先輩姉妹は別々のチームに別れたとの報。それにオルフェーヴル先輩に至っては、『ハチャメチャGP』への参加自体も態度をハッキリさせていないそうだ。
あ、でもキタサン先輩、今年入学したばかりの妹と一緒に出るってニコニコしてたなぁ。
……それにしても、あの三姉妹、誰とチーム組んでるんだろう……??
そう思ってもう一眠りしようとすると、あたしのウマホが鳴った。んだよ人が寝ようって時に―――
〈早よ来ないと食べちゃうぞ。がぉー。(・(ェ)・)〉
……!!!(||| ゚д゚)
―――――――――
体育館は『ウマドッジチャンピオンシップ』の会場になっていて、もう専用コートが組み上げられている。
戦車砲も跳ね返す硬度30相当の『U型特殊合金』と、ウマ娘が100人同時にキックしてもヒビどころか傷一つつかないという触れ込みの『スーペリアダイヤモンドガラス』で囲まれた、アイスホッケーのようなモノモノしいコートは、ウマ娘同士が血で血を洗う冷酷無慈悲のデスマッチに相応しい……
なんてポエムを詠んでるヒマは無い。あたしは大慌てでジャージに着替えて体育館に飛び込むと、すでにチーム<アルストロメリア>のみんなは勢揃いしていた。
「ご、ごめんなさ〜い!今日から『ドッジ』の練習だって……すっかり忘れてて……」
「頼んますよ後輩リーダーちゃん?重役出勤はほどほどにするよーに」
「めんぼくありません……」
リーダーだってのに何やってんだあたしゃさ……しっかりしろよトゥザヴィクトリー……!
「さて……みんなは『ドッジボール』、やったことある?コートの内野にいる相手にボールを投げてぶつけて、相手チームを全滅させれば勝ちってアレだけどさ」
「それがやったことがないのでありますよ。ウマ娘はフツーの子たちとパワーが段違いでありますから、自分の出身校ではドッジボール禁止令が出されてたのであります」
「蓮華も、あちらの学校では……武術の先生や兄弟子とは、トレーニングの一環で少々……」
「そのあたりの事情は、皆さん似たり寄ったりみたいでありやすな……。」
『ボールを投げて相手にぶつける』というルール上、ウマ娘のパワーを他人に向けてしまうコトになるドッジボールは、実はあたし達ウマ娘にとってはタブーに等しい。故にドッジボールを知ったり見たりはしていても、やったことがないのがあたし達ウマ娘の実情なんですよ。
それなのにウマ娘同士でドッジボールをやらせようとするマスク・ド・テーストのいぢわる思考がよくわかる。流石はウマ娘を恐怖と絶望のズンドコに落とすと豪語するだけのことはある。
「ですが熊ッさん……今日はお前さん肝煎りの御仁をコーチとして招いているとか……?」
「……へぇ、流石始末屋ちゃん。お耳が早いねぇ」
くまさんの口角が妖しく上がった。けど……
「あの、くまさん……コーチが来るって聞いてないんすケド……」
「そりゃそーよ。ゆうべその“コーチ陣”に連絡してアポ取ったんだからさ」
「急な話でありますなぁ……」
「ふふ、模擬戦やる前に地力をつけるのはいいことかもって思い立ってさ。ほら、こないだプボちゃんとお嬢ちゃんが『大食い』で他のチームのヤバいメンツと遭遇戦的にやり合ったじゃん?これからはいつどんな時に模擬戦になるかもわからない……参加チームも30を超えてきて、手の内の探り合いも増えてきてるわけだしさ。ほら、見てみ」
くまさんが視線を促す先には、体育館の観覧席。数人のジャージ姿のウマ娘たちがぽつぽつと、全員別々の離れた場所に座っている。
「流石に大物ウマ娘は来てないようでございやすねぇ……。<ペーパーブッシュ>のワコーチカコに、<サザンカ>のメイショウダッサイ……<フェンネル>のマイネルファンロン、<カサブランカ>のガイアフォース……全員、別々のチームの『斥候』でありやすなぁ……。」
「……あまりマークされてない、ということですか?」
「
「まぁまぁ。それもまたメリットさ。考えてもみてみ?ほとんどのチームの目は別の有力チームに向いてて、わたしら<アルストロメリア>はほとんどノーマーク、アウトオブ眼中ってワケ。そんな
