やはり俺が彼女をレンタルするのはまちがっている。   作:肌石友樹

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 原作では、和也が満足度を☆1にしたことでちづるの平均レビューが0.3下がったと言っていました。それまでは満足度オール☆5であったとも。つまりこれは計算しろってことですよね!ということで、活動報告に計算過程と計算結果を書いておいたので、興味のある方はぜひ!


第3話 奉仕部と彼女 -ホウカノ-

「え、比企谷くん?」

「ッ!?」

 

 何故だ何故だ何故だ何故だ、なんでここに雪ノ下雪乃がいるんだ。

 

「あれ?ゆきのんどうした…の…」

「由比ヶ浜も…」

 

 まずい。正直今すぐ走って逃げたいが、この状況で水原さんを置いていくわけにはいかない。

 

「あのー、もしかして八幡君のお友達?」

「い、いや。友達だったというか、何というか…」

 

 こんな会話をしていないで、早く水原さんを連れてここから逃げ出さなければ。これ以上雪ノ下達と一緒にいたくはない。

 

「は、八幡君って…」

「ね、ねぇヒッキー?その隣にいる人って、ヒッキーとどういう関係というか、もしかして…」

 

 水原さんは雪ノ下達に向き合ったはその問いに答えた。

 

「はじめまして。私、八幡君の彼女の水原千鶴といいます」

「…」「…」「…」

 

 この女、言いやがった。俺はもうここから逃げることはできないらしい。

 

「え…」

「そ、そうなのね…」

 

 やっべー、やっべー!どうしてくれるんだよこの空気!しょうがない、ここは流れに乗って水原さんを彼女ということにして、この場を乗り切るしかない。流石に彼女とデート中なら気を遣ってすぐに俺たちと別れるだろう。

 

「あ、あぁ。そ、そうなんだ」

「…分かったわ、比企谷くん。水原千鶴さん、って言ったかしら。ちょっと私とあっちで話をしましょう」

 

 そう言って、雪ノ下は改札前の階段裏を指さした。やろうとしていること、チンピラと変わらない気がするんですけど…。

 

「それは…」 「いや、ちょっと待ってくれ雪ノ下。それ」

「比企谷くん、あなたは黙ってて」

 

 雪ノ下から恐ろしいほどの圧がかかる。どうやら世の中の女性というのは皆、覇王色の覇気を習得しているらしい。

 

「申し訳ないけど、由比ヶ浜さんは比企谷君と話してもらってていいかしら。じゃあ行きましょうか、水原千鶴さん」

「は、はい」

 

 雪ノ下にたじろいでいる間に、雪ノ下と水原さんは陰に消えて行ってしまった。つまり、この場に残ったのは俺と由比ヶ浜のみ。結局気まずい状況には変わらないというわけだ。

 由比ヶ浜は黙っている。俺たちの間の沈黙は俺にとっては永遠のように思えたが、その永遠に続くかと思えた時間は、由比ヶ浜が口を開いたことで動き出した。

 

「ひ、ヒッキー?」

「あ、あぁ」

「ヒッキーの彼女さん、ちょー美人さんだね!あたしびっくりしちゃった!ゆきのんぐらい綺麗っていうか、かわいいっていうか?すっごくお似合いだね!そっかー、ヒッキー、彼女出来たんだー。うん、いいことだ!いいことだよ…」

「あ、あぁ…」

 

 もう今更、水原さんが実はレンタル彼女だなんて言えっこない。というか、由比ヶ浜とまともに会話をすることすらままならないだろう。どうしても、彼女達を前にすると言葉がのどでつっかえてしまう。

 

「あのね、ヒッキー。ゆきのんはさ…」

 

 由比ヶ浜はその先の言葉を紡がない。恐らく足りない頭で精いっぱい考えているのだろう。

 

「ううん、何でもない。これはあたしの口から言うべき言葉じゃないと思う」

「そうか…」

「あっ!ゆきのんと千鶴さん帰ってきたよ!」

 

 雪ノ下達のほうを見ると、水原さんは雪ノ下の後ろを居心地の悪そうに歩いていた。

 

「悪かったわね、時間取らせちゃって。由比ヶ浜さん、これ以上比企谷くんたちのデートを妨げないよう、お邪魔虫はさっさといなくなりましょう」

 

