TS転生したらハーレム主人公の親友ポジだった   作:まよねえず

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10月中に出せました。
なんかもうTS娘になりたい(末期)


親友ポジだしプール行く(後)

 ここ直近、親友を見直したことがある。

 

 学校でハーレム築いて楽しんでいただけだと思っていたが、少しは成長するようだ。

 

 ナンパ……というかほぼほぼ誘拐行為から私を助けてくれた。

 普通のナンパだったら言葉一つ返すだけでどうにかなったかもしれないが、今回の相手は引くどころか強引に手を引っ張ってきた。

 一応女の中では力がまあ強い方だとは思っているが抵抗は何一つも意味を為さなかった。

 

 ……そんな時に助けてくれた。

 昔はあんなに小さかった祐樹に助けられる。

 

 大きい体だと思った。助けに来た時の表情が凛々しかった。

 

 

 なんというか、人間誰しも成長するものなんだなと思った。

  

「お昼食べれるか?」

「……残しちゃだめだろ」

「それはそうだけど」

「祐樹も一緒に食べよほら」

「……いただきます」

 

 いただきますと後に続けて言って、祐樹が買ってきたホットドッグに手を付ける。

 

 いろいろあったせいか、少々冷えてしまっているが問題はない。

 口に含み飲み込むとお腹が満たされるのを感じる。自分でも思った以上にお腹が空いていたようだった。

 

「……その、さっきはありがと」

「……?」

「え、いやナンパから助けてくれたじゃん」

「……ついに春香にデレ期到来か?」

「は?」

「モググ?!」

 

 変なことを口に走っていたので口を塞いでおいた。

 塞ぐのに使用したのは祐樹が食べていたホットドッグ。ちょうど良いところに置いてあったので塞ぎやすかった。

 

 未だ口いっぱいで味わっている祐樹をよそ目に見ながら私の分のホットドッグを食べる。ほっぺデカすぎ、ハムスターかよ。

 必死に飲み込もうとしてるらしいのでせめてもの慈悲ということでお茶を置く。

 

「──ぷはっ。……大変言いにくいのですが」

 

 祐樹が私の食べているホットドッグを指さし何かを伝えようとしてくる。

 

 ……なんてことない普通のホットドッグだ。何か問題でもあったのだろうか。

 何か事情を知っていそうな本人は顔を赤く染めるだけだし。

 

 と、祐樹が口を開いた。

 

「ホットドッグ逆です」

「はっ?」

 

 ……。

 

「というと?」

「簡単に言うと俺が春香の分を食べて春香が俺の分を食べて間接キ──」

「言うな」

「はいごめんなさい」

 

 これは、小さいときも何度かしたことのある食べ物のシェアみたいなやつだ。いや同じ食べ物だけども。

 そう、今までに何度もしてきたことだ。

 

 というかお前がそんな風に言うから余計そういう風に感じてきてしまうじゃないか。

 親友だし別にこれぐらい……普通だし。

 

「……それと一つお願いがあるんだけど」

「何?」

 

「手、放してもらってもいい?」

 

 言われて初めて気が付いた。ホットドッグを食べている手とは反対の手を根本から辿ると、ある一か所で別の手と結ばれていた。

 

「……ごめん、放すよ」

「……ぁ」

 

 

 ──もう少しだけ。

 

 何ていう独り言は相手に伝わるわけなかった。

 

 

 最近の夏は暑いもので、体はすぐに火照ってしまう。

 

 そんなところ、今日はプールに来てよかったと思っている。

 

 今私たちが居るところは先ほども言っていた流れるプールだ。ぷかぷか浮いているだけで体が勝手に流れてくれるので楽の一言である。

 その代わり老若男女問わず居るおかげで、かなりの人で溢れかえっている。

 

 少し気を付けないと一緒に来た人とはぐれてしまいそうだ。

 

 

「祐──……はぐれた」

 