くまさんの悪どい笑みに、あたし達全員が悪どく笑い返す。
「それはそれは……たまりませんなぁ……じゅるり」
「ぷ〜ぼぷぼぷぼ……面白いでありますな♪」
「悪くありませんわねぇ……シップ様❤の視線❤もより熱く❤蓮華に注がれますわぁ……❤❤」
「熊ッさん、お前さんも
「くっくっくっ♪お代官様程じゃありませんよ…………♪♪」
体育館の中心で5人で顔を寄せ合い、越後屋&悪代官ごっこ。クックックと怪しげな笑い声を静かに響かせる我々の姿、とくと見るがいい。そしてドン引きするがいい。
「お〜い、そこの悪代官と越後屋5人組、俺達の出番はまだか〜?」
「おっと、そーだった……待たせてごめんね、入ってきて!」
くまさんの招きに応じてぞろぞろと入ってきたのは、揃いのジャージを着た、5人の高校生くらいのお兄さんたちだった。
「あの、こちらのお兄さんたちは……??」
「ふふ〜ん、聞いて驚くなよ諸君?誰を隠そう、わたしの元母校、『熱血高校』のドッジボール部のメンバーさ!」
「そーゆーワケだ!……へぇ、ラスカルの後輩だけあってカワイコちゃん揃いじゃんか!オレは『しんいち』!人呼んで『グラサンのシン』!!夜露死苦ゥ!!」
先頭のリーゼントとスポーツサングラスでキメたお兄さんが大仰なポーズでアピってくる。
……けど、あたし達も連れのお兄さんたちも全くの無反応だった。
「あ、あら……?」
「シン兄さん相変わらずのスベり芸だねぇ。懐かしくて涙出そうだよ」
「へッ……久々の慰めありがとよ……」
「だ、大丈夫ですよ?みんな見た目ほど怖くないですから……ボクは『ひろし』、マネージャーもやってます」
少しナヨっとした、茶髪のイケメンさんだ。5人のお兄さんの中では一番優しそうな見た目をしている。
「……………………『みつひろ』だ」
デカッ!?身長2メートルくらいありそうな、まるで巨木のような渋い人。ホントに高校生……!?
「拙僧の名は『いちろう』……はじめまして、ウマ娘の皆さん」
今度は反対にちさっ!?ツルツル丸坊主アタマに体育館の灯りが眩く反射してる……それに『拙僧』って……目を閉じて合掌するその姿、さらに手首には数珠……修行中の小坊主さんなの、この人……!?
「最後になったが、副
「覚悟しなよみんな。この人たちこう見えて、『世界一』のドッジボーラーだからね。一切の容赦は無いと思ってちょーだい」
「『世界一』って……」
ふと、最後に名乗ったトゲトゲしいウニみたいな髪型のお兄さんのジャージの胸部分を見ると、日本の国旗と『JAPAN NATIONAL TEAMS』の刺繍が目に入った。
「去年のインターハイで全国一……そしてそのまま世界大会の決勝戦でアメリカ代表を破って世界一になった、『世界一のドッジボールチーム』……それが『熱血高校ドッジボール部』なワケ」
「ま、マヂっすかーーーーー!?!?」
あたしだけじゃなく、チームの皆の目の色が変わった。
「こ、光栄でありますッ!!世界チャンピオンの方々から直接ご教授いただけるとはッ!!」
「世界レベルのテクニックを身に着けてシップ様❤にお見せできれば……❤❤『世界レベルのやべー女❤❤❤』になれますわ〜〜!!❤❤❤」
「なんともはや……。超一流アスリートの兄さん方とコネがあったとは、熊ッさんも隅に置けやせんなぁ」
「たまたまだよ。わたしの同級生だった子が、ここの部のキャプテンに世話になってるってだけだよ」
「でもスゴいっす!これなら本番でもイケそうな気がしてきた……!!」
「フッ……もう勝った気になってるとは……まだまだ青いな。なぁ、こうじ?」
しんいちさんが白い歯を見せて笑うと、こうじさんがそれに頷く。
「そうだな、鍛え甲斐がありそうだ。……さて、チーム<アルストロメリア>のウマ娘達……」
こうじさんは、あたし達5人を見渡してから―――
「今日は皆に……『必殺シュート』を覚えてもらう!!」
……………………へ?