 どうやら水原さんは自身がレンタル彼女だと雪ノ下に言わなかったようだ。

 

「うん、そうだね…。じゃあね!ヒッキー!千鶴さん!」

「水原さん。また会いましょうね」

「は、はい。お二人ともさようなら」

「…じゃあ」

 

 雪ノ下達は交通系ICカードを取り出し、改札の中へと入ろうとする。俺たちも元々は駅の改札で別れようとしていたわけだが、流石に雪ノ下達と一緒に帰ることはしないのか、水原さんは俺と一緒に見送っている。

 

「比企谷くん」

 

そんなことを考えていると、雪ノ下がこちらを向いて俺を呼び掛ける声が聞こえた。

 

「私、家の通りに生きることはやめたの」

「…そうか」

「またね、比企谷くん」

 

 そう言って、雪ノ下達はサラリーマンたちの喧噪の中へと消えていった。

 

「疲れた…」

 

 まさか、レンタル彼女サービスを利用している途中に雪ノ下達と会うとは思わなかった。気を取り直して、水原さんと別れるか。

 

「疲れたはこっちのセリフよ!」

 

 聞いたことのない、女の怒鳴り声が聞こえる。誰だ?もう雪ノ下達は帰ったし、ほかに女の人なんて…。あ。

 

「聞いてるの?あなたどういうつもり!?」

 

 俺の目には、俺への怒りを募らせ大声を出している水原千鶴が映っている。こいつ、ついに本性を現したな!

 

「ここは人通りが多すぎるから、とりあえずこっち来て!」

 

 俺は水原千鶴に手を引かれ、階段裏の影へと連れていかれた。ドナドナドーナードーナー♪

 

― ― ― ― ― ― ― ― ― ―

 

「…雪ノ下がそんなことを」

 

 水原千鶴の話をまとめると、

・水原千鶴は俺と別れてはならない。ちゃんと俺を幸せにすること。

・もし水原千鶴が俺と別れた場合、雪ノ下雪乃は何をしでかすか分からない。実家の力を借りるかもしれないわね。

 

「マジで何言ってるの?」

「私が聞きたいわよ!」

 

 雪ノ下が言いたかったことは全く理解できないがが、一つだけ分かることがある。それは、今回のことに関して、水原さんは完全にとばっちりを受けたということだ。

 

「いい?レンタル彼女ってのはね、利用者のプライベートに関わらないものなの。トラブルのもとなわけだしね」

 

 たしかにその通りだ。彼女らはあくまでレンタル彼女というサービスを提供しているれっきとした労働者だ。そんな彼女らをプライベートに巻き込むなど、営業妨害も良いところだろう。ところで、俺今死ねって言われなかった?

 

「今回のことは完璧にこれに該当する。大体あなた友達じゃないって言ってたじゃない。だから、マニュアル通り男の自尊心を高めてあげようとしたのに…。いえ、それこそこれはプライベートなことだから言わなくていいわね」

「あぁ、正直そうしてくれると助かる」

「で、これからどうするつもり?あの人たちに会うたびに私をレンタルするつもり?」

 

 流石にこれ以上、水原さんに迷惑をかけるわけにはいかない。ここは、俺がかたをつけるべきだろう。

 

「俺があいつらにあんたとはもう別れたって説明する。それでいいだろ?」

「いいけど…。でもあの人の言ってたことはどうするの?」

「そこからは俺のプライベートってやつだ。だから気にしなくていい」

 

 ふっ、決まったな。あとはここでジョジョ立ちを披露すれば完成だ。

 

「いや、私も巻き込まれてるからプライベートとかじゃないでしょ」

「…確かに」

「つまり、あなたがあの人たちを説得するってことよね」

「まぁ、そういうことだ」

 

 駅の次の電車の時刻を見ると、元々の解散予定時刻を三十分ほど過ぎていた。

 

「イレギュラーなこともあったけど、そろそろ解散しましょうか」

「確かにもう遅いしな」

「じゃあ、はい」

 

 そう言って水原さんは俺に向けて両手を差し出した。もしかして、お手をしろっt(略)

 

「何?」

「何って延長料よ。三十分延長だから××円ね」

 

 マジかよ、その三十分の延長のためにコンビニで一時間以上働かなくちゃいけないとかバグだろ。まぁ俺はコンビニバイトなんかしないけど。普通に重労働って聞くし。

 