 思った傍からこうだ。気を付けないといけなかったのは私の方だった。

 

 ここははぐれないように手でも……とか言っとけばよかったんだろうか。

 でもそれはなんか負けた気分になるんだよな。

 

 そんなことを思っている間にも水の流れによって体がどんどんと流されていく。

 変わらず周りには人も多いのでこのままだとさらにはぐれてしまうだろう。

 

 そこで一旦プールから出ることにした。

 

 中に居るだけじゃ見つかるものも見つからないわけだし。

 一度全体像を軽く見るだけで十分だ。私の頭には祐樹センサーがついていてすぐに見つけることができる。

 

 ほら、丁度奥の方に祐樹の姿が見えた。ちょいと離れているが遠すぎるというわけでもない。歩けばすぐの距離だろう。

 

 じゃあ──て待て。

 

 どこかで見た展開だ。

 

「あ、祐樹君いたんですね?」

「ま、まあちょっと……花佐さんもいたんだね」

 

 祐樹に会おうと思ったら既に先客が居る。しかもハーレムの娘。

 少し前にも卯月さんとも会っているし、やっぱり何か人を寄せ付ける能力でもあるのだろうか。

 

 今回会った人は菜依ちゃんだ。ハーレムの中で一際異彩を放つヤンデレちゃんこと菜依ちゃんだ。

 

 ほら、見てみるといかにも『祐樹の彼女です』感を完全に出している。

 

「いやぁ……偶然ですね?まさか夏休み初日に行ったプールで祐樹君と出会うなんて。……運命、ですかね?」

「ちょっと違う気がするけど……」

「……偶然、ですね?」

「……すごい偶然ですね」

 

 二人の会話を聞き、一つ疑問が浮かんできた。

 

 

 菜依ちゃんストーカー疑惑だ。

 流石にプライバシーに関わることはしないか?いやでも祐樹が好き好き大好きな菜依ちゃんならやりかねないし。

 大好きな人と夏休み初日に行ったプールで偶然出会いお話をする。あまりに出来過ぎている。

 

 ……してないとは信じたいが。

 

「それにしても祐樹君すごいね」

「?」

「あんなにイチャイチャするなんて。私という存在が居ながら春香さんと……」

「はい?」

「一緒にスライダーなんて走って危険なナンパ師から助けたり挙句の果てには食べ物のシェアとか」

「……」

 

 聞いていない、私は何も聞いていないぞ。けど一つ分かることはと言えば菜依ちゃんストーカー疑惑が疑惑でなく確信に変わったことだ。

 

 完全に油断していた。祐樹はハーレムの娘たちをおびき寄せる魔力があるのだ。綾乃ちゃんだってそうだった。

 まさか一番見られたくないところを見られていた。

 

 いけない、このままだと何故か恥ずかしくなっていく一方だ。

 

「話は変わるんですけどぉ……今日。親居ないんですよ」

「えっ」

「……一緒に、どうです?」

「」

 

 顔を赤らめての上目遣い。

 菜依ちゃんは必殺の『お誘い』を使った。美少女の特権だ。

 

 ……もし着いて行ったらどうしよう。

 

 流石にないと思うが。ハーレムウハウハ~で楽しんでる祐樹もある程度の節度は守っているはずだ。

 

 第一私置いて行って他の女の家に着いて行くな。優しい美少女な幼馴染の私でもキレるぞ。

 

「ダメでしょ?」

 

 そうだ、私がさせなければ済む問題であった。

 

 二人の間に割って入って祐樹の代わりにお断りの言葉を入れておく。

 ていうか祐樹、早く断っとけよ。速攻否定以外の言葉ないだろあのシーンは。

 

「あ、春香。ごめんなんかはぐれて──ってなんか機嫌悪いですか?」

「……良いところだったのに」

「花佐さん?……流石にあの言葉はどうかと思うよ?」

「……悪いですか?私は聞いただけだし、勝手に断る方が良くないかと」

「お二人とも一度深呼吸を」

「「黙ってて」」

 