このおにーさん、何言ってんだ。
―――――――――
「急なお願いだったのに……今日はホント悪いね、コージ兄さん」
そう詫びてから、わたしは軽くコージ兄さんにボールを放った。
「何言ってんだ。他ならぬ可愛い後輩の頼み、これくらいお安い御用さ。暇だったし、たまにはこういうのも悪くないからな」
「……『番長』、元気してる?今日は来れなかったみたいだけど」
「『アイツ』なら、今日も元気に授業サボって早弁してたよ。ヤボ用らしい」
「そっか」
「そう言うお前はどうなんだ?最近、テレビやネットで見なくなってたが」
「……脚、やっちゃってさ。リハビリは終わってんだけど、どうにもやる気が起きなくて、ね」
「そうか。……まぁ、そういう時もあるさ。……“撃てる”か?」
わたしにボールを放ってから、コージ兄さんはわたしに人差し指で手招きした。
「……ブランクあるけど……やってみますかねぇ」
ボールを振りかぶりながら、手首と指先に力を加えて、ボール回転を伝えることを意識しながら―――
―――投げる!!
空気を裂く音。そして橙色に輝きながらまっすぐボールは飛んだ。
―――バシッ!!!
コージ兄さんの胸の前で、スピンの残るボールが両手で止められている。
「……鈍ってないな。『貫通シュート』」
「『番長』に興味本位で教わったニワカ仕込み。他のコに通用するかはわかんないよ」
「確かにな。“このくらい”の技なら、スポーツ齧ってればなぁなぁの内に出来てしまうもんさ。ほら」
視線を促されて皆の方を見ると。
「おお!できた〜!」
「やってみればカンタンであります♪」
「す、すげェ……オレ達が半年近くかけて編み出した必殺シュートをこうも……」
「………………フッ……」
「嬉しそうですね、みつひろ」
4人とも、あっさりと必殺シュートをマスターしちゃってる。後輩ちゃん『分裂シュート』かぁ……ヒロシ兄さんの十八番をたった30分でモノにするとはねぇ。
「『型』は出来たようだ。ここからは実戦形式と行こうか」
「お?ってことは兄さん達と練習試合?大丈夫?わたしたちマジシュートしたら兄さん達……死んじゃわない?」
「今更何言ってるんだ?普通の連中とは鍛え方が違う。それに何も、相手は俺達だけじゃない」
「……それって―――」
ちょうどその時、コートの入場扉が重々しい音を立てて開けられた。
「すみませ〜ん、準備運動、終わりましたけど……」
!?この声って!?
「ね、姉さんっっ!?」
「あら、ラスカル??それにヴィクトリーちゃんも……もしかしてまだ練習中だったのかしら……?」
「スズカ先輩……!ってことはまさか……」
姉さんの後ろから、エアグルーヴ副会長にマチカネフクキタル、メジロブライトにメジロドーベルが連れ立ってコートに入ってきた。
「おや!これはチーム<アルストロメリア>の皆さん!」
「まだ練習中だったみたいね……」
「あらあら……どうしましょう〜?」
「ラスカルスズカ……これはどういうことだ?」
副会長のキツい視線が刺さってくる。こりゃたまらん。わたしは慌ててコージ兄さんに話を振った。
「コージ兄さん……コレ、どゆことよ」
こんな話、聞いちゃないっての。まさかチーム<フリージア>の皆さんをご招待とわねぇ……
さて聞かせてもらおうじゃないの兄さん。その魂胆ってのを、さ。
「……何事も、自分の実力を知るには『実戦』あるのみだ。それも、備え無しの『ぶっつけ本番』の方が良い。敵は待っちゃくれないからな」
「ソレでわたし達と姉さん達とを戦わせようとするって……ちょっと見ない間に“ぽんぽんブラック”になっちったのかな〜?」
「たまにはこういう立場も悪くないと思ってな。あと、相手になるのは俺達だけじゃない」
そう言うと、コージ兄さんは右手を掲げてパチンと指を鳴らした。キャラじゃないのにカッコつけちゃって。
「よっしゃぁ!オレの出番だ!!とぉッ!!」
声変わりしてない男のコの声が体育館に響く。
「あっ!あそこですっ!!」
フクキタルが指差したその先は、コートのガラス防壁の上。4、5メートルくらいの高さがある壁の上から、少年がひらりと飛び降りて、ドン!!!と三点着地した。
……って、大丈夫かい少年くんよ。その年頃であまり無理するなよー。
「………………………………」
スーパーヒーロー着地の態勢のまま、少年くんは数秒の間硬直していた。あ、やっぱりイタかったのねぇ。
「だ、大丈夫か、少年……?」
「……!心配御無用ッ!」
少年くんは副会長の気遣いにニカッと歯を見せて笑って応えて立ち上がった。
「……試合前なのに無茶するな。大怪我したらどうする?」
「ヘヘッ、どうってコトねぇって!」
「あの、その子は……?それに試合って……??」
後輩ちゃんが両目を「?」にしている。ついでに頭にも「?」を浮かべている。思惑通りと踏んでか、コージ兄さんは意地悪に微笑む。
「これから、俺達を交えて模擬戦をやってもらう!そしてその試合には、コイツも混ぜようと思ってな。面白くなるぜ」
「虹ヶ丘小学校6年!『ファイアーブレイブス』キャプテン!そして、くにお番長の一番弟子!このオレが!
