TS転生したらハーレム主人公の親友ポジだった 作:まよねえず
早く……早くくっつけなければ(使命感)
TSっ娘をくっつけることにより私は究極技『糖死』を発動するんだ。
藤井祐樹。私がこの世で最も憎むべき存在だ。一応、小学校からの付き合いであるが腐れ縁だ腐れ縁。なぜか離れられない。
そして離れられないまま高校生になって、急にモテ始めた。だからこそ私は憎んでいる。
そしてそんな奴は今──
「いや朱里ちゃんもさそう思うでしょ?」
「はいっ!」
私の目の前でモテ自慢をしていた。
朱里ちゃんとは、松前朱里。分かるように伝えるなら後輩ヒロインである。小柄な身長から繰り出される圧倒的な上目遣い。私がやられたら速攻で落ちている。
が、祐樹は平然と受け流す。こいつ男か?ついてんのか?何がとは言わないが。
祐樹と朱里ちゃんの出会いは、学校外でのことだった。私と祐樹が出かけているときに、ナンパされてる女の子を見つけて祐樹が颯爽と助けていったのだ。女の子とはご察しの通り朱里ちゃんである。
そこから祐樹は好かれてしまって、今日も昨日も一昨日も一緒に話している。
私の目の前で見せつける様に!(怒)
「あ、授業始まっちゃう……ごめんなさい急がないと!」
「いいよいいよ。お話ありがとう」
……朱里ちゃんの背中を目で追いかける。よし、行ったな。
えいっ!
「いだだだだだって何するんだよ」
「自分で考えろ」
「……」
祐樹の事は置いておいて、私からして朱里ちゃんはいい子だ。料理作れるらしいし、悪い噂も聞かないし、可愛いし。
祐樹にくっついてもらうには申し分ない。
「は~ん。モテてる俺を見て嫉妬しちゃったんだ。そんなに俺の事が好きなん?」
「〇ね、ガチで」
おっとおっと、いけないいけない。学校では完璧クール美少女を装ってる私がこんなことを言ったらいけない。
ついニヤニヤしながら私を見る祐樹をフルスイングで殴ってしまったが、何の問題もないはずだ。
本人も痛そうにしてるだけだ、問題ない問題ない。
「問題しかねえよ!」
「はっ、いつから私の頭の中を?!」
「何年一緒だと思ってるんだよ、ていうか分かりやすい」
「早く離れたいって思ってるんだけどな……」
確かに、たまに祐樹がこちらの頭の中を覗いてくることがあった。おい、人のプライバシーはどうなっている。
「まあいいけど席座れよ、もう授業始まるぞ」
「……っへ、今はこのぐらいで許してやる」
「何様だよ」
負け犬っぽい言葉を吐きながら、私は自分の席へと戻っていく。いや、負けてないけれども。むしろボロ勝ちですが、別に負けてるとか思ってないし。
……正直に言うと、モテてることには負けるとは思う。でもそれ以外は譲ることができない。
運動は私の方ができるし、勉強も私の方ができる。社会の渡り方も完璧だ。
私が前世を持っていることは関係ない、事実だけで十分だ。
「ご、ごめん桐原さん、ちょっといいかな」
「どうしたの?」
席に座ると、隣の子から話しかけられた。
可愛い子だ。とても可愛い。是非とも私の彼女にしたい。
この隣の子は早瀬桜。同じクラスの女の子だ。
自分に少し自信がないところもあるけれど、そういうところも良い。とても可愛い。
このクラスの中では、私一押しの子だ。推しだ、推し。アイドルなどに向ける感情に近い。
まあでも少し残念と思うところが私にはございまして。
「……今日こそ藤井君と遊びたい」
「……チッ」
桜ちゃんも祐樹に毒されてしまった一人なのだ。桜ちゃんを例えるなら同級生ヒロインだ。
一体祐樹のどこが好きなんだか分からない、一生の謎だ。
親友というフィルターを通しても、祐樹のいいところなんかないぞ。
「えっ、舌打ち?……ごめんなさいごめんなさい、もう祐樹さんの事言わないです」
「うん、それでいい。本当の祐樹知ってるの私だけだし」