 そうだ、黙っておけ。ここはお前が出ていい幕ではない。

 いわば、戦争だ。とことんやってやろうじゃないか。

 

 この大好きだからといってすぐに家に連れ込もうとする淫乱なヤンデレ痴女を、叩き直さなければならない。

 

「……大体家に連れ込むとか何考えてるの?」

「まだ連れ込んでないです~。あくまで同意を得ようとしただけなんですけど。話が飛躍しすぎなんですよ」

「……そうかもだけど、それにしても連れ込もうとしたって時点でダメじゃないの?」

「ていうか春香さんは祐樹君の何なんですか?関係の無い話じゃないですか?」

「……それは」

 

 確かに、菜依ちゃんの言う通りかもしれない。誘いを入れたのは祐樹に対してであって私ではない。

 でも、それは。断ったのは。

 

「……私が嫌だから」

 

 じゃあ、なんで私は祐樹を止めた?

 

 ……家に着いて行って欲しくないから。

 

 

 なんで家に着いて行って欲しくないのか?

 

 ……他の女の家に着いて行って欲しくないから。

 

 

 それはなぜ?

 

 ……嫌だから、なぜかモヤモヤするから。

 

 

 そのモヤモヤとは?

 

 ……祐樹が他の女と喋っていると胸が痛くて、奥底が燻っていて。

 

 

 なんでだろうか?

 

 ……思えば、ついこの間まで普通に接することができたのに、最近では自分の気持ちが浮いていてよく分からない。

 別に、接することができないわけじゃない。ただ接すると気持ちがどこかに行って安心感が生まれて。

 

 

 一つ、思い当たる感情があるんじゃないのか?

 

 ……。

 

 それを一回でも思ってしまうと、自分の何かが変わる気がする。

 決して悪い方へじゃないけれど、大事な何かが変わる。

 

 

 近くに居るだけで安心感が得られる。

 近くに居るだけで幸福感が得られる。

 特定の相手に対して、ずっと一緒に居たいと思える。

 

 

 答えはずっと近くにあったものだ。私だってハーレムの皆と一緒じゃないか。

 

 ヒントはいくらでもあったのに気づかないふりをしていて。

 

 私は祐樹の事が──

 

 

 

 ──好き、なんだ。

 

 菜依ちゃんにも綾乃ちゃんにも桜ちゃんにも朱里ちゃんにも葉風さんにも負けないくらいに。

 絶対に、負けないくらいに。

 

「私は、祐樹の事が──」

 

 好きなんだ。あとは、その一言を言うだけだった。

 

 

「俺と春香はさ、小さいころから一緒に居た幼馴染なんだよ。だから基本春香に従うっていうか、親友とか保護者みたいな。だからごめん、断るよ」

「親友とか保護者……祐樹君がそう言うならしょうがないか。うん、じゃあお邪魔虫はこれで。……あっ、いつでも家に来ていいから、ね?♡」

「えぇ……」

 

 ……。

 

「……ふぅ、行ったか。俺花佐さん苦手なんだよね。……春香?」

「……ごめん、ちょっと急な用事思い出した」

「え?いや前日に確認いっぱいしたって言ってたじゃん」

「本当にごめん。言うの忘れてた。午後からちょっと入ってたんだよね。精一杯楽しんできて!私は先に帰ってるから」

「……おい春──」

「じゃあまた明日!」

 

 そう言って一人で更衣室へ向かい帰る準備をする。

 

 ……こんな顔見せられないし。

 

 

 元より私は祐樹の親友ポジ、なのだから。

 勝手に期待したのは私、勝手に好きになったのも私。

 

 全部、私が悪いんだ。




早い気もするけどTS娘は堅そうに見えてちょろいし。
あとなんかゴメンTS娘。
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