……まさかの小学生参戦。
兄さん達よ、どーなっても責任取れんよ〜……?
ざっくり未実装ウマ娘紹介
サートゥルナーリア
スぺ先輩大好き三姉妹の三女。通称:サトコ。
スペシャルウィークグッズの収集と追っかけが趣味。
姉二人と比べて大人しめの性格で、同じくスペ好きなヴィクトリーとは割とよく話す仲。
東京レース場の地下バ道が苦手。
リオンディーズ
スぺ先輩大好き三姉妹の次女。通称:リオン。
読書と歌劇鑑賞が趣味の、知性的なインドア系。レースもデータを重視するタイプ。
特技はスペシャルウィークの全てのレースのタイムを諳んじられること。
東地区学生名鑑
~本作におけるくにおくんシリーズキャラ設定(原作設定とは微妙に異なります)~
熱血高校ドッジボール部
2年前、こうじによって熱血高校に新設された新しい部。
1年前まで、公式戦で一度も勝てず、校内からは『部費を無駄遣いしている』と陰口を叩かれ、一時は存続の危機にさえ立たされた。部費は毎月のように削られ、部室棟に部室はなく、校庭隅の使われなくなった用具倉庫を『部室』と称して無断で使用している。部員たちもあまり練習に乗り気でなく、部室に集まっては雑談したりバカ騒ぎしたりとダレていたが、この状況を何とかしようと思ったこうじが、転校したばかりで番長格まで上り詰めたくにおを勧誘した。
当初くにおは乗り気でなかったが、転校して最初の友人となったひろしの懇願もあり入部。スポーツ万能なくにおの活躍と、くにおに触発された部員たちの頑張りによって、全国大会で初優勝した。この頃、くにおにカリスマ性を見たこうじが、くにおに主将の座を託している。
その後日本代表として出場した世界大会で高校生ドッジボール世界一に輝き、その名を轟かせた。(『熱血高校ドッジボール部』)
また、サッカー部の面々が食中毒で倒れた際、彼らの助っ人として部員総出で全国高校サッカー大会に参加。サッカー部とともに全国制覇を成し遂げている。(『熱血高校ドッジボール部 サッカー編』)
しかし修学旅行の際、くにおをはじめとした当時2年生の面々が所謂『大阪抗争(『初代熱血硬派くにおくん』)』に巻き込まれてしまう。暴力沙汰を起こしたとして、ドッジボール部は半年間の対外試合出場停止処分を受ける羽目に。
主力メンバーが3年生となった現在は主に他の運動部の助っ人や、くにおを頼ってやってくる悩める高校生たちのトラブル解決を引き受けながら、練習をしたり、部室で談笑したりする毎日を送っている。
くにおの元に助けを求める熱血や他校の生徒のトラブルを解決するために奔走し、数多のケンカを繰り広げるうち、『くにお親衛隊』『くにお軍団』として一般の生徒たちに認知され、定着してしまったようで、故に『不良グループ』という有り難くないレッテルを貼られてしまっているところもある。
今回登場するのは3年生の5人だが、他にも2年生の『あきし』、1年生の『たけし』という部員もいる。
ひろし
初登場:熱血硬派くにおくん(1986)
熱血高校3年生。ドッジボール部所属で、選手兼マネージャー。
成績学年トップの秀才。各種スポーツも並以上にこなす、文武両道の優等生。
父は都議会議員も務める実業家で、育ちのいいお坊ちゃんである。
以前はいじめられっ子であったが、転校初日のくにおに助けられ、くにおの熱血高校での最初の親友となる。
くにおが腹を割って相談でき、弱音を吐くことのできる唯一の存在でもあり、くにおにとっては精神的にも重要な人物であるといえる。
こうじの勧誘とひろしの紹介で、くにおはドッジボール部に入部。ある意味、『熱血最強の助っ人』を生んだ立役者である。
『東地区最強の不良の親友』という重要な地位にいることにあまり自覚がない模様で、その関係でトラブルに巻き込まれやすく、くにおが様々な事件を知ったり巻き込まれたりするのも、ひろしがきっかけになることが殆ど。