「…はいよ」

「はい、ちょうどですね」

「じゃあこれで解散だな。今日は迷惑かけて悪かったな」

「この仕事やってると色々あるわよ。今回は妹さんが勝手に予約したらしいけど、また会いたくなったら呼んでね、八幡君!」

 

 そう言った彼女は、改札を通り、改札へと向かっていった。レンタル彼女として働く彼女は、俺のような迷惑客にでも最後までプロであった。

 

「…俺も帰るか」

 

 俺も雪ノ下雪乃、由比ヶ浜結衣、水原千鶴が通った改札を通り、帰路へと着いた。

 

― ― ― ― ― ― ― ― ― ―

 

 アパートに着いた俺は、まず真っ先に小町へと電話を掛けた。もちろん今日レンタル彼女を予約したことを詳しく問いただすためだ。

 

「もしもーし、小町でーす」

「八幡でーす」

「キモいよーお兄ちゃん?」

「おい小町、よくも兄を騙してくれたな?」

「それに関しては申し訳ないと思っているけど、悪くなかったんじゃないの?一応新人さんの中では一番評判が高い人を選んだんだけど」

 

 水原さんってそんな評価高かったのか。確かに最後のアクシデントがなければ非の打ち所がない完璧な彼女って感じだったしな。

 

「沈黙はYesと捉えるぜお兄ちゃん」

「色々あったから疲れてんだよ…」

「今日お兄ちゃんを騙しちゃった代わりと言っては何だけど、お父さんに頼んでお兄ちゃんへの仕送り増やしたから、それで勘弁して!」

「マジか」

 

 おお親父よ、娘の頼みごとを何でも聞いてしまうとは情けない。

 

「あ、そうだ。俺に成りすましてレンタル彼女を予約したってことは、アカウント作ったんだよな?パスワード教えてくれない?」

「え…。お兄ちゃん、もしかして本当にレンタル彼女にはまっちゃったの?あくまで女子と話す練習をしてほしくて頼んだのに、小町悲しいよ…」

「ちげーよ…。レビュー機能があるらしいから、送ってあげようかと思ってな。一応、今日一日世話になったわけだし」

「ふーん、まぁ何でもいいけど。えーっと、メールアドレスはお兄ちゃんがいつも使ってるやつで、パスワードは**********に設定した!」

「設定した!じゃねぇよ。何普通に俺のメアド使ってんだよ」

「だって実際にレンタル彼女と会うのお兄ちゃんじゃん」

「もう何でもいいや…。じゃ次は俺への仕送りが本当に増えてるか確認したときにでもまた電話かけるよ」

「現金なやつだねー、じゃまたねー」

「ああ」

 

 さて、小町への追及も終わったことだし、水原さんへのレビューをしてさっさと寝るか。明日は大学の講義朝からあるしな。

 

― ― ― ― ― ― ― ― ― ―

review ☆☆☆☆☆

user ペプシマンVer.MAXコーヒー

 悪かったところを列挙していくつもりでしたが、できなくて残念です。

― ― ― ― ― ― ― ― ― ―

 

 朝七時、アラーム音が俺の部屋に響き渡る。最近流行りの(俺調べ)アラーム音は和太鼓だ。ちなみに結構実用的。

 朝食を食べ、持ち物を鞄に詰めて玄関の靴を履く。

 思い出すのは、昨日彼女としてレンタルした水原千鶴。彼女と会うことはもうないだろうが、彼女と結んだ約束は守ろう。そう決意を改めて固め、玄関のドアを開ける。

 

「はっ!?」

 

 朝っぱらからはっ!?とはずいぶんな言われようだ。声のした方を見ると、どうやらお隣さんも同時に部屋を出たらしい。見たところ、女子大学生だろうか。もしかすると俺と同じく板橋大学かもしれない。とりあえず良き隣人としての関係性であるため、挨拶でもするか。

 

「はじめまして、少し前に越してきた比企谷八幡です」

 

 もう一度、目の前のお隣さんを見る。何か見覚えがあるような気がする。

 

「なんであんたがここにいんのよ!?」

 

 なんでって言われても、お隣さんなのだから仕方がない。しかし、やはりこの女には見覚えがある。というかこの声…。

 

「もしかしてお前、水原千鶴か?」




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