「……やっぱり桐原さんと藤井君は」
「え、なんか言った?」
「いいえいいえ、言ってないです!」
何か聞こえた気もするが、本人が否定している以上詮索するのは野暮だろう。
そして、さっきも言ったが、本当の祐樹を知っているのは私だけだ。
学校では口数も少し少ないが、放課後はうるさいぐらい喋るし、無害を装ってるふりして裏ではいろいろなことを思ったりして。
それに最近、表面上はハーレムを嫌そうにしているが、裏では喜んでいそうだ。
やはり、あいつもただの男だった。
ああ、思い返すと無性にイライラしてきた。
ちらっと祐樹の方を見てみれば、眠そうな間抜けな顔を晒してた。そのままくたばっちまえ。
◇
放課後、いきなり祐樹は聞いてきた。
「春香は作らないのか?……その彼氏とか」
「え、無理無理。男とか無理なんだが」
「……そっか」
いきなり変なことを聞くから頭大丈夫かと思ってしまった。今まで自分からそういう話はしてこなかった祐樹だから少し意外。
ていうかなんで私なんだか。
「ほら、さっさと帰ろ。みんな帰ったし」
「それもそうだな、帰るか」
そうして一歩、校門向けて歩み始めた。
「ねえ、一緒に帰ってあげてもいいけど」
「お断りします、では」
……。
「え?……聞き間違えね。じゃあ帰りましょうか」
「……だめだこりゃ」
う、うわーツンデレヒロインだ!美人、可憐!祐樹は黙れ!
ということでツンデレヒロインの卯月綾乃ちゃんだ。
本当に日本人なのか怪しい金髪のロングヘアーを靡かせている。まるでおとぎ話に出てくるような人だ。
本人に聞くと、先祖に金髪の人がいたらしい。俗に言う隔離遺伝ってやつだ。
「私忘れられてる?ここにいるんですが」
「桐原さん、今日こそは
今日も無事に宣戦布告されたが、綾乃ちゃんとお話だ。どっかの誰かみたいにむさ苦しくはない。
綾乃ちゃんは私が祐樹なんかの彼女だと思っている節があり、よくケンカを吹っかけてくる。
どれもこれも祐樹が居なければ解決した問題だ。やっぱり私の人生にあいつの存在はいらない、丁度良い機会だからこのまま……。
「いやいやなんで殴ろうとしてくるんだよ」
「惜しかった……」
「……目の前でイチャコラしないで頂きたいですわ」
「「誰が!」」
「「こんな奴と!」」
「……そういうところですわ」
呆れられた目で見られた気がする。折角綾乃ちゃんと仲良くなる機会だったのに。
きっかけが祐樹というのはムカつくからこれで良いか。これからは自分の力で仲良くなれば良い。
「
「あ、うん」
「おう、分かった」
なぜか絶望に打たれたような顔をしている綾乃ちゃんに、手を振る。……もしかして祐樹の所為か?
隣のこいつを見てみると何故か涼しそうな顔をしている。まるで帰ってくれることを望んでたみたいだ。
いや、は?
「痛っ!?お前金的だけはダメだろ!」
「最低ハーレム野郎が」
ああ、ここまで最低だとは思わなかった。最近祐樹は調子に乗っている気がする、モテてる自分に恋してるんじゃないのか?
「っ痛い……痛い」
「……ごめん?」
「なんで疑問形?……痛い」
一応金的の痛みを知っている私だからか、少し罪悪感を感じた。
けど、こいつのやってることに比べたらマシだろう。これは調子に乗っている奴への罰だ。
日も落ちてきたし、帰るとするか。
校門の前で股間を抑えている奴を無視して、帰路につく。
さて、夜ご飯なににしようかな~?
「……た、たすけ」
「しょうがないな」
「あ、ありが──ってお前の所為でこうなったんだからな?!」
「キコエナイナー」
「こいつ……」
流石の私でも、放置をするような真似はしない。私の肩を貸しておく。
確かにこいつは許されないことをしたが、一応親友であるし情けをかけてあげるのだ。
「じゃ、帰ろっか」
「……だな」
何とも自分の都合が悪い時期に投稿してしまった。
激しく後悔。