同級生や後輩にも敬語で話す、気弱だが心優しい性格。ケンカの際も大抵は物陰に隠れているが、やる時はやるらしく、根性を見せ果敢に戦うことも。最近はくにおに影響されたのか、それともドッジボール部でのトレーニングの賜物か、普通のヤツに毛が生えた程度(くにお評)には強くなった模様。
趣味はヤンキー映画・任侠映画鑑賞。
こうじ
初登場:熱血高校ドッジボール部(1988)
熱血高校3年生。ドッジボール部副主将。
元ドッジボール部主将で、部の発起人でもある。
くにおが転校してきたばかりの頃、くにおにボールを取ってもらった際のシュートに惚れ込み、『三和会事件(『熱血硬派くにおくん』・『熱血硬派くにおくん すぺしゃる』)』解決後、くにおを正式に部に勧誘した。
全国制覇後は主将の座をくにおに譲り、自身は副主将としてくにおの良き右腕となる。
刺々しいボンバーヘッドという派手な髪型が目を引き、『ウニ野郎』とも云われるが、これは寝癖。
本人は見た目に反して、他人に対して細かく気配りのできる、ドッジボール部では貴重な常識人にして苦労人。縁の下の力持ちで、誰が呼んだか『ドッジ部のオカン』。他にも『トゲ頭のコージ』の異名も持つ。
細かいことを考えるのが苦手なくにおに代わり、ドッジボールの試合の作戦立案・指揮は彼が担当する。
くにおが巻き込まれるトラブルに付き合わされ、ケンカの経験を重ねる内になかなかの強さとなった。すっかり不良っぽさが板についてしまったが、常識的思考で行動できる分別の良さは失っておらず、『人格者として番長の域に達している』とも評されている『知の副番』。
しんいち
初登場:熱血高校ドッジボール部(1988)
熱血高校3年生。ドッジボール部所属。
不良行為の常習犯であり、くにおが転校してくる以前から、札付きのワルとして熱血では名の知れていた男。ダラける場所がほしかったのでドッジボール部に入り、練習もほとんどせずに部室でダレる毎日を送っていた。
こうじの幼馴染で、こうじに対しては何かと義理堅く、しんいちがドッジボール部に入ったのは、ドッジボール部が部活動として認可されるために、頭数を増やす意味もあった。
当初、くにおに対しては『気に入らないヤツ』と対抗意識を剥き出しにし、くにおのドッジボール部入部にも猛反対していた。くにおのドッジボール部入部の是非を賭けてタイマン勝負を申し込むも、完膚なきまでに叩きのめされた上、くにおの男気に触れたことで、くにおのドッジボール部入部を認め、同時に友情を結んだ。
見た目通りの攻撃的な性格で、気に入らないヤツにはすぐに突っかかる。だが、実は対人関係に関して非常に不器用であり、まともに相手と目を合わせて話すことができず、威嚇と目線隠しのためサングラスを常用していることから『グラサンのシン』の異名を持つ。
ただ女性には目が無いようで、よくナンパに繰り出すも尽く失敗している。
サングラス……というより『目線を隠す』ことに並々ならぬ情熱を持ち、試合中もスポーツサングラスを着用する。それ故、誰も彼のサングラスを外した素顔を見たことがない。
性格同様、試合・ケンカの双方で最前線の攻撃的ポジションに配置される、ドッジ部の特攻隊長。守りを捨ててとにかく前に出る攻撃的なスタイルの持ち主で、ケンカの実力は熱血ではくにおに次ぐ『武の副番』。
影村学園に従兄弟がいるらしい。
みつひろ
初登場:熱血高校ドッジボール部(1988)
熱血高校3年生。ドッジボール部所属。
中学時代、有名な中学生ドッジボールクラブチームに所属していた経歴を持つ。熱血高校入学後、こうじがドッジボール部を創ることを知り、その創設メンバーとなった。
寡黙で硬派な、身長2mに迫る静かなる巨漢。耳がデカいことから付けられた異名は『福耳のミツ』。背丈と併せて『大仏野郎』とも称される。
物事に対してどこか達観しているかのような価値観を持っており、口数は少ないながら、彼の言葉がドッジボール部の勝利(試合・ケンカ問わず)につながったことは多い。
