TS転生したらハーレム主人公の親友ポジだった 作:まよねえず
欲望に従ったらこうなってしまった。
しょうが無い、六大栄養素の一つだもんね。
よろしくお願いします。
「藤井先輩!今日一緒に帰りませんか」
「あ~ごめんな……ちょっと」
……。
「藤井君、もしよかったら……さ。今日、遊ぼうよ」
「悪い、予定あるんだ」
……。
「別にお話相手ぐらいなら手伝ってあげてもいいけど」
「お願いしてないんだが……」
……。
『2年A組藤井祐樹、至急生徒会室へ』
「……またあの先輩かよ。帰ろっかな」
……。
「……祐樹君」
「ゲッ──ん゛ん。ど、どうしたの花佐さん」
「これさ、あげる。もしよかったら食べてよ」
「……ありがとう」
……。
「……行ったか、あいつの渡してくるもの異物が混じってんだよな。捨てるか」
……チッ。
「なんで俺ばっかりこんなに女子から好かれるんだよ」
……は?
「俺は平穏に暮らしたい。こんな生活望んでないのに」
うるせえ。
「後輩から好かれて、同級生から好かれて、ツンデレから好かれて、先輩の生徒会長に好かれて、ヤンデレに好かれる。いやいやいらねえよ」
……。
「──黙れよお前!」
「おうぇえ!?いきなり喋んなよ驚くだろうが!」
◇
突然だが、私は転生者だ。死因は語る必要がないので省くとして、私は転生したら桐原春香という女になっていた。
まあ俗に言うTS転生みたいなことだ。前世の記憶もばっちり残ってるのでばりばり男の意識である。女性に興奮はしなくなったが、男にも興奮しないので性対象はよくわからない。
と、まあここまでは私も許せた。前世がモテない冴えない喋れないの私でも、女になればイージーモードだって思ってたし。
実際、イージーモードだった。今世の私ははっきり言ってめちゃかわだし、声もいいし、性格も優しくしてるつもりだ。
これを聞く限り何もないように思えるだろう。のんのん、ここからだ。
私の小学校からの親友、藤井祐樹。こいつだけは許しておけねえ。
後輩ヒロイン同級生ヒロインツンデレヒロイン先輩ヒロインヤンデレヒロイン。
ヒロインヒロインうるさすぎだろ!!!
そう、祐樹はハーレム主人公だった!
ここがゲームの中かは知らないが、ゲームだったらこいつは無事に主人公の座についているだろう。何もない平凡な奴なのに沢山の奴に好かれる。主人公と言わずにしてなんという。
まあ一言で簡単に言えば、祐樹は私みたいなやつから嫌われている。いわゆる非モテの人から……って何言わせてるんだ。私も今世ではモテてるし……男から。
言っておくが、私と祐樹の関係はただの親友だ。周りからどう見られてるかなんて気にしていない。親友ポジ、そう親友ポジである。
一応祐樹は男で私は女だが、あいつは私を女として認識してないと思う、むしろ男友達として見ている節がある。
それはそれで助かるが。
「で、俺の何が悪かったんだ」
「うるさい。一言一言モテ自慢しやがって」
また私の目の前でムカつくやつが喋っている。
黙れ黙れ。お前に私の気持ちなんてわからないんだ。悲しく一人でクリスマスやバレンタインを過ごした私の気持ちなんか。
「私は激おこぷんぷん丸です」
「きっしょ」
「最低」
「えぇ……」
相変わらず人をムカつかせる天才だ。その手の大会があったら二位に圧倒的な差をつけて優勝してることだろう。
私が怒っているのは祐樹がモテ自慢をするのもそうだが、こいつのせいで私が苦しめられてるものある。
詳細は言わない。少しだけ言うなら女の嫉妬は怖いってことだ。
ていうわけで
「今日お前んち行くから」
「っへ……?いやこの年になって男女が──」
「拒否権ないから」
「……うっす」
今日からこいつの自慢話を聞かないようにハーレムの中の誰かとくっついてもらうことにしよう。
れっつごー作戦会議。
◇
「実際どう思ってんの?」
「可愛いよな」
「うっわ」
開幕早々嫌な言葉が聞こえてきた。まずい、この右腕を抑えなければ救急車を呼ぶことになってしまう、耐えろ私。
けどあながちこいつが言ってることは間違っていない、実際可愛いし。私の方が可愛いのに……ってなんだ今の思考、こわ。
謎の思考は置いておいて、今は祐樹と話しているんだった。はやくこいつがハーレムの娘をどう思ってるのか調べることにしよう。
「恋愛的にどう思ってんの?」
「どうって……ないだろ。俺は平穏に暮らしたいだけだし、望んでねえよ」
「許さねえ、消えろ」
「あっちょっと危ないって!」
おっと、いけない。つい殴りかかってしまった。私としたことが、人を傷つけるところだった。
……いやいや、しょうがないだろ。私が祐樹の立場だったら速攻で全員好きになっているところだ。それを祐樹はむしろ嫌そうな顔している。ギルティ、許されない。
「あら、春香ちゃんまた来てくれたの?いつも面倒見てくれてありがとうね」
「お邪魔しています。私が勝手にしているだけなのでお気になさらず」
「……猫かぶりすぎだろ」
「……けっ」
「んぼえっ!」
手が出てしまった。祐樹のお母さんと会ったのだから挨拶は必要だろう。相手によって言葉も変える、一般常識だ。私はできる人間なのでTPOを弁えるのだ。
むしろ祐樹がおかしいのだ。先生にもたまにため口だし。不良とまではいかないが目はつけられてるんじゃないだろうか。
「やっぱりお前俺にはちょっと厳しくないか?」
「自分の生活を振り返ってからでもそう言えるか?」
「……学校でも二人きりの時はなんか適当だし、俺に厳しいよな」
「そっちじゃねえよ。いろいろな奴にモテやがって」
はて、どうしようか。ハーレムの誰かとくっつけようとは言っても、どうすればいいのか分からない。適当に遊びの約束でも立ててあげればよいのだろうか。
……とりあえず祐樹の連絡先ハーレムのみんなに教えてあげるか。あとは勝手に仲良くなってくれるだろ。私は面倒くさいことはやりたくない。
勝手に彼女でも作っとけ。
ピコン♪
「?」
ピコンピコン♪
「んん?」
ピコンピコンピコン♪
「おいお前」
あ、電源切った。
目が笑ってないですって。
ま、まずい。何か弁解しなければ。
「いやさ、みんな祐樹の連絡先欲しいって言ってたし」
「……はあ」
許してくれた。ていうわけでは無さそうだ、むしろ呆れられてる。なんだいつもの事か、じゃあ大丈夫だ。
相手が許してくれてても私は許さないがな。
「祐樹が彼女を作ってくれればいいのに」
「……となりたいとは思ってるんだよな」
「なんか言った?」
「いや?」
何か祐樹が喋ったと思ったが気のせいだったらしい。
私は親友ポジとして役割を果たせ無さそうだ、ゲームの奴らはすごいよ。あんな綺麗に引き合わせるなんてできっこない。
こんな今モテにモテている祐樹だが、中学生の頃はこんなんじゃなかった。普通の少年だったのに、なんで今はこんな風になってしまったんだ。
高校生二年生になった途端モテやがった。
……いや、やめようこの話は。思い出すだけでムカつくし、なにより前世の私が可哀想だ。
「祐樹」
「……?どした」
「私やっぱりお前嫌いだわ」
でもそう思ってても一緒にいるのは至極単純な理由で。
「その言葉そのままお返しだ」
「……最低」
「は?」
一緒に居るのが楽しいからだ。