そのがっちりとした体格に惚れ込んだ格闘技系の部活に何度か勧誘されたことがあるが、本人に格闘技経験はないこと、そしてドッジボール一筋であることから、やんわりと断っている。
試合やケンカのスタイルはとにかく『待ち』の一択。ドッジボール部員で最も優れた動体視力と、それに裏打ちされたキャッチテクを持ち、ケンカの際も相手の動きを見切り、的確なカウンターを返す戦法を得意とする。
自分が不良と思われていることについては馬耳東風、特に気にしていない模様。
食事3人前をあっという間に平らげる健啖家。しかもグルメであるらしく、熱血高校周辺の買い食いスポットをひそかにランク付けしているとか。
いちろう
初登場:熱血高校ドッジボール部(1988)
熱血高校3年生。ドッジボール部所属。
眩いばかりの丸坊主頭がトレードマークの、ドッジボール部のトリックスター。
虹ヶ丘で一番大きな寺の一人息子で、高校卒業後は跡を継ぐために本格的な修行に入るという。異名は『仏のイチ』。
一人称は『拙僧』。時折仏教用語を引用して常に敬語で話し、一通り経も上げられるなど、徳の高そうな印象を受ける。だが本当はかなりの目立ちたがり屋で、『僧侶キャラ』も自分を埋もれさせないための演技であるらしく、たまに『素』が出る。
基本的には『御仏に仕える僧が暴力に訴えるなど以ての外』と暴力反対のスタンスを見せるが、『口で言って解らぬなら五体五感五臓六腑に刻み込む他無し』とあっさり持論を翻してケンカに参戦することが多い。
小学生に間違えられるほどの小柄な体格と足の速さが自慢。対照的にガタイのいいみつひろと並んだ姿はさながら『坊主と大仏』である。
試合・ケンカの両面で、機動力を活かして敵陣に切り込んで相手を撹乱、囮に徹することが多い。
初登場:爆熱ドッジボールファイターズ(2001)
虹ヶ丘小学校6年生。
小学生ドッジボールクラブ『ファイアーブレイブス』キャプテン。
以前、中学生の不良に絡まれていたところをくにお達熱血高校ドッジボール部の面々に助けられ、それからはドッジボール部の面々、特にくにおを兄貴分として慕うようになった。
怖いもの知らずな性格で、単純な熱血小僧。東地区最強の不良であるくにお相手でもタメ口で話せる度胸の持ち主。ドッジボールにかける情熱は人一倍で、熱いドッジボール魂を持つ。ヒートアップすると頓珍漢なことを口走ることも。
放課後には毎日のように熱血ドッジボール部の部室に通い詰めていて、ドッジボール部メンバーにとっては『生意気で可愛い弟』といった存在。
くにおを目標に練習に励んでおり、ナッツシュートを疑似再現した『マッハシュート』を独自の技術で成功させ、さらにはストリートダンスを取り入れた、空中戦メインのアクロバティックなプレイスタイルを編み出すなど、ドッジボールの素質はくにお以上のものを感じさせる。
この数年後、中学生チームとして再結成された、桜率いる『ファイアーブレイブス』が、ジュニアドッジボールリーグで優勝を成し遂げる―――のは、また別のお話。
―――――――――
お待たせしてスミマセンでした……
いやぁ、今度はコロナですよ、ハイ……なんで今年はこんなに不健康なんでしょーか、稚拙は……
さて今回サプライズ登場しました『桜龍太朗』くんですが、厳密にはくにおくんシリーズのキャラではなく、2001年にアトラスさんから発売された『爆熱ドッジボールファイターズ』の主人公です。
ゲーム内容はほぼまんま『熱血高校ドッジボール部』を現代的にアップデートしたもので、タイトル画面のBGMでもう……!!
なんでもテクノスジャパン倒産後、「ミリオン」という会社がくにおくんシリーズの版権を管理していた時期にアトラスさんが製作したゲームだそうです。
現在ではほとんど注目されておりませんが、これがかなり面白い!「ダッシュマン」でチームメイトを操作しながら変幻自在の空中殺法シュート!なんてテクもやったりして、相当やり込んだ覚えがあったもので。
もしプレイする機会があればぜひ。
次回、スズカVSスズカ。